飲食店を開業しよう!第2回 これがなければ始まらない!「事業計画書」の作り方

私の挑戦はムリではないでしょうか?

いえいえ、この段階で相談に来てくだされば、有益なアドバイスが差し上げられますよ。なにしろ、創業する・しないの段階からしっかり考えることができますしね。今のお仕事を辞める前というタイミングもよかった。 今は、経験をつみながら、自己資金を増やし、計画に沿った調査を行える、貴重な時期ですからね。

でも事業計画書って本当に作れるのか心配になってきました。改めて何から考えていくのがいいか教えてもらえますか?

どの要素もほぼ同時進行、といえます。それでも重要な順に3つあげるとしたら次のようになりますね。

1)
オーナーシェフの個性(店の特徴)を出す
2)
ターゲットと客単価
3)
店の立地と家賃

チェーン店ではなく、個店として始めるのですから、オーナーシェフの特徴が出さなくては勝負になりません。 続いて、その特徴が生かせるターゲットを定めます。 そのターゲットにとって「高くても付加価値のある、魅力あるメニュー」でなければなりません。低価格競争になればチェーン店にはかなわないからです。

客単価は相場も考える必要がありますが、いたずらに低くしないことがポイントです。 店の立地や家賃は、ターゲット次第で変わってきます。ターゲットが多く存在する駅・立地をよく考えて、実際に自分の足で歩いてみると「こんな物件がいい」とわかってきます。テナント探しの間に、目が肥えてきますよ(笑)。

まとめると、私の場合は、「1)野菜がたくさん食べられる店」「2)20~40代・働く女性。ランチ1,000円、夜4,000円」「3)オフィス街」ってことになりますね。オフィス街ともなれば、家賃は20万ではムリかなあ。

オフィス街の場合は、定休日を「日曜・祭日」に設定できますね。ご家族で過ごすには都合がいいのでは?

そういう発想もありなんですね!今の職場は平日しか休めないんです。それって理想だわ!

ところで富士先生。飲食店の創業は非常に厳しいといわれていますけど、 「成功する人」の計画は、何が違うんでしょう。

いい質問ですね、八百井さん。成功する人もいろいろですが、 もっとも重要なのは、「経営者であること」です。つまり損得勘定をきちんとできる人、ということですね。 そのうえで、さらなる要素として次のようなことが挙げられます。

A・
必要な経験を積んでいる
B・
他店(成功例、失敗例)の研究をしている
C・
価格設定(メニュー、原価)に工夫がある
D・
仕入先のあてがある
E・
優秀な人材を確保できる
F・
計画と実施のズレをカバーできる

Aはわかりますよね。失敗は「経験不足」から起こります。 経営者の視点は別としても、飲食店をやろうという人が、まったくの未経験では話になりません。 店長経験、キッチンの経験、ホールの経験など。必要となる経験は、創業前にどこかで修行しておけば安心ですね。お給料をもらいながら技術が身に付くんですから、しっかりやってほしい部分です。

ほんと、今は「お金をもらって勉強できる」立場ですよね。これからは人に払う分まで稼ぐんだから、頑張らないと。開業したら、自分が教える立場ですもんね。接客も、料理も。

Bの他店研究も大事です。自分が理想とするタイプの店舗を調べて、ランチ、夜、と実際に食べにいってチェックしてください。良い点は取り入れ、ダメだと思った部分は反省材料として自分の店に活かします。特に、立地や内外装のことは、よく見ておいてくださいね。

「私だったらこうするのに!」って思う改善点、いくつも目についちゃうんです。反対に、良いところは素直にまねる姿勢も大切ですね。

Cの価格設定は、はやる飲食店の「キモ」の部分です。 もう一度、「三大経費の黄金比」を思い出してください。 原価と人件費は合わせて、売上高の6割までに抑えるのがコツですが、それをいくらで売っていくか、という工夫をしていきます。

商品管理の基本的な考え方に「ABC分析」という経営用語がありますが、これを飲食店にあてはめると、メニューを「売れていて儲かる商品」「売れているが儲からない商品」「あまり売れないが儲けが大きい商品」とに分けて考えることになります。

たとえば、飲み物の価格を低く設定すれば「売れているが儲からない商品」となります。それでも、原価が安く利益を乗せやすいメインの料理を「売れていて儲かる商品」にすれば、利益アップにつながる、というわけです。

