飲食店を開業しよう!第1回 飲食店の開業前に絶対知っておきたい「3つの柱(心構え・お金・計画)」

富士先生、経営者の視点って、具体的にはどういうことですか?

それは「ビジネスとしての金銭感覚を持つ」ということです。飲食店は、特に開業時に大きなお金がかかります。借金をして始めるのなら、 その借金を返すためにも、店を存続させなければなりません。その計画をきちんとたてること、自分と家族が食べられるだけの収入(人件費)、 返済すべき借金、店の家賃、原材料費、広告費などすべてをひっくるめて、大きなお金を動かすことになる、という自覚が必要です。この図を見てください。

図1:三大経費の黄金比

家賃は3日分の売上高が適正、ってわかりやすい!家賃が20万円だと、1日6~7万円の売上が必要ってことですね。となると客単価が2,000円の場合は、30~35人の来店が必要になりますね。

最初は儲けが出なかったとしても、少なくとも収支とんとんにはならないと困りますよね?でないと働いても借金ばかりが増えていくわけですから。 まずは「必要売上高」について考えてみましょうか。計算を簡単にするために、家賃20万円+人件費30万円と仮定します。 人件費には「店長(社長)」への給与が含まれます。ここでは店長の月給を30万円と設定します。八百井さん自身が店長で、 もう一人フルタイムを雇うならばさらにその人の分の月給を設定する必要があります。あとは、アルバイトやパートを雇うなら、その人たちの給料を設定しなければならないですね。

図2:損益分岐点

固定費90万円で、変動比率が45%で計算すると、「毎月164万円(90万円÷0.55)の売上がないとダメ!」ってことですね。さらに月給30万円の正社員を1人雇うなら、固定費が120万円、必要売上高は218万円(120万円÷0.55)ということか…。それに毎月の借金返済額を考えれば、もっと数字は大きくなりますね。

経営者の視点として「長い目で見た目標設定」も大事です。創業時は若くて体力もあります。儲けが少なくても夢や目標があれば続けられるでしょう。 でも、まったく同じやり方で10年、20年たつと、体が疲れてきます。薄い利益で苦労するのはつらいものです。 ですから、いずれは「店を拡大する、店舗を増やす、人を採用して自分は指導にまわる」など、 「年をとったときに無理なく続けられる状態」を目標にしてください。

10年後にはオーナーとして悠々自適、子どもを海外に留学させて年に半分は海外暮らし、とか。 大きめの目標の方がいいってことですかね?

最初から小さな夢だと、それ以上の成長が難しいですからね。実際は、いろいろなパターンのプランを作っていきます。 「事業計画書(創業計画書)」(詳細は第2回にて)をしっかり作り、あらゆる準備を整えてから、大海に漕ぎ出して行きましょう。

我が家は夫と共働きなので、自分の給与には手を付けず貯めてきました。 お金がいくらあったら「開業準備ができた」といえるんでしょう?実家の父も退職金の一部を私の店に出資してくれる予定なんですけど。

それは、店の規模や客単価によっても変わってきます。
共通して言えることは3つ。

1)
自分への給料がゼロになって、6ヶ月から1年暮らせるだけの蓄えを持つ。
2)
開業用の自己資金は、最低でも300万円から500万円ぐらいは用意する。理想は1000万円。
※公的金融機関では、自己資金の倍まで、つまり自己資金の額次第で借り入れが可能なケースが多い
3)
開店後、客がほとんど入らなくても、6ヶ月くらいは続けられる運転資金を用意する。

生活費として1年間ですか…。夫の給与があるうちは、それは心配しなくていいかしら?でもリストラも心配だし。 確保しておいたほうが確実ですね。運転資金は、先ほどの「とんとん収支、家賃20万で売上91万円/月」の6ヶ月分ということですね。 うーん、やっぱり、かなりの覚悟は必要ですね。それと気になる初期費用なんですが。店の内装っていくらかかるものなんでしょう?

創業時の初期費用は、物件が「居抜き」か「スケルトン」かで変わってきます※2。席数15席、居抜き・改装なしの物件であれば、 400万~500万でのスタートが可能でしょう。一方、席数20席~30席、スケルトンタイプであれば、1500万~2000万 といったところでしょうか。 厨房機器を中古でそろえる、施工内容を工夫するなどで節約は可能ですが、ざっくりとした数値として参考になると思います。 なお、公的機関でも借り入れは希望の満額借り入れられないケースが増えています。 開店準備だけで予算を使い果たしてしまわないよう、注意してください。

※2「居抜き」は厨房機器やテーブル、椅子などがそろった状態で、すぐに開店できる状態の物件のこと。 既にある機器やレイアウトを利用すれば、開店コストを抑えられる。「スケルトン」は内外装なしの骨組みだけの状態のこと。 内装外装のすべてをオーナーが支払う必要があるが、自分のイメージ通りの店にできるメリットがある。

富士先生、では、実際に私の考えるお店を形にするのに、どういう計画を立てていったらいいでしょう?

まずは「理念」をかかげてください。

理念ですか…?なんだか大企業みたいですね。

飲食店を創業することは、経営者になるということ。給与を「もらう」立場から、 人に給与を支払うだけの「売上を生み出す」立場になるということです。まず大切なことは、どんな店にしたいのか、夢を持つこと。 その夢を文字に落とし込み、計画書という形にすることです。理念を持ち、経営計画を立てることが、成功への第一歩です。

計画一番、数字は二番、だと思っていました。一番は「理念」ですか?

そうです!まずは理念です!それを形にするのが計画書、数字にするのが会計です。 自分がつらいとき、ともに働く従業員を率いていくとき、理念は絶対に必要です。つらくても苦しくても、 この理念があるからくじけずに続けていける、そういう心構えこそが、飲食店経営の根底に必要なものなのです。 では、詳しい計画の立て方は、次回詳しく説明していきましょう。

よろしくお願いします!

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大手チェーン店に負けない飲食店を支援するために、飲食業支援プロジェクトを創設。 300社を超える企業・飲食店の開業・経営をサポートし、成功に導く。日本フードアドバイザー協会認定のフードアドバイザーとして、 外食産業の発展と繁栄をミッションとして活動する。

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