実録!弥生会計導入体験レポート 第5回「会社がもっと儲かる改善提案!」

第5回「会社がもっと儲かる改善提案!」

これまで4回の連載を通じて、右脳事件株式会社の大塚さんに弥生会計を使って会計処理のための基本的な設定や取引入力、資金繰りのコツを体験していただきました。最終回の今回は、これまで指導をお願いしてきた税理士・宮原裕一先生に、弥生会計を活用してこれまで以上に会計処理や経営を改善していくためのポイントなどを伺いました。

節税の基本は帳簿を漏れなく付けておくこと

こんにちは、右脳事件の大塚です。早いもので、この連載もこれが最終回です。 そこで今回は締めくくりの意味もこめて、これからさらに会社を良くしていくためにはどのような会計を行うのがよいのか、宮原先生に詳しくお聞きしてみたいと思います。

右脳事件株式会社 取締役 大塚弘久さん
右脳事件株式会社 取締役 大塚弘久さん

税理士 宮原裕一先生
税理士 宮原裕一先生

大塚さん

税金を納めるのは当然ですが、節約できるところは節約して、その分を他のところで還元できたらと思っています。節税を行う上で何が重要でしょうか。

宮原先生

「きっちり帳簿を付けること」が一番の早道ですね。弥生会計はあくまで会計ソフトですから、何か直接節税に結びつく機能があるわけではありません。しかし、 会計ソフトで会社の状況を知ることで早期に決算対策を検討することができますよね。たとえば、決算では未払いの経費を確実に計上することも節税につながります。 もし適切に経費が計上されないと、実態よりもいい決算が出てしまい、納める税金の額が増えてしまいますから。領収書などを一気に処理しようと置いておくと、 見落としが出てこないとも限りません。地味かもしれませんが、弥生会計で毎月きちっと帳簿を付けることが節税につながるのです。

大塚さん

他にも何か節税につながる考え方などはありますか?

宮原先生

経費とは逆に、売上の記帳漏れがないことも重要です。もし売上を計上し忘れて後で見つかった場合、加算税などの経費にならない余計な税金を支払うことになりますから。 税務調査も作業日報などと実際の売上の計上を見比べて、仕事をやっているのに売上が上がっていないのはなぜかといった目の付け方をするので、 普段から記帳漏れや行き違いがないように注意しましょう。

また、法人の場合は、経費の使い道が利益を獲得するために使っている経費なのか、それとも社長などの私的費用などに該当しないかというところを詳しく見られます。 交際費関係は気をつけましょう。中小法人は年間600万円までは9割は経費になりますが、もし社長の個人的な出費であると、経費にならずに法人税がかかるうえに、社長の給与として所得税もかかってしまいます。

大塚さん

弊社では毎年PCやソフトウェアの出費額がかなり多いのですが、こうした費用処理を節税に結びつけることはできるのでしょうか?

宮原先生

まず、PCなど長期間使用する資産(これを減価償却資産といいます)は、購入の全額を一度に費用にするのではなく、 資産ごとに決められた期間(これを耐用年数といいます)に分けて費用処理しなければなりません(これを減価償却といいます)。 減価償却の計算は、方法が複雑で、耐用年数も資産によって異なるので、専門家でも面倒な作業になります。 ただし、青色申告の中小企業の場合は30万円未満の減価償却資産は一度に処理できるので(総額で300万以内)、30万円未満のPCなどであれば、あまり意識しなくてよいかもしれません 。なお、弥生会計ではこうした減価償却資産の処理方法があらかじめ設定されています。これらの設定は参考になりますし、減価償却の方法を一度決めてしまえば、 それに沿って毎年処理できるため、経理上の手間は軽減できます。

次に節税という視点でいえば、利益の出ている年にPCなどを購入し、利益を圧縮することで節税につながります。 ただし、購入した金額分の税金が減るわけではありません。たとえば、100万円の経費であれば、減る税金はそのうちの40%(中小法人の場合は所得に応じて軽減されます)、40万円にすぎません。であれば、40万円の税金を払って手元に60万円を残した方が資金繰り的にトクな場合もあります。いずれにしても、節税という言葉だけに目が向いてしまい、不要なものを購入するのはあまりお勧めできませんね。

会社の視点で福利厚生を考える

大塚さん

今後、さらに会社を良くするため、節約した分を還元するにはどうしたらいいのでしょうか?成功している企業の取り組み例のようなものがあれば教えてください。

宮原先生

やはりいちばん大きなものは、給与体系の整備ではないでしょうか。単純な還元ということでは決算賞与などがあります。業績などに応じた何らかのインセンティブを設ける場合も、 会社の業績アップにつながると同時に頑張った従業員にも還元されますよね。

あとは退職金に備えて、生命保険や中小企業退職金共済(中退共)に加入しておくことですね。 会社が一時の大きな出費に耐えられるよう備えておくことで社員は充分な退職金をもらえ、結果的に最後まで充実した福利厚生が実現できるのです。

大塚さん

お金以外の面では何かありますか?たとえば福利厚生などでやっているものはあるのですが、他の会社さんがどんなことをしているかも気になります。

宮原先生

社員旅行などのほか、みんなで使える共有スペースを設けるとか、福利厚生のアウトソーシング会社や勤労者福祉サービスセンターなどを利用して、社員が割安で施設やサービスを利用できるようにするといったことも考えられます。

また、右脳事件さんのようなクリエイティブば仕事では、勉強のために映画を観なければならないこともあるでしょう。それが会社の業務上必要なものである場合は、教育研修費などとして認められます。このときのポイントは、それが必要な支出であるという、業種の特性に即した客観的かつ合理的なストーリーを組み立てて、レポートなどの書類を残しておくことです。

