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未来型会計事務所を実現するため銀行口座のAPI連携を推進
会計事務所の新たな業務スタイルとして〝ひょうごモデル〟を提唱するひょうご税理士法人(兵庫県尼崎市)。〝ひょうごモデル〟構築のポイントの一つは、記帳代行の顧問先と銀行口座をAPI連携※している点だ。
『記帳代行支援サービス』の「記帳代行用ツール」を利用すれば、会計事務所が管理する会計データへ銀行口座の取引データを取り込むことができる。だが、セキュリティ担保のため定期的に認証情報の更新が必要で、中小企業への口座連携の推進はハードルが高いと言われる。今回、ひょうご税理士法人がどのように顧問先に口座連携を推進してきたのか、そのノウハウを伺った。
記帳業務の自動化に口座連携が不可欠
毎年、関与先数も増え、仕事量も急増しているとお伺いしています。
- 妹尾
- 弊所は、「相続」「不動産」「法人」に強みがあり、顧問先数は450~460件まで増えました。相続事案は年間120~130件、確定申告は約1千件手がけています。確定申告をコツコツ請け負ったおかげで、そこから法人化する関与先があったり、相続業務に派生したりと、事務所拡大につながっています。
一方で、確定申告期に業務が集中してしまうなどの悩みもありました。そのため2~3年前から、確定申告への取り組みは、年1回の一発勝負でやるのではなく、通年業務の取り組みに変えました。その結果、1月から3月の確定申告業務で費やす時間は削減され、残業時間は激減しました。
弊所が目指す〝業務の標準化〟は、業務に人が帰属するという考え方。会計事務所の多くは、担当者に顧問先が付いているため、担当者が辞めてしまえばその顧問先のことを誰もわからなくなってしまいます。そうした、「人に業務が付く」スタイルではなく、「業務に人が付く」スタイルを目指すことにしました。仕組みとしてまず事務所内の業務の流れを作ってしまい、そこにスタッフを配置するスタイルです。
- 井伊
- 私は入社して3年目ですが、確かに残業時間は減りました。また最近は、通常業務での作業時間もかからなくなり、空いた時間に銀行APIによる口座連携のプロジェクトや資金繰りシステムの開発に割く時間を作れるようになりました。
どのように通年業務にしたのですか。
- 榊
- 仕訳数が多い顧問先は、資料回収を7月上旬ぐらいから始め、データ入力を行います。確定申告業務も平準化しており、入力作業の効率化のため、弥生の『記帳代行支援サービス』の「記帳代行用ツール」を活用した銀行APIでの口座連携をしています。
顧問先企業の銀行口座のAPI連携日本一を目指されていますが、なぜですか。
- 妹尾
- 未来型の会計事務所を志向していく上で、事務所内の「生産性」「業務品質」の向上は、最大の課題でした。そのため、弊所では、〝業務の標準化〟によって解決することにしました。
弊所が目指す〝業務の標準化〟は、業務に人が帰属するという考え方。会計事務所の多くは、担当者に顧問先が付いているため、担当者が辞めてしまえばその顧問先のことを誰もわからなくなってしまいます。そうした、「人に業務が付く」スタイルではなく、「業務に人が付く」スタイルを目指すことにしました。仕組みとしてまず事務所内の業務の流れを作ってしまい、そこにスタッフを配置するスタイルです。
- 榊
- 具体的には、業務工程を4段階に分けて考えています。
- 第1工程:顧問先データを収集・データ化
- 第2工程:残高チェック
- 第3工程:勘定科目修正
- 第4工程:最終チェック・顧問先指導
この進め方なら、その顧問先は特定の担当者しかわからないということはなくなります。第1工程において、弥生のAI機能により仕訳などの修正後の勘定科目や摘要は、一度記憶してしまえば間違えることがありません。
口座連携を強力に推進 約50件を達成、目指すは250件
記帳代行支援サービスで口座連携ができている顧問先は今どのくらいありますか。
- 井伊
- 現時点で口座連携できているのは約50社。連携できそうなのは250社あります。口座連携自体が目的ではありませんが、2022年7月までには150件にしたいと思っています。
口座連携できそうな顧問先と、できそうにない顧問先とはどのように分けていますか。
- 井伊
- ①パソコンが使えない、②仕訳が月10件未満、そうした顧問先は対象外とした結果、口座連携できる対象は250社となりました。
どのように顧問先にAPI連携のお願いをしましたか。
- 榊
- 経理の自計化ができている顧問先は職員の工数がそれほどかかっていないので、まずは対象外とし、自計化の進んでいない顧問先に対して、記帳代行業務の効率化を図らないと、今の顧問料では赤字になってしまい、ひいては顧問報酬の値上げをお願いしないといけなくなりますので、まずはできることに協力をお願いしたい、と下の資料を使いながら説明しました。
顧問先への提案資料・マニュアルを公開しています。ぜひご活用ください。
ひょうご税理士法人_弥生会計とネットバンキングの口座連携資料について
「記帳代行用ツール」導入の際にはどういった点に苦労しましたか。
- 吉満
- 顧問先への「記帳代行用ツール」導入に当たっては、2つの壁があったと感じています。第1の壁は、まず3件の導入を達成することで、ここが一番苦しかったです。お願いする我々もよくわかっていないため、『リモートサポートby弥生PAP』(画面共有システム)などを使いながら、試行錯誤し導入を進めました。
