PAPカンファレンスセミナー報告

会計業界「勝ち抜き戦略セミナー2010」

2010年6月17日大阪会場を皮切りに全国主要5都市にて、会計業界「勝ち抜き戦略セミナー2010」を開催いたしました。本年は、弥生PAPゴールド会員でもある、東京都江戸川区の古田土公認会計士・税理士事務所(※以下、古田土会計事務所)代表の古田土 満氏を招き、市場縮小傾向が進む日本経済状況の中で、会計事務所が勝ち抜くための戦略として、同事務所の取り組みについてご講演いただきました。
今後の事務所運営の指針として興味を抱かれた、全国の会計事務所が多数参加され、大盛況のもと終了しました。
  • 古田土公認会計士・税理士事務所 所長 古田土 満氏
    古田土公認会計士・税理士事務所 所長 古田土 満氏
  • リーダー システム担当 高階 俊金氏
    リーダー システム担当 高階 俊金氏
  • セミナーの様子
    セミナーの様子
古田土公認会計士・税理士事務所
所長 古田土 満 所在地 本社 東京都江戸川区
設立 昭和58年 顧問先 約1,400社
職員数 約140名 メインシステム 弥生会計、参謀役古田土会計版

古田土公認会計士・税理士事務所の戦略とサービス

古田土会計事務所は、顧問先約1,400件を抱えている大型事務所ではあるが、新規顧問先獲得のための営業活動は行っていない。「弊所は、営業力で顧問先を獲得する取り組みはしていません。あくまでも商品力に磨きをかけ、お客様の満足度を高め圧倒的なファンを増やすことにより、お客様から新規顧問先をご紹介いただいています。」と話す古田土 満氏。2009年度の増加数は225件になるが、ほとんど既存の顧問先からの紹介になっている。
ここまで信頼を得ているのは、徹底した顧問先重視の姿勢と、会計事務所にとっての商品である顧問サービスを見直したことにあるという。「弊所は全国約420万社の企業のなかで、全体の95%以上を占める中小企業を元気にすることを経営ビジョンとして掲げています。そのために、月次決算書と経営計画書をサービスの柱としています。月次決算書と経営計画書は、業種・業界を問わず、全ての中小企業にとって必要であり、喜んでいただけるサービスです。また、数字が苦手な経営者が、重要なデータを直感的に理解してもらえるよう、これまで分かりにくかった決算書の科目の入れ替えを行い、グラフや図を多用しています。どこに手を打てば利益がでるかを予測する『未来会計図表』や、利益の実際の状況を把握するための『キャッシュフロー計算書』などを用意し、担当者は毎月必ず経営者とお会いして、経営者と一緒に電卓を使って、月次決算書を完成させます。中小企業経営者が会計情報を経営に活かせるようにし、どこに手を打てば利益がでるかを理解できるようにするためです。」

これは、会計事務所のサービスを客観的に見て反省し、改善に取組んだ結果だと古田土 満氏は話す。「一般的に、会計事務所は毎月訪問しても伝票や仕訳をチェックするだけで、経理担当者との打ち合わせはしますが、経営者とお会いするのは決算の年1回ということもあります。果たしてそのようなサービスで、会計事務所に毎月の顧問料を支払う価値があるでしょうか?このままでは、会計事務所業界全体が衰退し、中小企業から相手にされなくなってしまうという危機感を常に抱いていました。」これまで、会計事務所業界は事務所の利益を最優先した戦略に重きを置いていたが、古田土会計事務所では顧問先の利益を徹底的に優先し、常に商品を見直し、さらに月次決算書と経営計画書により、意思決定者である経営者と毎月と直接お会いし、将来ビジョンを共有している点が他の事務所との大きな違いであると強調する。

弥生会計と参謀役BIZ

それでは古田土会計事務所では、どのようにして月次決算書を作成しているのだろうか?顧問先には弥生会計での自計化を推進し、参謀役BIZ古田土会計版で弥生会計のデータを直接読み込んで月次決算書を作成している。自計化を推進する目的は、あくまでも月次決算書を1日でも早く経営者へ届けることであり、ここでも顧問先のメリットを優先する姿勢が現れている。

古田土会計事務所の業務フロー 顧問先の業務内容 ①データの入力→②メール等でのデータ送付→③担当者と内容の確認等 古田土会計事務所の業務 ④データ受信・大まかなチェック→⑤修正箇所摘出、連絡orデータ上書き→⑥参謀役BIZで月次決算書作成→⑦リーダーチェック、所長捺印後、送付→⑧月次訪問(先に社長へご報告)→⑨月次監査(大幅な修正がある場合、社長へご報告)

業務フローは右図のようになっている。
④の大まかなチェックとは、月次決算書の目的が厳密な決算書の作成ではなく、経営者が経営判断材料として使う資料としているためだからである。「最大の目的はできるだけ早く経営者に月次決算書を提出することです。弊所は参謀役BIZ古田土会計版を使用し、弥生会計のデータを受け取った翌日に月次決算書を提出することもあります。これは一見大変な作業に思われるかもしれませんが、実はほとんどの会計事務所が行っている作業の順番を変えただけです。」しかし、顧問先の満足度は極めて高いとシステム構築を担当した高階俊金氏は強調する。
以前は、会計専用機(オフコン)30台ほどで運用しており、大型サーバーや保守費用、リース代など年間で1千万円以上のコストが発生していた。顧問先が増加し、顧問先が導入しやすい弥生会計を導入してからは、市価7万円前後のPCで、サーバーも一般的なWindowsサーバーで運用しており、大幅なコストダウンに繋がったという。
高階俊金氏はもともとPCに詳しくはなかったが、システム構築は簡単だったと話す。「私は入所するまでパソコンはMacintoshしか使ったことのないビギナーで、Windowsは未経験でした。それでも弥生会計は簡単でしたし、システム構築する段階でも、ノートPCに弥生会計をインストールし、あとは顧問先からのデータを保存するサーバをただ設置するだけでした。現在はノートPCがかなり安価になっていますから、イニシャルコストは格段に安く済んでいます。」
商品力とサービスを磨きながら、さらに古田土会計事務所では、誇れる文化として、挨拶・朝礼・掃除を掲げ、職員の人間性を高める取り組みにも力を入れている。
「早朝の街頭清掃は全員参加ですし、朝礼は外部の方にも参加していただいていますが、見学者が後を絶ちません。お客様が来所されると全職員が起立をする挨拶など、こういったことは来所された方に喜んでいただく目的もありますが、職員の人間性を高め、職場を明るくすることにも繋がっています。」。年に1度開催している顧問先だけを対象とした異業種交流会や、顧問先情報を網羅した「お客様大百科」の作成なども、全て職員の自発的な取り組みによるものだという。これらは顧問先から大変感謝されており、こうした取組みの1つ1つが新規顧問先の紹介に繋がっている。
最後に古田土 満氏は、「市場が縮小傾向にあっても、会計事務所の未来はかぎりなく広いと考えています。」と締めくくった。