ネットショップの始め方は?個人で開業する手順と注意点を解説
監修者:森 健太郎(税理士)
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ECサイト市場は拡大傾向にあり、近年ではネットショップを手軽に開業できるサービスも登場しています。ショップ開設が手軽になったものの、準備を行わずに進めてしまうと利益を確保することが難しいので注意が必要です。
商品の準備や設定だけでなく、開業手続きに必要な準備や流れを知っておくことで、利益を確保したスムースな事業運営を行うことにつながります。ここでは、ネットショップの開業までを6つのステップに分け、開業にあたって必要な手続きや注意点について解説します。
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ネットショップを開業するまでの流れ
ネットショップは、実店舗のような物件探しや内装工事などは必要ありませんが、ネットショップだからこそ準備しなくてはいけないこともあります。ネットショップ開業までには、主に以下のステップがあります。
ネットショップ開業までの流れ
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STEP1.
ネットショップを開業する理由や目的を明確にする
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STEP2.
コンセプトや出店方法を決める
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STEP3.
事業計画を立て、資金を集める
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STEP4.
商品に必要な許認可申請を行う
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STEP5.
商品や梱包資材を準備し、撮影する
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STEP6.
ネットショップを制作し、オープンさせる
STEP1. ネットショップを開業する理由や目的を明確にする
ネットショップの開業は、ショップの開設以外に商品の仕入れやサイト制作、在庫や資金の管理、問い合わせ対応などが必要です。一人で開業する場合は全て自分で行わなければならないため、働き方やライフスタイルが変わるかもしれません。思い付きだけで開業してしまうとモチベーションが続かない可能性もあります。
また、事業を続けていくためには、ネットショップを開業する理由や目的を明確にしておくことが大切です。「ネットショップを開業して自分はどうなりたいのか」を自問自答し、開業後の姿を具体的にイメージしてみましょう。
STEP2. コンセプトや出店方法を決める
一口にネットショップといっても、ショップのコンセプトや販売する商品、価格、ターゲット層などはさまざまです。例えば、仕入れた商品を販売する、手作り品を販売する、オーダーメイドの受注生産にするなど、どのように商品を売るのかによってもショップの方向性は変わります。数あるネットショップの中から自分のショップを選んでもらうようにするには、他者との差別化を図り、ショップのコンセプトを固めることが重要です。
コンセプトを決める際には、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という「5W1H」で考えると、自分の商品のオリジナリティーや魅力を明確にするのに役立つでしょう。また、事業計画を立てる際には、ショップ開設後の運用や仕入れのことなどを考え、実現可能な小さい規模から始めることがポイントです。
また、出店方法は以下のようにモール型ネットショップ、ASP型ネットショップ、自分で一から制作するネットショップの主に3つあります。
ショップの種類 | 例 | 詳細 |
---|---|---|
モール型ネットショップ | 楽天市場、Amazonなど | 出店料やロイヤリティなどが発生するものの、商品を準備し、必要な情報を登録すれば、開設できる。知名度の高さから集客のチャンスがある |
ASP型ネットショップ | BASE(ベイス)STORES(ストアーズ)、Shopify(ショッピファイ)など | ネットショップの基本的な機能は揃っているため、商品を準備し、必要な情報を登録すれば、開設できる。基本的に集客は自分で行う必要がある |
自分でネットショップを一から制作 | ブランド自社のショップなど | 自由度が高く、カスタマイズしやすいものの、費用がかさみ、時間もかかる可能性がある。集客も自分で行う必要がある |
最初から1つに絞るのではなく、組み合わせたり、ゆくゆくは成果が出やすいショップに絞っていったりすることが一般的です。
STEP3. 事業計画を立て、資金を集める
