飲食店を開業しよう!第1回 飲食店の開業前に絶対知っておきたい「3つの柱(心構え・お金・計画)」

飲食店をオープンさせたい!自分が腕をふるうお店を作りたい!そう思ったとき、何から準備を始めたらいいのでしょう? お金のこと、経営のことを知ることは、成功への近道。飲食店を始める際のアドバイスを、専門家に聞いてみました。(監修:TOMAコンサルタンツグループ株式会社)

37歳。会社員の夫(40歳)、娘(10歳)、息子(7歳)の4人家族。父母の暮らす実家から徒歩5分の場所に暮らす。外食チェーン店で事務仕事、レストラン店長経験あり。

公認会計士事務所所属。飲食店経営の企業支援、会計相談に詳しい。

富士先生、はじめまして!私、小さい頃から自分のレストランを持つのが夢だったんです! 子ども2人の手も離れてきたので、いよいよ夢を実現したいと思ってるんです。 でも、親族の中で飲食店を経営している人はいなくて、自分にセンスがあるか不安なんです。お店を始めるときの心構えって何でしょうか?

八百井さん、よくご相談に来てくれました! 飲食店を始めるならば、しっかりした計画と準備が必要です。 一緒にプランを練り上げていきましょう。せっかくの出鼻をくじくようですが、まずは現実的なお話をしますね。 一般的に、起業後3年たっても存続している会社は、全体の65%。つまり35%はつぶれています。

えっ。作るのは簡単だけど、続けるのは難しい、ってことですか?

これだけで驚いちゃいけません。業種を飲食店に絞るともっとシビアな数字になるんです。脱サラ・未経験者による飲食店が3年以内につぶれる割合は、なんと90%とも言われているんです

ってことは、私のように脱サラして始める人間は、10人に1人しか成功できない?よっぽど頑張らないと、残る1人になれないってことですね?

そう、飲食店の経営は「失敗するのが当たり前の世界」なんです。というのも、私たちにとって外食は身近な存在ですよね。 客として触れる場面が多いだけに「自分にもできる」という誤解が生まれやすいんです。 でも実際は、飲食店は接客、製造(調理)、仕入、在庫管理など、多くの要素が含まれる難しい業種なのです。 ただ単に味がいいだけでは成功が難しい世界です。おいしさ+α、付加価値のある店づくりが必要です。 ただし、上手に起業すれば、飲食店は成長が早いという魅力を持っています。 私のクライアントさんには、30代で始めた居酒屋を数年で20店舗まで増やした方がいますしね。※1

※1「日経レストランONLINE 特集 飲食店経営の実態(2006年8月1日)」より

飲食店は大きく成長する可能性を秘めているんですね。せっかくやるなら失敗したくないです。気を付けるべき点は何でしょう?

飲食店の店長を経験してから創業する方は多いです。たしかに、店長ともなれば「P/L(損益計算書)」つまり、お店がどれだけ利益を出しているのかについて一度ならず目にしたことがあるはずです。 とはいえ、こうした店長経験の方も経営者になるにあたって、まったく新しい挑戦が数多くあります。その1つが「資金繰り」でしょう。一般的に店長がお金のやりくりまで経験することはありませんから。

シェフから創業、という場合も注意が必要です。「私にしか出せない味」という技術力、個店の魅力は不可欠ですが、 料理以外の面での「お金の感覚」はとても重要なのです。

私の場合、外食チェーン店の本部で事務を3年。その実店舗での店長経験があります。料理は大好きで、お店では私が腕をふるうつもりなんですけど…どうでしょうか?

そうですね、全くの未経験では心配ですが、仕入や売上のことがわかる、店長の経験はプラスですね!人を雇うことや協調性にも実績があるってことですし。

富士先生、お店をオープンするにあたって、夫に会社を辞めてもらうことも検討しています。最初の頃は人にお給料を出せないかもしれないので。

うーん、その発想、実は危険です。「夫婦二人でこじんまりやりたい」という人は多いのですが、家計としてのリスク管理には不安が残ります。 たしかに家族は貴重な労働力ですが、店が立ち行かなくなった場合、どこからも収入を得ることができません。一方が会社員であれば、その立場を生かして生活費を稼げます。収入の道は複数用意しておくほうが現実的ですよ。

そうなんですね!夫にはもう少し会社で頑張ってもらおうっと(笑)

どんな人にとっても、飲食店を創業する場合に必要なものは、「経営者としての視点」となります。 開業前、あなたが給与をもらって働いているのであれば、そこを辞めるのは「資金をためてから」「経験を積んでから」「しっかり計画を立ててから」にしましょう。

確かに、今の私は給与所得者です。今度は「経営者」として意識を変えないと、ってことですね!