決算期とは?決め方や変更の方法などについて詳しく解説

2023/07/13更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

会社を設立する際に、必ず決めなければいけないのが決算期です。企業は、1年以内の任意の期間を区切って利益や資産をまとめ、関係者に報告して決算を行います。この区切った期間を「事業年度」と呼び、事業年度の最終月を「決算期」といいます。

決算期は企業ごとに任意に決められるものとはいえ、決め方にはいくつかのポイントがあります。また、決算期を決めるときには、後々の変更可否なども知っておく必要があるでしょう。

ここでは、決算期の意味や決め方のポイント、決算期の変更の方法、個人事業主と法人の決算期の違いなどについて解説します。

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決算期とは、企業の事業年度の最終月のこと

決算期は企業の事業年度の最終月のことで、決算月とも呼びます。すべての企業は、事業年度ごとに、収支・損益をまとめてその期間の経営状態を明らかにするために決算を行わなければなりません。事業年度は1年以内の任意の期間で自由に決めてよいことになっていますが、大半の企業では1年間としています。例えば、事業年度が4月1日から翌年3月31日までなら、3月が決算期になります。

なお、決算期の月の最後の日を、決算日といいます。例えば、決算期が3月の会社の決算日は、3月31日となります。

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個人事業主の決算期と法人の決算期の違い

個人事業主と法人では、決算期の考え方に大きな違いがあります。特に、個人事業主から法人化(法人成り)する場合などは、決算期の違いに注意する必要があります。個人事情主の決算期と法人の決算期にはどのような違いがあるのかを説明します。

個人事業主の決算期は一律で12月

個人事業主の事業期間は1月1日から12月31日の1年間と決まっています。そのため、個人事業主の決算期は一律で12月です。また、毎年1月1日から12月31日までに生じた所得については、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行わなければなりません(2月16日や3月15日が土日祝日に重なる場合は、翌平日が期日になります)。

法人は任意で決算期を決められる

法人の場合は、決算期を自由に決めることが可能です。そのため、決算を行う時期や、確定申告を行う時期も企業によって異なります。国の年度に合わせて3月決算とする企業が多く見られますが、9月決算や12月決算など自社の都合に合わせて設定する企業もあります。会社を設立するときには必ず決算期を決め、原則として事業年度を定款に記載しなければなりません。

法人が決算期を決める際に考慮したいポイント

日本では3月を決算期に設定するのが一般的ですが、企業によっては必ずしも3月がベストとは限りません。

では、法人の場合はどのように決算期を決めればよいのでしょうか。ここからは、法人が決算期を決める際に考慮したいポイントを紹介していきます。

繁忙期を基準に決める

季節によって繁忙期と閑散期がはっきりしている場合などは、繁忙期を基準として決算期を決めるのもよいでしょう。

繁忙期を避けて閑散期を決算期にしている会社もあります。法人の決算ではさまざまな会計処理や書類の作成などが必要になるうえ、決算期の後には確定申告も行わなければなりません。繁忙期を避けることで、落ち着いて決算に臨むことができます。

一方で、繁忙期は1年の中で最も利益が上がるため赤字になりにくく、資金面にも余裕ができて決算後の納税にも困らない可能性が高いため、あえて繁忙期と決算期を重ねる方法もあります。企業が忙しい時期に決算を迎えることで社内の活気を高め、業績アップを目指すことも可能です。

また、決算を依頼する税理士の繁忙期を避けるというのも1つの方法です。一般的に、税理士の繁忙期は、年次決算や年末調整、個人の確定申告などに関する業務が集中する11月から5月までの間だといわれています。この時期は避けて決算期を設定するのがおすすめです。

設立月に合わせて決める

会社の設立月からちょうど1年後の月末を決算期にする方法もあります。会社を設立してしばらくは何かと忙しいため、すぐに決算を迎えることになると本業に影響が出てしまうかもしれません。決算期を設立月から1年後にしておけば、決算にかける労力や費用を先延ばしにできます。

納税月に合わせて決める

法人が納める法人税、法人事業税、法人住民税、消費税などの法人税の申告・納付期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。そのため、決算期には、2か月後の納税を考えて資金を手元に用意しておく必要があります。

さらに、法人が納める税金は他にもあります。さまざまな税金の納付が重なって企業の資金繰りに影響を及ぼすリスクを避けるには、法人税などとその他の税金の納付時期が重ならないように決算期を決めるとよいでしょう。

法人税以外の主な税金の納付時期は、下記のとおりです。

法人が納めなければいけない主な税金の支払日
日付 税金の種類
2月28日
  • 固定資産税
  • 都市計画税(第4期分)
4月30日
  • 固定資産税
  • 都市計画税(第1期分)
5月31日
  • 自動車税
7月31日
  • 固定資産税
  • 都市計画税(第2期分)
12月31日
  • 固定資産税
  • 都市計画税(第3期分)

