明日のために今すべき5つのこと

明日のために今すべき5つのこと

社長さん、不況の影響を受けていますか?今ほとんどの社長さんがYesと答えるのではないでしょうか。でもこんな不況の中でもしっかり成長している企業があります。こうした会社と伸び悩む会社は何が違うのでしょうか?
また、会社には常に多くのリスクがつきまといます。払ってくれると言っていたあの手形が落ちなかった…、個人情報が漏えいして集団訴訟を受けた…、製品に不適切なものが混入していて社会問題になった…などなど。たとえ今は業績がよくても、いつ何時こうした問題に直面するとも限りません。
そうした中、頼れるのは何なのか?日頃からどういう備えをしておけばいいのか?「中小企業愛」「中小企業のオヤジ命」が口癖という税理士、柳澤賢仁さんに、明日のために今すべき5か条を紹介してもらいました。

柳澤 賢仁  KENJI YANAGISAWA

(株)柳澤経営研究所 代表取締役。
慶應義塾大学経済学部を卒業し、同大学院修士課程を修了。税理士試験に合格後、外資系最大手アーサー・アンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人に勤務。独立後は、資金繰り悪化のため倒産危機に瀕した中小企業経営者の心の負担を軽減すべく、あらゆるテクニックを研究、助言、指導。依頼者のメンタルケアに生き甲斐を感じ、“下り局面で生かされる男”“資金繰りの体育教師”の異名をとる。
柳澤賢仁税理士事務所,株式会社柳澤経営研究所

柳澤 賢仁
『社長さん、会社を潰したくないなら、バカみたいに現金にこだわりなさい!』 (クロスメディア・パブリッシング)主な著書
『社長さん、会社を潰したくないなら、バカみたいに現金にこだわりなさい!』
(クロスメディア・パブリッシング)ほか多数。

第1条 会社の先行きをイメージすべし!

会社って、常にリスクを持っています。たとえば、訴訟や事故など、偶然生じる損失(偶発債務)がいつ発生するとも限りません。もし1億円の現金があったとしても、この偶発債務が発生し、2億円を払えと言われたら、あっという間に1億円ショートすることになっちゃいます。だから、お金があるからって使っちゃいけません。ちょっと会社の調子がよくなると、車を買っちゃったりする人がいます。ついつい「自分へのごほうび」とかなんとか理由をつけてやっちゃいますけど、それってちょっとマズいんですよね。

中期経営計画を立てなさい
中期の経営計画を立ててください。これ、「超重要」です。経営計画というのは、銀行に見せるためのものだけじゃないです。あくまでも自分のためのもの。たとえば5年後にどうなっているのか、イメージと数字で捉えておくこと、それが中期経営計画なんです。成功のイメージって、自己啓発でよく言われますが、会社でも一緒です。中期計画で成功のイメージを作ったら、今度はそれを単年度に落とし込んでください。するといろいろ見えてくるはずです。でも5年先のことを考えて行動するとなると、相当熱い気持ちで臨まないと続かないですよ。絶対挫折します。だから「お金」なんです。「お金」にこだわらないとダメなんです。

第2条 帳簿がわかる社長のほうが「お金」に強い!

私の知る限り、帳簿をつけたことがないっていう社長さんが半分くらいいます。帳簿をつけたことがなくても決算書は読めるっておっしゃる社長さんがいますが、正直、ちょっと疑わしいです。そういう社長さんは、社員が勝手に備品を盗んだ、経理が勝手にお金を持ち出した、ということがあっても気付かないでしょう。やっぱり、帳簿を付けたことがある社長さんのいる会社のほうが「お金」に強いんですよ。もっと言っちゃうと、ソロバンはじけない社長なんてありえないってことです。でも帳簿をつける方法、つまり簿記ってのが、ちょっとわかりづらい。専門用語も多いので「外国語」だと思ったほうがいいくらいです。

自計化しなさい
自分の会社の「会計(経理)」を自分たちでやる「自計化」が大事なんです。約半分の社長さんが目を背けている「会計」ですが、実はこれ「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のたった5つで成り立っています。これをいじりながら、「お金」を増やすんです。あと、今どき手書きで帳簿作ってないですよね?計算は会計ソフトにパパっと任せちゃって、入力だけしちゃいましょう。最初は慣れるのに大変でも、やっているうちにどんどん楽しくなってきますよ。

第3条「予算立ててもどうせムダ」は大きな誤解!

