会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説

2023/06/15更新

この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

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会社を設立しようと考えたとき、手続きを自分で行うか専門家に依頼するか、迷う方は多いかもしれません。会社設立にはさまざまな手続きがあり、すべて自分で行うか、専門家に依頼するかによっても手間や費用が異なります。また、一口に専門家に頼むといっても、「どの専門家に何を依頼すればいいかわからない」と戸惑うケースも少なくありません。
ここでは、会社設立の手続きを自分で行う場合と専門家に依頼する場合を比較し、それぞれのメリット・デメリットと、かかる費用や手間について解説します。

会社設立手続きは自分で行うか専門家に依頼するか、どちらがいい?

会社設立の手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかによって、それぞれメリット・デメリットがあります。主な違いをまとめると、次の表のようになります。

会社設立手続きを自分で行う場合と専門家に依頼する場合のメリット・デメリット
メリット デメリット
自分で手続きする場合
  • 外注費用を抑えられる
  • 会社設立の経験が得られる
  • 会社法や税金などの知識が身に付く
  • 経験の少ない業務で調べ物が多くなりがち
  • 定款などの書類作成作業や手続きに時間がとられ、事業準備の時間が圧迫される場合がある
  • ミスが起こることがある
専門家に依頼する場合
  • 手続きにかかる時間を短縮でき、本業に集中できる
  • 手続きのミスを防げる
  • 起業にあたっての不安や節税対策などを相談できる
  • 専門家を探す手間がかかる
  • 外注費がかかる
  • 顧問契約が必要になる場合がある

自分で会社設立の手続きをすると費用は抑えられますが、慣れない書類作成や申請手続きに時間を取られ、本来注力すべき事業に集中できなくなるおそれがあります。会社設立に関わる手続きは多岐にわたるため、「何から調べればいいのかもわからない」と、途方に暮れてしまうケースが少なくありません。
一方で、専門家に依頼する場合は、当然のことながら外注費用が発生します。しかし、手間と時間のかかる作業を任せられるうえ、手続き上の間違いを防げるというメリットがあります。

会社設立の流れと手続き方法は?

会社設立手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかを検討する前には、まず会社設立の手順と必要な手続きについて知ることが大切です。ここでは、株式会社の場合の一般的な会社設立の手順と必要な手続きをご紹介します。

会社設立の手順
  1. STEP1.
    会社の概要を決める
  2. STEP2.
    法人用の実印を作成する
  3. STEP3.
    定款を作成し、認証を受ける
  4. STEP4.
    出資金(資本金)を払い込む
  5. STEP5.
    登記申請書類を作成し、法務局で申請する

STEP1. 会社の概要を決める

会社を設立するにあたっては、まず会社の基本事項を決めなければいけません。必要な項目は、主に下記のとおりです。

  • 社名(商号)
  • 所在地
  • 資本金
  • 設立日
  • 会計年度
  • 事業目的
  • 株主の構成
  • 役員の構成

STEP2. 法人用の実印を作成する

法務局に設立登記の申請をするときには、会社の実印が必要です。社名が決まったらまず会社の実印を作り、印鑑届書を提出しておきます。なお、法改正によって、2021年2月15日から、設立登記をオンラインで行う場合は、印鑑の届出は任意となりました。
ただし、書面で申請する場合は印鑑が必要ですし、会社設立後に実印を使う場面は意外と多いものです。後で二度手間にならないように、会社設立のタイミングで実印を作っておいた方がいいでしょう。このとき、法人口座の開設に用いる銀行印と、請求書や納品書などに押印する角印(社判)も一緒に作成しておくのがおすすめです。

STEP3. 定款を作成し、認証を受ける

定款(ていかん)とは、会社を運営するうえでのルールをまとめた重要な書類です。定款には、必ず記載しなければならないと法律で決められている「絶対的記載事項」があります。絶対的記載事項は下記の5項目で、記載がないと定款自体が無効になってしまうので注意が必要です。

定款の絶対的記載事項
  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名および住所

なお、定款には決まった書式フォーマットはないですが、提出は紙か電子定款の2つの方法があります。紙の場合は収入印紙代(4万円)がかかります。一方、電子定款の場合は専用のソフトや機器が必要となるので、結局それなりに費用がかかってしまうのです。

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株式会社の場合は、作成した定款を公証役場に提出し、認証の手続きを行います。合同会社の場合は、定款の作成は必要ですが、認証は必要ありません。

