法人カードの選び方は?メリット・デメリットや会計ソフトとの連携も解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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法人や個人事業主向けに発行される、事業目的のクレジットカードのことを「法人カード」といいます。
プライベートで使用する個人カードと同様、法人カードもカード会社によってサービスの提供内容が異なるため、自社に合ったものを選ぶことがポイントです。
ここでは、法人カードの選び方を中心に、法人カードの種類や使う際のメリット・デメリットについても解説します。
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法人カードを選ぶには2つのタイプの違いを理解しておく
法人カードには、大きく分けて「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2タイプあるため、まずはどちらを作成するか選ばなくてはいけません。年会費や利用限度額、追加発行できるカードの枚数が異なるため、カードのタイプによる違いを確認しておきましょう。
ビジネスカード
ビジネスカードは、従業員数20人以下を目安とした中小企業や、個人事業主を対象とした法人カードです。法人カードは原則として法人の信用情報をもとに審査が行われますが、ビジネスカードの中には、代表者個人の信用情報が審査される個人与信のものもあります。
コーポレートカード
コーポレートカードは、従業員数が20人を超える中堅企業や大企業向けの法人カードです。対象とする企業の規模が大きい分、カードの利用限度額や追加発行枚数は、ビジネスカードに比べて範囲が広く設定されています。また、カード利用者ごとに利用限度額を設定することも可能です。
- ※法人カードについては以下の記事を併せてご覧ください
法人カードは会社の属性や事業規模によって選び方のポイントが変わる
法人カードは、事業的規模や従業員の有無、法人か個人事業主かによって、選び方のポイントが変わります。ここでは、主に中小企業や個人事業主における、法人カードの選び方のポイントについて確認しておきましょう。
法人カードを選ぶポイント
- カードの利用限度額はどのくらいか
- 年会費に見合った特典やサービスが付帯しているか
- ポイントやマイルの還元率の高さはどのくらいか
- ビジネスに利用できるサービスや補償が付帯されているか
- 社員用の追加カードやETCカードの必要枚数を発行できるか
- 世界シェア率の高い国際ブランドか
カードの利用限度額はどのくらいか
法人カードを選ぶ際のポイントの1つが、1か月あたりの利用限度額です。特に、多額の経費が発生し、入金より出金の方が多い中小企業の場合には、100万円を超すような利用限度額が高めの法人カードを検討するようにしてください。
法人カードの中には一律の利用限度額を設けていないものもあり、そのようなカードを選ぶと多額の支払いが必要なときにも柔軟に対応できます。月による変動なども考慮しつつ最大でいくら使うかを想定し、利用限度額に余裕のある法人カードを選ぶようにしましょう。
年会費に見合った特典やサービスが付帯しているか
法人カードを選ぶポイントとして、年会費と特典・サービスのバランスを見極めることも挙げられます。
法人カードの年会費は無料から10万円を超えるものまでさまざまですが、一般的には、年会費が高くなるほど豊富な特典やサービスが付帯します。法人カードの年会費は経費として計上可能なので、経費を決済する際にポイントをもらえたり、出張の際の保険が付帯されていたりするといったビジネスに有益な特典が充実していれば、コストを上回るメリットを享受することができるはずです。
一方、いくら特典やサービスが充実していても、自社のビジネスに不要なものならあまり意味がありません。経費を最大限に活用するためにも、年会費に見合った接待時や出張時などに使えるような特典やサービスが付帯しているかをしっかりチェックしましょう。
ポイントやマイルの還元率の高さはどのくらいか
法人カードを選ぶポイントには、ポイントやマイルの還元率も挙げられます。例えば、備品の購入や接待で高額な経費を使用する場合に、法人カードで決済すると金額に応じてポイントが還元されるため、少しの還元率の違いでも長期的に見れば大きな差につながります。
