起業家とは?実業家や経営者との違いや向いている人の特徴を簡単に解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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起業家とは自ら事業を起こす人のことですが、事業を始める人や企業を経営している人がすべて起業家になるわけではありません。
では、起業家とは、具体的にどのような人を指すのでしょうか。また、起業家として成功するには、どのような準備が必要なのでしょうか。
本記事では、起業家の意味や実業家・経営者などとの違い、起業家向きの人に共通する特徴と共に、起業家になるための第一歩の踏み出し方についても解説します。
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起業家とは新しい事業を起ち上げ運営する人
起業家とは、自分で新しい事業を起ち上げ、運営していく人のことです。英語では「entrepreneur(アントレプレナー)」といいます。
一口に「自ら事業を起こす」といっても、その背景はさまざまです。
日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度起業と起業意識に関する調査」によると、起業動機の上位には「自由に仕事がしたかった」(52.7%)、「収入を増やしたかった」(35.6%)、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(15.2%)などがあがっています。
ただし、単に自分で事業を立ち上げる人のすべてを起業家というわけではなく、一般的に起業家とは、世の中になかったような新しいビジネスを起ち上げる人や、0から1を生み出す人と言えるでしょう。
なお、起業家と混同されやすい肩書として、「企業家」「実業家」「事業家」「経営者」などがあげられます。それぞれの意味の違いは、以下のとおりです。
企業家と起業家の違い
企業家とは、企業の経営に携わり、組織の運営や成長を担う人のことです。企業の経営資源を活用しながら、新商品やサービスの展開、市場の拡大などを通じて、企業をより発展させることを目指します。
それに対して、起業家はゼロから事業を立ち上げる人であり、新しいビジネスの創出や未開拓のニーズに応えることを重視するという違いがあります。
実業家と起業家の違い
実業家とは「実業」を営む人のことです。「実業」は事業よりも範囲が狭く、主に生産や流通、販売にかかわる事業活動を指します。
その一方で、起業家の場合は、営む業種が限定されることはありません。業種を問わず、自ら新しい事業を創出する人は起業家と呼ばれます。
事業家と起業家の違い
事業家とは、すでに存在する事業を軌道に乗せ、成長させてきた人のことを指すのが一般的です。例えば、小規模からスタートした事業を大きなビジネスへ発展させたり、複数の事業を多角的に展開したりするような人は、事業家と呼ばれます。
起業家が0から1を生み出すのに対して、1を10や100に育て上げる力を持つのが事業家の特徴です。
経営者と起業家の違い
経営者とは、会社を経営する人のことです。自分で設立した会社を経営している場合もあれば、家業を継いだり、他人が立ち上げた会社を引き継いだりするケースもあります。また、フランチャイズのオーナーなども経営者に含まれます。
それに対して、起業家とは、自分で新たに事業を立ち上げる人のことです。起業家は経営者であることも多いですが、すべての経営者が起業家というわけではありません。
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シリアルアントレプレナー(連続起業家)とは連続で複数の新規事業を起ち上げる人
「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」とは、複数の新規事業を次々と起ち上げる起業家のことです。
また、一度起業して終わりではなく、起ち上げた事業を成長させてから売却し、その利益や得られた経験を活かして次の事業を起こす、というサイクルを繰り返していくのが特徴です。こうした起業家は、起業の経験値が高く、ビジネスの立ち上げに特化した「起業のプロ」のような存在と言えるでしょう。
特に、アメリカなどの起業文化が根付いている国では、多くのシリアルアントレプレナーが生まれています。日本では、海外に比べればまだ数は少ないものの、近年注目が高まっている肩書です。シリアルアントレプレナーの台頭は、スタートアップ企業育成の効率化にもつながると考えられています。
