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【任意】スキャナ保存について知りたい

電子帳簿保存法で知っておきたい基礎知識についてまとめました。
どのような制度なのかをしっかりと理解した上で、対応するようにしましょう。
ここでは「スキャナ保存」について詳しく解説します。

スキャナ保存とは?

電子帳簿保存法上の区分(イメージ) 1.電子メール等で授受した書類 電子取引のデータ保存 電子取引で授受した請求書などを電子データのまま保存する(対応は義務 すべての法人・個人事業者の対応が必要) 2.会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿・書類 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存 自らがPCなどで作成した帳簿や書類を電子データのまま保存する(対応は任意) 3.紙で授受した書類 スキャナ保存制度 紙で受領、作成・発行した請求書や領収書などを電子化して保存する(対応は任意)

「スキャナ保存」とは、紙で受領した請求書や領収書などや自社が紙で作成・発行した請求書や領収書などの控えを電子化して保存するときの取扱いについて定めたものです。

スキャナやスマートフォンなどで読み取ったデータを一定の要件に従って保存することで、紙の書類は処分することができます。この制度を活用することで、紙の保管コストの削減や、書類の紛失によるトラブル防止、テレワーク対応の促進などの効果が期待できます。

対象となる書類としては、

  • 取引相手から紙で受領した書類
  • 自社が作成して取引相手に紙で交付する書類の写し

が該当します。契約書・見積書・注文書・納品書・検収書・請求書・領収書(レシート)など、ほとんどの書類が対象となります。なお、発行に関しては電磁的記録による保存をしていればスキャナ保存は不要(どちらかだけでOK)となります。

「スキャナ保存」の保存要件

紙データ 郵送などで授受 スキャン・撮影 ストレージに保存

スキャナ保存は、単に紙をスキャン・撮影して画像にすればよいわけではなく、「真実性の確保」と「可視性の確保」を目的とした要件があります。スキャナやスマートフォンで読み取った画像を紙の代わりとして利用できるようにするためには次のような要件を満たす必要があります。

可読性の確保

読み取った画像は人が内容を読み解ける程度の画像である必要があります。この点から、以下の要件が課されています。

項目 内容 補足
一定水準以上の解像度及びカラー画像での読み取り
  • 解像度(200dpi以上) による読み取り
  • カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上)
  • 一般書類の場合、カラー画像であることを要しないとされています。書類の区分(一般書類、重要書類)については、国税庁パンフレット新規タブで開くをご参照ください。
表示・印刷等
  • 整然とした形式や4ポイント以上の大きさの文字を認識できる、速やかに検索し出力できる
  • 以下を満たすプリンタで紙に印刷できます。
    • 解像度:200dpi以上
    • カラー:RGB256階調相当以上
  • スキャナ保存に対応する製品を利用する場合、一般的に要件を満たしているため、通常意識する必要はありません。
帳簿との相互関連性
  • 書類に対応する帳簿との間で相互にその関連性を確認できること
  • 2024年(令和6年)1月1日以後は 「重要書類」のみ確認できればよく、「一般書類」では不要です。
訂正や削除ができないシステムに保存する又はタイムスタンプに保存する等
  • 訂正や削除ができないシステムに保存する又はタイムスタンプを付与する。
    • 訂正や削除ができないシステムに保存する場合はタイムスタンプの付与は不要
  • 書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間(最長2ヵ月以内)を経過した後、 速やか (概ね7営業日以内) に付与が必要
バージョン管理
  • 書類を訂正、または削除した場合は、その事実および内容が確認出来ること
検索機能の確保 次の要件による検索が可能
  • 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先
  • 日付又は金額の範囲を指定して検索
  • 2以上の任意の項目を組み合わせて検索
  • 速やかに表示できるシステムである必要があります。
  • 税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、「二以上の任意の記録を組み合わせての条件設定」等の検索機能に係る一部要件は不要です。
見読可能装置
  • 14インチ以上のカラーディスプレイ及びカラープリンター並びに操作説明書を備え付ける
  • 「一般書類」で白黒階調(いわゆるグレースケール) による保存の場合は、ディスプレイおよびプリンタはカラー対応である必要はない
システム書類
  • スキャナ保存制度に対応したシステムの概要を記載した書類等を備え付ける
  • オンラインマニュアル等に操作説明書と同等の内容が含まれている場合、操作説明書が備え付けられているもの取り扱ってもよい

