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個人事業主の事業承継の手続きの流れとは?

2024/04/25更新

この記事の著者飛渡 貴之(弁護士)

この記事の著者椛島 慶祐(司法書士)

個人事業主の事業承継とは

個人事業主の事業承継とは、株式会社などの法人形態ではなく、個人が主体となって事業を営む者に関する事業承継のことです。

法人とは異なり「経営権及び財産権」が個人事業主であるオーナーに属しているため、個人事業主であるオーナーが所有する事業に必要な資産(事業用資産)を後継者に譲渡する必要があるという特徴があります。

個人事業主が事業承継する際の手続き

個人事業主が事業承継する手続きの流れを解説します。個人事業主の事業承継の場合、法人が事業承継する流れとは異なることに注意をしましょう。法人が事業承継をする場合は、株式や社長の座などを後継者に譲渡することで手続き上は完了しますが、個人事業主の場合は、現経営者は廃業届を管轄する税務署に提出し、後継者は開業届を管轄する税務署に届出る必要があります。よって、手続き上では現経営者から事業を引継ぐというよりも、後継者が新しく開業をする。というイメージをもった方がわかりやすいかもしれません。

個人事業主の事業承継の方法については下記の記事を参考にしてください。

個人事業主の事業承継の方法は?引き継ぐべき資産も解説

事業承継手続きの流れ

個人事業主の事業承継では一般的に下記の手続きが必要となります。

  • 廃業届出書の提出
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出
  • 事業廃止届出書の提出
  • 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出
  • 開業届の提出
  • 所得税の青色申告承認申請書の提出
  • 青色事業専従者給与に関する届出書の提出
  • 消費税課税事業者選択届出書の提出
  • 消費税簡易課税制度選択届出書の提出
  • 許認可関係の手続き
  • 従業員・取引先の引き継ぎ

これらの手続きについて、もう少し詳しく説明します。

現経営者が行うべき手続き

①廃業届出書の提出

現経営者が事業所を管轄している税務署に提出します。
事業を廃止してから1か月以内に届出る必要があります。

②所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出

現経営者が青色申告をしている場合には、廃業届出書の提出と一緒に青色申告の取りやめ届出書も提出する必要があります。提出先は廃業届出書と同じく事業所を管轄している税務署です。

③事業廃止届出書の提出

現経営者が消費税の課税事業者である場合には、上記の書類とともに事業所を管轄している税務署に提出する必要があります。なお、現経営者が消費税免税事業者である場合には本届出書きは提出する必要はありません。

④所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出

一定の所得税額を超えている場合は、予定納税がされています。事業承継によって現経営者が廃業をする場合には、予定納税を下回る所得税となる可能性があります。その際に予定納税額を減額してもらう際にこの書類を管轄している税務署に提出する必要があります。なお、この申請は期限が決まっており、第1期、第2期分は同年の7月1日~7月15日の間、第2期分のみの場合に関しては同年の11月1日~11月15日の間となっています。

後継者が行うべき手続き

⑤開業届の提出

冒頭に記載したとおり、事業承継と言っても、後継者は手続き上では新しく開業をする形となりますので、管轄の税務署に開業届を提出します。事業を引継いだ日から1か月以内に行う必要があります。

⑥所得税の青色申告承認申請書の提出

確定申告で青色申告を行う場合はこの書類を管轄の税務署に提出する必要があります。
提出期限は開業届よりも長い2か月以内ですが、これを失念してしまうとその年の確定申告を青色申告で行うことができなくなってしまいますので、開業届と同じタイミングで提出することをおすすめします。

⑦青色事業専従者給与に関する届出書の提出

事業に携わっている家族に対する報酬として支払った額を青色申告者の所得から控除するために提出するものです。白色申告の場合、配偶者およびその他の親族で控除できる額がそれぞれ決まっていますが、青色申告専従者給与はその金額が決められていないため、報酬額は妥当性を持たせたうえで自由に設定することができます。

なお、「弥生のかんたん開業届」を使えば、画面の案内に従って操作するだけで
開業届や所得税の青色申告承認申請書など、無料で開業に必要な書類の作成ができます。

⑧消費税課税事業者選択届出書の提出

消費税の免税事業者になることを選択するための書類です。事業承継を行い、年間の課税売上が1000万円以下になる場合に提出すべき書類となります。

⑨消費税簡易課税制度選択届出書の提出

消費税の納税額に関して、売上から簡単に算出することが認められる制度を選択する場合に提出すべき書類です。

現経営者および後継者ともに行う必要がある手続き

⑩許認可関係の手続き

法人の事業承継と違い、許認可に関しても現経営者は個人として廃業届を後継者は新規取得を行う必要があります。なお、許認可によっては手続きに時間がかかるものもあるので注意が必要です。よって、承継する事業に関して何か許認可をもって営業をしているのかなどを事前に調べておくとよいでしょう。

⑪従業員・取引先の引き継ぎ

従業員・取引先の引き継ぎもとても大事な手続きです。事業承継をすると決めた後に少しずつ従業員や取引先に後継者に事業を譲る旨の説明はすることになるかと思いますが、個人事業主として事業を行っている場合は、従業員・取引先もその人個人に付いてきていることも少なくありません。よって、現経営者が後継者に承継することをきちんと説明して、後継者が承継後にもスムーズに事業を行っていける土台を作ってあげることも重要な手続きのひとつとなります。

まとめ

本稿では、個人事業主が事業承継をする際の流れについて解説しました。ここでは一般的に必要となるであろう内容を記載しましたが、その中だけでも単なる手続きで済むものと時間をかけて取り組むべきものとさまざまあります。事業承継は将来的に必ず必要となる手続きですので、まだ先の事だと考えずに、時間がある間にどのように承継していこうか承継方法など含めて少しずつ考えていくことが大切です。

この記事の著者飛渡 貴之(弁護士)

弁護士法人キャストグローバル代表弁護士。滋賀県生まれ、関西大学総合情報学部卒業後、パチプロをしていたことで、パチンコメーカーに就職し、新商品の企画開発に5年間携わる。
勤務中、土地家屋調査士の資格を取得し、独立を目指し司法書士の勉強を始め、退社後、合格。司法書士業務をするも、より質の高い法的サービスを提供したいとの思いから、弁護士を志す。
一般企業での会社員経験と定期的に国内外の優良企業を視察して得られた知識経験を生かしたコンサルタント色のある提案が多くの企業に喜ばれて、多数の企業を顧問に持つ。

この記事の著者椛島 慶祐(司法書士)

司法書士法人キャストグローバル在籍。福岡県生まれ。日本大学法学部法律学科卒業後、2014年司法書士試験合格。
2015年司法書士登録し、司法書士法人キャストグローバルに入社以来「企業法務、法務支援」に特化して創業者や中小事業、大企業の法務手続きを精力的に支援。これまでに500社以上の登記手続きやコンサルティングの実績がある、中小企業から大企業まで取引先は多岐に渡る。

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