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2011年02月08日

「個人事業者の確定申告に関する調査」結果を発表 年収300万円の個人事業者でも約半数は青色申告

年収300万円以下の個人事業者でも約半数は青色申告を行っている
青色申告者と白色申告者では青色申告者のほうが黒字率が高い
白色申告者の半数以上は青色申告への移行予定なし
業務ソフト「弥生シリーズ」を提供する弥生株式会社(本社:東京都千代田区、代表者:岡本 浩一郎、以下 弥生)は、NTTナビスペース株式会社(本社:東京都豊島区、代表者:角 敦子)と共同で「個人事業者の確定申告に関する調査」を行いました。調査手法はインターネットリサーチ、期間は2010年12月2日~6日で、1,000サンプルの有効回答を得ました。

調査結果

平成22年分の所得税の確定申告が2月16日より始まります。事業所得者の確定申告者は平成17年を境に減少傾向にあり、平成21年分の事業所得の申告者は前年比-12%となりました(平成21年度国税庁 統計年報より)。このことから、個人事業者にとっても依然として厳しい状況が続いていることがうかがえます。そのような環境のなか、個人事業者の節税意識や事業管理を、身近な節税対策として考えられる青色申告を切り口として、年収レンジや帳簿の作成方法について調査したところ、興味深い結果を得ることができました。
事業所得の申告には青色申告と白色申告がありますが、なかでも青色申告を利用しない理由として、「帳簿をきちんとつけて管理するほどの事業規模でない」という意見を多く耳にします。しかし、実際の調査結果を見ると、年収300万円以下の個人事業者でも青色申告の割合は約半数を占め、事業規模にかかわらず、青色申告制度が多く利用されていることがわかりました。また、年収の多い少ないに関わらず、青色申告の65万円の控除を受けることで上手に節税し、黒字経営に役立てていることが推測されます。そのなかでも、特に年収が下位のレンジに注目すると、青色申告者と白色申告者では黒字が続いている事業者の割合に差が見られ、青色申告が経営に与える影響が大きいものと考えられます。一方で、白色申告者の青色申告への変更意向は低く、青色申告のメリットが十分に浸透していないことがうかがえます。

調査結果概要

  • 年収300万円以下が38%
    今回の調査を実施した結果、下記のような回答者分布となりました。グラフからわかるように、年収300万円以下が4割弱を占め、500万円以下で考えると半数を超えます。このような状況を前提に、それぞれの年収レンジと申告方法との関係性をみていきます。
グラフ:年収別の回答者の内訳
年収300万円以下の個人事業者でも約半数は青色申告を行っている
  • 年収300万円以下では49%、年収300~500万円以下においては56%が青色申告を行っています。青色申告を利用しない理由として、「帳簿をきちんとつけて管理するほどの事業規模でない」という意見をよく聞きますが、実際には、年収500万円以下の者のうち、半数以上が青色申告制度を利用していることになります。
グラフ:年収×平成21年分申告方法
  • 青色申告の控除額(注1)を年収別に比較してみると、控除額65万円(複式簿記)による青色申告は、年収が多い人だけでなく、相対的に少ない人にも多く利用されています。
グラフ:年収×平成21年分の控除額
青色申告者と白色申告者では、青色申告者の方が黒字率が高い
  • 個人事業者の経営状況を比較してみると、黒字が続いている者の割合は青色申告者で約42%、白色申告者では約29%と、青色申告のほうが13ポイント高い結果となりました。青色申告者は、白色申告者に比べて、節税のメリットを多く享受し、それによってセーブされた資金を事業に有効活用できているものと推測されます。また、65万円の控除制度は、複式簿記による事業管理が前提とされており、より緻密な管理体制も黒字営業に寄与しているものと思われます。
グラフ:平成21年分の申告方法別年収×経営状況
  • 年収300~500万円以下で黒字が続いている青色申告者は52%、白色申告者では約37%と、15ポイント高い結果となり、年収300万円以下では青色申告者は約27%、年収300万円以下の白色申告者の約16%よりも11ポイント高い結果となりました。年収が下位のレンジに注目すると、青色申告者と白色申告者では黒字が続いている事業者の割合に差が見られ、青色申告のメリットが直接的に経営に影響を与えていることがうかがえます。
グラフ:平成21年分の申告方法別年収×経営状態
白色申告者の半数以上は青色申告へ移行予定なし
  • 白色申告者に対し、今後の青色申告への変更意向を聞いたところ、「今後は青色申告に変更したい」と回答した個人事業者は11%であったのに対し、「今後も青色申告への変更予定はない」は66%でした。青色申告のメリットが十分に浸透していないことがうかがえる結果となりました。
グラフ:白色申告から青色申告への変更意向
  • 注1:青色申告の特別控除は控除額により下記に分かれます。青色申告の特別控除は控除額により下記に分かれます。青色申告の特別控除は控除額により下記に分かれます。青色申告の特別控除は控除額により下記に分かれます。
  • 65万円控除:不動産所得又は事業所得の青色申告者で複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合
  • 10万円控除:不動産所得又は事業所得と山林所得の者で簡易簿記で提出した場合
  • 10万円控除(現金主義):現金主義簡易簿記で提出した場合(適用には一定の条件があります)

調査概要

  • 調査対象:NTTナビスペース(株)の登録モニターを母集団とする個人事業者
  • 調査時期:2010年12月2日~6日
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答数:1,000サンプル
  • 実施機関:NTTナビスペース(株)
  • 調査項目:税務申告方法、青色申告への変更意向、経営状況、記帳頻度、今後の事業の方向性、業種、事業年数、収入など