事業計画は、開業して事業をどのように行い、収益をどのように上げていくかを具体的にまとめたものです。ネットショップの場合、出店方法や商品の仕入れ、ショップのコンセプトなどを事業計画に反映します。ネットショップ開業にかかる費用は、以下のようなものが挙げられます。
ネットショップにかかる主な費用
- パソコンやスマートフォン、プリンタ、カメラなどの機材費
- インターネット通信費
- ドメイン取得費
- 受注・管理システム運用費
- 商品の仕入れ代や製作費
- 在庫保管費
- 梱包資材費
- 許認可申請費
- 宣伝費
- ロゴデザイン費
- 人件費
ネットショップの種類や商品によってかかる費用は異なります。例えば、モール型ネットショップやASP型ネットショップのシステムを利用する際、初期費用は0~数千円で、月額費用として販売手数料が数千円~数十万円程度かかるのに対し、自分で一からネットショップを制作する場合の初期費用は少なくとも数十万円、規模によっては数百万~数千万円単位となるだけでなく、システム運用のために月額費用として数十万円程度かかります。また、ネットショップのシステム以外に、商品の仕入れ代や制作するための設備費、人件費はネットショップオープン後も毎月かかる費用としてみておかなくてはなりません。
開業後しばらくは、思うように売上が立たない可能性があるため、資金がショートしないように、開業資金は初期費用と運転資金の6か月分を目安に準備するといいでしょう。
なお、資金調達をする際は、資金調達手段を探したり、資金調達に欠かせない知識を学んだり、資金調達の専門家の紹介を受けたりすることができる、弥生の「資金調達ナビ」の活用がおすすめです。資金調達に必要な事業計画書の作成も、資金調達ナビの「創業計画をつくる」なら、Web上で質問に答えていくだけでかんたんに事業計画書の作成ができます。
- ※開業資金や資金調達方法については以下の記事を併せてご覧ください
STEP4. 商品に必要な許認可申請を行う
ネットショップで取り扱う商品によっては、許認可の申請や記載が必要な表記などがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。例えば、許認可が必要なケースの例としては以下が挙げられます。
ジャンル | 必要な許認可 | 商品 |
---|---|---|
食品 | 食品衛生責任者 | 食品関係の営業を行う場合 |
食品衛生法に基づく営業許可証 | 商品の加工を行う場合 | |
お酒 | 通信販売酒類小売業免許 | お酒、みりんなど |
中古品 | 古物商許可 | 美術品類、衣類、書籍類、宝飾品類、道具類、金券類など |
化粧品 |
化粧品製造販売業許可 化粧品製造業許可 |
化粧水、乳液、クリーム、石鹸、メイク用品 |
STEP5. 商品や梱包資材を準備し、撮影する
ネットショップで販売する商品を準備する際に、商品の仕入れ先については品質や納期、最少ロットなどを確認しておきましょう。ハンドメイド品を販売する場合は、材料を準備するとともに、ショップ開業に合わせて製作を進めなければなりません。
また、商品の撮影も行うだけでなく、段ボールや緩衝材など、商品を発送するための梱包資材も併せて用意します。配送会社によって荷物のサイズや料金が異なるため、どの配送会社にするかも決めたうえで梱包資材の制作をするようにします。
なお、在庫も課税対象となるため、作りすぎや仕入れすぎには注意が必要です。
STEP6. ネットショップを制作し、オープンさせる
ネットショップを制作し、商品や必要な情報の登録を行います。モール型ネットショップやASP型ネットショップの場合、出店申込をしてからアカウントの開設まで約2週間~1か月ほどかかることもありますので余裕を持って行うようにしましょう。
また、ネットショップの使い勝手が悪かったり、商品発送までが長かったりするとクレームや顧客離れにつながります。商品購入から発送までの流れがスムースにできるよう、商品注文後の入金や完了メールの配信などを管理する受注管理システムの挙動などをオープン前にテストすることが大切です。さらにどの出店方法でも、売上を立てるには集客が欠かせませんので、SNSや広告などの宣伝を継続して行います。
ネットショップのオープンに合わせて事業用の銀行口座を開設しておくと、プライベートのお金と区別しやすく、収支管理や確定申告などの際に役立ちます。開業届を提出するときに屋号を届け出ておくと、屋号で銀行口座を作ることが可能です。
ネットショップを作る際の注意点
ネットショップを開業する際には、必要な表記や税金など、いくつか注意点があります。ネットショップを開業する前に、特に以下のポイントを確認しておきましょう。
特定商取引法に基づく表記の記載が必要
ネットショップで商品を販売する場合は、特定商取引法が適用されます。特定商取引法では、販売価格や送料、支払い方法、商品の引き渡し時期、申込期間(期限がある場合)、申し込みの撤回・解除に関することなど、ネットショップで表示すべき事項が定められています。詳しい表示方法などは消費者庁の「特定商取引法ガイド」を参照し、必要な記載が漏れないように注意しましょう。