なお、最近では、シリアルアントレプレナーと似たような名前の肩書ですが、シリアルアントレプレナーのように起ち上げて売却するというサイクルを繰り返すのではなく、複数の事業を同時に起ち上げて起業する「パラレルアントレプレナー(並行起業家)」と呼ばれる起業家も生まれています。
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起業家向きの人に共通する特徴
起業家に向いている人には、共通する特徴があると言われます。
中小企業庁が公表している「2023年版 中小企業白書」によると、「経営者が創業時に身に付けていた能力や強み」として多いものは、以下のとおりです。
経営者が創業時に身に付けていた能力や強み
| 項目 | 「持っている」と回答した割合 |
|---|---|
| 業界に関する知識・経験 | 79.3% |
| リーダーシップ | 76.8% |
| 製品・サービスなどの知識、企画・開発の能⼒ | 64.5% |
| 組織や従業員の管理能⼒ | 63.8% |
| 事業計画の策定能⼒ | 55.3% |
| 従業員の育成能⼒ | 55.0% |
| マーケティング能⼒ | 52.3% |
| 経営について相談できるネットワーク | 50.5% |
上記の項目は、創業時に、半数以上の経営者が共通して身に付けていた強みです。これらの結果を基に考えると、次のようなタイプの人が起業家に向いていると言えるでしょう。
事業を進める行動力と決断力がある
起業家にとっては、アイデアを持つだけでなく、それを形にする行動力が不可欠です。
実際の事業は、市場調査、資金調達、商品開発など、多くの行動と判断の連続と言えます。スピーディーに決断し、計画を実行に移す力に加えて、結果を見ながら臨機応変に対応する柔軟性も重要になるでしょう。
特に、周囲に頼れる人が少ない創業初期においては、自分で物事を決断して実行するリーダーシップが求められます。
事業で解決したい課題がある
「困っている人を助けたい」「世の中をより便利にしたい」など、事業をとおして実現したい目的や信念がある人は、困難に直面してもぶれずに前へ進みやすいものです。
起業は単にお金を稼ぐ手段ではなく、何らかの社会的・経済的課題を解決する方法でもあります。明確な課題意識を持ち、それに対する解決策をビジネスとして成立させることが、継続的に価値を提供するための土台となるでしょう。
社会との接点を意識した起業は、世間の人々からの共感や支援も得やすくなります。
好奇心旺盛で柔軟に考えられる
好奇心旺盛な人は、最新の技術やトレンドに敏感で、それが新しい発想を生み出す原動力となります。
ビジネスの世界では、常に新しい情報や変化に対応することが求められます。好奇心旺盛なタイプであれば、世の中のニーズも的確にキャッチしやすいでしょう。
また、固定観念にとらわれず柔軟に考えられることは、事業の方向転換や改善の判断にも重要です。
例えば、思ったよりも売上が伸びなかった場合でも、原因を探り、複数の視点から対策を考えられる柔軟性があれば、より効果的な改善策を打てるはずです。
忍耐強く、失敗してもすぐにあきらめない
失敗してもすぐにあきらめない忍耐強さは、起業家に欠かせない資質の1つです。
起業の過程では、事業が思うように進まなかったり、資金が不足したり、協力者が得られなかったりと、さまざまな壁に直面します。そのたびに落ち込み、あきらめてしまうようでは、事業継続は難しいでしょう。
重要なのは、失敗を前向きにとらえ、原因を分析して次に活かす姿勢です。短期的な成功にとらわれず、地道な努力と改善を続ける忍耐力が求められます。
仕事に対する責任感が強い
会社経営では、小さなミスや遅れも自分や会社の信用を損なうことにつながるため、責任感が強く、物事をやり切る力が必要とされます。起業家は、自分が起ち上げた事業について、最終的な責任も負う立場です。
また、困難な状況にあっても逃げずに対処する覚悟があることは、社内外からの信頼も獲得しやすくなります。何か問題が起こった際に自分に責任があると考える「自責思考型」の人は、起業家に向いていると言えるでしょう。
リスクを不安に思わず挑戦できる
起業にはリスクがつきものなので、こうしたリスクを過剰におそれるのではなく、冷静に見極めながら、前向きに挑戦を楽しめる人が起業家に向いています。
どれほど綿密な計画を立てても、実際にビジネスが成功するかどうかは起業してみなければわかりません。資金面の不安定さ、市場ニーズの変化、法規制の問題など、不確実な要素も多々あります。
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起業家が事業を成功させていくための流れ