上場企業だと四半期ごとに予算と実績がどうなっているのか見ますが、中小企業は全部社長の頭に入っていて、誰にもわかりません。なので、従業員もどこを目指すべきかわからないんです。上場企業は四半期で上方修正になることも多いですが、中小企業は多くの場合、下方修正になります。すると、営業部門は萎縮し、予算を作りたくなくなります。でもそのままだと、営業が育たず、いい営業マンも大企業にいっちゃいます。中小企業にいい営業マンがいたら、絶対ヘッドハンティングされますよ。

月次で予算実績管理しなさい
幹部会議、全社員会議を月1でやろうというルールを作ってください。すると、会議でコミュニケーションをとるようになり、社員が一丸になれます。そのための月次予算なんです。こうした会議によって、全社員、数字が見えてきますよね。予算を決めるということは、責任の所在を決めるということなので、幹部を育てるという点でも有効です。中小企業って、社内会議が極端に少ないので、そのきっかけになればいいんですよ。あと、ポイントは、会議を社長の独演場にしないこと。聞き役くらいに構えておいてください。数字、数字と追っていっても、実は何の解決にもならなくて、人が何を思うか、従業員が何を感じるか、といったことを考えて行動して欲しいのです。あと、ちょっと関係ないですが、社長が自分の給料を開示していることもおすすめします。腹を割って従業員と向き合ってください。必ず結果が付いてくるはずです。

第4条「お金」の動きを把握すべし!

倒産するって考えたことありますか? 誰だって絶対いやだと思うんですけど、僕たち会計事務所は、そういう現場を何度となく見ています。明日倒産するかもってなったら、まず奥さんになんていうか…、ですよね。一般のサラリーマンが5万円借りるとすると、社長さんはその桁が3つくらい違います。それが返せないとなると気分が落ち込みますよね。だから僕らは、そうなる前に未来を見せてしまいます。いつ、いくらくらいショートしますと。ショートする時期と額がつかめれば、あとはできることをやるしかないんです。一生懸命やってきたんですから、逃げる必要なんてありません。

資金操り表をキャッシュフロー計算書を作りなさい
でも僕は中小企業につぶれて欲しくないので、資金繰り表を作って欲しいのです。会社がつぶれそうになると、なかには死にたくなっちゃう社長さんもいらっしゃるそうです。でも破産しても人は死にません。会社がつぶれそうになったら、まずは、資金繰り表を作ること。これがないから、先行きが見えなくなって、怖くなっちゃうんですよ。でも資金繰り表を作れるようになったら、気持ちも楽になるし、無駄遣いも減るでしょう。間違いなく言えるのは、倒産傾向にある企業の9割には、資金繰り表がないということ。作り方のコーチがいないんです。予算実績管理も必要だし、資金繰り表も必要だし、キャッシュ・フロー計算書も必要です。でも、難しく考えないでください。これって、結局、家計簿を付けるのと一緒なんです。だから、税理士を使ったり、会計ソフトでも何でも使って、ちゃんと作ってください。

第5条 理念が決まらなければいつか挫折する!

私が中小企業のコンサルティングで一番大事にしているのは、「企業理念」なんです。すべての数字は、この「理念」から始まると信じています。でも、経営者の皆さんに「理念」といっても食いつきが悪い。これを読んでいる読者の皆さんもそうですよね?特に苦しいときは、やっばり「お金」です。だから、上の4つはみんな「お金」の話をしてきました。でも、いくら「お金」に魅力があっても、理念が決まらないで目標立てたら、いつかやめちゃうと思います。だって、これからずっと会社をやっていくんですよ。「お金」だけだと一時的に成功しても、必ず業績が落ちるときが来る。その苦しいときに、乗り切ろうと思えるのが、「企業理念」なんです。だから理念を持って欲しいんです。確たる理念を。

あとづけでもいいから、理念を考えなさい
でも理念って見つけるのが難しい。ただ、松下幸之助だって、坂本龍馬だって、最初は自分の欲求から始まったと思います。あとづけでも、人が付いてくればいいんです。それに最初から途方もないことを言っていたら、信じてもらえないですよね。だから、まずは身近なところから始めてみてください。「お客様の笑顔が見たい」「お客様からありがとうって言われたい」「こんな会社になりたい」「あんな会社になりたい」などなど、それを社員や関係者に伝えてください。経営は、ヒト・モノ・カネで成り立つものですが、結局最後は、ヒト。ヒトに共感されない経営を続けることほど苦しいものはありません。共感を生む経営というのは、結局、その「企業理念」に現れるんですよ。