法人カード・ビジネスカードとは?持つメリットや選び方を解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

個人名義のクレジットカードに対して、事業者がビジネス用に使うクレジットカードのことを、法人カードと呼びます。法人カードは「法人」という名前がついていますが、法人に限らず個人事業主も発行可能です。

個人カードと比較すると、法人カードには従業員用の追加カードを発行できたり接待向きのレストラン優待サービスを付帯していたりするといった違いがあるため、特にビジネスに活用しやすくなっています。

ここでは、法人カードを持つメリットや法人カードの選び方、作る際の注意点などについて解説します。

【利用料0円】はじめてでもカンタン・安心な「会社設立」の書類作成はこちらをクリック新規タブで開く

弥生のかんたん会社設立 案内にしたがって入力を進めるだけで株式会社・合同会社の設立に必要な書類を作成できます。 「無料」かんたんに会社設立

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする新規タブで開く

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする新規タブで開く

法人カードは法人や個人事業主が事業用に使うカード

法人カードは、法人や個人事業主に対して発行されるクレジットカードのことです。プライベートで使用する個人のクレジットカードとは違い、法人カードは事業用に使うことが目的です。そのため、発行するカード会社によって異なりますが、個人カードに比べて利用限度額が高く設定されていたり、従業員用に追加でカードを発行できたりするなど、ビジネスで利用しやすいさまざまなサービスが用意されています。

一般的に、法人カードの支払い口座は会社名義の法人口座となりますが、カード会社によっては個人口座の指定も可能です。個人事業主の場合、振替口座は基本的に個人口座になりますが、屋号名義の口座を設定できることもあります。

キャッシュレス決済の普及に伴い、事業に関わる費用についても、クレジットカードを利用できる場面が広がってきました。法人、個人事業主を問わず、経費の支払いにも法人カードを活用できます。

法人カードの種類

法人カードには、大きく分けて「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2種類があります。どちらも基本的な機能は同じですが、種類ごとに異なる特徴もあるため、違いを確認しておきましょう。

ビジネスカード

ビジネスカードは、一般的に、従業員数が20名に満たない程度の中小企業や、個人事業主が利用できる法人カードです。

法人カードは基本的に法人の信用情報によって審査が行われますが、ビジネスカードの中には代表者個人の信用情報が審査される個人与信のものもあります。事業実績の少ない起業したばかりの会社や、個人事業主は、個人与信のビジネスカードを選ぶことを検討すると良いでしょう。

コーポレートカード

コーポレートカードは、従業員数が20名を超えるような、中堅企業や大企業向けの法人カードとされています。

そのため、ビジネスカードに比べてカードの利用限度額が高い傾向にあり、企業ごとに限度額を設定することも可能です。支払い口座は基本的に法人口座になりますが、カード会社によっては個人口座の指定が可能な場合もあります。

法人カードを持つメリット

法人カードは、特にビジネスで有効活用できるメリットを多く備えています。法人や個人事業主が法人カードを持つと次のようなメリットがあるので、導入する際の参考にしてください。

法人カードを持つメリット
  • 経費処理を効率化できる
  • 社内の管理体制の強化につながる
  • 支払いの計画が立てやすくなる
  • ビジネスに役立つ付帯サービスや付帯保険を使える

経費処理を効率化できる

法人カードを利用するメリットとして、経費処理をはじめとした経理業務の効率化が挙げられます。

例えば、個人カードで経費を支払った場合、プライベートと事業用の支出を分けて仕訳する手間が発生します。法人カードを使うと事業に関わる支払いを一本化できるので、煩雑な作業が不要です。

従業員用のカードを追加発行して経費の支払いに利用すれば、現金による経費精算を行う必要もありません。いつ、何に、いくら使ったかということも、明細を確認すればすぐにわかります。現金の受け渡しがなくなるため、経費精算の漏れや盗難、紛失といったリスクも防げるでしょう。また、従業員の申請や担当者の承認といった、経費精算の手続きにかかる手間も大幅に削減できます。

