PAPカンファレンスセミナー報告

NTTデータ 弥生 共催 会計業界「勝ち抜き戦略」セミナー

2009年7月14日(大阪/ハートンホール)、7月17日(東京/ベルサール神保町)にて株式会社NTTデータ弥生共催会計業界勝ち抜き戦略セミナーを開催いたしました。今回セミナーの事例の1つとして群馬県の荒井会計事務所をお招きし自身の体験談を元に「専用機を捨てた!会計事務所の差別化戦略」のご紹介をいただきました。
セミナーは全国各地から多数の会計事務所が参加され、大盛況のもと終了しました。

  • 荒井会計事務所 ITコーディネータ 岩井直樹氏(写真左) 代表税理士 荒井滋氏(同右)
    荒井会計事務所
    ITコーディネータ 岩井直樹氏(写真左)
    代表税理士 荒井滋氏(同右)
  • セミナー会場内
    セミナー会場内
荒井会計事務所
代表税理士 荒井 滋
ITコーディネータ 岩井 直樹
所在地 群馬県前橋市
職員数 8名
自計化率 60%
メインシステム 弥生会計、達人シリーズ、参謀役シリーズ
電子申告率 100%(達人キューブ利用)

弥生導入までの経緯

独立から15年間、オフコン(会計専用機)を使用し記帳代行業務をメインに順調な事務所運営であったが、5~6年前に、大手の顧問先を続けて失ったことを契機に、事務所の変革の必要性を強く感じる。10年後、15年後の会計事務所をイメージした時に、おのずとオフコンからの脱却、PC主体のシステムへの移行に取り組んだという。
当時、PC(Windows)の普及とともに安価な会計ソフトが普及し始めていた。今後は中小企業での自計化が浸透していくことを睨み、PC会計ソフトの導入指導ができる会計事務所を目指したという。

現在、事務所のシステム構築を担当し、ITコーディネータの資格も取得している岩井直樹氏は、荒井会計事務所に入社した当時を振り返る。
「私が入ったときは、事務所はオフコンを使用していた。当時からPCに慣れ親しんでいたので、オフコンの使い勝手に不満を感じていた。PCでも会計事務所業務は可能なのでは?と感じ、PC会計ソフトを探すことになった。」
しかし、当初の選定基準は、あくまでもオフコンで行っていた記帳代行業務の代替が可能か否かであったという。そのなかで使い勝手とPC会計ソフト市場シェアから弥生会計の導入を決断したという。
しかし、所内システムを弥生へ切り替えてからは、顧問先自ら弥生会計を使用したいという申し出や、新規顧問契約時に、先方から弥生会計を指名してくるようになったという。

以後5年間で所内システムをオフコンから弥生会計への完全移行を果たす。しかし移行期には、オフコンの操作に慣れ親しんだベテラン職員からの反発や、修正申告のためオフコンで入力していた過年度データ管理といった様々な問題があったという。
荒井 滋氏は当時、「いずれ、オフコンからPCへの時代の流れには逆らうことはできなくなる。一定の苦労はあるかもしれないが、思い切ってなるべく早く切り替えるべきだと思った。」という。また切り替えのタイミングにも成功した。当時は弥生会計を使用している会計事務所が少なかったこともあり、弥生会計指名の新規顧客獲得に結びつき、事務所内ではオフコンに固執していたベテラン職員の(システムに対する)意識改革にもなったという。また電子申告を睨み、NTTデータの達人シリーズもいち早く導入したことにより、所内システムの大幅なコストダウウンにも成功した。

新規顧問先獲得の取り組み

荒井会計事務所の地盤である群馬県は"計算センター"のシステムを導入している会計事務所が圧倒的に多いという。
そのなかで、荒井会計事務所は、弥生会計を前面に押し出したプロモーションを展開することにより、他事務所との差別化に成功している。事務所の看板には「弥生PAP会員」、「弥生公認 経営支援アドバイザー」のロゴを掲げている。事務所HPにも弥生会計に精通していることを謳っており、HPを見た弥生ユーザーからの問い合わせも多いという。群馬県は弥生会計を使用している会計事務所が少ないので、インターネットで「群馬県 弥生会計」で検索すると荒井会計事務所がヒットする、その検索結果を見て、「運命を感じた」と問い合わせしてきた顧客もいたそうだ。
また、荒井 滋氏も含め、職員全員に弥生インストラクター資格取得を奨励し、弥生公認のセミナー教室(弥生カレッジ)の開催や、量販店、パソコン教室、商工会議所においても、積極的に弥生会計の操作セミナーを実施している。
販促品にも工夫を凝らしている。最近作成したのは「メモピット」という繰り返し使えるメモホルダーだ。裏表両面に粘着力があり、パソコンフレームなどにメモを留めることができる。顧問先の訪問時に、パソコンフレームに付箋を貼っているのをよく見かけることから、製作を思いついたという。このメモピットにも、荒井会計のロゴとともに弥生会計の文字が並んでいる。
このようなプロモーションの複合的な組み合わせにより、「弥生会計に精通している会計事務所」としてのブランディングに成功している。

しかし、昨今の不況の影響もあり、将来の事務所運営について、大きな危機感を感じているという。 既に会計事務所の淘汰が始まっており、今後は都市部の大型会計事務所が、群馬県まで顧問先獲得の営業を広げてくるなど、厳しい競争にさらされることになるのではないかと懸念しているのだ。
「弥生会計を掲げていくことに変わりはないが、今後は、高付加価値サービスの提供により、更なる差別化が必要だ。導入の容易な安価な会計ソフトの普及により、企業の自計化は進んでいくだろう。そうした流れのなかで、今後は利益計画、経営計画のサービス提供にシフトして行きたい。また、前提条件として、弥生製品が普及しブランド化されることが重要だ。今後、弥生PAP会員(会計事務所)と弥生株式会社、相互の協力体制が不可欠である。」
最後に荒井 滋氏は、「いかなる状況においても、時代の変化に敏感に対応し、前向きに取り組んでいきたい」と強調した。