STEP4. 出資金(資本金)を払い込む

出資金(資本金)の払い込みは、定款を作成した日以後で行います。この時点では、会社設立登記が完了していないため、会社の銀行口座はまだ作れません。そのため、資本金の振り込み先は、発起人の個人口座になります。

STEP5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する

登記申請に必要な申請書類を準備し、法務局に提出します。法人登記の申請を行った日が、会社の設立日となります。
設立登記申請書は、社名(商号)や本店所在地、登録免許税の金額、添付書類の一覧などを記載する書類です。法務局のWebサイト、「商業・法人登記申請手続 新規タブで開く」のページから申請書様式をダウンロードできます。
また、法務局での登記申請時に登録免許税を納付します。登録免許税は「資本金額×0.7%」で、株式会社では算出される金額が15万円に満たないときは15万円、合同会社では6万円に満たないときは6万円です。

設立登記申請時に用意するもの
  • 設立登記申請書
  • 登録免許税分の収入印紙
  • 定款
  • 発起人の同意書(発起人決定書、発起人会議事録)
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 監査役の就任承諾書
  • 発起人の印鑑証明書
  • 資本金の払い込みを証明する書面
  • 印鑑届書
  • 登記用紙と同一の用紙

登記申請の詳しい手続き方法は、こちらの記事も併せてご覧ください

法人登記(会社登記)とは?申請手順や変更手続きのやり方

設立登記後の手続きとは?

会社設立後は、税金や社会保険、労働保険の手続きが必要です。提出期限が短いものがあるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。また、法律上の許認可手続きが必要になる事業の場合は、下記とは別に、行政書士などに依頼して手続きを行う必要があります。

税金関係の手続き

会社にはさまざまな税金がかかります。設立登記が完了したら、法人設立届出書などの必要書類を会社の所在地を管轄する税務署に提出します。その後、都道府県税事務所、市町村役場への届出も忘れずに行ってください。

社会保険関係の手続き

健康保険や厚生年金保険といった社会保険に加入するため、年金事務所に届出を行います。たとえ社長1人だけの会社であっても、社会保険には原則加入しなければなりません。

労働保険関係の手続き

従業員を雇う場合は、労災保険と雇用保険の加入手続きが必要です。労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きを行います。

株式会社と合同会社の設立手続きについては、こちらの記事も併せてご覧ください

会社設立時にかかる費用

会社を設立するときに気になるのは、「手続きにいくらかかるのか」ということではないでしょうか。会社設立時にかかる費用は、株式会社か合同会社かという会社の形態によっても異なります。
会社設立時にかかる費用をまとめると、下記のようになります。

株式会社・合同会社の設立時にかかる費用相場
株式会社 合同会社
定款の認証手数料 3万~5万円(紙、電子同一)
定款用の収入印紙代 4万円(紙)
  • 電子定款の場合0円
4万円(紙)
  • 電子定款の場合0円
定款の謄本手数料
(250円×ページ数)
2,000円程度(紙、電子同一)
登録免許税 15万円~(※1) 6万円~(※2)
実印の作成代 約3,000円~ 約3,000円~
印鑑証明書代
(約300円×枚数)
300円~
登記事項証明書(登記簿謄本)発行費
(約500円×枚数)
約500円~ 約500円~
資本金 1円~ 1円~
  • 2021年、弥生株式会社調べ
  • ※1 資本金額×0.7%、または15万円のどちらか高い方
  • ※2 資本金額×0.7%、または6万円のどちらか高い方

定款の作成・認証の際、紙ではなく電子定款を選べば、4万円の収入印紙代がかかりません。しかし、電子定款を作成するためには、所定のソフトやICカードリーダーライターといった機器を用意する必要があり、一からすべて揃えると、収入印紙代を超える費用がかかってしまうケースもあります。

会社設立の手続きを専門家に依頼する場合の費用の目安は?

会社設立の手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、上記の表とは別に報酬費用が発生します。
専門家の報酬は10万円前後といわれますが、場合によっては、設立後の顧問契約を条件に設立代行費用が無料になることもあります。

会社設立の手続きを代行依頼できる専門家とは?

