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注目の資金調達方法「クラウドファンディング」の概要や種類、その具体的な進め方

2021/03/30

新型コロナウイルス感染症や自然災害の影響で、資金調達に苦しむ経営者の方も多いと思います。大きく変わった市場の変化に柔軟に対応する必要があると分かってはいるものの、先立つものがなければ、なかなか思うように立ちまわれない実情もあるものです。

そんななか、最近注目を集めている資金調達の手段が「クラウドファンディング」です。新たな資金調達方法であるクラウドファンディングが、どのようなものなのか解説します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、英語の「Crowd(群衆)」と「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語であり、インターネット上に自分が実現したいプロジェクトをPRするページを作って、一般の方や企業などから資金を集めるしくみです。

プロジェクトの思いやプロダクトのストーリー、リターン品に興味を持ってくれた方に、支援という形で出資してもらうことで資金調達します。なおリターン品とは、クラウドファンディングに出資してくれた方に対する返礼品のことです。

クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げて資金を募集する方を、「起案者」と呼びます。起案者と群衆の出会いの場となるのは、プラットフォームと呼ばれる専用のシステムです。

クラウドファンディングの実施方式は2パターン

クラウドファンディングの実施方式には、2つのパターンがあります。1つが「All in方式」と呼ばれる方法で、もう1つが「All or Nothing方式」呼ばれるものです。

All in方式とは、目標金額を達成できなくても入金される方式です。All in方式の場合は、お金が入ってくるためリターン品の履行義務が必ず発生します。一方、All or Nothing方式では目標金額に達成しなかった場合、その支援金額は全額返金されるためリターン品の履行義務は発生しません。All or Nothing方式で返金する場合の多くは、クレジットカードのキャンセル機能を使用します。そのためプロジェクト支援の決済手段は、原則、クレジットカード決済しか使えません。

よってクラウドファンディングで集めた資金が、その事業を遂行するために必要不可欠なプロジェクトにおいては、All in方式ではなくAll or Nothing方式を選択する必要があるのです。

最近、当社の支援したクラウドファンディングのプロジェクトの9割程度がAll in方式で、All or Nothing方式を採用しているケースはあまりありません。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類は、大きく投資タイプと非投資タイプの2種類に分類され、そこからさらにさまざまなタイプに派生します。

非投資タイプ 購入型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディング
投資タイプ 株式型クラウドファンディング
貸付型クラウドファンディング
ファンド型クラウドファンディング

非投資タイプ

非投資タイプのクラウドファンディングは、リターン品がお金や金融商品以外のモノである点が特徴です。

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングは、最も良く知られている形式のクラウドファンディングです。特定のプロダクトやイベント、プロジェクトなどに対して、一般の方や企業から支援(資金)を募るしくみとなっています。
購入型クラウドファンディングは法律解釈上では売買契約であるため、プロジェクトの思いやストーリーに共感した支援者が、リターン品をもらうことを期待してお金を出すことが前提条件です。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングとは、社会貢献やボランティア活動への出資を募るタイプのクラウドファンディングです。そのため、金銭的な価値があるようなリターン品の設定はできませんが、お礼の手紙や写真などを受け取るケースが多くなっています。
また寄付型クラウドファンディングの場合、プラットフォーム事業者側が起案者を制限しており、基本的に一般社団法人やNPOなど寄付を受けられる法人が対象となっている場合が多いです。さらに、寄付型クラウドファンディングの支援金は税制上、寄付金に認定されるため、起案者の法人格によっては寄付金控除の対象となります。また、法人税法上の収益事業に該当しないため、起案者にとって大きなメリットになります。

投資タイプ

投資タイプのクラウドファンディングとは、株式投資や不動産投資など融資という形で資金を募るクラウドファンディングです。リターン品がお金や金融商品である点が大きな特徴になります。また、エンジェル税制の対象となる場合もあります。

株式型クラウドファンディング

株式型クラウドファンディングとは有価証券、いわゆる株式をリターン品として設定し、支援者が受け取ることが一般的です。支援者側はM&AやIPOを視野に入れた企業やファウンダーなどが中心で、将来の株式の値上がりや配当を期待して支援が集まります。
起案者にベンチャー企業などが多い点も、特徴です。また、金融商品取引法などに関する一定の資格を持ったプラットフォーム事業者以外は、取り扱いができません。不動産投資クラウドファンディングと呼ばれるタイプの場合は、その不動産投資の持ち分がリターン品に設定されるケースが多くなります。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングとは、クラウドファンディングのプラットフォーム事業者が匿名組合と呼ばれるものを作り、資産運用を希望する個人から融資を募るタイプのクラウドファンディングです。なお、融資型クラウドファンディングは「貸付型クラウドファンディング」や「ソーシャルレンディング」と呼ばれることもあります。
匿名組合がクラウドファンディングでお金を集めたい企業に対して、お金を貸し付ける形になる形をとります。

したがって融資型クラウドファンディングでは、

  • 匿名組合は企業から利息を取ってお金を貸し付ける
  • 支援者は匿名組合に対する出資と分配金を受ける

というしくみが一般的です。支援者は低資金から出資可能なことが多く、低リスクで資産運用が可能となる点がメリットです。

ファンド型クラウドファンディング

ファンド型クラウドファンディングとは、ハイリスク・ハイリターンな事業に対して出資してくれる支援者を募るタイプのクラウドファンディングです。ベンチャー企業がエンジェル投資家を探す場合などに用いられるクラウドファンディングになります。エンジェル投資家とは、創業して間もなく、実績がない企業に貸金を供給する投資家を指します。

