「TORYUMON TOKYO」受賞者に聞く!ブロックチェーンで広がる可能性を探る
2023/11/30更新
2023年7月22日、東京ミッドタウン日比谷で開催された日本最大級のU25向けスタートアップイベント「TORYUMON TOKYO」。ピッチコンテストで弥生賞を獲得したのは、Nextmerge(ネクストマージ)株式会社でした。ブロックチェーンを活用し、SNSで「推し活」ができるサービスを展開する同社は、今後もさらなる革新的なインフラシステムの構想を立てているといいます。共同創業者 COOの飯島 春樹さんに、展開する事業の概要や今後の展望、ピッチコンテストについてなど、幅広くお話を伺いました。
- ※ピッチコンテストには共同創業者でもう一人の代表取締役社長である杉田 真也さんが登壇されました。
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SNS上で投げ銭?「TIPWAVE」でできること
御社のサービス「TIPWAVE(チップウェーブ)」の概要を教えてください。
「TIPWAVE」は簡単にいえば、SNSなどのオンラインコミュニティ上で、商品の売買や投げ銭ができるサービスです。ブロックチェーンを活用することで、だれでもどこにいても「価値」をやり取りすることを可能にしました。ブロックチェーンと聞くと、暗号資産や投資などのキーワードを連想する方が多く、日本では特に警戒されてしまうこともあり、なかなか一般に浸透していません。しかし「TIPWAVE」は、日本独自のエンターテインメント分野を絡めることで、ブロックチェーン後進国である現状を打破できる可能性を大いに秘めたサービスといえます。
実績があれば教えてください。
投資家コミュニティに「TIPWAVE」を導入していただいた結果、会員どうしのコミュニケーションが活発になり、会員数も右肩上がりに増え続けています。定量値では測れませんが、ユーザーの口コミなどでご好評いただき、そのような結果につながっているのではないかと考えています。また、試作段階からベータ版(公開テスト)の開発を行い、1.4万人のユーザーが実際にトークン(代用貨幣)を受け取るなど、既に多くの方にご利用いただいています。
サービスのアイデアは何だったのでしょうか。
日本で浸透している電子マネーなどは、海外での支払いには使えないですよね。しかし、ブロックチェーン技術を活用すれば、インターネット上で安全に海外送金を行えると知り、技術として興味深いという印象を持ったのがきっかけです。
私は、前職でものづくりに携わっていました。
ブロックチェーンの普及により、通貨という「もの」がだれでも作れるようになると、競争が起きたり、発明が生まれたりするのではないかと考えました。
通貨もものづくりの領域に到達したと感じ、興味が湧きました。さらにSNS上でやり取りができたらおもしろいのではないかと考え、構想に至りました。
インフルエンサーマーケティングや、小規模な経済圏に役立つのではないかと思いついたのです。
ブロックチェーンを身近に!広がる可能性とは
なぜ起業しようと考えたのですか。
もともと、テクノロジーを活用してプロダクトを構想するTRUST SMITH(トラストスミス)株式会社が新規事業を立ち上げる際に分社化したので、1人で奮起して起業したというより、共同創業者である杉田と一緒に自然な流れで創業しました。私にとって起業はあくまでも手段の1つであって、目標ではありません。ゼロから立ち上げるという形にこだわらず、事業で本当に成し遂げたいもののために、最適な道筋を立てることが大切と考えています。
周囲にスタートアップの仲間たちもいたので、起業に関しても驚かれることなどはありませんでした。一方で、ブロックチェーン事業という技術的に新しい領域を選択したので、親や友人には事業内容を理解してもらうことが難しく、特に相談などはせず黙々と取り組みました。
御社の目指すビジョンを教えてください。
ブロックチェーン技術を活用した、「共通規格による経済の統合」の実現を目指しています。
現在の社会は、大小問わずさまざまなプラットフォームが存在し、共通でない価値基準のために、複雑な経済活動となっていますよね。また、データ社会となり、情報の改ざんなども多く見受けられます。ブロックチェーンは、暗号技術を用いて、改ざんすることが困難なデータ保存を実現しました。