会社設立について関わる専門家には、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士といった士業が該当します。それぞれ専門とする職種や代行できる手続きが異なるため、どの手続きを任せたいかによって、依頼する専門家を選ぶといいでしょう。
各専門家の領域をまとめると、次の表のようになります。

会社設立に関する手続きを代行できる専門家の領域
司法書士 行政書士 税理士 社会保険労務士
登記申請 定款作成 × ×
定款認証(公証役場) × ×
設立登記申請(法務局) × × ×
登記後の申請 税金関係届出(税務署) × × ×
社会保険関連届出
(年金事務所)
× × ×
労務関係届出(労働基準監督署) × × ×
雇用保険関係届出(ハローワーク) × × ×
許認可届出(業種による) × × (※)
  • 有料職業紹介事業、労働者派遣事業の許可申請は社会保険労務士のみ対応できます。

では、ここからは、それぞれの士業の役割を詳しく見ていきましょう。

司法書士

司法書士は、設立登記の専門家です。会社設立の書類作成や定款の認証、法務局への設立登記申請の手続きなどを、すべて代行することができます。特に、設立登記の手続きは、司法書士しか代行することができません。

行政書士

行政書士は、行政への提出書類作成の専門家です。定款など会社設立に関わる書類の作成はできますが、設立登記申請の代行などはできません。唯一、許認可手続きを代行できるため、飲食業や建設業、運送業といった、事前に許認可が必要な業種の場合、依頼することができます。

税理士

税理士は、その名のとおり税務の専門家です。税務処理や決算などの専門性があるため、節税対策や資金繰りの相談に乗ってほしいときに心強い存在です。会社設立時の書類作成のサポートの他、会社設立時のお金に関するアドバイス、会社設立後の税務署関連の届出の代行を依頼できます。税理士は、会社設立後も税務面で長期的にサポートしてくれる存在といえるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は社労士とも呼ばれ、社会保険手続きの専門家です。健康保険や厚生年金保険といった社会保険関係の手続きや、労働基準監督署やハローワークへの労働保険関係の手続きを代行することができます。

会社設立の手続きをスムースに行う方法

会社設立の手続きには、自分で行う、専門家に依頼する他に、専門家と分担するといったことも可能です。3つのパターンの中で、それぞれ手続きをスムースに行う方法をご紹介します。

自分で会社設立の書類作成、申請すべてを行う

会社設立に関わるすべての書類作成や申請手続きを自分で行う場合、外注費用はかかりませんが、数多くの書類を作成しなければならず、手間と時間がかかります。
自分で会社設立の書類を作成する場合は、無料のクラウドサービス「弥生のかんたん会社設立」を活用することで、手間と費用を抑えることが可能です。

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サービス利用料金は無料。会社設立に必要な書類の作成はもちろん、専門家による電子定款作成/電子署名費用もすべて0円です。
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専門家にすべて依頼する

会社設立に関わる書類作成から申請まで、すべてを専門家に依頼する場合、手続きにかかる手間を大幅に削減できますが、依頼内容に応じた外注費が発生します。また、専門家によって扱う領域が異なるため、依頼したい手続きごとに複数の専門家を探す必要があります。
専門家の中でも、税理士は会社設立後の決算などをサポートできるので長い付き合いになります。そのため、まずは自分に合った税理士を探すのがおすすめです。弥生の「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」なら、業界最大規模の全国12,000のパートナー会計事務所から、会社所在地や業種に合わせて最適な税理士を無料でご紹介します(2023年4月現在)。なお、税理士に依頼することで、提携している各士業と連携して、会社設立の手続きをすべて代行してもらうことも可能です。

書類作成は専門家に依頼し、申請を自分で行う

会社設立時に必要な書類作成を専門家に依頼し、定款の認証や設立登記申請のために各官公庁へ出向くのは自分で行うこともできます。電子定款を自分で作る場合は、所定のソフトやICカードリーダーライターなどを用意するのに手間と費用がかかりますが、専門家に書類作成を任せれば、作ってもらった書類を提出するだけで済みます。

自分に合う会社設立の手続き方法を検討しよう

会社設立の手続きをすべて自分で行おうとすると、慣れない書類作成や申請手続きに時間がかかってしまい、本業の準備の時間を圧迫してしまうおそれがあります。だからといって、すべての手続きを専門家に依頼すると、代行費用などの出費がかさむこともあるのです。

弥生のかんたん会社設立」などのクラウドサービスを利用することで、自力で作るのは大変な電子定款も、無料かつ簡単に作成することができます。また、「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」のような無料のサービスを利用することで専門家を探す手間も省けます。こうしたサービスを上手に活用し、会社設立手続きにかかる手間や費用を抑えて、本業のスムースな滑り出しに注力しましょう。

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この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で10年連続相談数日本一。
著書・監修書に「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』新規タブで開く」、「図解 知識ゼロからはじめる起業の本 新規タブで開く」がある。
URL:https://v-spirits.com/新規タブで開く

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