第2が20件の壁です。弊所では、20件導入する間に、約50事案のトラブル事例や豆知識が集まったので、これを事例集としてまとめました。
このほか、電子証明書でログインするアカウントの準備において、連携設定するパソコンの電子証明書取得からサポートしたこともあり、苦労がありました。同一顧問先で2つの会計データを管理している場合、それぞれの会計データで「記帳代行用ツール」を利用するためには、異なる弥生IDを登録する必要があります。最初の頃は両方で同一の弥生IDを登録しようとしてエラーとなるなど、うまく連携できないケースがありました。後はセキュリティソフトですね。セキュリティソフトがダウンロードを妨げていることもあり、パソコン全般のトラブルシューティングにこちらで対応する必要も出てきました。そもそも顧問先は、口座連携のセキュリティについて漠然とした不安を抱いているため、一発で調整しないと導入自体を止めてしまう可能性も高いので、プレッシャーはすごく感じていました。
それと、導入してみた後に気づいた大きな問題は、「認証情報の更新」があることです。それも金融機関ごとに「認証情報の更新」が必要なので、認証情報の更新をルーチン化させることも考えなくてはいけません。そこで、「認証情報の更新」作業に関するマニュアルなども作成しました。
- 妹尾
- 口座連携は、担当を吉満に絞って20件の導入に邁進してもらいました。会計事務所の仕事も変わってきており、それに対応する別会社として「ベストパートナーズ」を設立し、よろず屋的な仕事を請負ってます。吉満はそこの社員です。担当者を置いた方がノウハウも溜まります。そうやって最初の20件で溜ったノウハウをまとめた、弊所の虎の巻とも言えるプレゼン資料を作りました。
- 吉満
- 私は簿記もわからないですし、弥生会計の入力もしたことがなく、ITスキルも高くはありません。しかし、やり方は任せるからと、信頼して自由に動けるステージを準備してくれたのが大きいですね。素人の私でも、わからないことがあれば弥生のカスタマーセンターに聞けば丁寧に教えてもらえます。弥生のカスタマーセンターの方々は本当に優秀で何度も助けていただきました。導入3件が見えて20件が見えたら、ぱーっと前が開けました。
顧問先とは今後も時間をかけて関わっていく
紙証憑については、ペーパーレス化させていますか。
- 井伊
- 最終的には生産性向上、標準化を目的にしていますので、口座連携数を増やすことだけでなく、今まで紙の領収書を送ってもらっていた顧問先には、スキャナーで取り込んで、データ化してもらうことや、レジ導入を推奨して入力作業をなくすなどの取り組みが2022年7月までにでき上がるように進めています。これができ上がれば、顧問先は特定の担当者しかわからないということはなくなります。
- 榊
- 弊所では製販分離を進めていますが、完全に製販分離しているわけではありません。なぜなら、顧問先への訪問は切り分けたくなかったからです。顧問先ニーズは時間と共に変わってきますので、顧問先とはしっかり時間をかけて関わり、未来の会計を作っていきたいと思っています。
今後の目標を教えてください。
- 妹尾
- 弊所では、職員個々の役割をはっきりさせ、自分の役割をこなしていくようにしています。私は代表として市場づくり、顧客づくり、差別化に取り組んでいます。
今後は、中小企業の税務会計、それから資金・労務・相続・不動産などに秀でることで、他事務所との差別化を図るノウハウを税理士の仲間に提供し、横展開を広めていきたいと思っています。相続案件は、他の事務所から依頼があれば積極的に協力し、申告支援などのサポートもしています。そして、今までの旧態依然とした記帳代行主体のスタイルを変えていきたいと思っています。
- ※銀行口座のAPI(Application Programming Interface)連携とは:業務システムと銀行口座のデータ情報を連携させることで、自動的に業務システムに銀行の入出金情報を取り込めるサービス。
ひょうご税理士法人
- 代表者
- 妹尾 芳郎
- 所在
- 兵庫県尼崎市
- 設立
- 2010年
- 従業員数
- 60人
記帳代行支援サービス利用開始時期 | 2020年9月 |
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サービスの方針 | 税金を計算するための「過去会計」はもちろん大切ですが、それ以上に私たちが大切にしているのは経営者が未来の意思決定するために会計を使う「未来会計」です。 未来会計により、「利益を増やすための的確な情報が欲しい」「会計情報をもっと経営に活用したい」というご要望に応えます。 |
事務所経営における方針 | 月次訪問を通じて、中小企業経営者のよきアドバイザーとして、企業の成長・拡大と安定に貢献し、感謝される税理士法人になります。 さらに、数字に強い経営者になるためのご支援として「わかるまで帰れない会計塾」の開催などをしております。 そのほか、円満相続支援・不動産賃貸経営支援・新卒採用支援等、組織力を活かして幅広いサポートをしております。 |
サービスに関するお問い合わせ
記帳代行支援サービスについて、さらに具体的なサービス内容やサービス利用までに必要な流れなど、お客様の状況に合わせてご説明します。
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本サービスは弥生PAP加入の会計事務所が利用できるサービスです。弥生PAPについてはこちらをご覧ください。
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