M&Aで弁護士・法律事務所に依頼できることは?役割について解説

2024/01/04更新

M&Aを進める際には、多くの専門家に依頼して進めることが一般的です。特に法律の専門家である弁護士は欠かせない専門家の1つで、法的リスクに対する助言や契約書類の作成・相談などを弁護士に担当してもらうことでスムースにM&Aを進めることができます。
ここでは、M&Aで企業を買収する際の弁護士の役割と具体的な業務内容などについて解説します。

M&Aにおける弁護士の役割

M&Aで企業を買収するにあたって避けたいのは、想定していなかった事実が買収後に発覚して、M&Aの目的を達成できなくなることです。そのような状況を避けるためには、弁護士をはじめとする各分野の専門家によるデューデリジェンスをしっかり行い、契約内容や買収価格に反映させることが大切だといえます。

M&Aにおける弁護士の主な役割としては、法的リスクを洗い出して助言を行うことです。法的なリスクには、法令違反によって制裁を受けるリスクや、契約書類などの不備によって不利益を受けるリスク、訴訟や紛争などによって不利益を受けるリスクがあります。このようなリスクを避けるために、助言をしたり対策を考えたりするのがM&Aでの弁護士の役割です。

また、意向表明書、基本合意書、株式譲渡契約書(最終契約書)などの書類の記載内容の助言や作成を行うことも弁護士の役割になります。

M&Aにおける弁護士の業務

M&Aでの弁護士の役割は法的リスクを洗い出して助言を行うことですが、ここからは実際にどのような業務を行うのかを見ていきます。なお、弁護士以外が業務として法律に関するアドバイスなどを行ったり、契約の調整を行うことは非弁行為に該当する場合があるため、注意が必要です。M&Aでの弁護士の主な業務としては以下の4つです。

法務デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、財務・税務・法務・労務・IT・環境などのあらゆる側面から企業の実態を把握することを目的に、M&Aの相手先に対して行われる企業監査のことです。一般的に、買手から売手対象会社に対して行われるもので、大規模M&Aでは、売手から買手に対しても行われるケースもあります。デューデリジェンスは、多くの場合、基本合意書を取り交わしたタイミングで行われます。

デューデリジェンスにおいて弁護士が担当するのは、法務デューデリジェンスで、売手対象会社の株主や関連会社、締結している契約などを確認し、予期せぬリスクが隠れていないかを調査するものです。主な確認項目としては以下になります。

株式

売手対象会社が発行した株式の有効性や適法性の他、株主、譲渡履歴、譲渡制限の有無などを確認します。M&Aで株式譲渡による企業買収を行う場合、買手は経営権を得られるだけの株式譲渡を受ける必要があります。そのため、株式の状況把握は欠かせません。

契約

売手対象会社が結んでいる取引契約書の有効性や、M&Aの支障となる契約条項の有無を確認します。特に重要となるのは、COC(チェンジ・オブ・コントロール)条項の有無です。売手対象会社と取引先との契約にCOC条項があると、M&Aで経営権が変わったことにより、契約が解除される可能性もあります。

知的財産権

売手対象会社が保有する知的財産権の内容と帰属先、他社とのライセンス契約の内容などを確認します。技術獲得を目的としたM&Aなどでは特に重要で、売手対象会社の製品やサービスが他者の知的財産権を侵害していた場合、買収後に損害賠償請求を受ける可能性もあります。

労務

労働組合の有無や労働法関係のコンプライアンス、残業代未払いの有無、労使間紛争の有無、社会保険の加入状況などを確認します。労働法関係のコンプライアンス違反や残業代の未払いがあると、従業員とトラブルになりやすく、大きなリスクを抱えることになります。

環境

売手対象会社が工場や研究所などを保有している場合、土壌汚染や大気汚染などの発生リスクを確認します。土壌汚染などが発生している場合、その回復費用も負担することになるため、リスクが見つかった場合は、買収判断や買収価格交渉に影響します。

許認可

売手対象会社の事業に必要な許認可の取得・更新状況や、法令違反の有無、許認可の継続可否の他、新たに必要となる申請・届出の有無などを確認します。適切な許認可が取得されていないと、企業価値が大きく損なわれることもあり、許認可の確認は極めて重要です。また、新たに許認可申請をする場合、時間がかかることも多く計画的な準備が必要になります。

紛争・訴訟

係争中の訴訟・紛争の有無や訴訟に発展する可能性があるトラブルの有無、過去の訴訟・紛争の内容などを確認します。これらは買手にとって大きなリスクとなるため、正確に把握することが重要です。

最終契約書に至るまでの交渉

最終契約書に至るまでの交渉も弁護士の業務の1つです。買手にとって不利な内容が契約書に記載されていないかを確認したり、代理人として売手対象会社や金融機関などとの直接交渉を行ったりします。
M&Aでの買収価格は、税理士や公認会計士が行うバリュエーション(企業価値評価)が目安にはなりますが、最終的には売手と買手の交渉により決まります。そのため、デューデリジェンスの結果などを踏まえて、有利に交渉を進められる弁護士に相談できれば安心です。

M&Aで税理士に依頼する内容については、こちらの記事もご参照ください。

M&Aで税理士・公認会計士に依頼できることは?役割や報酬相場も解説

広範囲にわたる法的な手続きや書類作成に関する支援

法的手続きの他、書類作成に関する支援も、弁護士の業務として挙げられます。M&Aが法律にのっとって行われているかをチェックするだけでなく、申請書類の法的なチェックなども行います。法律に違反している場合は、M&Aが成立しないことも起こり得るため、重要な業務の1つです。

M&A全体の法務アドバイス

弁護士は、M&Aの売却スキームに関する助言から戦略策定、相手先探し、交渉サポート、クロージングの実行支援まで、M&Aに対するトータルサポートを行うこともあります。弁護士や弁護士事務所によって対応している分野が異なるため、どの弁護士事務所でもM&Aの法務アドバイスを得意としているわけではありません。法務デューデリジェンスだけしか対応しないという弁護士事務所もあります。

M&Aの法務リスク対応は弁護士に、財務は税理士・公認会計士に

法的リスクを洗い出して助言を行う弁護士は、M&Aにおいて欠かせない存在です。しかし、M&Aで必要な業務のすべてに対応できるわけではありません。
M&Aでは、相手企業の財務リスクの調査や、企業の価値評価、M&Aにかかる税金の計算、M&A後の税務申告など、税務の専門家である税理士や、会計と監査の専門家である公認会計士に業務を依頼することも多くあります。

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