決算書の作り方とは?必要書類や決算書作成の流れなどを解説

2023/11/07更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

会社を営むうえで、事業年度ごとに必ず作成しなければならないのが「決算書」です。決算書は法人の確定申告の際に必要なだけでなく、経営者や関係者が事業の経営実態を把握するために非常に重要な資料となります。

決算書には、事業の財務状況や利益を表す複数の書類があり、「どのような書類が必要なのだろうか」「決算書の作り方が分からない」など、戸惑うケースが少なくありません。ここでは、決算書の概要や必要書類、決算書作成の流れなどについて解説します。

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決算書とは、事業に関する収入や支出などの事業業績を表す書類のこと

決算書とは、事業年度ごとに事業に関する収入や支出などを計算してまとめた、事業の業績を表す書類のこと。正式には財務諸表や計算書類と呼ばれ、「その事業年度にどれくらいもうけ、または損失が出たのか」「会社が今どのような財政状況にあるのか」といった経営状態を明らかにするために作成します。法人は事業的規模にかかわらず、決算書の作成が法律で義務付けられています。

決算書には複数の書類があり、中でも「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つは、「財務三表」と呼ばれる重要な書類です。ただし、そのうちキャッシュ・フロー計算書は、上場企業の場合は決算時に作成する必要がありますが、中小企業の税務申告においては作成義務がありません。そのため、中小企業ではキャッシュ・フロー計算書を作らないことも珍しくありません。

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決算書作成のために必要な書類・帳簿

決算書の作成にあたっては、事前に資料を揃えておく必要があります。決算書作成のために必要な書類・帳簿は、主に次のとおりです。

初年度の決算書作成のために必要な書類・帳簿

初年度の決算書作成の際には、どのような書類や帳簿が必要なのでしょうか。代表的なものを説明していきます。

領収書綴り

領収書綴りは、日々の取引を行ううえで必要な経費などの領収書一式をまとめたものです。領収書は、日付の順番で綴じておきます。総勘定元帳と同様に、領収書綴りも会社法上では10年間の保管が義務付けられています。

決算日現在の残高を確認できる書類

決算時には、帳票とその根拠になる資料とを突き合わせ、漏れやミスがないかどうかを確認します。そのため、決算日現在の資産や負債の残高が分かる書類が必要です。

例えば、売掛金を確認するには請求書の控え、仕入額や買掛金の確認には先方から受け取った請求書、借入金なら返済予定表などです。

賃金台帳

賃金台帳とは、社員に支払った給与や控除した社会保険料・源泉所得税等を記載した書類です。賃金台帳の金額と決算書に記載された金額が一致しているか確認が必要です。

総勘定元帳

決算書の作成に必要な帳簿としては、総勘定元帳があります。総勘定元帳は、会社が行ったすべての取引や経理処理を、勘定科目ごとに集計・記録した帳簿です。どんな会社にも作成が義務付けられており、会社法上では10年間の保管義務があります。決算時には、この総勘定元帳をもとに貸借対照表や損益計算書などの決算書類が作成されます。

設立2期目以降の決算書作成の際には、前期の決算書も必要となる

設立2期目以降の決算書作成の際には、初年度の決算書作成の際に用意した書類・帳簿に加えて、前期の決算書も必要となります。前期の決算書がないと、売上や利益、損失などが前期と当期でどう違うのかを、正しく把握することができません。また、資産や負債、減価償却など、決算の際には前期から引き継がなければならない項目もあります。そのため、設立2期目以降に決算書を作成する場合は、まず前期の決算書を用意しましょう。

決算書作成の流れと作り方

ここからは、実際に決算書を作成する場合の流れについて見ていきましょう。決算書の作成は、大きく次のようなステップで行います。

1. 当年度の取引を記帳し、実際の残高と突き合わせする

決算は、帳簿をもとに進めます。決算処理を行うにはまず、当年度分の記帳を全て完了させなければなりません。領収書や請求書、通帳コピーといった会計に関する資料を揃え、当年度の全取引を記帳しましょう。決算前にまとめて記帳をしようとすると、作業量が膨大になるうえ、ミスも起こりやすくなります。日ごろから取引をしっかり記帳しておくことが大切です。

記帳が完了したら、帳簿のデータと実際の残高を突き合わせして、内容が合致するかどうかを確認します。

2. 決算整理仕訳を行う

決算整理仕訳とは、事業年度をまたぐ取引について、今期分と来期分に分けて整理する作業のことです。入金や支払いが来期になる取引などを確認し、帳簿を修正します。また、決算時の棚卸資産の残高を確認するために在庫を点検・計測する「実地棚卸」を行って適切に評価したり、固定資産の減価償却を行ったりします。

3. 決算整理仕訳のデータをもとに決算残高を確定する

未払金や未収金、前払金、前受金のほか、固定資産の減価償却といった決算整理仕訳によって、当期中に行った仕訳の修正や追加を行います。そして、そのデータをもとに、それぞれの勘定科目の残高が実際の残高と一致するかを確認し、決算残高を確定します。

4. 仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記する

仕訳した各勘定科目を、総勘定元帳に転記していきます。このとき手作業で転記すると、数字のミスや漏れが起こりやすいため、細心の注意を払いましょう。

会計ソフトを使用する場合は、日々の仕訳の入力ができていれば、総勘定元帳は自動で作成されます。

5. 試算表を作成する

総勘定元帳をもとに、試算表を作成します。試算表は決算書の前段階で作成する書類であり、記帳の整合性をチェックするための集計表の役割を持ちます。確認すべき重要なポイントは、試算表の借方、貸方の合計値が一致しているかどうかです。合計値が異なる場合は、仕訳やデータ入力にミスがあるということなので、見直しが必要です。なお、試算表には、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3種類があります。

