誕生

だれにでも、カンタンに使える会計ソフトを。

弥生会計の誕生

今から30年前の個人事業主・中小企業の会計業務は、手書きで伝票を起こし、帳簿に転記。集計は電卓で手計算しているのが一般的でした。そのような状況では、手書き・手計算ゆえに時間がかかり、転記ミスや計算ミスも起こりやすく、作業負担が大きなものでした。1980年代に入ると徐々にパソコンがビジネスで使われ始めます。しかし、当時は業務用のソフトを提供するメーカーも少なく、会計ソフトと言えば、簿記の知識が必要であり、かつ高額なものでした。

この状況を変えようと、現在の弥生株式会社の前身である「日本マイコン」のエンジニアは動き出します。パソコンや会計の初心者でも簡単で使いやすいソフトを低価格で提供することが社会的使命であるとの思いから、1987年10月、「青色申告会計 弥生」が誕生しました。

コラム

会計システムは、専門家のものだった。

当時の各企業のコンピュータによる会計処理は、大企業を中心に、自社開発、会計専用機、または、オフコン(オフィスコンピュータ)のパッケージ会計ソフトを利用していましたが、専門性が高いこと、高価なことから中小企業や個人事業主ではほとんど導入されていませんでした。会計専用機が発売されると、若手税理士を中心に、徐々に導入が進んでいきます。会計事務所では、顧問先から伝票や帳簿を預かり、会計専用機で処理を行っていくようになりました。

普及

パソコンの広がり。弥生会計の広がり。

弥生会計の普及

Windows95発売とパソコン価格の低下により、10%程度だったパソコンの普及が一気に加速。それまでパソコンの導入をためらっていた個人・中小企業にもパソコンが導入され、業務の効率化が図れる会計ソフトの導入も進みました。弥生会計は、業務ソフトとしていち早くWindowsに対応。

しかし、Windows対応版の開発においては、国内にWindows対応ソフトがほとんどなかったので、米国のソフトを研究し試行錯誤を繰り返す日々が続きます。

構想から3年。1994年にWindows3.1版をようやく発売することができました。
その後もWindowsはWindows 95、Windows 98へとバージョンアップしていき、使いやすさも向上。それと相まってパソコン価格も更に手ごろになったため、企業へのパソコンの普及も拡大し、「弥生会計」の導入も進みました。

発展

使いやすい、へのあくなき追求。

インテュイット日本法人化と弥生会計の発展。

インテュイットは、当時アメリカで70%以上の圧倒的なシェアを持つ会計ソフトメーカーです。このインテュイットが日本進出を検討し、当時業務ソフト「大番頭」や「大入袋」などを開発・販売していたミルキーウェイと、「弥生会計」を開発・販売していた日本マイコンが傘下に入り、インテュイット日本法人となりました。
当時のアメリカは圧倒的なIT先進国で、UI、UXの思想も日本とは比べ物にならないほど進化していたのです。

当然のことながら、弥生シリーズも、こうしたインテュイットのUI、UXに対する考え方の影響を大きく受けました。社内にユーザビリティラボが設置され、実際にユーザーにソフトを使ってもらい、ユーザビリティの調査や分析を行うようになったのです。すると、製品のUIがビジュアライズされ、わかりやすく、使いやすい画面になるなどの進化をとげました。

コラム

インテュイットとは

インテュイットは、本社をシリコンバレーに置く、アメリカ最大手の会計ソフトベンダーです。主力サービスであるQuickBooksは、90%というシェアを持ち、小規模企業向け会計サービスで圧倒的な強さを誇ります。

拡大

つくる、からたよれる、に。

サポート・サービスの拡大

小規模事業者は法令改正の影響を受けやすく、法令が変わるたびに情報を入手したり、業務ソフトをアップデートするなどの対応が必要です。しかし、常にリソースが不足している小規模企業はこのような対応を迅速に行うことは簡単にはいきません。そこで、保守サポートを提供することでお客さまと継続した関係を築き、お客さまの業務をサポートし続ける取り組みが拡大していきました。インテュイット日本法人を設立し、それまでミルキーウェイ、日本マイコン各社で行われていた保守契約制度を統合、大阪にカスタマーセンターを開設。

大阪カスタマーセンター

当時、業務ソフトメーカーがこのような大規模なカスタマーセンターを自社で運営するのは珍しいことでした。カスタマーセンターを運営することにより、充実したサポートをお客さまに提供することが可能に。また、お客さまのニーズを把握しやすくなり、それが製品の改良や、新たなサービスの開発につながりました。

進化

ソフトから、クラウドサービスまで

プロダクトのさらなる進化

2008年、代表取締役社長 岡本浩一郎は、社長就任発表会でSaaS(Software as a Service)を弥生の事業の一つの柱に育てていく、と宣言しました。それから4年後の2012年、弥生初のクラウドアプリケーション、「やよいの店舗経営 オンライン」が誕生。その後2014年に「やよいの白色申告 オンライン」、外部のクラウドサービスと弥生のアプリケーションを連動する「YAYOI SMART CONNECT」、「やよいの青色申告 オンライン」、そして念願だった「弥生会計 オンライン」が2015年にサービスを開始し、弥生のクラウドアプリケーションの会計ラインアップが揃いました。

クラウドアプリケーションの誕生は、それまで弥生とご縁のなかった新たなお客様とつながり、クラウドアプリケーションでもシェアNo.1を獲得するまでに成長したのです。

コラム

クラウドサービス

インターネットがつながればどこでも利用することができるクラウドサービスは、あっという間に広がり、ストレージやメール、地図など、今ではなくてはならない存在になりつつあります。会計、給与、資産管理、など業務分野でも広がり、2016年に弥生のグループ会社になったMisocaも、請求書作成のクラウドサービスを提供しています。