消費税の納税義務の免除期間を考慮して決める

消費税の納税義務の免除期間を考慮して決算期を決める方法もあります。資本金が1,000万円未満の企業は、原則として、設立第1期目と第2期目は消費税の納税義務が免除されます。つまり、設立日からできるだけ離れた日を決算期にすることで、免除期間を長くすることが可能です。例えば、設立日から1年後を決算期とした場合は、2年間は消費税の納税義務が免除されます。

ただし、消費税の課税対象になる売上である1期目の事業年度開始の日から6か月間の課税売上、もしくは給与などの支払額の合計が1,000万円を超えた場合は、2期目から消費税の納税義務が生じるため、注意が必要です。

法人の決算期は変更できる?

さまざまな角度から検討して決算期を決めても、後々に変更したいと考えることがあるかもしれません。一度決めた決算期を変更することはできるのでしょうか。

決算期の変更は可能

決算期を変更することは可能です。ただし、決算期を変更するには定められた手続きを行う必要があります。また、変更前の事業年度が1年を経過していなかったとしても、決算期変更によって決算と確定申告、納税を行うことになります。

決算期の変更には煩雑な手続きが必要

決算期を変更するにはさまざまな手続きが必要です。決算期を変更するということは、当然事業年度が変わるということです。ほとんどの企業では定款に事業年度を記載しているため、決算期の変更に伴い定款も変更しなければなりません。さらに、定款を変更するには株主総会の特別決議が必要となり、定款の変更後は、所轄税務署や都道府県税事務所、市役所に所定の書類を添えて届出を行います。

このように、決算期の変更には煩雑な手続きを伴います。また、決算期を変更するためには、社内で多くの事務作業を行わなければなりません。無闇に決算期を変更することのないように、会社設立時にはよく検討して決算期を決めましょう。

決算期を変更するメリットとデメリット

では、決算期を変更することでどのようなメリットとデメリットが生じるのでしょうか。それぞれについて説明します。

決算期を変更するメリット

決算期の変更を行うことで、資金繰りや業務が改善する可能性があります。設立月に合わせて決算期を決めたものの、事業を進めていくうちに繁忙期と重なるようになってしまった場合など、設立当時とは会社の状況が変わったときは、決算期を変更することでメリットが得られるかもしれません。

決算期を変更するデメリット

まずデメリットとして挙げられるのは、前述したような手続きの煩雑さです。決算期を変更するには、定款変更のための株主総会の開催や関係各所への届出など、さまざまな手続きをしなければなりません。

また、事業年度は1年を超えることができないため、決算期を変更した年は1年以内に決算を迎えます。通常よりも短期間で決算作業を行うため社内事務に負担がかかる他、税理士へ支払う決算業務の報酬や各種税金の納付が前倒しで発生することになります。

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企業の事情に合わせて最適な時期に決算期を設定しよう

法人の決算期は、個人事業主とは違い、企業ごとに自由に決めることができます。とはいえ、深く考えずに決算期を決めてしまうと、繁忙期と決算が重なって事務作業が大変になったり、まとまった納税のタイミングが続いて資金面で苦しくなったりする可能性があります。決算期を決めるときには、企業の事情や繁忙期、資金繰り、納税などの点をよく検討し、最適な時期を選びましょう。

また、忙しくなりがちな決算期をスムースに乗り切るために、効率良く決算を行えるような仕組みづくりをしておくことも大切です。例えば会計ソフトを導入すれば、日々の帳簿付けを自動化できるうえ、決算書の作成などもかんたんにできます。会社の設立時には、決算期をいつにするかを考えると同時に、会計ソフトの導入についても検討することをおすすめします。

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よくあるご質問

決算期とは?

決算期は企業の事業年度の最終月のことで、決算月とも呼びます。企業は、1年以内の任意の期間を区切って収支や損益をまとめ、関係者に報告して決算を行います。この区切った期間を「事業年度」と呼び、事業年度の最終月を「決算期」といいます。詳しくはこちらをご確認ください。

決算期はいつにすべき?

日本では3月を決算期に設定するのが一般的ですが、企業によっては必ずしも3月がベストとは限りません。決算期を決める際には、繁忙期や設立月、納税月、消費税の納税義務の免除期間などは考慮したいポイントです。詳しくはこちらをご確認ください。

決算期は変更できる?

決算期を変更することは可能です。ただし、決算期を変更するには定められた手続きを行う必要があります。また、変更前の事業年度が1年を経過していなかったとしても、決算期変更によって決算と確定申告、納税を行うことになります。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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