フランチャイズとは?仕組みやメリットを簡単に解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

独立・開業するには、自分で事業を立ち上げる他に、フランチャイズに加盟して開業する方法があります。フランチャイズは、企業本部から経営のノウハウや事業に必要な設備などのサポートが受けられるため、業界未経験者が独立・開業する際の方法として選ばれることがあります。

その一方で、フランチャイズは企業本部に対して、一定のロイヤルティが発生するなど、一般的な自営業とは異なる仕組みになっています。

ここでは、これから独立・開業する方に向けて、フランチャイズの仕組みやフランチャイズとして開業するメリット・デメリット、フランチャイズか自営業かを検討する際のポイントを解説します。

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フランチャイズとは対価の代わりに経営ノウハウの提供を受けるビジネスモデル

フランチャイズとは、フランチャイズ本部である企業と契約を結び、一定の対価を支払うことで、販売や経営に関するノウハウの提供を受けるビジネスモデルです。もともとアメリカで生まれたビジネスモデルで、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドから広がり、今ではコンビニエンスストアや飲食店、小売店、クリーニング店、学習塾、美容室、介護サービス、買取販売業などでも取り入れられています。

なお、フランチャイズ本部のことをフランチャイザー、加盟店をフランチャイジー、フランチャイズ加盟によって支払う対価をロイヤルティといいます。

フランチャイザーは企業本部のこと

フランチャイザーとは、フランチャイズ企業本部のことで、加盟店に対して商標やロゴといったブランドの使用権を与えるだけでなく、商品開発や仕入れ、マニュアル、人材育成、宣伝など事業運営に必要な権利やノウハウをパッケージ化して提供します。また、フランチャイザーは、加盟店のサポートや指導を行うこともあります。

フランチャイジーは加盟店のこと

フランチャイジーは加盟店のことで、フランチャイザー(企業本部)から得た販売や経営ノウハウをもとに、事業を行います。権利の他、販売や経営ノウハウを受ける対価として、加盟する際に加盟料、加盟した後は契約内容に合わせて一定のロイヤルティをフランチャイザーに支払います。

なお、フランチャイジー(加盟店)はフランチャイザー(企業本部)に雇用されるのではなく、独立した事業者として契約を締結するため、一般的な自営業と同様の開業手続きが必要です。個人事業主として開業するなら税務署へ開業届を提出、会社を設立するなら定款の作成や法人登記といった会社設立手続きを行いましょう。

ロイヤルティの支払い方法は複数ある

フランチャイジー(加盟店)がフランチャイザー(企業本部)に支払うロイヤルティは、定額を毎月支払ったり、売上に応じて歩合で支払ったりするなど、フランチャイザーによって割合も支払い方法も異なります。ロイヤルティは資金繰りに影響するものです。売上が思ったように上がらなければ資金繰りを圧迫しかねません。

フランチャイズ契約をする前に、以下のようなロイヤルティの支払い方法を確認しておきましょう。

フランチャイズのロイヤルティの支払い方式
支払い方式 説明
粗利益配分方式 売上高から仕入れ原価を引いた粗利益に、一定の割合を掛けた金額をロイヤルティとして支払う方式。利益が大きくなると、ロイヤルティも高くなる。主にコンビニや小売店などで用いられている。
売上高比例方式 売上高に一定の割合を掛けた金額を支払う方式で、売上歩合方式とも呼ばれている。売上が大きくなると、ロイヤルティも高くなる。仕入れ原価が高いと利益に響く。主に外食チェーンや介護事業などで用いられている。
定額方式 店舗の業績にかかわらず、毎月決まった金額を支払う方式。売上が大きくなると、自分の利益が増える。主に不動産業やリユース業、クリーニング業などで用いられている。

なお、上記以外に店舗面積や部屋数などの営業規模に応じた金額を支払う営業規模比例方式、フランチャイズ企業本部から供給される商品やサービスなどの価格にロイヤルティが含まれる商品供給代替方式などもあります。

フランチャイズで開業するメリット

フランチャイズは、独立・開業するだけでなく、自営業だった方が事業の拡大を目指してフランチャイズに加盟して開業するケースもあります。フランチャイズで開業するメリットは以下のようなことが挙げられます。