事業的規模の小さい個人事業主でも、経費や仕入れ代金の支払い、税金の納付など、法人カードは個人カードに比べて利用金額が大きくなりがちです。個人事業主よりも規模の大きな中小企業ならなおさらでしょう。
法人カードの利用によってたまったポイントは、お金の代わりに備品の購入に使うことができるので、上手に利用すれば経費削減につながります。
ビジネスに利用できるサービスや補償が付帯されているか
法人カードを選ぶポイントに挙げられるのは、カードの利用目的に応じた付帯サービスの有無です。例えば、実店舗とネットショッピングでは、クレジットカードの使いやすさやポイントのたまりやすさに差があります。
また、海外出張が多いなら旅行損害保険や空港ラウンジサービス、頻繁に接待をするならレストランの優待サービスなど、利用シーンによって役立つサービスは変わります。付帯サービスと自社のニーズを見極めて、法人カードのメリットを最大限活かせるものを選びましょう。
社員用の追加カードやETCカードの必要枚数を発行できるか
法人カードの選び方のポイントとして、従業員を雇用している場合は、追加カードやETCカードの発行上限枚数も挙げられます。
従業員用に追加カードを発行すれば、経費の一元管理が可能になります。特に、各従業員が車で動く機会が多い場合は、ETCカードを追加発行することで、社用車のETC利用を管理しやすくなると同時にETC割引も適用可能です。
従業員がいない、または少ない個人事業主や中小企業なら、追加カードやETCカードの発行枚数に制限のあるビジネスカードでも十分でしょう。
一方、法人カードを使用させたい従業員が20人を超えるような場合には、大企業向けのコーポレートカードを選んだ方がいいかもしれません。
世界シェア率の高い国際ブランドか
法人カードを選ぶポイントには、法人カードの国際ブランドも挙げられます。特に、海外出張で法人カードを利用する可能性がある場合は、世界シェア率の高い国際ブランドを選ぶといいでしょう。
世界シェア率の高い国際ブランドは、旅行保険が付帯されていたり、ホテルやラウンジのサービスが利用できたりと、海外でのサポートも充実している傾向があるので安心です。国内での決済においても、シェア率の高い国際ブランドなら、利用できるシーンが広がります。
法人カードを利用するメリット
中小企業や個人事業主の場合でも、事業用の支払いにクレジットカードを利用するのであれば、個人カードとは別に法人カードを持った方がいいでしょう。法人カードを利用すると、主に次のようなメリットがあるためです。
法人カードを利用するメリット
- 経費処理にかかる手間が軽減する
- 経費が削減できる
- 支払いの計画が立てやすくなる
- ビジネスに特化した、サービスや特典を利用できる
経費処理にかかる手間が軽減する
法人カードを利用するメリットは、会計ソフトと連携させれば、経費処理にかかる手間が格段に軽減されることです。
会計ソフトの中には、クレジットカードの取引明細を自動で取り込み、自動で仕訳できるものがあります。そのような会計ソフトを活用すると、業務効率化と同時に、経費の計上漏れや入力ミスなども防げます。また、従業員用の追加カードを発行することで、経費の一元管理も可能です。
経費が削減できる
法人カードを利用するメリットとして、経費が削減できることも挙げられます。
法人カードは、経費や仕入れの支払いの他、法人税や所得税、固定資産税、自動車税といった税金納付にも利用できるため、効率良くポイントがたまります。たまったポイントは支払いに使ったり、マイルや他の商品に交換したりできるので、経費の削減が可能です。
支払いの計画が立てやすくなる
法人カードを利用するメリットには、支払いの計画が立てやすくなるという点もあります。クレジットカード決済を行うと、購入日から支払日(引き落とし日)までには1~2か月程度の余裕が生まれます。また、カード会社によっては、支払日を延長できるサービスのついた法人カードもあります。
ビジネスに特化した、サービスや特典を利用できる
法人カードを利用するメリットとして、ビジネスに特化したサービスを利用できることも挙げられます。例えば、法人カードの中には、経営や業務に関わる相談に対応するビジネスコンサルティングサービスが付帯しているものもあります。
自社に必要なサービスが付帯した法人カードを選ぶことで、ビジネスの成長につなげることができるでしょう。
法人カードを利用するデメリット