真実性の確保(改ざん防止、検索機能の確保)

スキャナ保存をする際には、読み込んだスキャナ書類の改ざん等がなされず、同時に必要な情報を適時に入手できるようになっていなければなりません。この点から以下の要件が課されています。

項目 内容 補足
帳簿との相互関連性
  • 書類に対応する帳簿との間で相互にその関連性を確認できること
  • 令和5年度税制改正の結果、令和6年1月1日以後に行うスキャナ保存については、「一般書類」の場合、帳簿との相互関連性確保が不要となります。
訂正や削除ができないシステムに保存する等
  • 訂正や削除ができないシステムに保存する
  • タイムスタンプを付与する方法でも対応可能です。
  • 書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間(最長2ヵ月以内)を通過した後、速やか(概ね7営業日以内)に付与が必要です。
バージョン管理
  • 書類を訂正、または削除した場合は、その事実および内容が確認出来ること
検索機能の確保 次の要件による検索が可能
  • 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先
  • 日付又は金額の範囲を指定して検索
  • 以上の任意の項目を組み合わせて検索
  • 速やかに表示できるシステムである必要があります。
  • 税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、「二以上の任意の記録を組み合わせての条件設定」等の検索機能に係る一部要件は不要です。

事業者内ルールの確認

事業者内での手続きが整備、運用されていることを確認できるようになっている必要があります。この点から、以下の要件が課されています

項目 内容 補足
入力者等の情報の確認
  • 書類の登録者、またはその者を管理する人に関する情報が確認できること
  • 2024年(令和6年)1月1日以後に行うスキャナ保存については、入力者等の情報の確認自体が不要になりました。
各種書類の備付け
  • スキャナ保存制度に対応したシステムの「操作説明書」および「事務手続きを明らかにした書類」等の書類を備え付ける
  • 操作説明書は同等のものがオンラインマニュアルやオンラインヘルプ等で提供されている場合、操作説明書が備え付けられているものと取り扱ってもよい

その他の要件

スキャナ保存では下記に記載する要件も課されています。なお、2024年(令和6年)1月1日以後に行うスキャナ保存では要件が緩和され、スキャナで読み取った際の情報(解像度・階調・書類の大きさ)の保存が不要になっています。

項目 内容 補足
解像度情報等の保存
  • 解像度や諧調、書類の大きさに関する情報を保存すること
  • 2024年(令和6年)1月1日以後に行うスキャナ保存については、解像度情報等の保存自体が不要になりました。

「スキャナ保存」に対応するメリットは?

スキャナ保存への対応は義務ではありません。そのため、保存要件を満たすために大変な準備が必要になってしまって面倒なのであれば、紙のまま保存しても問題はありません。

スキャナ保存に対応するメリットとしては、

  • 紙による保管コストが削減できる
  • 書類の紛失・盗難・改ざんなどのリスクが防げる
  • 検索機能で必要なデータが簡単に見つかる

など、様々なものがあります。ペーパーレス化はテレワークなどの業務改善にもつながりますので、対応するメリットは少なくはありません。ぜひ検討してみましょう

「スキャナ保存」のポイント

  • 「スキャナ保存」の対応は任意である
  • 紙の書類を電子データで保存したい場合には要件を満たす必要がある
  • 要件に従って保存することで、紙の書類は処分することができる

なお、弥生製品ではスマート証憑管理をご利用いただくことで「スキャナ保存」に対応することができます。対応方法については「弥生製品でどう操作するか知りたい」をご確認ください