フランチャイズの主なメリット
  • 販売や経営ノウハウが学べる
  • ブランド力で集客につながる
  • 店舗運営に集中できる

販売や経営ノウハウが学べる

フランチャイズは、販売や経営ノウハウなどがパッケージ化されて提供されるため、メリットは経営者自身が学べることだといえます。自分で独立・開業すると、商品開発や仕入れルートの確保、集客方法など全てのことを自力で考えて、準備しなければなりません。慣れない作業は時間がかかったり、作業が漏れてしまったりすることも考えられます。しかし、フランチャイジーのパッケージ化されたビジネスモデルを実践して学ぶことで、失敗のリスクを軽減し、事業を長く続けていくことにもつながるでしょう。

ブランド力で集客につながる

開店と同時に知名度のある状態でビジネスをスタートできるのは、フランチャイズならではのメリットといえます。独立・開業にあたって売上を立てるには、まず自分の店舗や商品、サービスを知ってもらい、集客につなげていくことが欠かせません。フランチャイズなら、認知度がある程度確立されたブランド名やロゴを使用できるため、集客においても有利になることがあります。

店舗運営に集中できる

フランチャイズでは、開業前後に本部スタッフによる研修の他、事業運営や経営について継続的なサポートが受けられます。そのため、加盟店の経営者は、店舗運営に専念できることもメリットでしょう。また、新サービスやキャンペーンなどのマーケティング戦略を企業本部が立案してくれるだけでなく、売上が伸び悩んでいるといった悩みが生じたときも、企業本部が相談に乗ってくれます。

フランチャイズで開業するデメリット

メリットがある一方で、フランチャイズ経営には次のようなデメリットもあります。フランチャイズの契約条件を事前に確認しておかないと、事業継続が難しく、トラブルにつながることもあるかもしれません。フランチャイズ加盟を検討するときには、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。

フランチャイズの主なデメリット
  • 自由な経営ができない
  • ブランド価値が下がると影響を受ける
  • ロイヤルティや契約による制限がある

自由な経営ができない

フランチャイズに加盟すると、本部のマニュアルに沿った経営が求められるため、独自性のある自由な経営ができないことはデメリットの1つです。フランチャイズでは、商品やサービスはもちろん、店舗の内装や人材教育制度などにもルールが設けられており、加盟店の判断で取扱商品や価格を変更したり、オリジナルのサービスを提供したりすることは難しくなっています。

自分の理想とする店舗運営とは違っていても、加盟店である以上は本部の方針に従わないと、契約違反となってペナルティを受ける可能性があるので注意しましょう。

ブランド価値が下がると影響を受ける

フランチャイズチェーンはブランド力がメリットになる一方で、何らかの理由によってブランド価値が下がった場合に加盟店も悪影響を受けることがデメリットといえます。例えば、企業本部の業績悪化やイメージダウンにつながるトラブルなどによって、自己責任では補えない影響を受けるリスクが考えられます。反対に、自分の店舗がブランド価値を傷つけてしまった場合は、企業本部から損害賠償を請求されることもありますので、ブランドイメージを損なわないように努めることも必要でしょう。

ロイヤルティや契約による制限がある

フランチャイズ加盟店の場合、ロイヤルティの支払いによって、自分の利益が減ることもデメリットといえます。また、企業本部によっては、契約終了後も一定期間は同業または類似業種での新規出店を禁止するといった契約の制限を設けているケースがあります。契約の制限が設けられているのは、フランチャイズ企業本部のノウハウやマニュアルを守るためです。フランチャイズ加盟店で経験を積み、将来的には同業種で開業したいと考えている場合は、契約終了後の制限も含めて契約内容を確認しておきましょう。

フランチャイズか自営業かを決める際のポイント

フランチャイズには、一般的な自営業とは異なり、経営ノウハウやブランド知名度がある状態で開業できる一方で、ロイヤルティの支払いをはじめとする、さまざまな契約の制限が設けられています。フランチャイズか自営業か、どちらで開業するのがいいかを悩む場合は、次のようなポイントも確認してみましょう。

フランチャイズにするかを決める際のポイント
  • 売上や経営方法などを比較してみる
  • 市場規模とロイヤルティを確認する
  • 契約内容を吟味する
  • 成功事例やトラブル事例を調べる