弥生では「あんしん保守サポート」にお申し込みの会社の従業員を対象に、福利厚生サービス「クラブオフ」を提供しています。 このサービスでは、全国の人気ホテルや有名旅館などの宿泊施設からレジャー施設、日帰り湯、ショッピング、グルメ、エステなど、 豊富な各種施設やサービスを特別優待価格でご利用いただけます。

専門家のアドバイスを上手に利用すれば、税金対策プラス経営改善も可能

大塚さん

今回、宮原先生にはいろいろなアドバイスをもらいましたが、もしこの記事の読者の方が税理士さんにアドバイスをお願いする場合、 具体的にどのようなことの相談に乗ってもらうのがよいでしょうか。

宮原先生

われわれ税理士は、本来は税務の専門家の位置づけです。しかし同時に、実務の上ではお客様の財務事情などをいちばん理解していないといけない立場でもあります。 そのため、単に会計処理や税務処理だけを依頼するのではなく、経営のパートナーとして相談されることをお勧めします。 日ごろから何かと相談しておけば、思わぬ落とし穴にはまることを防ぐことができます。

たとえば社長がワンマンでやっている会社だと、儲かったからとすぐに役員報酬を上げてしまうことがあります。 しかし、税務上では定期同額給与という役員報酬に関わる規定により、上げた部分は会社の経費になりません。 その結果、決算書の利益よりも税金がかかる利益が増えてしまいます。さらに、経費にならなかった役員報酬にも所得税がかかり、二重に税金を払うことになります。 こうした間違いは税理士に一言相談していれば、起きようもない問題です。

弥生会計の機能を活用して財務的な視点を養い業務効率化につなげる


宮原先生

では最後のまとめとして、弥生会計を使いこなすポイントをいくつか挙げておきましょう。まずは「どう入力作業を効率化するか?」ということです。 ただ漫然と使うのではなく、弥生会計に搭載されている辞書機能やサーチキーといったツールをどんどん自社に合わせてカスタマイズしていくこと。 それが3か月も経った頃には相当な差になって現れてきます。

私自身も入力の効率化に力を入れています。というのも、弥生会計のユーザーの多くは中小企業で、専任の会計担当者を置く余裕がありません。 それで社長が自分でとか、営業の人が兼任で経理を担当するといったケースが少なくありません。本来そうした皆さんは売上を上げることに力を注ぐべきなのに、 経理処理に時間を取られてしまっています。 それを弥生会計で効率化していただけたらと思うのです。

大塚さんは今回の連載を通してどうでしたか?

大塚さん

仕事に対する視野が少し広がったかなと感じています。1か月の売上と経費のマクロ的な視点の他に、 それぞれの案件を映像、Web、イベントなどの業態ごとに分けて考えたり、 請求書一枚に対しても一つひとつの利益率という視点に立って仕事を見ることの重要性がより確信を持って理解できるようになったということですね。

ふり返ればあっという間でしたが、この連載を通じて仕事に対する新たな切り口=見え方が発見できたと思います。 ここで宮原先生から教えていただいたヒントをもとに、さらに弥生会計を使いこなし、効率よい仕事の仕方と、 社員一人ひとりの利益につながるような経営を探っていきたいと思います。これまでのご声援、ありがとうございました!

(1) 上段にある項目をコピーする

取引の入力をしていると、同じ勘定科目が続いたりして、入力済みの上の段にあるものをもう一度使いたいときが出てきます。こんなときは、上段複写の操作を行います。日付・勘定科目・摘要欄・金額のどの項目でもできます。複写したい項目を選択して、[Ctrl]キーと[F]キーを押してみましょう。上段にある項目をそのままコピーします。上段の項目をコピーした後、摘要欄の店名だけを残して内容を書き換える、といったことができます。


(2) 同じ形の取引を量産する

数日分をまとめて入力するときに、強力な技があります。たとえば1週間分の現金売上を入力するとき、現金出納帳に勘定科目を「売上高」として7日分、日付と金額が違うものを入力することになります。これは取引として同じ形なので、最初のひとつの取引を入力し、あとは取引を丸ごとコピーします。まずは1日分の売上を入力してください。その行を選択した後、[Ctrl]キーと[L]キーを押します。その後、量産する数だけ[Ctrl]キーと[Y]キーを連打します。この場合6回です。これで同じ取引が7つになるので、日付と金額を訂正するだけの作業で済みます。

資本金: 300万円
代表者: 影山二郎
創業: 2003年1月
所在地: 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-2-7
事業概要: 映像の企画制作、およびWeb制作、ならびにイベントの企画運営
URL: http://www.unou-jikenn.com/

右脳事件は「広告の機能美」を、従来までの広告業界の枠に捕われることなく、 純粋に追求していきたいとの思いから2003年に結成されたクリエイティブユニット。 アイディアの着想からその実現に至るまでのすべてのプロセスを、映像、音楽、デザイン、 イベントといった各分野のエキスパートが自由な発想のもと、 ひとつ屋根の下で集中的に作り上げるというコンパクトな制作スタイルをとることで、 「クライアントのメッセージがダイレクトに伝わる」ピュアで力強い広告表現を追求している。

  1. Vol.1 手間のかかる経理作業からの脱却を目指せ!
  2. Vol.2 いよいよインストール、そして導入設定へ
  3. Vol.3 勘定科目を設定、取引入力をいよいよ開始
  4. Vol.4 弥生会計でできる資金繰り管理
  5. Vol.5 会社がもっと儲かる改善提案!

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