会社役員とは?株式会社での種類や役割、契約形態について解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

役員は、会社の経営に携わる重要な役割を持つ人です。株式会社の場合、会社法によって取締役や監査役など役員の種類や役割が定められています。また、選任には一定の手続きが必要になりますし、給与(役員報酬)の決め方が従業員とは異なります。肩書に役員と付いても、会社法の役員ではないものもありますので注意が必要です。

これから起業する人は、会社を設立したら役員になるため、役員の種類や選任方法、報酬の決め方といった役員についての基礎知識を知っておきましょう。

ここでは、株式会社の役員の種類や役割の他、従業員と異なる契約形態や報酬についても解説します。

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会社役員とは経営や管理監督をする人

役員の役割は、主に会社の経営や管理監督を行うことです。会社法では、株式会社の役員を「取締役」「会計参与」「監査役」と定義しています。このうち、株式会社の設立時に必要不可欠なのが、取締役です。

株式会社では取締役を必ず1人以上、取締役会を設置する場合は3人以上置かなければならないと定められています。一方、会計参与や監査役は取締役会を設置しなければ置かなくても問題ありません。

株式会社の役員は株主総会の決議によって選任され、会社と委任契約を結びます。同様に、株主総会の決議によって任期途中で解任されることもありますので、役割を果たして成果を上げることが求められるでしょう。

株式会社の役員の種類と役割

株式会社において会社法上の役員である取締役、会計参与、監査役には、それぞれ異なる役割があります。会社の意思決定に関わる立場のため、責任の他に資格が必要な役員もありますので選任する際には注意しましょう。

株式会社の役員の種類と役割

  • 取締役は業務執行に関する意思決定を行う
  • 会計参与は会計書類を作成する
  • 監査役は取締役や会計参与の監査をする

取締役は業務執行に関する意思決定を行う

取締役の役割は、主に会社の業務遂行に関する意思決定を担い、経営方針や重要事項に関する決定することです。会社全体の業務について責任を負う立場となります。取締役が複数いる場合は、会社の最高責任者である、代表取締役を取締役の中から選任することも可能です。

取締役の任期は原則として2年です。ただし、株式を譲渡するときに株主総会か取締役会で許可を得なければいけない株式譲渡制限会社では、最長10年まで延長することができます。なお、取締役の任期が満了したときに同じ方が再び選任された場合は、重任登記(任期満了した役員を引き続き就任させること)の手続きが必要です。1人社長といった取締役が1人の場合は重任登記の手続きを忘れないように気をつけましょう。

※取締役の役割や責任の範囲について以下の記事を併せてご覧ください

会計参与は会計書類を作成する

会計参与は、会計に関する専門の役員です。会計参与になれるのは、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人に限られます。顧問税理士を会計参与に選任することも可能です。会計参与は他の役員とは独立した立場で、取締役と共同で貸借対照表をはじめとした会計書類を作成し、会社とは別に備え置く義務があります。

また、会計参与の役割として株主総会で説明を行ったり、株主や債権者の求めに応じて計算関係書類を開示したりすることも挙げられます。任期については取締役と同様ですので、任期満了後に同じ方が選任された場合、重任登記の手続きを行ってください。

監査役は取締役や会計参与の監査をする

監査役は、取締役や会計参与の業務執行が適正に行われているかを監査する役員です。一般的には、取締役の職務の執行を監査する業務監査と計算書類などの監査を行う会計監査の権限を持っています。監査役が取締役や監査役の職務執行を監査することによって、企業が健全に持続的な成長を遂げ、社会的な信頼に応えられる企業統治体制を確立できるようにする役割があります。

なお、定款で定めることによって会計監査権限のみに限定することも可能です。
また、監査役の任期は原則として4年で、株式譲渡制限会社では最長10年まで延長することができます。取締役や会計参与と同様に任期満了後の重任登記の手続きを行うようにしましょう。

みなし役員や執行役員は会社法では役員ではない

役職に役員と付くものに、「執行役員」や「みなし役員」があります。執行役員とは、取締役が決定した事業方針に従って業務を遂行する事業運営の責任者のことです。役員と付いていますが、会社法上の役員には含まれず、基本的に従業員と同じです。

みなし役員とは、役員として登記はされていないものの、実質的に役員と同じ扱いを受けているとみなされ、税法上は役員とされる役職のことです。「会社の経営に従事している」「株式所有割合が一定以上」などの要件に該当するとみなし役員と判断され、会社から受け取る給与も役員報酬として税法上の制限を受けるため、要件を確認しておきましょう。

