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改正電子帳簿保存法・インボイス制度2大改正あんしんガイド

スモールビジネス事業者にも影響がある2つの大きな法令改正、「改正電子帳簿保存法」「インボイス制度」の理解と対策をまとめたサイトです。弥生株式会社は、製品・サービスを通じて支援してまいります。

徹底解説!令和3年度改正のポイント

2021年(令和3年)12月27日に財務省令が改正されました。この改正により、2022年(令和4年)1月1日から2年間の電子取引情報について、一定の要件下で、引き続き出力した書面での保存が認められることとなりました。
詳しくはインフォメーションをご覧ください。

令和3年度改正の特徴

令和3年度の電子帳簿保存法改正では、書類の電子保存を進めるための抜本的な要件緩和が行われました。これにより企業のペーパーレス化への取り組みが加速することが期待されます。一方で要件緩和だけでなく、運用面で厳格化された点もあります。個人事業主から法人まで、すべての事業者に影響があるため、改正内容を正しく理解しておきましょう。

電子帳簿等保存 スキャナ保存 電子取引 ポイント1 事前承認制度の廃止 ポイント2  適正事務処理要件の廃止 書面出力保存の廃止 ポイント3 タイムスタンプ要件の緩和 ポイント4 検索要件の緩和 不正行為にかかるペナルティの強化

大幅に要件緩和された4つのポイント

大きな変更が加えられたのは次の4点です。これらの保存要件の廃止・緩和により、多くの中小企業にとっても電子帳簿保存法の導入を一段と検討しやすくなります。

ポイント1 税務署長の事前承認制度の廃止 改正前 帳簿や書類を電子的に保存するためには、保存しようとする時期の3か月前までに税務署に届け出る必要がありました。電子帳簿保存法への対応を検討してから実際の運用までに、数か月から1年程度の期間を要するケースもまれではなく、事前承認制度は導入を検討する企業にとって大きなハードルとなっていました。 改正後 今回の改正により、事前承認制度が廃止されました。事前準備に要する作業や時間を削減することができるため、導入を検討する企業が増えることが予想されます。 ポイント2 適正事務処理要件の廃止 改正前 領収書などをスキャンしてデータで保存するためには、不正防止を目的として相互けん制の体制構築や定期的な検査が求められていました。また、チェックの際は紙の原本を用いることとされ、チェックが完了するまで破棄せず保管することが必要となっていました。 改正後 今回の改正により、適正事務処理要件が廃止されました。スキャナ保存の導入の難しさになっていた相互チェックや定期検査などが不要になることで、スキャナ保存の導入障壁が大きく下がります。 ポイント3 タイムスタンプ要件の緩和 改正前 タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する仕組みです。これまでは従業員が領収書などを受領した場合、受領後3営業日以内に自署してスキャナで読み取り、タイムスタンプの付与を行う必要がありました。 改正後 今回の改正により、スキャンを行える期間が最長で約2か月に延長され、受領者の自署も不要になりました。さらに訂正や削除の履歴を残すこと、または訂正や削除ができないシステムに保存することでタイムスタンプの付与が不要となりました。 ポイント4 検索要件の緩和 改正前 従来は取引年月日、勘定科目、取引金額などの国税関係帳簿書類の種類に応じた主要な記録項目を検索要件として設定する必要がありました。また、日付および金額については範囲指定できることや、2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できることも条件となっていました。 改正後 今回の改正により、検索要件の記録項目が取引年月日(その他日付)、取引金額、取引先に限定されました。また、税務職員による電磁的記録のダウンロードの求めに応じられる場合には、範囲指定および項目を組み合わせて条件を設定できる機能の確保が不要となりました。

これらの保存要件の廃止・緩和により、特にスキャナ保存制度は大きく処理プロセスが変わります。

スキャナ保存を導入しやすくなります! 改正前 読込(スキャン) 自署 スキャン 入力期間/相互けん制 3営業日以内 タイムスタンプ付与 別の担当者によるチェック 原本との照合 定期検査 原本との照合 事務処理の適正性確認等 定期検査 原本の廃棄可 データ保存・検索 帳簿書類の種類に応じた検索要件 日付、金額の範囲指定検索 2つ以上の項目の組み合わせ検索 データの保存 改正後 読込(スキャン) 受領者の自署の廃止 スキャン 原本の廃棄可 入力期間 相互けん制要件の廃止 定期検査の廃止 最長約2か月以内 タイムスタンプ付与、もしくは改ざん防止措置のあるシステム利用 データ保存・検索 日付、金額、取引先に検索要件を限定 ダウンロード出力ができれば範囲指定や組み合わせ検索は不要 データの保存