【非投資タイプ】クラウドファンディングプロジェクトの進め方

ここでは、非投資型のクラウドファンディングの一般的な流れを見ていきます。クラウドファンディングのプロジェクトを実施する場合には、2~3か月程度の期間が必要です。プロジェクトの大まかな進め方を説明します。

チーム作り

まずプロジェクトの立ち上げ時には、クラウドファンディングを推進するためのチーム作りから始めます。プロジェクト内容をSNSで拡散していく必要があるため、1人で実施するのは非常に大変ですので、プロジェクトに参加してくれる仲間を3人は集めておく必要があるでしょう。

ページ作成

次に、プロジェクト内容を告知するためのWebページを作成します。キービジュアルや動画、リターン品の詳細を決定する作業も含むため、通常、1か月程度かかることが多いです。Webページが完成したら、プラットフォーム運営会社の審査申請をします。

プラットフォームの審査

プラットフォーム側が、掲載して良い内容かどうかを審査をします。プラットフォームごとに審査基準は異なりますが「設定してはいけないリターン品になっていないか」「誇大広告になっていないか」といった視点でチェックするのが一般的です。

またWebページ上に、著作権がNGの写真や画像が使われていないかという点もチェックします。

プロジェクトの公開

審査が通ったら、プラットフォーム上にプロジェクトを公開します。Webページの公開は任意のタイミングで実施が可能です。なお、公開後の募集期間は2か月程度が多いと思います。

支援者の募集期間

プラットフォーム上にプロジェクトを公開しただけではお金は集まりませんから、起案者は2か月の間、告知活動に注力する必要があります。

プレスリリースの実施以外にも、プロジェクトの活動報告をプラットフォームのブログ機能を使って告知したり、各種SNSを使って拡散したりしましょう。店舗やイベントなどでお客さまや知り合いにチラシを配布して、直接支援をお願いするのも非常に有効な手段です。

リターン品の発送

約2か月の公開期間が終わったら、最後にリターン品を発送する作業が発生します。支援者が入力した情報を参考にリターン品やお礼の手紙を送付して、いったんクラウドファンディングのプロジェクトは終了です。

プラットフォーム側からの入金

入金のタイミングは、プラットフォームの運営会社によって違いはありますが、だいたいプロジェクト終了から1か月〜2か月後が一般的です。例えばCAMPFIREの場合は、2月末で終わったプロジェクトの入金は3月末というスケジュールになっています。

【非投資タイプ】クラウドファンディングで資金を集めるメリット

続いて、非投資タイプクラウドファンディングで資金を集めるメリットについて、紹介します。クラウドファンディングで資金を集める最大のメリットは、プロモーション効果といえるでしょう。

クラウドファンディングは、基本的にSNSを通じてプロジェクトの内容を拡散していくしくみになります。従来のプロダクトやサービスのプロモーションは、ある程度のテストや試作品などを作った後、それをプロモーションして売っていくのが一般的です。しかし、クラウドファンディングの場合は、最初の試作段階から支援者を巻き込んでいけるというメリットがあります。

「こういう商品を作ろうと思ってるんだけど、どう思う?」というレベルからクラウドファンディングをスタートし、支援者の反応を見ながら商品化するかどうかを判断することが可能です。支援者の反応が悪かった場合には、やめることも可能ですから、リスクを最小限に抑えられます。

【非投資タイプ】クラウドファンディングで資金を集めるデメリット

では、非投資タイプのクラウドファンディングのデメリットとは、どのような点にあるのでしょうか。
実は、クラウドファンディングにチャレンジすること自体には、大きなリスクはありません。
完全に成果報酬ですから、一般的には、支援者が集まらなかった場合手数料などの費用もかかりません。

ただし、クラウドファンディングがうまくいかなかったケースにおいても、そのページはインターネット上にそのまま残ります。今後、顧客が企業名で検索した場合に、そのうまくいかなかったプロジェクトが出てくる可能性がある点はデメリットといえるでしょう。

また、クラウドファンディングのプロジェクトでは、不特定多数の人とかかわることになるため、支援者とのやり取りの中がうまくいかないケースも散見されます。支援者とのトラブルが多いわけではありませんが、ゼロではないことを覚えておきましょう。

著者:伊東 修平(黒船イノベーションズ株式会社代表、税理士)

結婚を機にシステム開発会社に入社し、アパレル業界を中心に受発注・POSレジ・在庫管理等、さまざまなシステムの受託開発を行う。エンジニアとしての付加価値を高めるため税理士受験を志すが、会社の経営悪化により退職。これを機に、経営危機の防止に貢献できる税理士になろうと決意する。その後、売上140億円規模の食品卸売商社に入社。
社内SE、経理、総務、人事、経営企画等に携わりながら、2016 年に税理士試験合格(3科目独学)、2017年開業。現在は、法人・個人の経営コンサルティング業務、税務会計業務を行う傍ら、IT企業を自ら立上げ、販路拡大サービスや「士業クラウドファンディング支援協会」などを展開する。また、小学校でのプログラミング教室、大学のビジネスコンテストの審査員など、「夢を応援」するためのさまざまな取り組みを行っている。