起業家として成功するには、押えておきたいいくつかのポイントがあります。
一般的には、次のようなステップを意識して事業を起ち上げることが大切だと言われています。冒頭でご紹介した日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度起業と起業意識に関する調査」の結果も踏まえながら、それぞれのステップについて見ていきましょう。
起業家が事業を成功させるステップ
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STEP1.事業目的やビジネスのアイデアを明確化する
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STEP2.自分のビジネスで想定される顧客や市場のニーズを調べる
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STEP3.世の中のトレンドに対して臨機応変に対応する
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STEP4.できるだけ費用をかけないようにスタートする
STEP1. 事業目的やビジネスのアイデアを明確化する
起業において最初に取り組むべきなのは、自分がなぜその事業を行うのか、どんな価値を社会に提供したいのかという「事業目的」の明確化です。同時に、どのような商品やサービスを通じてその目的を実現するか、というビジネスアイデアを具体化する必要があります。
とはいうものの、いきなり新しいビジネスアイデアを考えようとしても、そう簡単には思い付かないものです。「2024年度起業と起業意識に関する調査」でも、起業に関心はあるもののまだ起業していない理由として、「ビジネスのアイデアが思いつかない」との回答が25.2%に上っています。日頃から周囲にアンテナを張り、ビジネスアイデアにつながりそうな出来事を見逃さないようにすることが大切です。
近年では、AI(人工知能)を活用してビジネスアイデアを検討する方法も注目されています。
例えば、アイデアの方向性を整理したり、複数の選択肢を比較検討したりする際、AIは有効なサポートツールとなります。また、市場トレンドの分析や、特定の業界におけるニーズの抽出、過去の成功事例の整理などについても、AIを活用することで新たな着想の幅が広がるでしょう。
STEP2. 自分のビジネスで想定される顧客や市場のニーズを調べる
事業目的とビジネスアイデアが固まったら、「商品やサービスは誰に向けたものにするか」という、ターゲットとなる顧客層を設定しましょう。そして、ターゲット層がどのような課題を抱えているのか、どんな価値を求めているのかといったニーズを調査します。市場規模や競合の状況なども含めて調べると、自分のビジネスが「誰の、どんなニーズに応えるのか」がより明確になります。
「2024年度起業と起業意識に関する調査」では、起業したビジネスの受注経路として多いのは、「自身のSNSやブログを通じて」(26.3%)や「Webサイトやチラシなどの宣伝広告活動」(24.2%)、「友人・知人の紹介」(24.2%)などです。
このことから、SNSなどを活用してターゲット層へのヒアリングを実施したり、周囲の友人や知人にターゲット層と重なる顧客層がいないか聞いてみたりするのも有効な方法と言えるでしょう。
STEP3. 世の中のトレンドに対して臨機応変に対応する
起業を成功に導くために大切なのは、トレンドの変化にいち早く気づき、必要に応じて戦略や商品を柔軟に見直す姿勢です。事業を軌道に乗せるには、起ち上げるだけでなく、安定した売上を継続することが求められます。
「2024年度起業と起業意識に関する調査」でも、起業家が事業を行ううえでの問題は「売り上げを安定的に確保しづらい」との回答が最も多く、43.9%を占めています。
もし、STEP2で市場ニーズを分析した結果、自分のビジネスアイデアが世の中にマッチしていないと感じた場合には、当初の計画にこだわりすぎず、臨機応変に軌道修正を行いましょう。
STEP4. できるだけ費用をかけないようにスタートする
自分のアイデアを臨機応変に修正したら、いよいよ事業を起ち上げますが、最初はできるだけ費用をかけずにスタートしたほうが失敗しないと言われています。起業直後は、なかなか思うように売上が上がらないこともよくあるものです。はじめから大量の在庫を抱えたり、多額の設備投資をしたりすると、収入が少ないのに支出ばかりが増えることになりかねません。
「2024年度起業と起業意識に関する調査」でも、「起業費用はかからなかった」という起業家は28.9%にも上ります。この結果からも、多くの起業家が、できるだけ費用をかけずに事業をスタートさせていることがわかります。