売上や経営方法などを比較してみる

自分で開業した場合とフランチャイズに加盟した場合で、売上や経営方法などにどのような違いがあるのかを書き出し、比較検討してみると頭の中を整理することにもつながります。フランチャイズは経営ノウハウがパッケージ化されて提供されるため、経験がなくても開業しやすいという特徴がありますが、ビジネスで大切なのは、開業した後に継続して利益を生み出していくことです。

まずは何を誰にどうやって売るか、いつまでにどれくらいの売上になりそうかを考え、現実的な資金計画を立ててみてください。また、自分がやりたい業種でフランチャイズ契約があるか、契約内容はどうなっているかは、Webサイトやパンフレットなどから情報を集めてみましょう。

市場規模とロイヤルティを確認する

フランチャイズに加盟すると、加盟料に加えて、毎月一定のロイヤルティを企業本部に支払うことになります。ロイヤルティは業種ごとに費用相場があり、コンビニは粗利益の50~70%程度、買取業は20%前後といわれています。ただし、ロイヤルティの金額や割合は、企業本部や業種、契約内容によっても異なります。ロイヤルティ相場だけでなく、ロイヤルティを支払っても利益が確保できるかどうかを確認するため、売上が立てられる市場規模があるかどうかも契約前に調べておきましょう。

契約内容を吟味する

フランチャイズ契約は、企業本部が用意した契約内容を加盟店が受け入れ、原則として、企業本部のマニュアルどおりに事業運営しなければなりません。また、中途解約をすると違約金が発生することもあります。フランチャイズ契約を検討する際には、契約内容を吟味し、不明点や疑問点があれば企業本部に確認しましょう。

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会のWebサイト「情報開示書面新規タブで開く」では、小売業や外食業、サービス業といったフランチャイズ契約を行っている企業の契約概要を確認することができます。こうした情報開示書面の他、企業本部の財務状況なども吟味する際に参考にしてみてください。

成功事例やトラブル事例を調べる

フランチャイズ契約を検討する際には、企業本部の説明だけを聞くのではなく、実際の成功事例やトラブル事例を調べておきましょう。フランチャイズに加盟して事業拡大に成功している事業主がいる一方で、フランチャイズに関して資金面や業務内容においてトラブルを抱えてしまう事業主もいます。企業本部にトラブルが起きたときの対応策を確認しておくだけでなく、既にフランチャイズで店舗運営をしている加盟店の経営者に話を聞くことで、自分では気付けなかった注意点が見えるかもしれません。

開業届や確定申告を手軽に行う方法

フランチャイズでも自営業でも、個人事業主として開業するには、開業から1か月以内に、開業届を納税地の税務署に提出する必要があります。また、確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けられる青色申告を行うには、開業届を提出したうえで、事業開始から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

個人事業主として開業する場合は、「弥生のかんたん開業届」を使えば、画面の案内に従って操作するだけで開業届などの必要書類の作成ができます。

また、クラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告オンライン」を使えば、簿記や会計の知識がなくても、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たした青色申告の必要書類がかんたんに作成できます。
起業・開業後はお店の運営の他に、会計業務などお金の管理を自分で行うことが必要になるため、起業・開業のタイミングで会計ソフトや確定申告ソフトなどを導入しておくといいでしょう。

フランチャイズでも開業届の提出は忘れずに!

フランチャイズで開業すると、経験がなくても経営ノウハウを得られたり、ブランド力で集客につながったりするなどのメリットがあります。一方で、売上が少なくてもロイヤルティが発生するだけでなく、企業本部の方針に沿って事業運営しなければならないといった契約の制限もあります。企業本部のサポートがあるとはいえ、フランチャイズに加盟すれば成功するというわけではありません。フランチャイズ加盟店も独立した事業主であり、自分の事業に対して責任と覚悟を持って開業する必要があります。

フランチャイズと自営業のどちらがいいかは、業種や業態、市場規模、自分が行いたい事業運営の方向性などによって異なります。フランチャイズ加盟を考える際には、メリットとデメリットの両方を把握したうえで検討を重ねてみましょう。

また、フランチャイズ契約をしても、個人事業主としての開業手続きが必要です。個人事業主として開業する場合は、「弥生のかんたん開業届」や「やよいの青色申告オンライン」の活用もご検討ください。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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