さらに、会計ソフトの中には、クレジットカードとの連携が可能なものがあります。「弥生会計オンライン」は、クレジットカードの明細データを会計ソフトへ自動で取り込み、仕訳に自動変換してくれるので、バックオフィス業務にかかる手間の削減が可能です。このような会計ソフトを法人カードと併せて活用すれば、経理業務の大幅な効率化を実現できます。

社内の管理体制の強化につながる

事業と個人の支払いを明確に分けられるようになることも、法人カードのメリットです。

特に、社長1人だけの会社や個人事業主などは、どうしても事業の経費とプライベートの支出の区別が曖昧になってしまうことがあります。個人カードを事業の経費の支払いにも使用していた場合、後で明細を確認する際にどれが経費なのかわからなくなってしまうかもしれません。

法人カードを使えば事業のお金の流れを把握できるようになり、正しい会計処理につながります。無駄な経費の削減といった、社内の管理体制も強化されるでしょう。

支払いの計画が立てやすくなる

法人カードを活用することで、支払いの計画が立てやすくなるというメリットもあります。

クレジットカードはオンラインで利用明細の確認が随時できるため、口座に入金しておくべき金額がわかり、支払いの計画が立てやすくなるでしょう。また、後払いの仕組みなので、急な支出が発生したときも支払日まで余裕ができます。

カード会社によっては、支払日を延長できるサービスを付帯した法人カードもあります。

ビジネスに役立つ付帯サービスや付帯保険を使える

法人カードならではのメリットといえるのが、ビジネスに役立つ付帯サービスが充実していることです。

経営相談に対応するビジネスコンサルティングサービスや、接待に使えるレストランなどの優待サービスが付帯している法人カードもあります。

また、出張で使う新幹線や飛行機の予約ができたり、宿泊費が割引になったりする法人カードもあります。国内・海外旅行の損害保険が付帯している法人カードなら、出張先での急病やケガの発生、携行品の盗難・破損といったトラブルにも備えられるでしょう。

法人カードを持つデメリット

法人カードを持つことは多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。法人カードを持ってから後悔しないために、法人や個人事業主が法人カードを持つデメリットも知っておきましょう。

法人カードを持つデメリット
  • 審査のハードルが高い
  • 年会費が有料のカードが多い
  • 支払い方法が一括払いに限定されるカードが多い
  • 従業員同士でも使い回しができない

審査のハードルが高い

法人カードを持つデメリットに、審査のハードルが高いことが挙げられます。

法人カードの審査書類として、発行名義人の本人確認書類の他に、登記事項証明書・登記簿謄本・印鑑登録証明書のいずれかを提出しなければなりません。利用限度額によっては、決算書や不動産謄本を提出しなければならないこともあります。

ただし、個人事業主が発行名義人の場合には、必要な審査書類は本人確認書類のみです。

また、事業を始めたばかりの時期には事業の継続性を判断できず、審査に落ちてしまう場合があります。そういった場合には、まずは入会審査がないデビットカードを発行し、事業年度が経ってから法人カードの発行を考えると良いでしょう。

  • 法人カードの審査については以下の記事を併せてご覧ください

法人カードの審査に影響するポイントは?落ちる原因や対策法を解説

年会費が有料のカードが多い

法人カードのデメリットとして、法人カードの多くは年会費が有料である点もあります。

年会費の目安は一般カードで数千円、ゴールドカードで数万円です。よりグレードが高いプラチナカードやブラックカードになると、年会費が数十万円かかってしまう場合もあります。

