代表取締役とは?社長との違いや権限、任期について解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

代表取締役は、株式会社を代表する責任者です。社長も会社の指揮をとる役職ですが、代表取締役と社長では法律上の役職や権限に違いがあります。会社法では役職ごとに権限や任期が決められており、順守しなければなりません。これから起業を考えている方は、会社法に定められた代表取締役をはじめ、役職の権限や任期を知っておきましょう。

ここでは、会社設立をするうえで知っておきたい代表取締役の権限や社長との違い、代表取締役の決め方について解説します。

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代表取締役は会社法上の最高責任者

代表取締役とは、株式会社を代表する権限を持つ取締役のことです。会社法第349条において「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」と定義されており、主に以下のような特徴があります。

代表取締役の特徴
  • 代表取締役は複数名を選定することも可能
  • 取締役との違いは代表権の有無
  • 代表取締役の任期は原則2年、非公開会社は最長10年

代表取締役は複数名を選定することも可能

株式会社を設立する際は、取締役を1名以上、取締役会を設置する場合は3名以上置く必要があります。代表取締役は、取締役の中から選定されますが、複数名を選定することも可能です。実際に、複数名の代表取締役が選定されているケースもあります。取締役が1名しかいない場合は、その人が代表取締役になります。

また、代表取締役は、全ての株式会社において必ず選定しなければいけないわけではありません。会社法第349条では、「取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない」としています。代表取締役を選定しない場合は、全ての取締役が会社の代表者ということになります。

取締役との違いは代表権の有無

代表取締役と取締役との違いは、代表権の有無です。取締役も代表取締役も、会社の業務執行に関する意思決定を行いますが、代表権のある代表取締役を設置した場合はその代表取締役のみが、会社を代表して取引や契約書の締結など対外的な行為ができる権限を持ちます。

代表取締役の任期は原則2年、非公開会社は最長10年

代表取締役をはじめとする取締役の任期は、原則2年、非公開会社では最長10年となっています。たとえ同じ人が引き続き取締役を務める場合であっても、最低でも10年に1度は、役員変更登記を行わなければなりません。最後の登記をしてから12年間変更登記がないと、事業活動の実態がないとみなされ、強制的に解散手続きがとられてしまうことがあるため注意しましょう。

また、代表取締役の氏名や住所は、会社設立時に必要な法人登記の登記事項に含まれるため、自宅を引っ越すときにも変更登記を行います。任期満了を含めた取締役の選定や、代表取締役の住所変更に伴う変更登記では登録免許税が必要で、資本金が1億円以下の会社の場合は1万円、資本金が1億円を超える会社の場合は3万円がかかります。

社長との違いは会社法に定めがある役職かどうか

代表取締役と社長との違いは、会社法で定められている役職かどうかです。代表取締役は会社法で定められた役職ですが、社長は会社法に定めのない一般的な呼称です。また、代表取締役は複数名選定することが可能ですが、社長は会社のトップという意味合いから、基本的には1つの会社に対して1名が存在します。

代表取締役社長は一般的な呼称と組み合わせた肩書

社長の他、会長、CEOなども会社法の定めはなく、一般的な呼称です。会社によっては、「代表取締役社長」として、会社法上の役割と一般的な呼称とを組み合わせて、わかりやすい肩書きで名乗ることも珍しくありません。代表取締役が誰であるかを対外的に明示できれば、肩書は会社ごとに決められます。

例えば、代表取締役が複数名いる場合、序列や役割を区別するために、代表取締役社長、代表取締役CEO、代表取締役会長、代表取締役副社長といった肩書を付けるケースもあります。

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代表取締役の権限は執行と代表

代表取締役には、業務執行権や代表権といった権限があります。それぞれの権限については以下のとおりです。

執行の権限

代表取締役には業務を執行する業務執行権があり、株主総会や取締役会で決定した事項を執行します。原則として、代表取締役には会社の意思を決定する権限はなく、事業計画の実行や資金調達、営業活動といった取締役会から委任された事項についての意思決定が可能です。

代表の権限

代表取締役には代表権があり、代表取締役の行為は会社の行為として認識されます。また、会社の代表として、裁判に関する行為を実行できる権限も、会社法第349条に定められています。例えば、代表取締役は訴訟の提起や訴訟代理人を選定することが可能です。弁護士に委任する場合も、代表取締役の委任状が必要になります。