価格設定を考えるうえで重要なポイントは、原価率は一律にせず、品によって変えていくということです。 「原価を見せずに売る」料理法、「プラスアルファの付加価値設定」も大事ですね。また、日本には四季がありますから「売れる定番商品の他に、季節限定商品を作る」のも効果的でしょうね。

この店でないと食べられない!っていう料理法とか、珍しさ、何度通っても飽きさせない工夫、ってことですね。これを考えるのは、オーナーシェフにとって一番楽しい部分かもしれません。

Dの仕入先も重要ですよ。 今のお仕事をしながら、流通業者についてパイプを太くしておいてくださいね。 できれば、「掛け売り」してくれる取引先がいいですね。先にお客様に売って代金を回収してからお金を払えばよいので、資金繰りがぐっと楽になります。掛け売りしてもらうためには、こちらが法人であるほうが有利に働きます。

私は、関東の若手就農者から野菜を仕入れたいと考えています。そういう意味では、複数のルートを開拓しなくてはなりませんね。天候不順や、物流トラブルがあってもカバーできるように。

Eの優秀な人材、これも飲食店を軌道に乗せるうえで特に大切な部分です。ポイントは2つあります。 1つは、接客や調理といったノウハウをすべて持っている人はなかなかいないということ。 経営者が料理人の場合は接客のプロを、逆に接客に強い場合は有能な料理人、など、得意分野が異なるパートナーを捜すのがコツです。できれば創業時から信用に値するスタッフを呼び込んでおきたいですね。これも法人化した方が有利な部分といえます。

もう1つのポイントは多店舗展開するときの店長候補です。 複数の店舗を展開するとなれば、1人ですべてをみることはできません。その意味で1店舗まるごと任せられるようなスタッフは非常に貴重だと思います。

実は、一緒に働いたことのある人をスカウトしたいと思ってます。いい人材を確保するためにも、お給料はしっかり出さないと!

最後にFです。いくら綿密な計画をたてても、その通りに物事が進むとは限りません。予算が不足して理想どおりにできないことは多いんです。 そんなときにも、正しく優先順位をつけて、バランスをとれる人が成功すると言えますね。

そのバランス感覚は、富士先生に相談することで養われるってことかな。第三者の視点での冷静な分析を頼りにしてます!

先に聞いておきたいんですが、開業してすぐ「これは失敗だ!」とわかる例ってありますか?

そうですね。一番痛いのは「コンセプト違い」です。オーナーシェフの特徴と、ターゲット、立地にズレがある場合。 これはいかんともしがたいですね。調査が表面的だけだった場合に陥りやすい失敗で、挽回はかなり大変です。 事前にしっかりとした計画を作り、念入りに調査をしておく必要があるでしょう。

街のムードやそこにいる人と、店の雰囲気がずれているのはマイナスってことですね。確かに気を付けたい部分です。

それから、開業時の「予算の配分ミス」もつらいですね。厨房機器に予算をとったら、看板を作るお金が足りないとか。 反対に、内装にお金をかけすぎて、席数に見合った厨房の広さがないとか。事業計画の時点で、間違いを防ぐのがコツですね。そのためにも、テナントは自分の足で探すこと。そして、事前にプロに相談する姿勢が大切です。

トータルバランスが重要ってことですね。

では、次回は開業形態についてご説明しましょう。個人事業主で始めるか、法人化するか。そして、開業に必要な手続きのこともまとめますね。

事務手続きって面倒そうで、ちょっと腰が引けちゃいますが、がんばってついてきます!富士先生、よろしくお願いします!

TOMAグループは、公認会計士7名、税理士24名、国税局OB 5名、社労士6名、経営コンサルタント15名、中小企業診断士1名、 フードアドバイザー1名、司法書士2名など、総勢140名の専門家を擁する総合コンサルタントファームとして、 経営、財務、税務、人事労務、相続事業承継、会社設立、経営計画、IT化支援、財産不動産有効活用など、お客様のあらゆるニーズをトータルにサポートする。

大手チェーン店に負けない飲食店を支援するために、飲食業支援プロジェクトを創設。 300社を超える企業・飲食店の開業・経営をサポートし、成功に導く。日本フードアドバイザー協会認定のフードアドバイザーとして、 外食産業の発展と繁栄をミッションとして活動する。

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