年会費が無料の法人カードも中にはありますが、無料であるのは初年度のみであったり、追加カードの発行枚数が少なかったりするといった制限がある場合が多いでしょう。

支払い方法が一括払いに限定されるカードが多い

法人カードのデメリットには、一括払いしかできないカードが多いという点もあります。

個人カードのように、分割払いやリボ払いといった支払い方法に対応しているのは、一部のカード会社のみです。

そのため、法人カードを複数の社員で使用している場合や高額の備品代を支払った場合は、引き落とし日までに口座にまとまった金額を用意する必要があります。

従業員同士でも使い回しができない

法人カードのデメリットの1つに、発行名義の本人のみしか使用できす、たとえ同じ会社の従業員同士であっても使い回しはできないことも挙げられます。

そのため追加カードの発行枚数に制限がある場合には、カードが必要な従業員全員に発行することができない場合もあります。

名義人以外が利用する法人とカードの規約に違反してしまうため、発行する際は誰の名義で発行するのか、利用状況などから精査するようにしましょう。

自社に適切な法人カードの選び方

法人カードにはさまざまな種類があるため、何を基準にして選べば良いのか迷ってしまうかもしれません。以下のようなポイントを考慮して、自社のニーズに合う使いやすい法人カードを選びましょう。

最適なカードを選ぶポイント
  • 年会費
  • ポイントやマイルの還元率
  • 利用限度額
  • 追加カードの発行上限枚数
  • 付帯サービス

年会費

年会費と付帯サービスの兼ね合いをチェックすることは、法人カードを選ぶうえでのポイントの1つです。

法人カードの年会費は、無料のものから10万円を超えるものまでさまざまです。一般的には、年会費が高いほど付帯するサービスや特典の充実度も高くなりますが、高額な年会費の支払いが負担になる可能性もあります。

また、従業員用に追加カードを発行した場合は、メインカードに比べれば安くはなりますが、追加カードごとに年会費が発生するものもあります。年会費の金額とサービス内容がを自社に合っているかを見定めながら、「無理なく支払える金額か」「自社にとって価格に見合った特典を受けられるか」を検討しましょう。

ポイントやマイルの還元率

法人カードをはじめ、ほとんどのクレジットカードでは、利用金額に応じてポイントやマイルがたまります。

ポイントやマイルの還元率は、カード会社やカードの種類によって異なりますが、経費の支払いを少しでもお得にしたいと考える場合には、ポイント還元率に注目して法人カードを選ぶといいでしょう。貯まったポイントはお金の代わりに支払いに使うことができるので、上手に利用すれば経費削減につながります。

利用限度額

法人カードを選ぶときには、1か月あたりの利用限度額がいくらかということもポイントになります。

カードごとに設定されている利用限度額に達すると、原則として支払日が過ぎるまでは、一時的に法人カードが使えなくなってしまいます。個人カードなら利用限度額に達した場合には買い物をあきらめれば済むかもしれませんが、法人カードでは「出張費がなく必要な出張ができない」といった、事業に悪影響を及ぼす可能性があるかもしれません。そのため、法人カードをどのような場面で使うかを想定し、限度額に余裕のあるカードを選ぶことが大切です。

法人カードで高額の支払いが予想される場合には、一般カードよりも利用限度額が高めに設定されている、ゴールドカードやプラチナカードを選ぶといいでしょう。その他、複数枚の法人カードを作り、「家賃」「水道光熱費」「仕入れ」など、用途によって使い分けるという方法もあります。

追加カードの発行上限枚数

従業員にも法人カードを使わせたいと考えるなら、追加カードの発行上限枚数もポイントです。

追加カードの発行上限枚数はカード会社やカードの種類によって異なるため、希望する枚数を発行できる法人カードを選びましょう。

なお、追加カードで利用できる金額は、メインカードの利用限度額内となります。追加カードの発行枚数が多くなると、1枚あたりの利用限度額は低くなる可能性があるため注意が必要です。

付帯サービス

法人カードを利用する目的によっては、付帯サービスも選択時のポイントになります。

出張で法人カードをよく利用するなら、旅行傷害保険や空港ラウンジサービス、新幹線や飛行機などの予約サービスなどがあると便利です。全国にあるシェアオフィスを利用できたり、レンタカーで移動する際に役立つETCカードを無料で発行できたりするといったサービスが用意されている場合もあります。