開業形態を決めて手続きを行う必要がある
ネットショップを開くには、個人事業主として開業する方法と、法人として会社を設立する方法があります。それぞれ必要な手続きが異なるので注意しましょう。例えば、個人事業主として開業する場合は、納税地を所轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出します。
また、確定申告を青色申告で行えば、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるだけでなく、赤字を3年間繰り越せる、経費の幅が広がるなど、さまざまな節税メリットがあります。そのためには、「所得税の青色申告承認申請書」の提出も必要です。
自分で確定申告を行う必要がある
個人事業主として開業した場合は、年間の合計所得が48万円(基礎控除額)を超えたら確定申告を行う必要があります。また、会社員などの給与所得者で2か所以上から収入がある場合は、副業による年間所得が1月1日から12月31日までの1年間に20万円を超えたら確定申告が必要です。
なお、所得は収入とは異なり、収入から必要経緯費を差し引いた額のことを指します。
オープン後の商品管理や収支管理、問い合わせ対応を行う
ネットショップを開業しても、商品を購入してもらわなければ売上は立ちません。大切なのは、開業後の集客をはじめ、受注や在庫の管理、迅速な発送、誠意ある問い合わせ対応といった日々の運営業務です。また、資金繰りなどの管理も欠かせません。
ショップ運営を安定的に行うには、実店舗同様にユーザーが訪れていることを意識し、常にユーザー目線で改善を重ねていくことが大切です。例えば、受注履歴や会計ソフトなどを使って日々のデータを記録し確認することで、ユーザーの傾向がわかり、マーケティング施策に役立てられるかもしれません。
海外からの仕入れは関税と輸入消費税がかかる
ネットショップで販売する商品を海外から仕入れた場合は、関税と輸入消費税などがかかります。また、輸入申告など必要な手続きがありますので、課税対象や受け取りの手続きを税関のWebサイトなどで確認しておきましょう。
開業手続きを手軽に行う方法
ネットショップを開業するには、個人事業主として開業する他、法人として会社を設立する方法もあります。個人事業主と法人では、必要な手続きが異なります。個人、法人のいずれの場合も、開業や設立手続きをかんたんにするには、以下のようなクラウドサービスの利用がおすすめです。
個人事業主の開業手続きを手軽に行いたい場合
個人事業主として開業する場合は、「弥生のかんたん開業届」を使えば、画面の案内に従って操作するだけで「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)などの必要書類の作成ができます。また、クラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」を使えば、簿記や会計の知識がなくても、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たした青色申告の必要書類がかんたんに作成できます。
開業後はお店の運営の他に、会計業務などお金の管理を自分で行うことが必要になるため、開業のタイミングで会計ソフトや確定申告ソフトなどを導入しておくのがおすすめです。
会社設立時の手続きを手軽に行いたい場合
会社を設立して事業を行う場合は、定款の作成や法務局での登記申請だけでなく、資本金や役員報酬の額を決める必要があり、個人事業主として開業するよりも多くの手続きを行わなければなりません。
会社設立の手続きを手軽にしたい場合は、起業に強い専門家に会社設立手続きを依頼できる「弥生の設立お任せサービス」と、自分でかんたんに書類作成ができる「弥生のかんたん会社設立」がおすすめです。どちらもサービスの利用料金は無料ですが、定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。
さらに、会社の場合は、クラウド型会計ソフト「弥生会計オンライン」で、日々の帳簿付けから決算資料の作成まで効率良く行うことができます。会社設立直後に必要なツールや環境が揃えられるパッケージ「起業・開業応援パック」も活用すれば、事業開始がさらにスムースに行えるでしょう。
開業は流れに沿ってスムースに進めよう
ネットショップは、実店舗のように物件を準備する必要はありませんが、出店方法を決め、商品の準備や開業の手続きなどが必要です。また、ネットショップをオープンした後の集客やユーザー目線を意識した運営も必要となります。自分一人で開業するなら、ネットショップの開設や商品の準備の他、開業手続きも全て自分で行わなければなりません。
手間を減らして、スムースな開業を目指すなら、「弥生のかんたん開業届」などのクラウドサービスの活用がおすすめです。ネットショップ開業の手続きの流れや注意点を把握して、開業準備を進めましょう。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。