法人の印鑑証明の値段はいくら?手数料や取得方法も解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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印鑑証明書は、個人と同じように、法人でも不動産契約で必要となる場合があります。ただ、印鑑証明は日常的に必要とされるものではないため、印鑑証明書の取得方法や手数料の値段などを知らない方もいるかもしれません。法人の印鑑証明書は個人とは取得方法が異なるので、口座開設や契約などで印鑑証明書が必要となったときに慌てないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
ここでは、法人が印鑑証明を必要とする状況や、印鑑証明書を取得するための手続きや値段に加えて、印鑑登録の方法などについても解説します。
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法人の印鑑証明とは登録された印鑑が本物であると証明すること
印鑑証明とは、登録された印鑑が本物であると証明することです。契約書などの書類に押された印鑑が、間違いなくその法人のものであるということが、「印鑑証明書(印鑑登録証明書)」という書類によって証明されます。
法人の印鑑証明書は法務局で発行され、印影(はんこを押したとき紙に残る朱肉の跡)のほか、本店所在地、商号、代表者の役職名、氏名、生年月日、発行年月日が記載されています。印鑑証明は、事前に法務局に会社の実印を押した印鑑を届け出ておき、必要なときに印鑑証明書の発行を請求するという仕組みです。実印の押された書類に印鑑証明書を添付することで、押された印鑑が本物であることが証明されます。
なお、印鑑証明書と混同されやすいものに「印鑑届書」があります。印鑑届書は、法務局に会社の実印を登録するときに提出する書類なので、間違えないようにしましょう。
法人の印鑑証明が必要となる場面
法人の印鑑証明は、主に次のような場面で使われます。
法人口座開設 | 金融機関で法人口座を開設するときに必要。法人カードを作成するときにも、必要となる場合がある |
不動産の売買契約 | 法人名義の不動産や自動車を売買するときや、事務所の賃貸借契約などの不動産関連の契約するときに必要 |
所有権の移転登記 | 土地や建物の売買のために所有権の移転登記を行う場合に必要 |
契約書で実印を求められたとき | 扱う金額が高額な場合など大規模な取引を行う際など、契約書に実印を押すよう求められるときに、その実印を照合できる印鑑証明書を添付すると、より契約書の有効性が高まる |
融資を申し込むとき | 金融機関に融資の申し込みをする際は、「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」の書類とともに印鑑証明書の提出 |
発行手続きの際は、法務局のWEBサイト登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式も確認してみてください。
印鑑証明にはまず印鑑登録が必要
印鑑証明をするには、印鑑登録をしていることが前提となります。あらかじめ会社の実印を登録していなければ、印鑑証明書を取得することはできません。
個人の印鑑登録は市区町村の役所で行いますが、法人の印鑑登録は、法務局に印鑑届書を提出する必要があります。印鑑登録は、会社の代表者の他、代理人による届出も可能です。代表者本人が申請する場合は個人の実印が必要ですが、委任状に代表者の実印があれば、申請者が代理人の場合は認印でもかまいません。
印鑑登録をするタイミング
法務局に書面で設立登記の申請をするときには、会社の実印が必要になります。そのため、法人登記のタイミングで印鑑登録を済ませることが一般的です。
ただ、法改正によって、2021年2月15日から、会社の設立登記をオンラインで行う場合は、印鑑は任意となりました。そのため、オンラインで設立登記の申請を行った企業の中には、まだ実印の作成や印鑑登録を行っていないケースがあるかもしれません。
会社設立後に、実印が必要となる場面は多くあります。会社設立のタイミングで実印を作っておくと、もう1度法務局に申請するという二度手間を回避できます。実印の他、法人口座の開設に用いる銀行印と、請求書や納品書などに押印する角印(社判)も、一緒に作成しておくのがおすすめです。もし、「先に設立登記を完了してしまった」という場合は、できるだけ早めに印鑑登録の手続きをしてください。
法人が印鑑登録をする際に確認すべき点
法人が印鑑登録をスムースに行うために、確認しておくべき点があります。申請の際に慌てないよう、あらかじめチェックしておきましょう。
会社の実印には大きさに制約がある