法人や個人事業主にとって便利な法人カードですが、利用にあたってはデメリットもあります。法人カードを適切に活用するためにも、下記のデメリットをしっかり把握しておきましょう。
法人カードを利用するデメリット
- 年会費がかかる
- 審査が厳しい可能性がある
- 一括払いが基本で支払い方法の選択肢が少ない
- 追加カードとETCカードの発行は、年会費が必要になる場合もある
年会費がかかる
法人カードを利用するデメリットは、年会費がかかることです。
年会費が無料のものが多い個人カードに比べ、法人カードの多くは年会費がかかります。グレードが高いプラチナカードやゴールドカードの場合、年会費が数十万円かかってしまうことも珍しくありません。
年会費が無料という法人カードも一部ありますが、初年度以降は年会費が発生したり、追加カードの発行枚数に制限があったりする場合があるため、注意が必要です。
審査が厳しい可能性がある
法人カードを利用するデメリットは、発行にあたって審査が厳しいことです。
法人カードは代表者個人の信用情報に加えて事業実績なども審査対象になるため、個人カードに比べて審査が厳しいといわれています。実績の浅い企業や個人事業主は、法人カードを申し込んでも審査に落ちてしまうかもしれません。そのような場合は、クレジットカードではなく、審査のない法人向けのデビットカードを作るのも1つの方法です。
一括払いが基本で支払い方法の選択肢が少ない
法人カードを利用するデメリットとして、基本的に一括払いとなり、個人カードのように分割払いやリボ払いには対応していない場合が多いことが挙げられます。特に、開業間もない個人事業主といった資金に余裕がない場合は、一括払いによってキャッシュ・フローが圧迫される可能性があります。
なお、法人カードの中には一括払い以外の支払い方法を選べるものもあるので、資金繰りに不安がある場合は事前に確認しておきましょう。
追加カードとETCカードの発行は、年会費が必要になる場合もある
法人カードを利用するデメリットの1つに、従業員用に追加カードやETCカードを発行すると、原則として、追加カードごとに年会費が発生する可能性があることが挙げられます。
追加カードの年会費はメインカードに比べれば安いものの、発行枚数によっては経費が膨らんでしまうため、注意が必要です。また、追加カードで利用できる金額はメインカードの利用限度額内となるため、追加カードの発行枚数が多くなると、1枚あたりの利用限度額は低くなる可能性があります。
- ※法人カードの審査や個人カードとの違いについては以下の記事を併せてご覧ください
- 法人カードの審査に影響するポイントは?落ちる原因や対策法を解説
- 法人カードと個人カードの違いは?メリット・デメリットも解説
- 個人事業主でもビジネスカードを持とう!法人カードのメリットと選び方
- 個人事業主が法人クレジットカードを使うことの2つのメリット
法人カードを活用して経理業務を効率化する方法
法人カードは会計ソフトと連携させることで、利用メリットがより大きくなります。経理業務の効率化におすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。
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また、法人カードの申し込みを検討するタイミングとして多いのは、会社の設立時でしょう。会社設立に必要な手続きを手軽に行いたい場合には、「弥生のかんたん会社設立」がおすすめです。
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自社に合った法人カードを選んでビジネスに役立てよう
法人も個人事業主も、法人カードの利用によって業務効率化や経費削減を目指すことができます。ただ、一口に法人カードといっても利用限度額や付帯サービス、追加カードの枚数などはカードによって異なります。
事業的規模や必要とするサービスによっても適した法人カードは変わるため、自社に合った法人カードを選ぶことが大切です。法人カードを選ぶ際には複数のカードを比較検討し、自社のビジネスに役立つかどうかをしっかりと見極めましょう。
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この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。