合同会社設立後は社会保険への加入義務がある!条件や保険料を解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

会社を設立すると、社会保険への加入義務が生じます。従業員がいない、1人社長の合同会社の場合も加入は必須です。社会保険は、個人事業主が加入している国民年金保険や国民健康保険と、加入条件や保険料の支払方法などが異なります。

社会保険の加入対象や保険料の支払方法などを知らず、未加入のまま放置すると、罰金が課せられるだけでなく、資金繰りや会社の信用に影響するかもしれません。

ここでは、社会保険の加入条件や保険料の支払方法、注意点を解説します。

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合同会社の設立後は社会保険への加入が必須

合同会社をはじめとする全ての法人には、社会保険への加入が法的に義務付けられています。原則として事業所単位で適用され、加入が必須の「強制適用事業所」と、厚生労働大臣(日本年金機構)の許可が必要な「任意適用事業所」の2種類に分けられます。

以下のいずれかの条件にあてはまれば、強制適用事業所となり、事業主や労働者の意思にかかわらず、社会保険に加入しなければなりません。

強制適用事業所の条件

  • 常時、従業員を使用する国、地方公共団体または法人の事業所
  • 5人以上の従業員を常時雇用している事業所(非適用業種を除く)

合同会社は1つ目の条件にあてはまるため、強制適用事業所です。合同会社を設立したら、経営者1人の会社であっても、社会保険への加入が必須になりますので、手続きを忘れないようにしましょう。

健康保険と厚生年金保険の加入対象と保険料

社会保険には、健康保険(および介護保険)、厚生年金保険を指す狭義の社会保険と、労働保険(労災保険、雇用保険)を加えた広義の社会保険があります。

合同会社を設立したら狭義の社会保険加入は必須ですが、従業員がいなければ労働保険には加入しません。また、合同会社において、業務執行権や代表権を持つ社員は、会社に雇用されている労働者ではないため、労働保険に加入することはできませんのでご注意ください。

この記事では、狭義の社会保険である、健康保険と厚生年金保険について解説します。

健康保険

健康保険は、病気やケガ、出産によって働けないときや亡くなったときなどに、医療給付や手当金を支給し、生活を安定させるための公的医療保険です。

合同会社が加入する健康保険は、協会けんぽ(全国健康保険協会)か健康保険組合(組合管掌健康保険)です。法人でなくても、従業員を常時5人以上雇用している個人の事業所も健康保険に加入しなければなりません。法人の代表者や従業員とその家族が加入対象ですが、パート・アルバイトの方も、労働日数や労働時間が正社員の4分の3以上あるといった条件に該当すれば、加入対象となります。

なお、健康保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)に保険料率を掛けて計算され、会社と加入者本人が折半して負担します。保険料の負担額は、協会けんぽのWebサイト「都道府県ごとの保険料額表新規タブで開くで、月額の報酬額から確認することが可能です。例えば、令和4年度において、月額報酬が30万円で、東京都に事業所がある場合、会社と加入者本人が負担する保険料はそれぞれ1万4,715円です。
なお、1人で合同会社を設立した場合、会社と役員報酬それぞれで負担するので、実質会社が全て負担しているともいえるでしょう。

厚生年金保険

厚生年金保険の加入対象は、適用事業所で働く70歳未満の方です。厚生年金保険は、国民年金に上乗せして納める公的年金制度のため、65歳以上になって支給される年金の額もその分、上乗せされます。

なお、正社員だけでなく、アルバイトやパートの場合でも労働時間や会社の規模などの条件にあてはまれば、厚生年金保険の加入対象となります。加入対象については、法改正によって適用範囲の拡大傾向がありますので、最新情報は日本年金機構のWebサイト「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大新規タブで開く」でご確認ください。

厚生年金保険の保険料も、毎月の給与や賞与に共通の保険料率を掛けて計算され、会社が保険料の半分を負担します。例えば、令和4年度において、月額報酬が30万円で、東京都に事業所がある場合、会社と加入者本人が負担する保険料はそれぞれ2万7,450円です。

社会保険は加入しなかったらどうなる?

