「スマート証憑管理」で工数を減らす。会計事務所の仕事を試算表づくりから「考える仕事」へ

長きにわたり神奈川県横浜市で営んできた会計事務所を2003年10月に法人化し、新たなスタートを切った税理士法人ユナイテッドブレインズ様。
グループ会社として会計・税務・労務・法律各分野の専門家集団によるワンストップサービスのメリットを活かしつつ、税理士法人としては中小企業向けに、DXを活用した税務だけでなく、経営支援や資産税対策を含めた幅広く付加価値の高いサービスを、スピード感をもって提供しています。

そんな税理士法人ユナイテッドブレインズ様が、電子帳簿保存法・インボイス制度対応に弥生のサービスを選択された理由とは?中小企業の経営者が求めている経営分析や資金繰り対策をはじめとした財務コンサルティングなどの「考える仕事」を充実させるためにどうすればよいのか、日々感じていた課題を、電子帳簿保存法・インボイス制度対応を通じてどのように解決されたのかを伺いました。(2023年2月14日に行われたインタビューを元に執筆しています。)

どのようにインボイス制度に対応しているのか?

インボイス制度への対応によって、事務所の業務の進め方などへの影響や課題はありますか?

インボイス制度については、社内的に2022年9月末と11月末に2段階の期限を設定し、期限までにお客様のインボイス制度発行事業者登録を進めており、2022年末時点ですでに必要なお客様の9割程度は登録が完了しています。
現在、個人の確定申告を行いながら登録が必要なお客様の最終確認をしつつ、登録に関しては3月末に完了する予定です。

インボイス制度にどう対応していますか?

弊社としては、まずインボイス制度発行事業者登録に関するスケジューリングを明確にして、社内全体で共有しました。
また、お客様にそもそもインボイス制度とはどういうものなのか、制度が変わることで日常業務がどのように変化するのか、そのお客様にとってどのような選択肢が考えられるのかなどの個別事情を踏まえた内容を説明するため、オリジナルの資料を作成し、各担当者が必要な事項をもれなくお客様に説明できるような体制を整えました。

顧問先のインボイス制度対応のスケジュール・進め方はどう考えていますか?

お客様にとっては、自社が適格請求書発行事業者として登録すべきか否かということよりも外注先への対応が大きな課題になっています。特に、取引先に個人事業主などの免税事業者が多いお客様は、取引先の登録状況が会社の損益に大きな影響を及ぼします。
弊社も影響額を試算したり、担当者が定期的にコンタクトを取り、困ったことはすぐに相談できる環境を作るなど、お客様と一緒に最適解を考えながら進めてまいりました。

顧問先への周知方法、現在の取り組みの状況はいかがですか?

インボイス制度発行事業者登録については、2023年3月末までに必要な作業が完了する予定ですので、今後はインボイス制度の要件を満たした請求書などの発行や、領収書をインボイスで受け取ることの徹底など、実務的により細かい部分でお客様にアドバイスをすることも増えてくることが予想されます。
お客様の業種や取引先に応じたきめ細かな対応が求められますので、お客様の現場の声を会社全体で共有し、フィードバックできるような体制を整えていきたいと思っています。

どのように電子帳簿保存法に対応しているのか?

いつから今回の法令対応に取り組んでいますか?また、なぜ取り組み始めましたか?

弊社は、2022年に改正された電子帳簿保存法の中でも「スキャナ保存」については先進的に取り組んでいると思います。
弊社は、経営予測やアドバイスなどお客様の未来に向けた対策を考え、ご提供することを強みとしておりますが、実際の会計事務所業務は、売上伝票の入力作業など、所内の作業が非常に多いのが現実です。
弊社の損益上、入力など「作業」の工数を減らす必要性は、2010年代からずっと持ち続けていた課題でした。
そこで取り組みを始めたのが、会計情報のデータ化です。今では当たり前になりつつあるPOSレジやネットバンクなど、ネット上で取得できるデータをフル活用する取り組みは、かなり早い段階から進めていました。
その次の段階として、紙ベースの証憑書類をデータ化できないか?という新たな問題意識が生まれてきます。
複数のお客様から「紙の領収書は何年取っておけばいいんですか?」という質問をいただいたことも、紙の証憑書類のデータ化に取り組みをはじめるきっかけになりました。
しかし、当時のスキャナ保存はデバイスの性能や価格の問題、制度要件などから、中小企業では導入が難しい状況でした。
電子帳簿保存法では幅広い事業者が対象となることから、制度に対応した会計ソフトなどの開発が急速に進み、必要なデバイスやドライブも使い勝手や価格面で手の届くものになってきたことも追い風となり、ようやく紙ベースの証憑書類のデータ化という課題に本格的に取り組める、という手ごたえを感じています。
スキャナ保存に関しては、電子帳簿保存法の概要が少しずつ分かってきた前後から、証憑書類をスキャンした後の業務プロセスの組み立てや具体的な指針に対応できるデバイスの準備などに時間をかけてきました。
さらに弥生からも「スマート証憑管理」がリリースされ、具体的な業務プロセスや全てのお客様への周知などは2023年4月以降に進めていく予定です。

「スマート証憑管理」の詳細はこちら

顧問先の電子帳簿保存法対応のスケジュール・進め方はどう考えていますか?