なお、会社法において役員等という場合は、取締役、会計参与、監査役に加えて執行役と会計監査人が含まれます。執行役は、株式会社のうち「指名委員会等設置会社」に設置される機関です。指名委員会等設置会社では、取締役は業務執行を行わず、執行役が業務執行の決定を行います。

また、会計監査人とは会社の会計監査を行う機関で、公認会計士または監査法人しか就任できません。会計監査人は、指名委員会等設置会社や会社法上の大会社に当たる場合は設置する義務がありますので、設置に関する条件に注意してください。

役員と従業員の違いは契約形態

役員と従業員の違いは、役割の他に会社との契約形態が挙げられます。役員は株主総会の決議を経て選任され、会社からの委任を受けて就任します。会社と役員の関係性は委任契約となり、両者の間に主従関係はありません。会社から業務上の指揮命令を受けず、業務遂行にあたっては裁量が認められます。また、会社に対する善管注意義務や忠実義務があり、これらの義務に反して会社に損害を与えた場合は損害賠償責任を負う可能性があります。

一方、会社と従業員との関係性は雇用契約です。会社(雇用する側)と従業員(雇用される側)の間には主従関係があり、従業員には労働基準法や就業規則などが適用されます。株主総会の決議によって解任が可能な役員とは異なり、正当な理由なく従業員を解雇することはできません。

役員報酬と従業員の給与の違い

役員報酬と従業員の給与の違いは、決め方や条件です。役員報酬は、基本的に年度を通じて金額が一定であり、増額または減額する際には株主総会で決議する必要があります。一方、従業員の給与は役員報酬のように決議の必要がなく、会社で決めることができます。

また、従業員の給与は原則として利益から差し引ける損金として全額を計上できますが、役員報酬を損金に計上するためには一定のルールを守らなければなりません。具体的には、役員報酬の金額を決める時期や役員報酬の支払方法などの要件が定められています。要件を満たさなければ、役員報酬を損金に計上することはできません。

※役員報酬の決め方や注意点については以下の記事を併せてご覧ください

株式会社は役員1人でも設立できる

2006年の会社法施行によって取締役会の設置が任意となり、現在は取締役1人でも株式会社を設立できます。ただし、取締役会を設置するのであれば、従来と同様に取締役3人と監査役1人という計4人以上の役員が必要です。

1人社長の会社を設立する場合は、1人で株主と取締役を兼任するケースも少なくありません。取締役が1人の会社では、その取締役が代表取締役になります。

また、株式会社の設立時に取締役を複数人選任することもできますが、意見の相違によって会社の業務執行に支障をきたす可能性があります。役員の解任は株主総会での決議や変更登記が必要で、トラブルが起これば、事業継続に影響がでるかもしれません。そのため、取締役が複数人いる場合は任期を短くしたり、役割を明確に分けておいたりして、将来的なリスクを防ぐようにしましょう。

役員も社会保険に加入する

1人社長の会社の役員でも会社から役員報酬が支払われているなら、従業員と同様に社会保険(厚生年金保険、健康保険および介護保険)への加入義務があります。役員報酬がない場合は、社会保険への加入義務はありません。また、役員報酬の金額が社会保険料の最低額を下回るような場合は、社会保険に加入できない可能性があります。

広義の社会保険に含まれる労働保険(労災保険、雇用保険)は労働者の保護を目的とした制度なので、労働者ではない役員は適用対象外です。ただし、労災保険については特定の要件を満たした場合に限り、役員も加入が可能な特別加入制度があります。労災保険の特別加入制度では「中小事業主等」「一人親方等」「特定作業従事者」「海外派遣者」が加入することができ、それぞれに加入要件が定められています。特別加入制度については厚生労働省のWebサイト「加入制度のしおり(中小事業主等用)新規タブで開く」を参考にしてみてください。

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会社設立の際には役員と従業員の違いを理解しておこう

会社法上で定義されている役員は、取締役、会計参与、監査役です。このうち取締役は株式会社に必ず1人以上置かなければなりません。1人で株式会社を設立する場合は、自身が株主と取締役を兼ねることも可能です。会社と委任契約を結ぶ役員は、従業員とは役割も給与などさまざまな違いがあります。

これから会社を設立する方は、役員の選任や役員報酬を決めるといった重要な業務に集中できるよう、設立手続きでは「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」のようなサービスを活用してスムースに進めましょう。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

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