建築家葛原さんのベテランの青色申告

経営者としての心構えを語る建築家 葛原さんのベテランの青色申告

葛原 千春

1967年生まれ。二級建築士(免許登録 東京都 第59419)。1987年中央工学校建築設計課卒業。2つの高級注文住宅設計会社勤務を経て、2002年に独立し、クロノグラム アーキテクトスタジオを設立。シンプルでありながら優美さや品のある空間づくりと、時が経っても飽きのこない空間構成・個性のある設計を目指し、これまで個人住宅、医院併用住宅、賃貸マンション併用住宅、外人賃貸マンションなどを数多く手がける。
ホームページ:http://www.chronogram-architect.com/
ブログURL:http://chronolog.blog83.fc2.com/

葛原千春さんは、15年間会社員として設計に携わり、その後2002年に独立して「クロノグラム アーキテクトスタジオ」という建築設計事務所を設立された建築家です。葛原さんは今や数名のスタッフを雇いながらも、独立以来10年近くに渡って自らの手で青色申告を行ってきたそうです。今回は、そんな青色申告「超」ベテランの立場から、青色申告のコツと個人事業主としての心構えなどを語っていただきました。

聞き手・執筆 / フリーランスライター 穴澤 賢

独立、そして青色申告へ

穴澤
葛原さんのお仕事の経歴と、青色申告をされるようになったきっかけについて教えてください。
葛原
専門学校で建築を学んだあと、15年間ほど会社員として住宅の設計・企画に従事し、その後、2002年に戸建て住宅の設計を行う建築設計事務所を立ち上げました。独立した年の白色申告を除けば、それからはずっと青色申告をやってきたことになりますね
穴澤
どうして独立しようと思われたんですか。あと白色申告ではなく、青色申告を選ばれた理由についても教えてください。
葛原
独立を決めた理由はいろいろありますが、そもそも設計士になるにあたって、いずれは独立したいという思いがありました。また、当時勤めていた会社において、設計士が図面を書くうえで、細かいルールが決められたことも理由の1つですね。そのルールが会社独自のルールで、それを守りながら設計をすることに限界を感じていました。青色を選んだのは、やっぱり65万円控除の恩恵を受けたいと思ったのが大きな理由です。
穴澤
それまでに確定申告の知識はお持ちだったのでしょうか。
葛原
いえ、全然ありませんでしたね(笑)。ものすごく敷居が高い気がしていました。ただ、誰かにやってもらうといっても、当時は税理士さんに頼むお金もなかったですし、まずは自分でやれるかどうかを判断したかったんです。ちょっとでもやれることなら自分でやりたいほうなんですよ。

何もわからないところからのスタート

穴澤
はじめての青色申告はいかがでしたか。
葛原
最初は本当に何も考えていませんでしたね…。サラリーマンを辞めた年は白色申告だったのですが、とりあえず領収書はとっておいたほうがいいんだろうな、くらいの感覚しかなくて。翌年、はじめて青色申告を行いましたが、確定申告の時期になってからどうしようと焦り出すなど、行き当たりばったりでしたね(笑)。
穴澤
僕も含めて最初はそういう人が圧倒的に多いみたいですね(笑)。そこで「やよいの青色申告」を使おうと思われたのにはどんな理由があったのでしょう。
葛原
私は何かわからないことがあると必ず本で調べるんですけど、そのときも本屋で一番わかりやすそうな青色申告関連の書籍を買ってきました。それが『日本一やさしいフリーのための確定申告ガイド(はにわきみこ/山岡大祐著 情報センター出版局出版)』です。本の通りにやっていこうと思ったんですけど、その本の説明が「やよいの青色申告」を元に書かれていたんです。
穴澤
わかりやすい理由ですね(笑)。
葛原
もちろんそれだけじゃなくて、一応私なりの比較検討をしました。いろんなソフトを比較しているサイトとかも調べたんですが、そこでも機能面でもコストパフォーマンスも優れていて評判が良かったんです。

