法令改正情報

金融円滑化法の出口に向けて中小企業の取るべき行動とは?

法令改正等に関する内容については、弊社カスタマーセンターではご質問を受け付けておりませんのでご了承ください。

中小企業のための与信管理方法

はじめに

与信管理とは

与信とは「クレジットカードを発行する、資金を貸し付けるなどの信用を供与すること。(大辞泉)」という意味です。 事業活動に当たっては、得意先に商品やサービスを売掛けにて提供したり、仕入先に前払いをして商品を購入したりするような場合に信用を与えていることになります。与信管理のポイントとしてはこの「信用供与」の管理になります。 すなわち「信用できる相手かどうか?」の判断と「信用できるとした場合、どのくらいの額まで取引を信用するか?」が大きなポイントとなります。

大きな会社であれば、与信管理部を設置し、営業や調達等の事業部門、総務や法務等の支援部門との連携、外部調査会社への依頼など万全の体制で臨むところですが、小さな会社であれば、そこまですることは難しいかもしれません。 与信管理について小さな会社ができることとその考え方を紹介します。

小さな会社の与信管理 ~信用編~

あまり手間やお金をかけずに簡単にできる与信調査の方法があります。それは会社の謄本をチェックすることです。謄本の確認には3つのメリットがあります。一つは入手が簡単で安価であることです。入手方法としてはインターネットがもっとも簡単です。インターネット登記情報提供サービスを使えば即時に登記情報を確認することができます。また謄本に登録されている内容と実際にお付き合いしている会社の差異を確認できることです。書類の郵送先、商品の納付先などと謄本との違いは簡単に確認できると思います。さらに謄本をチェックすることで通常の営業活動では見えない側面を確認できます。通常のお付き合いでは見えない会社の目的や登記されている取締役など確認することができます。
会社の謄本には「商号」「本店所在地」「設立年月日」「事業目的」「株式に関する事項」「役員に関する事項」「登記記録に関する事項」など記載があります。
「商号」や「本店所在地」について、「商号」は一字一句間違いが無いことを、「本店所在地」は現在の事業所の住所と合っていることを確認します。また商号の由来やなぜ所在地がそこになっているのか確認します。由来のよく分からない商号や事業に全く関わりの無い本店所在地などは注意が必要です。また頻繁に商号変更や所在地変更している場合にもその背景を確認できるといいでしょう。
「設立年月日」では、会社の業歴をチェックします。業歴が短い場合は経営基盤が不安定な場合が多いです。長ければ良いというわけでもないので、ホームページ等で設立のタイミングと会社の歴史が合っているか調べられる場合は確認しておきましょう。
「事業目的」については、どのような事業が行われているかを確認します。事業目的に本業に関連の無いものや実態のよく分からないものがあると注意が必要です。また事業目的記載の順番を変更することはあまり行われていないことがありますので、設立当初の事業がはじめの方に、その後の事業展開で後ろの方になる傾向があります。順番変更されている場合はその限りではないですが、参考になるケースが多いです。
「株式に関する事項」については、資本金の額を確認することになります。株主の記載はないので確認できませんが、どのような株主がいるのか分かるような情報が他から入手できれば、その情報とともに確認するといいでしょう。株主の構成からこの会社が家族経営なのか?他の会社や役員から影響を受ける可能性があるのか?など確認することができます。
「役員に関する事項」については役員構成や変遷も確認することができます。役員にどのような方が参加しているか確認できれば、その会社の経営に対して誰が影響力を持っているのか確認することができます。また役員の入れ替わりが頻繁であったり、任期途中での辞任が起こっているような場合も注意が必要です。また代表者が、実務上社長のように見えている人出ない場合は、その方が代表者にならない理由があるかもしれません。また代表者については住所が確認できます。
「登記記録に関する事項」も会社の沿革や歴史、移転について確認できることがあります。過去に倒産等がある場合もここで確認できます。