6. 決算書を作成する

試算表に問題がなければ、年間収支や財産状況をまとめた決算書を作成します。作成する書類は、貸借対照表や損益計算書の他、必要な注記情報を記載した個別注記表などです。

各種税金の申告の流れと進め方

決算書を作成した後は、各種税金を税務署などに申告し、確定した税金を納付します。法人が申告する税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税などです。それぞれの税金の申告の流れについて見ていきましょう。

1. 申告書を作成する

決算書をもとに税務申告に必要な書類を作成し、確定申告を行います。税務署や都道府県税事務所など、税金の種類によって申告先が異なるので注意しましょう。例えば、法人税と消費税は所轄税務署に申告し、法人事業税と法人住民税は都道府県の税務事務所などに申告します。なお、法人住民税は都道府県民税と市町村民税の2種類に分かれており、それぞれ都道府県の税務事務所と各市町村役場に申告書の提出が必要です(東京23区内の場合は両者を合わせて1回で申告します)。

法人の確定申告は用意しなければいけない書類が多く、作業も非常に複雑なため、自社だけで行うのは難しいのが実情です。そのため、多くの企業では税理士に税務申告を依頼しています。

2. 申告書をもとに納税する

作成した申告書を決算書と共にそれぞれの提出先に提出し、確定した税金を納めます。各種税金の申告と納付の期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内と定められています。

3. 提出書類を保存する

貸借対照表や損益計算書、総勘定元帳などの書類は、原則として税法上では7年、会社法では10年の保存が必要と定められています。保存しなければいけない書類を確認したうえで、定められた期間はしっかり保管しておきましょう。なお、税務申告書は税法上7年間の保存、税務届出書は原則として無期限の保存(永久保存)となります。許認可手続きなどの際に必要になりますので大切に保管しておいてください。

決算書の作成と税務申告を効率良く進めるためのポイント

法人にとって、決算書の作成と税務申告は原則として1年に1度必ず行わなければいけない作業です。決算申告に多くの時間を取られては、本来の業務に集中できなくなってしまいます。

決算書の作成と税務申告を効率良く進めるにはどうすればいいのか、詳しく見ていきましょう。

会計ソフトで日々の仕訳を入力する

決算の前には、当年度分の記帳を完了させておく必要があります。まとめて一気に記帳しようとすると、多大な時間がかかるうえ、ミスの元にもなりかねません。決算前に慌てることのないよう、日ごろからしっかりと帳簿付けをすることが大切です。

毎日発生する取引について、日付や金額、勘定科目などを一つ一つ手書きやExcelで記帳するのは大変な作業です。しかし、会計ソフトを使えば、日々の仕訳にかかる手間と時間をぐっと削減できます。さらに、入力したデータをもとに、仕訳帳や総勘定元帳といった作成が義務化されている会計帳簿も自動で生成されます。

決算や税務申告は税理士に依頼する

法人の決算や税務申告は、個人事業主の確定申告に比べて手続きが非常に煩雑です。用意しなければいけない書類も多いため、自社だけで決算申告を行うのはあまり現実的ではないでしょう。そのため、法人の場合は、仕訳入力までは自社で行い、その後の決算と税務申告は税理士に依頼する形が一般的です。

法人の税金の仕組みは複雑なうえ、頻繁に税制改正があります。また、特に中小企業の場合、利用できる税制上の優遇措置や補助金、助成金なども多くあります。

税理士に依頼すればこれらについても漏れなくチェックしてもらえるため、自社に有利な情報を見落としたり、必要以上に税金を納めたりするような事態も避けられるはずです。

効率性と機能性の高い会計ソフトを選ぶ

会計ソフトを選ぶときは、効率性と機能性に注目するといいでしょう。例えば、スマートフォンからも取引の入力ができる会計ソフトを選べば、出先や移動中の隙間時間を活用して効率良く記帳を進めることができます。

さらに、一部の会計ソフトには、スキャナやスマートフォン用アプリを使って領収書の内容を読み取る機能もあります。そのような会計ソフトなら、領収書を見ながら1つずつ内容を入力する必要もありません。

また、決算申告を依頼する税理士と、やりとりしやすい会計ソフトを選ぶのもポイントの1つです。仕訳した会計ソフトのデータを税理士と共有できれば、その後の決算や税務申告もスムースです。

会計ソフトなら、日々の帳簿付けや決算書作成もかんたん

日々の帳簿付けと法人決算をスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所(※弥生PAP会員の税理士・会計事務所)とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データの他、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成したCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営成績がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお応えします。製品の操作が不安な方や会計の業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

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会計ソフトを活用して決算書の作成と税務申告をスムースに

法人の決算や税務申告は手続きが複雑なため、多くの企業では税理士に決算申告を依頼しています。ただし、税理士に決算申告を依頼するとしても、決算前には当年度分の記帳を完了させておく必要があります。日々の記帳の手間を軽減し、スムースな決算につなげるには、会計ソフトの利用がお勧めです。

弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」なら、取引データの自動取込み・自動仕訳が可能なうえ、貸借対照表や損益計算書といった決算書類も自動で作成されます。

決算にかかる手間と時間を省き、しっかりと経営に専念するためにも、自社に合った使いやすい会計ソフトを導入しましょう。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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