法務局に登録する印鑑は、大きさに制限があります。具体的には、「1cm以上、3cm以内」の正方形に収めなければなりません。この範囲に収まっていない場合は、実印としての登録が不可能です。なお、形状や刻印については、特に決まりはありません。
印鑑カードを作成しておく
法務局へ印鑑証明書の発行を請求するには、印鑑カードが必要になります。印鑑カードを作成するには、印鑑登録後、法務局に「印鑑カード交付申請書」を提出しなければなりません。法務局の窓口の他、郵送でも提出可能です。会社の実印を登録したら、忘れずに印鑑カードも作成しておきましょう。
法人の印鑑証明書を申請する方法
法人の印鑑証明書を取得するには、窓口・郵送・オンラインでの申請方法があります。それぞれ申請の仕方が異なるので、自社に合う方法で申請するようにしてください。
法務局の窓口で申請する
法人の印鑑証明書を取得するには、法務局の窓口に出向き、直接申請する方法があります。以前は管轄の法務局でしか申請できませんでしたが、現在は全国どこの法務局でも印鑑証明書の取得が可能です。
申請の際には、「印鑑登録証明書交付申請書」に商号・所在地・印鑑提出者の資格・氏名・生年月日・印鑑カード番号といった必要事項を記入し、手数料額(450円)の収入印紙、または登記印紙を貼付して、窓口に提出します。申請書は、窓口や法務局のWebサイトから入手が可能です。
印鑑証明書の申請は原則として会社代表者本人が行いますが、代理人も申請できます。なお、代理人による申請でも、印鑑カードは必要です。
法務局によっては、タッチパネル入力で証明書を請求できる「証明書発行請求機」が備え付けられている場合があります。証明書発行請求機があれば、印鑑カードを挿入することで印鑑登録証明書交付申請書の記入を省略できます。証明書発行請求機で申請する場合も、手数料は窓口申請と同じ金額です。
郵送で申請する
印鑑証明書は、郵送で申請することもできます。郵送での申請には、印鑑登録証明書交付申請書、収入印紙、返信用の封筒、郵便切手、印鑑カードが必要です。申請書は、法務局のWebサイトからダウンロードして使用するといいでしょう。
なお、印鑑証明に関する書類は印鑑提出者の個人情報も記載されているため、普通郵便での郵送は避けてください。配達の記録が残る書留での郵送がおすすめです。
オンライン申請する
法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」なら、法務局の窓口に出向いたり、印鑑登録証明書交付申請書を郵送したりする手間がかかりません。ただし、専用の「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールして、申請者情報を登録する必要があります。また、法人の電子証明書をあらかじめ取得しておかなければなりません。このようにオンライン申請は事前準備が必要ですが、一度環境を整えれば利便性の高い方法です。
なお、オンライン申請をした場合でも、印鑑証明書の受け取りは窓口または郵送になります。発行手数料は、インターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付対応のATMで納付することができます。
法人の印鑑証明書の申請にかかる手数料
法人の印鑑証明書を取得するには、法務局への請求申請が必要です。請求は、法務局の窓口で直接手続きする他、郵送やオンラインでの申請も可能です。ただし、申請をオンラインで行ったとしても、受け取りは窓口または郵送になります。
印鑑証明書を請求する際の手数料は、申請や受け取りの方法によって異なります。それぞれの値段は次の表のとおりです。
申請方法 | 手数料 |
---|---|
窓口・郵送申請 | 450円 |
オンライン申請・郵送受け取り | 410円 |
オンライン申請・窓口受け取り | 390円 |
- ※印鑑登録以外の会社設立の手続きについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
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法人の印鑑証明書の取得方法を確認しておこう
会社の実印や印鑑証明について、普段の業務の中で意識することは少ないかもしれません。しかし、法人口座の開設や融資の申込み時など、印鑑証明を必要とする場面は多く、規模の大きな取引などの場合は、契約書に実印を求められることもあります。
印鑑証明が必要になったときに慌てないように、法人の印鑑証明書の取得方法や手数料について、あらかじめ確認しておきましょう。また、会社の設立には、「起業・開業応援パック」も利用し、スムースに手続きを進めてみてください。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。