事例紹介1 地方都市で無理なく顧問を増やす方法 いとう税理士事務所 代表 伊藤 智宜 氏

一から事務所を立ち上げて顧問を獲得してきた手法とは?

地方都市で無理なく顧問を増やす方法

北陸の中核都市である金沢市にて、お金もコネもないなか、一から事務所を立ち上げました。

事務所を立ち上げるに当たり、顧問先を増やし経営を安定させるため、顧問業務の特徴を分析するところからはじめました。
顧問業務は新規参入者には売りづらいサービスです。対象は一定規模以上の事業者。または、「起業した」、「税理士を変えたい」など、需要が顕在化している事業者にしか売れません。また、法人数の減少による市場規模の縮小に加え、同業者の増加により競争が激化しています。しかし、他事務所との差別化が図るのが難しいのが実態です。
ただし、顧問業務というのは、ビジネスモデル(顧問料+決算料といった定期収入モデル)が確立されており、一定数の顧客が確保できれば、経営は安定します。
分析結果をもとに、開業する数年前から準備を始めました。
まずはお金を貯める。顧問先が増えるまで1年は無収入でも耐えられる軍資金を用意しました。
次にロールモデルを見つける。事務所運営、料金体系、業務のやり方など既に成功している事務所の先生を真似することから始めました。
3つ目に営業・マーケティングを学ぶ。大手事務所での勤務経験から実務は知っていましたが、営業やマーケティングについては何も知りませんでした。そこで士業向けのビジネススクールに通い、営業やマーケティングについて学んでから開業をしました。

準備ができたら実際に顧問を増やす4つの基本戦術を考えました。

  1. 人に会う+覚えていてもらう。
    会ってすぐに仕事に繋がるわけではありませんが、覚えておいてもらうことで、後々(起業したり知り合いが税理士を探しているなど)仕事が発生することがある。今であればfacebookやLINEでつながりを持っておくといいかもしれません。
  2. ホームページ+リスティング広告&SEO対策
    最近では当たり前のことですが、ホームページからの集客を増やすためです。
  3. ダイレクトメール
    新設法人向けにダイレクトメールを送付します。
  4. 紹介
    一番伝統的なやり方。

ポイントとしては、集客のルートは複数作っておきます。地方では一つのルートだけで安定的に集客するのは難しいので、アナログ、ネットなど複数のルートからバランスよく集客することを目指します。
また、それぞれの方法を中途半端な状態にせず、一つの方法のコツをつかんでから次の方法に活用していくようにします。
顧問を獲得するための基本戦術について、一つ一つを一定レベル以上に磨き上げれば、確実に顧問は獲得できます。

これらに加え、雑誌、テレビなどのメディアに露出することで、集客率、成約率を上げていきます。
すぐに効果は出ませんが、間接的に他のマーケティング方法を補完することができます。
これらのマスコミ等への露出は、どんな小さいものでも、事務所のホームページやダイレクトメールに実績を載せることでお客さまからの信頼感もアップします。
また定期的に露出することがポイントです。インタビューは同じテーマで受けることで、事務所のブランディングにつなげる事ができます。
マスコミに露出するのは地方ではそれほど難しいことではありません。お金、労力もそれほどかからず、難易度は低いと言えます。

起業支援特化、特に資金調達支援の手法と効果とは?

前述のような分析、準備、そして戦術をためして現在まで顧問先を増やしてきました。
顧問先からの相談の中で起業された方からのものが多かったので、そこから起業支援に特化しようと考えました。

すでに他の税理士が関与している会社が税理士を変えることは少なく、周りの目もあるので、「顧問先を取った」と思われるような営業はやりづらいです。その反面、新設法人はリストも入手しやすく、比較的営業がかけやすいです。また起業家は自分と同年代の人も多く、アピールをしやすいという事もあります。

いろいろな業種の方の起業相談を受けましたが、融資の相談になることがほとんどでした。
そこで資金調達支援を業務として行うことにしました。

資金調達支援をするにあたって活用したのが、「中小企業経営力強化資金」です。
日本政策金融公庫の無担保・無保証で低金利の融資制度で、創業や新商品の開発等新たな市場の創出を目指す事業者が対象となっています。
中小企業経営力強化資金はお客さまのメリットも大きく、認定支援機関として関与することで、顧問契約につながりやすいです。
創業時の資金調達支援の良いところとして成果が得やすいという事が挙げられます。
創業時は売上実績等がなくても融資が受けやすく、創業時から関与するため、こちらも顧問契約につながりやすいです。
また、創業時は融資を受けられなければ、創業自体ができないという方も多く、業務の緊急度、重要度が高いため、融資が成功すればお客さまからの信頼を得られやすいです。
融資についてある程度の知識、ノウハウ、人脈は必要になりますが、税理士が比較的取り組みやすい分野といえるでしょう。

また、融資の支援をする場合のポイントとしては、「自己資金」をいくら位用意できるかが重要となるため、最初の段階で確認することが必要です。また、ローンやクレジットカードの支払の遅滞など信用情報に問題がある方も同様です。

まとめ

最後に、本日のまとめとして、顧問先を獲得するには、基本戦術の一つ一つを一定レベルまで高めるとともに、その集客率、成約率を高める事が大切です。私は起業家支援の特化と、メディアをうまく活用したプロモーションで、起業家支援の事務所としてのブランドを確立させました。また、起業家の課題の一つである融資の支援を行い成功することで、お客さまの信頼を得て、顧問契約に繋げていくことができました。

テレビや雑誌の取材を受けていますが、本来の私は目立つことが得意ではありませんでした。ですが仕事だと割り切ることでやっていくことができ、結果として事務所のプロモーションと共に、税理士の仕事というものもアピールできました。
こうした活動によって税理士という仕事の魅力、やりがいを少しでも伝えられたらと考えています。

「弥生フォーラム2016」レポートページへ戻る

弥生PAP活動報告トップ

弥生PAPトップ

弥生PAP
お問い合わせ:弥生株式会社 カスタマーセンター03-5207-8857

受付時間 9:30~12:00/13:00~17:30
(土・日・祝日、および弊社休業日を除きます。)