会社員からフリーライターへ。オンラインコミュニティとnoteが私の人生を変えた。

起業時の課題
集客、顧客獲得, バックオフィス業務, 家族の同意

「働く時間と場所を自分で選べるようになりたい」。

フリーランスの取材ライター・間宮まさかずさんは、その一心で会社員からの独立を果たしました。しかし、未経験から挑んだその道のりは、多くの苦悩と挑戦の繰り返しです。

今回は、そんな間宮さんに、副業時代の案件獲得方法や独立のタイミング、オンライン時代の取材術などについて伺いました。

会社プロフィール

業種 クリエイティブ(文筆業・校正・翻訳)
事業継続年数(取材時) 1年
起業時の年齢 30代
起業地域 京都府
起業時の従業員数 0人
起業時の資本金 -

話し手のプロフィール

間宮 まさかず
フリーライター
1986年生まれ、同志社大学文学部卒。
ライター業とは無縁の会社員時代を過ごすも、時間と場所を自分で選ぶ働き方を実現するためにWebライターを志し、副業に挑戦。現在はフリーライターとして独立し、ビジネスにまつわる取材、Webコンテンツ制作、インタビュー記事や子育てコラムの執筆などを手がける。

目次

オンラインコミュニティがキャリアを変えた。未経験で挑むフリーランスへの道。

間宮さんはどんなジャンルの執筆をしているんですか?

間宮さん:私はSEOライティングからキャリアをスタートしましたが、現在は取材記事や企業のWebサイト用コンテンツ制作の受注が増えてきました。SEOライティングは初心者ライター向けの案件が多く、またSEOの知識も得られたので良い経験でした。あるときオンラインでの取材案件に携わる機会があったんですが、それが個人的にはすごく好きだなと感じて、今は取材に力を入れています。取材先にお話を伺い、インタビュー記事や、企業のWebサイトに掲載する事業内容紹介、経営者の想いのようなコンテンツを作成することが多いですね。

取材に注力しているんですね。ちなみにライターになる前はどのような職に就いていたのですか?

間宮さん:実はライターとは割と無縁の職歴を過ごしていまして。大学卒業後、京都の飲食店で約7年間接客業に従事し、平日の深夜まで勤務していました。結婚後も生活リズムは変わりませんでしたが、子供が生まれたことで家族との時間を考えるようになり、日中働いて、夜は家に帰ることができる電気工事の施工管理に転職しました。しかし、現場中心の仕事はイレギュラーな休日や夜間の緊急対応も多く、家族の行事や家事はほとんど妻に任せきり。今度こそこの状況を改善しようと、もっと柔軟に自分の働き方を選べるライティングを副業として始めてみたんです。

ライターを選んだ理由は何だったんでしょうか?

間宮さん:オンラインコミュニティに参加したことがきっかけになりました。ちょうどコロナ禍だったこともあり、コミュニティ内での所属メンバー同士のオンライン上での交流が盛んに行われており、私はただ仲良くなったメンバーのことを知りたい一心で、自主的にインタビューをし、コミュニティ内でインタビュー記事を書いて公開するということをやっていたんです。

すると、思いのほか「文章がうまい」「読みやすい」と良いリアクションをいただけることが多くて。それまであまり意識していなかったんですが、皆さんにおだてられて「書く才能があるのかも」と思えたんですね。

そこで副業でWebライターとしての道をスタートしました。もともとは副業を始めること自体に二の足を踏んでいたんですが、その経験が挑戦する背中を押してくれましたね。

副業の課題を乗り越えられた原動力とは?

ライターとして最初に報酬を得た仕事は何でしたか?

間宮さん:最初の執筆は知人のWebメディアでのコラム執筆でした。ライターを志したときからnoteで執筆を始めてみました。その記事を知人が見てくれたことがきっかけでしたね。

その後、ライターとしての経験を積むために、さまざまな案件に取り組もうとしましたが、クラウドソーシングサイトではなかなか案件受注ができない状況が続きました。しかし、あるときnoteで見つけたWebコンテンツ制作会社と正式に業務委託の契約を結んだことがきっかけとなり、本格的にライターとして活動が始まりました。最初のうちは「〇〇駅周辺の居酒屋10選」のようなSEO記事を書くことが多かったですね。

副業ライターと本業を両立するのは大変ではありませんでしたか?

間宮さん:はい、かなり忙しかったですね。残業を減らして執筆に時間を割くようにし、夜遅くや早朝にも記事を書いていました。家族には、独立を視野に入れて取り組んでいることを伝えていたので、応援してくれましたね。睡眠不足のまま出勤することもたびたびありましたが、家族の支えがあったからこそ続けられたと思います。

間宮さんがそこまで必死に挑戦を続ける原動力とは一体何ですか?

間宮さん:子供が生まれたことは、自分にとってかなり大きな転機でしたね。肝が据わったというか。子供のためなら新しい業界でも頑張れるだろうと思っていて、実際に転職を経験したときも、新しい分野でしたが必死に勉強すれば結果は出せると実感できたんです。この経験が挑戦することへの恐れを取り除いているのかもしれません。いずにしても、子供の存在は私にとって非常に大きな意味を持っていますね。

副業ライターからフリーランスへ。準備が整っていなくても走ってみればなんとかなる。

フリーランスとして独立を決心した決め手は何でしたか?