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起業家になりたい人が第一歩を踏み出すには
将来的には起業したいと思いつつも、何から着手すればいいかわからず、「第一歩が踏み出せない」という方は多いかもしれません。起業家になりたいと考えるのであれば、次のようなことから準備を始めていくとよいでしょう。
起業家になりたい人の第一歩の踏み出し方
- 起業家について書かれた記事や書籍から情報収集する
- ビジネスのアイデアを基に自分の目標を考える
- フレームワークを利用して事業戦略を検討する
- 起業交流会や創業支援機関に顔を出して人脈を作る
起業家について書かれた記事や書籍から情報収集する
起業の第一歩は、正しい知識と情報を得ることです。起業という選択肢が浮かんだら、まずは起業に関する記事や書籍などから情報収集を行ってみてださい。
例えば、成功した起業家のインタビュー記事や著書を読むと、彼らの経験や考え方、失敗からの教訓などを知ることができます。また、起業に関する書籍やビジネス誌からは、資金調達や経営の基本など、実務的な知識も得られます。まずは幅広く情報に触れ、自分に合った起業スタイルや目指す姿を考えてみましょう。
ビジネスのアイデアを基に自分の目標を考える
「どんな事業をしたいか」というビジネスのアイデアがある場合は、それを出発点として具体的な目標を考えてみましょう。
「なぜそのビジネスをしたいのか」「将来的に自分はどうなっていたいか」といった問いを掘り下げていくことで、漠然とした発想がビジネスモデルとして形になっていくかもしれません。
現実的な目標につなげるためにも、まずはビジネスアイデアを考える習慣を作り、数多くのアイデアを出してみることが大切です。思い付いたアイデアは頭の中で留めず、データや紙に記録しておきましょう。アイデアを見える化することで、新たなひらめきが生まれる可能性もあります。
フレームワークを利用して事業戦略を検討する
起業を目指して事業戦略を検討する際には、マーケティングのフレームワークが役立つでしょう。
例えば、企業の視点である4P(製品/Product・価格/Price・場所/Place・プロモーション/Promotion)と、顧客の視点である4C(価値/CustomerValue・コスト/Cost・利便性/Convenience・コミュニケーション/Communication)を対比することで、提供価値の見直しができます。
さらに、近年では、顧客体験を重視した4E(体験/Experience・交換/Exchange・あらゆる場所/Every Place・伝導/Evangelism)が注目されています。こうしたフレームワークを活用することで、アイデアを実行可能な戦略へと整理しやすくなるはずです。
起業交流会や創業支援機関に顔を出して人脈を作る
起業家を目指すのであれば、外部とのつながりを持つことも大切です。人脈作りの場としては、各地で開催されている起業交流会や、創業支援機関が実施するセミナーなどがあげられます。
自分と同じように起業を志す仲間と出会えれば心強い支えになりますし、既に活躍している先輩起業家から貴重なアドバイスを受けられる機会もあるでしょう。
例えば、東京都では、「TOKYO創業ステーション」や「東京商工会議所
」といった機関が起業相談や勉強会、セミナーなどを開催しています。こうした創業支援は全国各地の自治体で行われているので、実際に起業を考えている地域の情報をチェックしてみてください。
起業については以下の記事を併せてご覧ください。
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起業家になるならアイデアをまとめて動き出そう!
起業家とは、新しい事業をゼロから起ち上げる人のことです。
起業家を目指すには、事業目的の明確化、顧客や市場のニーズ調査など、さまざまな事前準備があります。まずは情報収集やアイデア出し、フレームワークを活用した事業戦略の検討など、できることから具体的な行動に移してみるとよいでしょう。成し遂げたい目標の実現に向けて、一歩ずつ着実に準備を進めていくことが大切です。
また、起業して会社を設立するには、さまざまな書類の提出や手続きが必要になります。スムーズに会社の設立を進めるには、「弥生のかんたん会社設立」の活用もぜひご検討ください。
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この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。