あまり使うことのない過去の領収書や請求書などの紙証憑を何年も保存しておかなければいけないことに問題意識を持つお客様にとっては「スキャナ保存をすれば紙の領収書は捨ててよい」ということは願ってもないことでしたので、積極的に取り組まれる方が多いように思います。
一方で、機械は苦手というお客様もいらっしゃいますので、お客様にあわせてできるところから進めていくことになります。

例えば、パソコンはできないけれどスマホは持っているという方ならば、「スマホをうまく活用しませんか」といった観点から証憑書類の回収に繋げるといった感じで、お客様ごとに抵抗のない形を担当者が考えながらご提案しています。
スキャナ保存については社内での取り組みはかなり進んでいると思いますが、各担当者がお客様の個々の事情にあわせたご提案をしていくことが、スムーズに進めていく重要なポイントであることは間違いありません。

顧問先への周知方法、現在の取り組みの状況はいかがですか?

一部のお客様は先行しているものの、お客様全体への周知などは2023年4月以降、本格的に始める予定です。
特に電子取引データの保存については全ての事業者に対して求められますので、各担当者は、お客様の設備の状況、スマホやPCなどのデバイスの利用状況、経理の体制などに併せた提案ができるように準備を進めています。

その際に「電子帳簿保存法があるから対応してください」と100%の対応を強要するのではなく、お客様ごとに取り組みやすいところから少しずつ対応していただき、お客様の声を聴きながら一緒に考えていくことを大切にしたいと考えています。

弥生を活用したインボイス制度・電子帳簿保存法対応

今回の改正に対応していくソフトウェアとして、弥生を選んだ理由は何ですか?

弊社の顧問先は中小企業が中心です。弥生会計をはじめとする弥生シリーズは、中小企業をターゲットにした価格設定であることに加えて、「スマート証憑管理」やクラウド見積・納品・請求書サービス「Misoca」などの機能が充実しており、お客様に薦めやすく、お客様にも納得して導入していただけます。
また、ユーザー目線に立っていただいていることも非常に強く感じます。会計事務所の現場の声を直接聴いて改善していくのは、他のベンダーさんにはない大きな特長で、そうしたきめ細かな現場の声の吸い上げにより、デザイン的な面など細かい点でも使いやすい工夫がされていると思います。

弥生製品・サービスの活用方針を教えてください。

弥生は会計事務所の現場目線の意見を取り入れた製品設計をされるので、少しおこがましいですが一緒に創り上げていくような気持ちをもっています。制度改正への対応も早いので、なるべくソフトの機能をフル活用し、想定している業務フローを理解して、それに合わせて社内業務に取り組んでいくことが最も効率的なように思います。

弥生製品・サービスを導入したことにより、今後の展望は何かありますか?

弊社は、中小企業を税務・会計面から支えていくのが会計事務所の役割だと思っています。そのためには、会計事務所単体だけでなく、重要な業務ツールを提供してくれる弥生ともタッグを組んでいくことが重要です。
優れた業務ツールを活用することで、会計事務所の作業工数を減らし、その分をコンサルティングなどの「考える仕事」に振り分けることで、より付加価値の高いサービス提供を目指しています。

会計事務所へのメッセージ

弥生のサービスを使ってのインボイス制度・電子帳簿保存法対応を検討している会計事務所の皆様に向けて、メッセージをお願いします。

近年、他の会計事務所から弊社に顧問契約を切り替えていただくお客様から「以前の顧問税理士からは、経営のアドバイスが貰えなかった」と言われることがあります。こうした言葉を聞くと、会計事務所に求められているものは、従来の試算表づくりや税務申告のみならず、経営者に寄り添い、時に導くような役割も求められていることを実感します。

経営のアドバイスの基になるものが試算表や決算書などの数値です。経営のアドバイスが貰えないということには、慢性的な人材不足を背景に、会計事務所が試算表を作る「作業」に追われ、数字を見て考え、アドバイスする時間が十分に取れないことも一因かと思います。

記帳代行先であっても、会計事務所の作業工数を減らしながらスピード感をもって試算表を作成し、数字を見て「考える仕事」を増やすことによって、変化するお客様のニーズに応えていくことができるように感じます。
そのためには、弥生会計などの業務ツールの活用は非常に有効だと思います。

税理士法人ユナイテッドブレインズ

代表者
土屋 一郎
所在
神奈川県横浜市
設立
2003年
従業員数
30名

インボイス制度・電子帳簿保存法 顧問先対応のためのお役立ちガイド

法令改正に関する情報や弥生製品の対応ソリューション内容など、顧問先対応に活用できるお役立ち情報を掲載しています。

弥生株式会社 カスタマーセンター

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