やよいの青色申告がさらにわかりやすくなった

穴澤
そこからずっと青色申告をされているとのことですが、現在は「やよいの青色申告」で、年間を通してどのように取引の入力をされているんですか。
葛原
それが前とあまり変わらないんですよね…(笑)。毎年ぎりぎりになってから慌てるという感じです。
穴澤
もう慣れていらっしゃるから余裕を持ってやって、毎回準備もバッチリなのかと思っていました(笑)。実は僕も昨年溜まりに溜まった領収書の束の入力などで疲れ果てたので、今年はちゃんとしようと思いつつ、結局まだ何もしていません…。ちなみに、ベテランの葛原さんにとっては、そのやり方のほうが自分のスタイルに合っているということなんでしょうか。
葛原
いえいえ、これではまずいと毎回大いに反省しています…。ただ、日々の業務に追われがちで、なかなかそこまで手が回らないんですよね…。とはいえ、2年ほど前から3人のスタッフを雇っているので、税務対策や経営者としての財務管理をちゃんとやっていかなければと強く思っているところです。そろそろ株式会社化も考えており、そうなれば会計事務所にお願いする可能性もありますが、自分でできるところは自分でやっていきたいと思っています。
穴澤
「やよいの青色申告 11」で大きく変わったという、決算書と申告書作成の新機能はいかがですか。
葛原
「やよいの青色申告 11(確定申告版 ver17.1.1)」では、これまでは最後まで入力したあとにしか見られなかった所得税確定申告書が、入力作業の途中でも見られるようになったのが便利ですね。今まではどことどこの数字が合っていなければならないというのがあまりよくわからなかったんですが、作業の途中で確認できて、アラートを出してくれるのは断然良くなったポイントだと思います。
やよいの青色申告 11(確定申告版 ver17.1.1)で加わった新機能。入力作業の途中でも確定申告書と同じフォームで確認できる

一年先を見越した経営が大切

穴澤
僕がそうなんですが、個人事業主って、給料制じゃないから実際に仕事をして入金があるまでにタイムラグがあるじゃないですか。出版業界の場合だったら、だいたい2ヶ月後の入金だったりするんですが、葛原さんのような設計事務所の場合はどうなんでしょう。
葛原
ケースにもよりますけど、4ヶ月くらいでしょうか。おかげさまで今のところは仕事がコンスタントにありますが、やっぱり波があります。あと給料や事務所代、外注費などの費用がかかり、そうした支払いが一時期に集中して重なったりすることがあるので、資金繰り的なところをちゃんと考えておかないといけません。
穴澤
設計士の外注費というと、どのようなものなのでしょうか?
葛原
建物の強度に問題がないかを計算する「構造設計」がほとんどで、これだけは専門の業者に依頼しています。ほかにも、模型製作を外部にお願いすることもありますが、私自身でやることもあれば、スタッフがやることもあり、外注費全体の金額に占める割合は少ないですね。
穴澤
資金繰りの話は、実感としてものすごくわかります(笑)。「来月入るんだろうなー」くらいに考えていると、ある出版社は3ヶ月後で入らなくて焦るという。ま、僕の場合は小さい金額ですけど。でも、そうしたことを回避するにはどうしたらいいんでしょうか。
葛原
ある程度予測を立てることでしょうね。いくらその年の売上がよくても、喜んでいるだけじゃなくて、もろもろの支払いのこととか、翌年の税金のこととかを考えて、1年先を見越した経営をしましょうということでしょうか。あとは自戒を込めて、面倒臭がらずに毎月経費類はきちんと入力するようにしましょう、ということでしょうか(笑)。。
穴澤
そうしないと個人事業主は乗り切れないのかもしれませんね…。本日は貴重なアドバイスをどうもありがとうございました。

取材を振り返って
やらなくちゃいけないとわかっていても、なかなかできないのはベテランさんも同じ。わりと毎年慌てていると聞いて、みんな大体そんな感じですよねっ、と正直ちょっと安心しました(笑)。もちろん本業のほうは一切妥協したくないという姿勢が独立という形にあらわれたわけで、家づくりのお話をされるときの無邪気な笑顔が印象的でした。ただ忙しい中でも、自身でやろうという姿勢と自分を比べ、このままではいかんなと思いました(穴澤)

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