社会保険への加入は法人の義務です。会社設立後、社会保険に加入しないまま放置していると、次の順に年金事務所から連絡が来て、最終的に罰則が課せられます。

社会保険未加入で罰則を受けるまでの流れ

  • 加入要請が来る
  • 警告文書が来て指導が入る
  • 立ち入り検査が入る
  • 罰則が課せられる

加入要請が来る

役員報酬や給与の支払状況などから、年金事務所では社会保険の加入状況がわかります。未加入の事業所には、年金事務所から社会保険の加入要請の連絡が電話などで入りますので、加入要請があった場合は、速やかに手続きを行いましょう。

警告文書や加入指導が入る

年金事務所からの加入要請に応じなければ、次は警告文書が届いたり、年金事務所職員による加入指導が入ったりします。この段階で社会保険に加入すれば、加入してからの保険料を納付するだけで済みますが、警告文書を無視すると、罰則が課せられることになります。

立ち入り検査が入る

警告文書が届いた後も未加入状態を続けていると、最終的に年金事務所による立ち入り検査が入り、強制加入となります。事業所は立ち入り検査を拒否することはできず、質問や求められる書類については必ず対応しなければならないという受忍義務があります。
また、立ち入り検査で強制加入となると、最大2年間さかのぼって保険料を納付しなければなりません。

罰則が課せられる

立ち入り検査に対して拒否や妨害をすると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。年金事務所の職員の質問に答えない、または虚偽の回答をしたときなども同様です。また、社会保険に加入していない会社は、助成金を受けられないだけでなく、ハローワークに求人を出すこともできません。
そのため、社会保険に加入していないと、罰則が課せられるだけでなく、資金繰りや会社の信用に影響する可能性があります。

なお、社会保険に加入していても、保険料が未納であれば延滞金が発生します。保険料の納付期限を過ぎると年金事務所から督促状が届きますが、督促状の指定する期日までに納付すれば延滞金はかかりません。未加入だった場合と同様、年金事務所から連絡があったら、できるだけ早く保険料を納めましょう。

社会保険の加入手続きは法人登記後5日以内

社会保険に新規加入する手続きは、法人登記が完了して5日以内に行わなくてはなりません。法人登記が完了したら、事業所の所在地を管轄する年金事務所(事務センター)に電子申請、郵送、窓口のいずれかの方法で必要書類を提出しましょう。社会保険に新規で加入するにあたって必要な提出書類は、以下のとおりです。

健康保険と厚生年金保険の加入手続きに必要な書類
書類名 書類の取得先
健康保険・厚生年金保険 新規適用届

日本年金機構のWebサイト「事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき新規タブで開く

登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局の窓口、郵送、または法務局のWebサイト「オンライン申請のご案内新規タブで開く

法人番号指定通知書のコピー

国税庁法人番号公表サイト「名称・所在地などから調べる新規タブで開く

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

日本年金機構のWebサイト「従業員を採用したとき新規タブで開く

健康保険 被扶養者(異動)届

日本年金機構のWebサイト「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき新規タブで開く

最後の「健康保険 被扶養者(異動)届」は家族を被扶養者にしない場合、提出は不要です。

なお、健康保険料や厚生年金保険料を口座振替にする際は、上記の書類と併せて、「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書新規タブで開く」も提出します。会社設立から提出期限まで日数に余裕がないため、早めに準備を進めておきましょう。

また、社会保険の加入手続きを、社会保険労務士に依頼することもできます。手続き代行を依頼したときの費用の目安は、従業員が30人未満の会社で5万円程度です。

役員報酬額が保険料を下回ると社会保険に加入できないケースがある

1人会社の場合、役員報酬の手取り額が社会保険の保険料を下回ると、社会保険の加入を断られるケースがあります。社会保険料は、基本的に役員報酬から天引きされ、会社が納付しますが、役員報酬がなかったり、保険料の金額よりも少なかったりしたら、天引きすることができません。

例えば、協会けんぽの「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表新規タブで開く」(2023年)によると、東京都の月額社会保険料の最低額(会社と折半した金額)は、健康保険が2,900円(40歳以上64歳までは3,428円)、厚生年金保険が8,052円です。

健康保険料と厚生年金保険料を納めるには、役員報酬から所得税や住民税を引いた額が、およそ1万1,000~1万2,000円に満たなければ、社会保険の加入を断られる可能性があります。会社を設立していても、社会保険に加入できない場合は、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

なお、1人会社で社会保険に加入すると、会社と自分の保険料を納付するため、金銭的に負担に感じるかもしれません。1人会社で社会保険料の負担を抑えたい場合は、報酬月額の最低額に合わせて役員報酬の金額を設定するのも1つの方法です。前述した協会けんぽの保険料額表では、報酬月額の最低額は6万3,000円ですから、役員報酬の月額を6万3,000円未満にすれば、社会保険料を抑えることになります。

合同会社設立の手続きを手軽に行う方法

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合同会社を設立したら社会保険の加入手続きを行おう

合同会社をはじめ、全ての法人には社会保険への加入義務があります。社会保険の加入手続きの期限は、法人登記が完了してから5日以内です。未加入のまま放置しておくとペナルティを受けることになるので、社会保険の加入手続きは、会社設立時に漏れなく行うようにしましょう。

合同会社の設立手続きを行う際は、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」を利用するとスムースです。起業する際にはぜひご活用ください。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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