2021/03/05更新 基礎控除とは?所得と控除の基礎知識や青色申告との関係を徹底解説!

基礎控除とは?所得と控除の基礎知識や青色申告との関係を徹底解説!
監修:
税理士法人 MIRAI合同会計事務所

基礎控除は、確定申告で所得税額の計算をする場合に、所得から差し引くことができる控除です。一定の所得以下のすべての納税者に適用されます。しかし、控除という言葉自体なかなか普段の生活ではなじみ深いものではなく、基礎控除とはどのようなものか、正確に理解していないという人もいるのではないでしょうか。
ここでは基礎控除とは何か、また確定申告で受けられる所得控除について詳しく解説します。

所得と控除の基本的な考え方

基礎控除とは、一定の所得以下の人なら誰でも受けられる、所得控除の1つです。基礎控除の意味を正確に理解するには、所得と控除、それぞれの言葉の意味を理解することが大切です。
まずは所得と控除の基本的な考え方を見ていきましょう。

所得とは儲けを表すもの

まずは所得という言葉の意味について理解しましょう。所得とは、簡単にいうと「儲け」という意味です。よく「売上」と混同されているケースがありますが、所得と売上は、意味が異なります。

例えば、100万円の商品を売った場合、「売上」は100万円です。しかし、その商品を作ったり仕入れたりする「必要経費」に、30万円がかかったとしましょう。すると「儲け」は、100万円-30万円で70万円となり、所得は70万円であるとみなすことができます。

控除とは金額を差し引くこと

控除という言葉には、「金額を差し引く」という意味があります。

納税するときに受けられる控除には、所得控除や税額控除があります。所得控除や税額控除は、納税者の事情を考慮して税金の負担を調整するために設けられたものであり、適用されると本来納めるべき税額が軽減されます。

所得控除とは?

所得控除とは、決められた要件を満たす場合に、所得から一定額を差し引いて納めるべき所得税を少なくしてくれるという制度です。
所得税は「所得×税率」という計算式で求められるため、所得の金額によって決定されます。所得控除が適用された場合、所得税は「(所得-所得控除)×税率」という計算式で算出され、納税額が小さくなるのです。

所得控除の図解

所得控除は下記のとおり、人的控除と物的控除に分けることができます。
なお、基礎控除は人的控除に分類されます。

人的控除

人的控除とは、納税者に配偶者や扶養親族があるかどうかなど、人に関わる事情を考慮して納税する金額を調整するための控除です。

物的控除

物的控除とは、社会保険料や生命保険料など、納税者が支払ったお金の額を考慮して、納税する金額を調整するための控除です。

基礎控除と確定申告との関係

基礎控除を受けるには、確定申告をする必要があります。そもそも基礎控除とは、人々の最低限の生活に必要な金額には税金をかけないという考え方から生まれたものです。基礎控除の額は、現在48万円となっており、実際のところ月4万円では最低限の生活すら厳しいといえます。しかし、確定申告においては、基礎控除を受けることで納めるべき税金の額が少なくなるのは確かです。

基礎控除の改正

基礎控除の控除額は2020年分より、38万円から48万円(所得が2,400万円以下の場合)に引き上げられました。また、住民税の基礎控除の額も改正され、33万円から43万円(所得が2,400万円以下の場合)に引き上げられました。ただし、所得が2,400万円超の場合、所得税・住民税の基礎控除額は段階的に引き下げられ、所得が2,500万円を超えると0円となります。

納税者の所得金額と基礎控除額
所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

出典:国税庁「基礎控除 新規ウィンドウで開く

青色申告特別控除の要件も改正

青色申告特別控除の要件も改正され、2020年分からは青色申告の65万円の控除を受けるための要件に、「e-Taxによる申告(電子申告)」または「電子帳簿保存」を行うという、新たな要件が加わりました。これらの要件を満たさず、税務署の窓口や郵送による申告など従来の方法で青色申告特別控除を受ける場合は、控除額は55万円となります。
ちなみに、e-Taxによる申告を行う場合はマイナンバーカードを取得したり、電子帳簿保存を行う場合は税務署に申請書を提出したりといった事前準備が必要となります。