そしてそのデータは、インターネット上でつながる世界ではどこでも統一されています。皆さんが最近耳にされるNFT(非代替性トークン)や暗号資産などのキーワードも、ブロックチェーン上で取り引きされるデジタルデータの一種を意味し、共通したデータベース(ブロックチェーン)での資産価値を持ちます。とはいえ、まだまだブロックチェーンは浸透しておらず、浸透させるためには、より身近に感じてもらえるようなサービスに組み込む必要があると考えています。
「TIPWAVE」もその一環としてリリースしました。
だれでも持っているSNSを利用するだけで、簡単にブロックチェーンを使うことができます。ブロックチェーンは、エンタメ領域でも力を発揮すると考えており、金融領域以外でも新しい価値を創造できると伝えたいですね。
従来の金融領域のみでの活用イメージを払拭し、幅広いジャンルにおいて安全かつ便利な経済圏を築いていきたいと考えています。
事業をするうえで必要なのは「ヒトを引きつける力」
事業を展開するうえで必要なスキルなどがあれば教えてください。
しいて言うなら、ヒトを引きつける力です。スタートアップ企業において、適切なタイミングで適切な人に会うことは、非常に重要だと考えています。そのためには、今回のピッチコンテストなどもそうですが、多くの人に会う機会を積極的に設けることも有効と感じています。
加えて、英語などの語学を身に付ければ、国内外問わず活動できるのでお勧めです。米国などは新技術に関する市場規模も大きく、サービスがグローバルであれば、資金調達の道も海外に目を向けることが必要です。
ソフトウェア関連の事業の展開を検討する場合は、例えばハッカソンなどの開発イベントに参加するなどが、有益な情報やつながりを得る足掛かりとなる場合も多いでしょう。人と会う回数を重ねるごとに、どのようにすれば相手を引きつけられるのかを学び、同時に、適したビジネスパートナーを見極められるようになるのではないでしょうか。
改めて、今回「ピッチコンテスト」に参加されていかがでしたか。
普段はピッチコンテストに挑戦することは少ないのですが、縁もあり参加させていただきました。
事前に海外のピッチを見て参考にし、杉田が登壇者として本番に挑みました。また、ブロックチェーンという特殊な分野の事業になるので、聴衆に理解していただけるかという点を重視し、専門用語のわかりやすい言い換えや伝え方などを2人で研究しました。
質疑応答では、ベンチャーキャピタルなどの投資家がどのような点に着目して事業の価値を判断されているのかなど、学ぶことも多かったです。
独自のソーシャルウォレット「TIPWAVE」でブロックチェーンを「みんな」が使えるように
これからの展望について教えてください。
掲げたビジョン実現のために、決済システムや仮想通貨ウォレットなどのインフラ構築を整えたいです。ブロックチェーンを駆使すれば、現在浸透している既存の決済システムに取って代わり、より効率的に画一的な経済活動が可能になります。
また、直近ではSNSのアカウントがあるだけで使えるソーシャルウォレット「TIPWAVE」のベータ版リリースも予定しています。
これまで以上にハードルを下げ、SNSアカウントと紐づいたウォレットを「、TIPWAVE」上で自動生成できるように設計しました。つまり、SNSアカウントを持っているすべてのユーザーが、ブロックチェーンを意識することなく、「NFTや暗号資産」を取り扱うことができるようになるのです。
近い将来は、「TIPWAVE」を活用した取り組みとして、アイドルやアーティスト、キャラクターIPなどのエンターテインメント業界との協業を目指しています。
人気のあるコンテンツを持つ業界が、ブロックチェーンを理解し活用することで、B to Cのマーケットにおいて、さらに多くのユーザーを獲得できるのではと考えています。
前例のない取り組みは大変ですが、継続すること自体に意味があり、やり続けなければ見えてこないものもあると捉えています。
私たちの事業内容を通して、新技術を自然な形で日常に活かし、皆さんの生活をより便利に変えていけると信じ、これからもまい進していきます。
Nextmerge株式会社
Nextmerge株式会社は、SNSアカウントがあるだけでログインできるウォレットや、SNS上でポイントやトークンを送付できる「TIPWAVE」を運営/開発しております。「ブロックチェーンの技術を利用し、経済を『共通の規格』で扱えるようにする」という理念の下、ブロックチェーン、ゼロ知識証明を主軸とした最先端技術を活用してブロックチェーン技術のマスアダプションを進めます。