その他の権限

その他にも、株主総会や取締役の議事録の他、株主名簿の作成、財務諸表や事業報告書の作成と提出、株券への署名など、代表取締役の役割は多岐に渡ります。ただし、全ての事項を代表取締役が行うことは難しいため、業務執行権を行使する際は、各業務を担当する取締役を設置することができます。

代表取締役の決め方

代表取締役の決め方は、取締役会の設置の有無によって選定方法が異なります。取締役会を設置している会社の場合、代表取締役は取締役会で選定しなければなりません。取締役会を設置するには、取締役3名以上と、監査役または会計参与1名以上の合計4名以上の役員を置く必要があります。

一方、取締役会を置かない会社では、代表取締役の選定は任意です。取締役会を設置していない会社で代表取締役を決める場合は、定款に定める、定款の定めに基づく取締役を互選する、株主総会で決議するといった3つのうちいずれかの方法によって、取締役の中から選定することができます。

なお、取締役でない人を代表取締役にすることはできません。取締役ではない人を選定したい場合は、まず取締役に選定してから、代表取締役に選定します。

代表取締役になれない人

代表取締役は、取締役の中から選ぶ必要があり、取締役になれない人は、代表取締役に選定することもできません。会社法第331条では、次に挙げる事項に該当する場合、取締役になることができないと定められています。

取締役の欠格事由
  • 法人
  • 成年被後見人または被保佐人に該当する人
  • 金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法における一定の罪を犯して刑に処せられ、その執行を終えてから(または執行を受けることがなくなってから)2年を経過しない者
  • 上記以外の法令に違反して禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わっていない者(執行猶予中を除く)。

また、代表取締役や取締役には、年齢の定めはなく、未成年でも代表取締役になることは可能です。ただし、代表取締役になるには、法人登記にあたって印鑑が必要になります。15歳未満は印鑑登録ができないため、実質的に代表取締役になれる年齢は15歳以上ということになります。

自分が代表取締役になるときに注意すること

1人会社など、取締役が自分しかいない場合は、自分を代表取締役にすることが一般的です。自分が代表取締役になる場合、以下のようなことに注意しましょう。

代表取締役になるときに注意すること
  • 経営責任を負う覚悟を持つ
  • 議決権比率にする
  • 自宅の引っ越しも変更登記を行う

経営責任を負う覚悟を持つ

代表取締役は、会社や第三者に対して賠償責任を負うことがあるため、業務執行権や代表権といった権限を持つ分、経営には責任が伴うという覚悟を持つようにしましょう。賠償責任については、会社法第423条において、任務を怠ったときは株式会社に対して、これによって生じた損害を賠償する責任を負う、会社法第429条では、悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと定められています。また、金融機関から融資を受ける際に、代表者が会社の連帯保証人になることもあります。

議決権比率に注意する

代表取締役は、株主総会で解任することが可能です。取締役会を設置していない会社の場合、議決権の過半数を持つ株主が出席する株主総会で、その過半数の賛成が得られれば、代表取締役を解任できます。
例えば、資金を調達するために外部から多額の出資を受け、代表取締役である自分よりも第三者が所有する株の方が多くなった場合、解任されるリスクが高まりますので気を付けましょう。

自宅の引っ越しも変更登記を行う

代表取締役の住所は、法人の登記事項の1つです。引っ越しによって代表取締役の住所が変わった場合は、2週間以内に変更登記の手続きを行わなければなりません。変更登記を怠ると、代表者個人に対して、100万円以下の過料が科せられることになります。役員変更登記の過料の相場は、手続きの期限を過ぎて数年のうちなら2万~4万円程度、10年以上なら10万円以上になることもあります。

会社の移転だけでなく、自宅の引っ越しの際に変更登記を忘れないようにしましょう。

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代表取締役の権限や決め方を正しく理解しよう

代表取締役は、会社法で定められた株式会社を代表する役職です。取締役会を置かない会社では、代表取締役を設置するかどうかは任意です。1人会社であっても、対外的に代表者を明らかにするために、代表取締役を選定することは珍しくありません。代表取締役は取締役の中から選ばなければならないため、取締役が1人しかいない場合は、必然的にその人が代表取締役になります。会社を設立し、自ら代表取締役になる場合は、権限や登記事項を理解しておきましょう。

また、会社を設立する際には定款の作成や法人登記などの手続きが必要です。会社設立手続きの手間を減らすには、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」の活用をご検討ください。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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