会社の謄本の確認が終わったら次に不動産の登記状況を確認します。本店所在地の不動産が自社物件であるかどうかや代表者の自宅の所有者や担保の設定状況を確認することができます。不動産の謄本ではとりわけ権利部(乙区)の内容を確認します。権利部(乙区)では不動産に設定された抵当権やその債権の金額が記載されます。銀行以外の金融機関や取引先や関係のよく分からない先からの抵当権設定がある場合は注意が必要です。

会社や不動産の謄本から分かることには限りがありますが、会社や代表者の概要を確認するだけでも得られるものが多いと思います。分からないことは面談等でヒアリングすることになりますが、ポイントを絞ることができるだけでも調査には役に立ちますのでぜひご活用ください。

小さな会社の与信管理 ~与信限度額編~

与信限度額をどのように決めるかは各会社の経営判断によるもので一概には言えませんが、いくつかの考え方をお伝えします。

1. 与信限度額の設定はしない
信用供与を検討する際に、信用だけでなく取引金額の設定や取引条件なども合わせて検討している場合、特別に与信限度額を設定しないという流れです。この場合、与信審査の段階で様々な前提条件が検討されていることになりますので、前提が変化するような場合に適宜適切に対応できるようにしなければなりません。
2. 自社の経営状況を基準に考える場合
自社の支払能力や売上目標、粗利率などを基準にしながら検討するものになります。自社の数値からの算出なので明確なものになりますが、相手先の状態とは関係の無いものとなります。相手先に応じて対応が必要な場合には、この方法では適切に与信限度額の見積はできません。
3. 取引先の経営状況を基準に考える場合
相手の財務内容や売上高、取引金額などを基準にしながら検討するものになります。取引先の数値を根拠にすることで相手の状況に応じて与信限度額を設定することができます。ただし相手先の財務状況を把握したり、取引を正確に把握することは困難な事が多く、売上高等を自社取引から推定したり、調査会社の資料を入手するなど必要になります。
4. 標準的な数値を基準に考える場合
業界の標準的な財務内容や取引慣習を基準にしながら検討するものになります。各業界においての標準を用いたり、自社で標準的な得意先の与信限度額を設定しておき、そこから売上規模や個別の事情を勘案しながら調整する形になります。この方法では比較的簡単に与信限度額の設定が可能ですが、標準の設定方法に問題があったり、調整の妥当性が低かったりすると適切な与信限度額が大きく異なることになります。

以上、代表的な考え方をお伝えしました。与信限度額についてを限定的に考えてしまうと、どの手法も一長一短で選択できないかもしれませんが、一度「金融円滑化法の出口対応」全体を確認し、戦略的視点から検討するとわかりやすいと思います。

「中小企業における金融円滑化法終了に向けた対応」ということで以下の3つに対応することをお話ししました。

  • 1)取引先の与信管理を徹底する
  • 2)予期せぬ倒産にも備える
  • 3)金融機関からの評価を意識する

与信限度額についてもこれらのことを総合すると答えが見えてきます。「取引先の与信管理を徹底する」については、方法論について今までお伝えしてきました。 「予期せぬ倒産にも備える」および「金融機関からの評価を意識する」という側面から考えると見えてくることがあります。それは検討すべきは「自社の財務内容や自社の取引」であると言うことです。 はじめに着手することは「自社の経営状態を基準に考え」ての与信限度額を確認することです。いったいどのくらい回収不能が発生した場合に危機的な経営状態に陥るのかを確認しておくことが、「予期せぬ倒産にも備える」ことになります。 また「予期せぬ倒産に備え」る別の方法として、得意先倒産に対応した財務戦略をとることは結果として「金融機関からの評価を意識する」ことにもなります。「自社の経営状態を基準に考え」て与信限度額の絶対額を設定し、その総額を参考にしながら個別の与信限度額を検討することが分かりやすいのではないでしょうか?

以上、「金融円滑化法の出口に向けて中小企業の取るべき行動」について、その考え方と与信管理についての方法をお伝えさせていただきました。 これからも予期せぬ変化によって経営環境が厳しくなることもあるかと思います。大倒産時代の衝撃に対してショック対応できていることが、その衝撃の先のビジネスチャンスを得られる必要条件です。みなさまの経営が順調に進むことを願ってやみません。

以上