基礎控除のほかに、所得税の確定申告で受けられる所得控除

確定申告を行う際には、基礎控除以外にも受けられる所得控除があります。続いては、確定申告で受けられる所得控除の概要をそれぞれご紹介しましょう。

社会保険料控除

社会保険料控除とは、納税者本人が各種社会保険料を支払ったとき、または生計を同じくする配偶者や子供、親族の社会保険料を支払ったときに適用される控除です。1年間に納めた年金保険料や健康保険料などで実際に支払った金額を納税者本人の所得から控除することができます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される控除です。小規模企業共済等掛金控除では、納税者本人が1年間に支払った小規模企業共済の掛金の全額が所得から差し引かれます。
小規模企業共済等掛金控除の対象となるのは、小規模企業共済の掛金のほか、企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、心身障害者扶養共済制度の掛金となります。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、納税者本人が、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料などの保険料を支払った場合に適用される控除です。生命保険料控除には「一般生命保険料控除(一般生命保険に適用)」「介護医療保険料控除(介護医療保険に適用)」「個人年金保険料控除(個人年金保険に適用)」の3種類があります。2012年の1月1日以降に締結した保険については、それぞれ4万円が上限となり、合計12万円まで控除を受けることができます。

地震保険料控除

地震保険料控除とは、特定の損害保険のうち、地震による損害部分の保険料や掛金を支払った場合に適用される控除です。地震保険料控除の控除額は、1年間に支払った保険料や掛金が5万円以下の場合、その全額が控除されます。
1年間に支払った保険料や掛金が5万円を超えた場合には、控除限度額である5万円が地震保険料控除額となります。
なお、2006年12月31日までに締結した一定の長期損害保険の保険料については、地震保険料控除の対象とすることが可能です。

扶養控除

扶養控除とは、納税者が子供や家族を養っている場合に適用される控除です。
扶養控除の控除額は扶養者の年齢や同居の有無によって異なり、38万~63万円となっています。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除とは、納税者本人に配偶者がいる場合に受けられる控除です。
配偶者控除と配偶者特別控除では、控除を受けるための条件や、控除の内容が異なります。

配偶者控除・配偶者特別控除 給与所得者の所得が900万円以下の例

配偶者控除

配偶者控除を受けるには、配偶者が下記の条件を満たしている必要があります。

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の所得が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない

配偶者が70歳未満(一般の控除対象配偶者)の場合の配偶者控除の控除額は、納税者本人の所得が900万円以下の場合38万円、900万円超950万円以下の場合は26万円、950万円超1,000万円以下の場合は13万円となります。
また、配偶者が70歳以上(老人控除対象配偶者)の場合の控除額は、納税者本人の所得が900万円以下の場合48万円、900万円超950万円以下の場合は32万円、950万円超1,000万円以下の場合は16万円となります。
2020年分以降の所得税について、納税者本人の所得が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられません。

納税者本人の所得額と配偶者控除の控除額
納税者本人の所得額 控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

出典:国税庁「配偶者控除 新規ウィンドウで開く

配偶者特別控除

配偶者に48万円を超える所得があり、配偶者控除が受けられない場合、条件を満たすことで配偶者特別控除を受けることができます。
配偶者特別控除を受けるための条件の概要は下記のとおりです。

  • 控除を受ける納税者の所得が1,000万円以下である
  • 配偶者が民法の規定による配偶者である(内縁関係の人は該当しない)
  • 配偶者が控除を受ける人と生計を一にしている
  • 配偶者がその年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者ではない
  • 配偶者の年間の所得が48万円超133万円以下である(給与のみの場合は給与収入が103万円超201万円以下)
  • 配偶者が配偶者特別控除を適用していない
  • 配偶者が他の人の扶養親族に入っていない

配偶者特別控除の控除額は、納税者本人と配偶者の所得によって決まり、例えば納税者本人の所得が900万円以下で、配偶者の所得が48万円超95万円以下の場合、38万円となります。

なお、「配偶者が配偶者特別控除を適用していない」とは、夫婦両方が互いの配偶者特別控除の条件を満たす場合であっても、配偶者特別控除を受けられるのは夫か妻か、どちらか一方であるということを表します。

配偶者特別控除の控除額
控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
配偶者の合計所得金額 48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

出典:国税庁「配偶者特別控除 新規ウィンドウで開く

医療費控除

医療費控除とは、本人や生計を一にする家族が一定額以上の医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。
医療費控除額は、医療費の合計額から、保険金などで補填された金額、および10万円を差し引いた金額となります。ただし、年間の所得が200万円未満の人の場合、10万円の代わりに総所得金額等の5%の金額を差し引きます。なお、総所得金額等とは、所得(合計所得金額)から純損失または雑損失等の繰越控除を適用した後の合計所得のことをいいます。
なお、2017年に設けられた「セルフメディケーション税制」とは、対象医薬品を購入した場合に、1万2,000円を超える額(上限8万8,000円)が所得から控除される、医療費控除の特例制度です。
注意点として、医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方しか利用できません。