間宮さん:取材など、徐々に高単価の継続案件が増えてきたことが独立の決め手になりました。駆け出しライターが受けられる案件の単価は低く、当初は「副業での収入がサラリーマンの給料を超えたら独立」と考えていたものの、それはかなり難しいと感じていたのも事実です。ただ、本業に充てている時間を執筆に割くことができれば、ある程度の収入になると見込みが立ったタイミングがきたので、会社を退職する決意を固めました。

独立に向けた具体的な準備はどのようなものでしたか?

間宮さん:副業を始めて間もないころ、きちんと文章について学んでおこうと思いオンラインのライタースクールに通いました。また、それまで使用していたパソコンがさほどスペックの良いものではなかったので、より効率的にオンライン取材にも対応できるように、独立に合わせてパソコンを新調しました。

副業を始めてから学び始めるスタイルは間宮さんらしいですね。行動しながら足りないスキルを補強していくというか。

間宮さん:そうですね。学んだことがすぐに実践できるので、知識がより深く自分のものになりますし、効率的だったと思います。実際に学んだことが活きたのか、文章が読みやすい、わかりやすいと言っていただく機会は増えました。また、編集の方だけでなくクライアントさんからも「間宮さんが書いてくれた記事はわかりやすくい」とご評価いただくこともあって、自信にもつながりました。ライター冥利に尽きますね。

それは嬉しいですね。ちなみに独立後のお金の管理はどのようにされていますか?

間宮さん:今は自分で帳簿をつけて管理していますが、お金や会計に関してはまだまだ学ぶべきことは多いです。確定申告は一度自分で申告したことはあるんですが、手が回らない部分でもあるので税理士さんへの依頼や、『やよいの青色申告オンライン』や、クラウド請求書ソフト『MISOCA』などの利用も検討しています。

オンラインの時代だからこそ必須!取材ライターの心得とは。

これまでの経験で、ライターの仕事に役立っていると感じることはありますか?

間宮さん:特にコロナ禍におけるコミュニティでの交流経験が、オンライン取材に役立っていると感じます。Zoomを使ったコミュニケーションに慣れていたため、スムースに取材ライターのキャリアをスタートすることができました。

オンラインでのコミュニケーションでは、カメラにどう映ればいいのか、相手に安心感を与えるにはどうすればいいのか、といったことを体験として学びました。例えば、カメラに向けるべき目線の方向や、相手の発言に対するリアクションなどもその1つです。さらに、照明や服装、背景なども大切で、これらが相手に与える印象を大きく変えるんです。取材ライターを始めたばかりのころにつまずかなかったのは、こうした経験のおかげだと思いますね。

これまでの肌感覚として、ライターの世界には内向的な方が比較的多い印象があって、家で黙々と作業をするのが好きな方もいらっしゃるんです。一方で私はインタビュー相手と実際に会話をすることに対して抵抗がなく、むしろやりがいを感じています。ライター業は参入障壁が低いがゆえに副業でも始めやすいものの、その分差別化やブランディングが重要ですが、私は取材に特化することで、他のライターさんとの差別化を図っていこうと思っています。

とはいえ、取材ライターとして活動するにあたっては、さらなる差別化が必要だと思っています。時代の流れに乗り、注目されている分野に詳しいライターが強いでしょうね。例えば、起業や教育、地方創生など、これからの日本の成長に必要とされる分野です。私としても非常に関心の高い分野であり、そうした情報発信に携わりたい思いも強いので、これらの分野で実績を積んで、深く学んでいきたいと思っています。

「書く仕事」の先へ。自分らしいキャリアを描くための新しい挑戦。

今後の展望について教えていただけますか?

間宮さん:これまではありがたいことに知人からの紹介でさまざまな仕事をもらってきました。しかし今後は、自分の進みたい方向、自分が本当にやりたい分野の仕事を自分で探して取り組みたいんです。

特にこれまでのインタビュー経験を活かし、教育や地方創生、サステナブルなどの分野や、企業広報の領域に挑戦したいと思っています。そのために、広報活動に力を入れたいと考えている企業が集まるイベントに参加するなど、自分を積極的に売り込む経験を積んでいきたいですね。

すでにさらなるキャリアアップを見据えていらっしゃるんですね。

間宮さん:そうですね。フリーランスとしてスタートし、法人化したりチームを組んだりして成功している先輩ライターを見て、すごく刺激を受けています。サラリーマンをしていたころは「どうやったら自分の力で稼げるんだろう」と考えていましたが、今は「どうすればより大きなプロジェクトを手掛けられるか」と考えられるようになり、自分の中でマインドの変化を感じていますね。

これからのご活躍が楽しみです。最後に、これからWebライターを目指したいと考えている方へのアドバイスがあればぜひお願いします。

間宮さん:Webライターは初期投資が少なくリスクも低いので、文章を書くのが苦でなければ、ぜひ挑戦してみるといいと思います。実践を積みながら学ぶのが一番ですから、やりたいと思ったらまずは行動に移すことが大切です。ぜひ、一歩踏み出してみてほしいなと思います。

取材協力:創業手帳
インタビュアー:久保 晴

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