また、取引先の接待に法人カードを利用する場合は、レストランなどの優待サービスが充実しているカードを選ぶといいでしょう。

法人カードの導入には社内運用ルールの徹底が必要

従業員が法人カードを使うと、経費の立替精算が不要になるメリットがある一方、不正利用や紛失などのリスクが生じます。従業員用の追加カードを導入する場合は、管理体制やセキュリティ対策を整備し、社内に周知させる必要があります。

使用可能な用途を決める

従業員用の追加カードを導入する場合は、何のために利用するのかをはっきりさせたうえで、決められた用途で使うようにしてください。

法人カードで支払いをするのは事業にかかわる費用だけです。たとえ経営者であっても、法人カードをプライベートの支払いに利用しないようにしましょう。

社員別に上限額を設定する

従業員ごとに利用できる金額の上限を定めておけば、想定外の引き落とし額に慌てることもありません。

従業員用の追加カードをそれぞれ限度額いっぱいまで利用してしまうと、支払日に高額の引き落としが発生して、会社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

事前承認・事後報告を徹底する

従業員が法人カードを利用する場合は、カードを預けていつでも好きなときに使えるようにするのではなく、事前承認・事後報告のルールを設けておきましょう。事前承認・事後報告の仕組みがあれば、不正利用の抑止になると同時に、経費の管理もしやすくなります。

事後報告の際には、できるだけ領収書やレシート、利用明細書などの提出も併せて求めると、適切な管理が可能になります。

法人カードの申し込みとともに会社設立を手軽に行う方法

法人カードの申込みを検討するタイミングとして多いのが、会社の設立時ではないでしょうか。会社設立に必要な手続きを手軽に行いたい場合におすすめなのが、自分でかんたんに書類作成ができる「弥生のかんたん会社設立」や、起業に強い専門家に会社設立手続きを依頼できる「弥生の設立お任せサービス」です。

「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できる無料のクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。

また、「弥生の設立お任せサービス」は、弥生の提携先である起業に強い専門家に、会社設立手続きを丸ごと代行してもらえるサービスです。専門家を探す手間を省ける他、電子定款や設立登記書類の作成、公証役場への定款認証などの各種手続きを依頼でき、確実かつスピーディな会社設立が可能です。会社設立後、専門家とご相談のうえ会計事務所との税務顧問契約を結ぶと、割引が受けられ、サービス利用料金は実質0円になります。定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。

法人カードは運用ルールを決めて導入しよう

法人カードは、法人や個人事業主向けに発行される事業用のクレジットカードです。利用することで経費の管理が楽になったり便利な付帯サービスを利用できたりするといったメリットがありますが、不正使用や紛失などのリスクも生じます。

そのため、法人カードの利用にあたり、導入前に自社で運用ルールを策定しておくようにしてください。

これから会社を設立する方は、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」のようなサービスに加えて、会社設立直後に必要になるモノやサービスが特典付きでご利用いただける起業支援パッケージ「起業開業応援パック」の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

弥生のサービスを利用するユーザーのみが対象の特典付きカードを作成できたり、オフィス什器をお得に準備できたりするので、よりスムースに設立を進めていけるでしょう。

弥生の設立お任せサービス 専門家が実質0円であなたの会社設立を代行します。まずは専門家に無料相談

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

初心者事業のお悩み解決

日々の業務に役立つ弥生のオリジナルコンテンツや、事業を開始・継続するためのサポートツールを無料でお届けします。

  • お役立ち情報

    正しい基礎知識や法令改正の最新情報を専門家がわかりやすくご紹介します。

  • 無料のお役立ちツール

    会社設立や税理士紹介などを弥生が無料でサポートします。

  • 虎の巻

    個人事業主・法人の基本業務をまとめた、シンプルガイドです。

事業のお悩み解決はこちら