雑損控除

雑損控除とは、災害や盗難などによって損害を受けた場合に受けられる所得控除です。
雑損控除の控除額は下記の式で求められ、いずれか高いほうの金額が適用されます。

  • 差引損失額-総所得金額等×10%
  • 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

なお、「差引損失額」とは、災害によって失った資産の金額や、災害に関連して支出したやむを得ない金額から、受け取った保険金等の金額を差し引いた金額のことを指しています。
また、「災害関連支出の金額」とは、災害で損害を受けた住宅・家財などを、取り壊したり、除去したりするのにかかる費用のことです。

障害者控除

障害者控除は、納税者本人や配偶者、扶養親族が障害者である場合に受けられる所得控除です。
障害者控除の対象となる「障害者」と認められるには、一定の条件を満たしている必要があります。また、障害の程度によって「障害者」と「特別障害者」に区別されます。
障害者控除の控除額は、納税者本人が障害者であるときは27万円であり、特別障害者であるときは40万円です。また、同じ家計で生活している配偶者や扶養親族が障害者であるとき、障害者控除の控除額は27万円となります。
なお、障害者控除は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。
また、同じ家計で生活している配偶者または扶養親族が特別障害者に該当し、かつ、納税者本人または本人の配偶者もしくは本人と生計を一にするその他の親族のいずれかと同居している場合、障害者控除の控除額は75万円となります。

障害者控除の区分と控除額
区分 控除額
本人または、同一生計の配偶者・親族が障害者である場合 27万円
本人または、同一生計の配偶者・親族が特別障害者である場合 40万円
本人または、同一生計の配偶者・親族が特別障害者と同居している場合 75万円

出典:国税庁「障害者控除 新規ウィンドウで開く

勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者が働きながら通学する勤労学生である場合など、一定の要件に該当するときに受けられる所得控除です。控除額は27万円となっています。
なお、勤労学生とは、給与所得など、勤労による所得があることや、給与の収入金額が130万円以下であることなどの条件を満たす学生のことを指します。

寄附金控除

寄附金控除とは、納税者が国や地方公共団体などに寄附を行った場合に適用される控除です。
例えば、ふるさと納税では、自治体に寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分(上限あり)について、所得から控除されます。
ほかにも、政党に特定の寄附を行った場合や、一定の要件を満たす認定NPO法人・公益社団法人に寄附を行った場合に適用されます。

ひとり親控除・寡婦控除

「ひとり親控除」とは、その年の12月31日の現況において未婚のひとり親などで、所得500万円以下の場合に受けられる控除です。ひとり親控除の控除額は35万円となっています。
また、「寡婦控除」とは、所得500万円以下で扶養親族がいて、離婚した後、婚姻をしていない人や、同じく所得500万円以下であり、夫と死別した後、婚姻をしていない(夫の生死が明らかでない)人が受けられる控除です。
なお、以前は所得500万円以下で養っている子供がいて、妻と死別あるいは妻と離婚した後、婚姻をしていない男性が受けられる「寡夫控除」という控除がありましたが、寡夫控除は2020年分の確定申告からひとり親控除に変更となりました。

確定申告では税額控除も受けられる

控除には、所得控除のほかに「税額控除」という制度があります。所得控除は、1年間の所得から一定額が控除されますが、税額控除では納税額から直接一定額が差し引かれます。
確定申告で受けられる税額控除にはいくつかの種類がありますが、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)もその1つです。
住宅借入金等特別控除とは、所得3,000万円以下の人が住宅ローンを組んで住宅を新築・購入・増改築した場合など、一定の要件に合致したときに適用される税額控除です。
住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローンの借入額によって決まります。例えば、2021年中に住宅ローンを利用して新居を購入した場合、年末のローン残高の1%(限度額あり)が10年間にわたって納税額から控除されます。

所得控除の種類を把握して節税につなげよう

基礎控除は、一定の所得以下の人なら誰でも受けることができる控除です。収入を得ている人が受けられる所得控除には、基礎控除以外にもさまざまなものがあります。条件にあてはまる場合は正しく申告することで、大きな節税につなげることが可能です。

控除の種類や内容を把握して節税対策を行いましょう。

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監修 税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。