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増資の具体的な手続きとスケジュール(株式会社の場合)

2020/03/24

増資を行うことが決まった場合、具体的に何をしたらよいのでしょうか?
株式会社の場合、株主総会の決議も必要ですが、資本金の金額は登記が必要なので、法務局へ登記申請を行います。ここでは、株式会社による第三者割当増資の具体的な手続きについて見ていきます。

第三者割当増資の手続き

第三者割当増資における手続きは以下のとおりです。

なお、ここでは、取締役会の設置がない場合で確認します。

(1)株主総会の招集

増資を行うには、まず株主に株主総会の招集を行います。
株主総会の招集は原則、書面で株主名簿に記載されているすべての株主に、株主総会の開催日の2週間前までに行います。
招集通知には、開催日時、場所、議案の内容を記載します。株主が少数の親族の場合などで、株主間で合意が取れていれば、メールの連絡でも問題ないでしょう。

(2)株主総会で増資の内容の決議を行う

増資を行うには株主総会の特別決議を行う必要があります。
特別決議は、株主の半数以上の出席を必要とし、かつ、出席株主の2/3以上の賛成を得ないと成立しない特殊な決議です。
ここで、株式の募集に関する下記のような条件を決議します。

  • 1.
    募集する株式の数
  • 2.
    募集株式の払込金額、その算定方法
  • 3.
    現物出資を行う場合にはその可否、出資する資産の内容、金額
  • 4.
    出資の申込金の払込期間と払込期日
  • 5.
    株式を新たに発行するときは、増加する資本金や資本準備金に関する内容

(3)出資希望者への通知

 下記の内容を申し込み希望者へ通知し、募集を開始します。
希望者からは「申込証」をもらいます。申込書のひな形は法務局のホームページで入手できます。

  • 1.
    募集する会社の商号(社名)
  • 2.
    募集事項(株主総会で決めた条件)
  • 3.
    払い込みを行う場所(振込口座)

(4)募集株式の割り当て先の決定

希望者から受けた「申込証」を元に、誰に何株を割り当てるかを決議します。
割当先の決定も株主総会の特別決議が必要です。
株主総会の招集は(1)株主総会の招集と同じです。

(5)申込者への割り当ての通知

株主総会の決議に基づき、新株を引き受ける申込者に具体的な割当株式数(何株を引き受けてもらうのか)を通知します。

(6)出資払込の履行

割り当てを受けた申込者は、払込期日までに会社の指定した口座に出資金額の払い込みを行います。

(7)法務局への登記

払込が完了したら、払込期日から2週間以内に法務局に増資の登記を行います。

(8)株主名簿への記載

登記が終わり、増資の手続きが完了したら、新たに株主となった人の名前や株数などを株主名簿に記載します。
配当金の受け取りなど、株主の権利は株主名簿に記載がなければ履行できませんので、必ず記載を行いましょう。

これで、増資の手続きは完了です。

登記に関する費用

法務局に登記を行う場合には「登録免許税」の支払いが必要になります。
登録免許税は「増資する資本金の額の1,000分7」(最低30,000円)と定められています。
すなわち、増資額の0.7%が登記の手数料として必要となります。

また、このほかに登記の手続きを司法書士に依頼する場合には別途司法書士の手数料が必要となります。手数料額は増資の金額などによって変わります。
具体的な作業のイメージができない場合には、会社の定款などを持参し、相談に行くとよいでしょう。

このように、法律で定められたさまざまな手続きがありますが、通常は事前に増資の引き受け先の会社などと具体的な金額や条件などを話し合ったうえで手続きを行いますので、定型的な書類を作成する作業が中心となります。ただし、書類の不備などがあれば、期日までに登記ができないこともありますので、自社で手続きを行う場合には、必要資料をよく調べたうえで、余裕をもって行いましょう。

著者:小島 孝子(税理士)

早稲田大学 社会科学部,青山学院大学 会計プロフェッション研究科卒。
大学在学中から地元会計事務所に勤務し、その後、都内税理士法人、大手税理士受験対策校講師、大手企業経理部に勤務したのち2010年に小島孝子税理士事務所を設立。会計事務所、経理職員向け税務・経理に関するセミナー多数担当。

著書

  • 簿記試験合格者のための初めての経理実務(税務経理協会)
  • 税理士試験計算プラクティス消費税法解法の極意(中央経済社)
  • 3年後に必ず差が出る20代から知っておきたい経理の教科書(翔泳社)