2021/04/01更新 会社設立前に決めておくべきこと

設立登記の前に必要な「定款作成」
会社の設立にあたっては、会社の基本的な事項をまとめた「定款」の作成と、公証役場での定款認証手続きや法務局への提出が必要になります。(合同会社の場合は公証役場での定款認証は不要です)。定款作成に必要な項目を解説していきましょう。
定款に入れる項目は多岐にわたる
会社を設立するに当たって重要な定款作成時には以下3つの項目の検討が必要です。どれも重要な項目です。熟考してよく検討を重ねたうえで、決定していきましょう。
- 絶対的記載事項(必ず、決めておくべきこと)
- 相対的記載事項(もし定めるのであれば、定款に必ず記載しなければならない)
- 任意的記載事項(定める場合であっても、定款に記載する必要はない)
絶対的記載事項
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 出資者や出資者ごとの出資額
- 発行可能株式総数※
上記のうち、必ず定款に記載しなければならないのが「商号」「事業目的」「本店所在地」「出資者情報」で、定款の絶対的記載事項と呼ばれています。
- (※ 発行可能株式総数は絶対的記載事項ではありませんが、定款に定めない場合は、別途発起人の決議が必要となるため、定款で定めるのが一般的です)
相対的記載事項については、規則として定めるならば、必ず定款に記載しなければなりません。設立後に定めた場合は、定款や登記の変更が必要になるなどの手間が発生するので、設立段階で決定してしまい、定款に盛り込むのが一般的だといえます。
主な相対的記載事項の例
- 現物出資
- 株式の譲渡制限に関する定め
- 株券発行の定め
- 取締役等の任期の伸長
- 公告の方法
規則として経営者が重要であると考えるために定款に入れ込みたいという項目は「任意的記載事項」に入れ込みます。いったん定款に記載したならば、変更には定款変更の手続きが必要なので、他の項目と同様に慎重に検討したうえで、決定していきましょう。
主な任意的記載事項の例
- 英語の社名
- 総会の開催時期
- 役員の員数
- 事業年度
各項目が事業に与える影響
決定するにあたって忘れてはならないのが、各項目が今後、事業を行うにあたって大きな影響を与えていくということです。
たとえば、創業後すぐに融資を受けることを考えているのならば、定款に記載する「出資額」や「出資者の構成」などは、融資の受けやすさを念頭において決めたい項目です。また、「バーチャルオフィス」を本店所在地とするのも、銀行口座の開設や融資を考えると避けたほうが望ましいでしょう。
さらに、飲食業やホテル業、人材派遣ビジネス、中古品販売など、許認可が必要な事業の場合は、定款上の事業目的や本店所在地など多くの項目が、認可を受けられるか否かを分ける重要な判断基準になります。
各項目で見落としている視点がないかどうか、あらかじめ専門家に相談したほうが確実です。事業がスタートしてからのことを考えても、頼れる専門家をなるべく早い段階で見つけておくことが、経営にとってもプラスになることでしょう。
中野 裕哲(なかの ひろあき)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。
年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で7年連続相談数日本一。
著書・監修書に「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』 」、「図解 知識ゼロからはじめる起業の本
」がある。
URL:http://v-spirits.com/