弥生の「スマート取引取込」のスキャンデータ取込で、「領収書およびレシート」のスキャナ保存に対応できます。
なお、スキャンデータを取り込むことができる製品は、弥生会計/やよいの青色申告/弥生会計 オンライン/やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンラインです。

要注意!電子データ保存の厳格化も

保存要件が廃止・緩和される一方で、電子取引の電子保存が義務化され、不正行為に対するペナルティも強化されました。電子保存義務化は、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存やスキャナ保存の適用の有無または会社の規模の大小を問わず、すべての事業者に適用されるため注意が必要です。

電子取引の紙出力保存の廃止(電子データ保存の義務化)

電子取引に該当するデータについてはこれまでも原則として電子データ保存が必要とされていましたが、書面に出力して保存しておくことも容認されていました。しかし令和4年1月1日以降に行われる電子取引においては書面出力による保存が廃止され、電子データでの保存がすべての事業者に義務付けられました。

ただし、2021年(令和3年)12月27日に財務省令が改正され、令和4年1月1日から2年間の電子取引情報については、一定の要件下で、引き続き出力した書面での保存が認められることとなりました。

電子取引とは? 電子取引とは、「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」のことをいいます。電子メールやクラウドサービス、EDIシステムなどによる取引情報の授受がこれにあたります。 電子メール 電子メールにより、請求書や領収書などのデータを受領。 ホームページ インターネットのホームページから、請求書や領収書などのPDFをダウンロード。 クラウドサービス クラウドサービスを利用し、電子請求書や電子領収書を受領。 カード クレジットカードや交通系ICカードの利用明細のクラウドサービスにより、請求書や領収書などを受領。 ペーパーレスFAX ペーパーレスFAXで、請求書や領収書などのPDFファイルを受領。 DVDなどの記録媒体 DVDなどの記録媒体により、請求書や領収書などのデータを受領。 EDIシステム EDIシステムの利用。 紙に出力して保存しておく運用は原則NG 令和4年1月1日以降に電子取引によって授受をした取引情報は原則として、電子データのまま、電子帳簿保存法に基づいて保存する必要があります。

不正行為にかかるペナルティの強化

要件緩和により電子帳簿保存を行いやすくなる一方、不正行為の抑止策が強化されます。電子データの記録に改ざん等が把握された場合には、通常課される重加算税の額にさらに当該申告漏れに対する税額の10%の金額が加算されます。また、電子取引の電子データ保存義務化に対して対応が為されていない場合、青色申告の取り消し処分が課される可能性があります。

令和3年度の改正に基づいた保存が必須となる2024年(令和6年)1月1日に向けて、着実に準備を進めましょう。

  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」 問42補足説明(令和3年11月)より
    電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。

令和3年度改正ポイントのまとめ

2021年(令和3年)12月27日に財務省令が改正されました。この改正により、2022年(令和4年)1月1日から2年間の電子取引情報について、一定の要件下で、引き続き出力した書面での保存が認められることとなりました。
詳しくはインフォメーションをご覧ください。

IT活用による業務効率化やテレワークの普及などを背景に、大幅な要件緩和が進んだのが今回の改正のポイントです。一方で、「電子取引の書面出力保存の廃止」については、これまでの電子帳簿保存法がペーパーレス化に取り組みたい事業者が検討する法律であったものに対し、今回の改正ですべての事業者に影響しうる法律へと変わったことを意味しています。しかしながら、すべての事業者がこの改正内容を認識して万全な対応準備ができているとは言えず、今後の対応方法について混乱が予想されます。その結果「電子受領をやめて、紙での受領にした方が良い」という判断になれば、IT化の促進に逆行しかねません。まずは自社の業務体制の見直しやシステム導入の検討などを確実に対応していくことが求められます。

電子取引の保存要件への対応」のページでは、突発的なシステム導入や業務体制の見直しを行うことなく運用対応できる方法もご紹介しています。ぜひ、あわせてご確認ください。