飲食店を開業しよう!第4回 お店の「健康管理」のしかた

念願の飲食店がついにオープン!とはいえそれは、はじめの一歩。営業を続けていく上で必要な「経営者の視点」「日々確認するべきこと」をあらかじめ知っておきましょう。 店の経営状態を把握するためには、売上管理、在庫管理、顧客管理が欠かせません。その判断のベースになるのが、帳簿のデータなのです。年に1度の決算期を笑顔で迎えられるよう、日々の努力を積み重ねていきましょう。(監修:TOMAコンサルタンツグループ株式会社)

37歳。会社員の夫(40歳)、娘(10歳)、息子(7歳)の4人家族。父母の暮らす実家から徒歩5分の場所に暮らす。外食チェーン店で事務仕事、レストラン店長経験あり。

公認会計士事務所所属。飲食店経営の企業支援、会計相談に詳しい。

富士先生、実際にお店が稼動し始めたあとにやるべきことって何でしょうか。いまからその心がけを知っておきたいんです。

八百井さん、いよいよ経営者エンジンに火がついたみたいですね。まず第一に「あなた(オーナー)にしかできないことをしっかりやる」ことが大切です。

私の立場はオーナーシェフ、だと認識していますが…。

ご自身で料理をなさるならそうですね。でも店が拡大したり、支店を出すとしたら、料理長の役どころは、他人に任せることができます。あなたの培ってきたノウハウを授ければいいのですから。 だけど、理念をもって創業したオーナーはあなた1人です。その立場は他の人にはできないのだ、という自覚を持ってください。

オーナーにしかできないことって、具体的には何でしょう?

まずは資金繰りをする、店の方針を決める、お金を管理する、ってことですね。特に売上については毎日自分でチェックをして、売上日報は必ず作ってください。 A4サイズ1枚の中に、昼・夜別に売上を集計できる表を作ると便利です。顧客が多い曜日や時間帯など、後の分析に役に立ちます。

お金の管理ってどういうことをするんですか?

では、オーナーがするべき、日々のお金の管理についてご説明しましょう。会計的に必要な作業は「一日の売上合計」を導き出すことです。 伝票の合計値と、レジスターの中の現金が一致しなければいけません。 会計帳簿の入力では「現金出納帳」に「小口現金」と「レジスター現金」の2つの補助元帳を作るといいでしょうね。

仕入や消耗品の購入などに必要な現金は、レジスターとは別に「小口現金」として分けておき、売上から勝手に経費が引かれないようにしてください。 シンプルに管理するのが一番なんです。おっと、店長経験のある八百井さんには、釈迦に説法かな?

いえ、これまでは「本部のマニュアルどおり」にやっていただけですから。自分が始める小さな店ではレジスターが必要かどうかも悩んでいるんです。決して安くない投資ですから。

ぜひとも、レジスターは導入してください。毎日の売上を記録した証拠ですからね。 そして、レジスターの中身と売上は常に一致させるようにしてください。始業時レジスターの中にあるのはお釣りの金額のみ。 終業時には、そのお釣りを差し引いた売上を取り出して、日報と付け合わせをします。もし、数字に誤差があった場合は、「現金過不足」という科目を使って処理します。

現金と売上の食い違いの原因って、なにが考えられますか?

一番多いのは「つり銭間違い」ですね。その次はオーダーミス。ヒューマンエラーをゼロにするのは難しいですが、できるだけ気をつけてください。 あとアルバイトを雇う場合には「横領」という危険もあります。未然に防ぐためにも仕組みづくりは重要ですね。

一日の最後に、オーダー伝票と、レジの記録と、レジ内の現金を付け合せる。それがオーナーの役どころである、と。

お店を閉めたときに、現金と売上の一致を確認してください。 さすがにその日に突き合わせするのは辛いでしょうから、翌朝の始業前に仕入などを含めた帳簿入力を行うのがおすすめです。日課にしてしまえば、苦労なく続けることができますよ。

「オーナーの仕事はお金の管理。毎朝、金額を付き合わせる」と決まっていれば、しっかり実践できそうです。

レジスターを導入するメリットには、売上の記録だけでなく、「販売管理」という側面もあります。 少し高くても、飲み物と食べ物を分けて打ち込んだり、メニューを番号で管理できるタイプを強くおすすめしたいですね。

何が売れていて、何が売れないのか、を知るってことですね。

もっと細かく言うと、いつ、誰に、どういう形で(個人か団体か)売れたのかを把握しておけば、あとから改善方法を考えるうえで非常に役に立ちます。 その日のことでも記憶をたどっていくのは難しいので、注文を聞くとき、レジで打つときにわかるようにしておくのがいいでしょうね。

売れ筋を把握することは在庫管理にも関係しそうですね。

そうですね。お酒やソフトドリンク、調味料や乾物など、まとめ買いができて保存がきくものの、数と価値を把握することが大事です。 月に1回は、100%の棚卸を実践すること。この数字が正確でないと、原価率が計算できません。

棚卸をちゃんとしないと、どういう問題が起こりますか?ちょっと面倒だなぁーて、思っちゃうんですけど。

「ロス率」が多くなるでしょうね。仕入れたはいいが、売る前に賞味期限が切れてしまったとか、必要以上に仕入れてしまってセールするしかないなど。 在庫をカウントすることで見えてくる事実があるんです。 実際、繁盛している飲食店のオーナーは、ものすごくしっかりと棚卸をやっていますよ。

うう…、わかりました。他に、ロス率を減らすために気をつけることはありますか?

ひとつは、うっかりミスなどへの対策。 オーダーミスや、料理の失敗でロスした商品は、細かくメモしておいてください。 これは帳簿には入れないデータですが、今後の経営ノウハウの中で重要です。

もうひとつは、素材のロスをなくすこと。「ひとつの材料をいろいろなメニューに使う」ことも、ロス率を減らす手法です。 「すし屋では、ばらちらしを頼め」って話聞いたことありませんか?味や素材は同じなのに、握りには使えない刺身を、ふんだんにちらし寿司に使う。これでロスをなくし、むしろお得感を出すという方法です。

なるほど。野菜だったら、ぬかづけやピクルスにして違うメニューにして販売するとか、そういう工夫ですね。

食材を無駄にしないメニュー構成の工夫、在庫管理がキモですよ。