法人の種類は?法人一覧と設立方法をわかりやすく解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

法人と聞くと、株式会社をイメージする方が多いかもしれませんが、株式会社以外に合同会社や社団法人など法人にはいくつか種類があります。起業するにあたっては、設立する法人の種類を決めて、その法人形態に合わせた設立手続きを行わなくてはなりません。

法人の種類を知っておくことで、事業での責任の範囲や設立費用、事業の目的などに合わせて選ぶことができます。ここでは、起業前に知っておくべき法人の種類や設立方法をわかりやすく解説します。

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法人の種類は私法人と公法人に分けられる

法人の種類は、公権力を持たない「私法人」と、国や地域といった公の事業を行う「公法人」の2つに分類されます。法人の種類は以下の図のような形となり、私法人は株式会社や合同会社など、公法人は独立行政法人や公共団体などにさらに分かれていきます。

起業するなら私法人から法人の種類を選ぶ

一般的に、起業するにあたって選ぶのは私法人です。私法人の中でも営利法人に該当するのが、株式会社や合同会社、合資会社、合名会社で、経済的な利益を得ることを主な目的とし、事業で得た利益を構成員に分配します。

私法人のうち非営利法人に該当するのが、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人などです。事業で利益を上げますが、得た利益は、団体の活動目的を遂行するために使われます。利益をどう扱うかが営利法人にするか、非営利法人にするかの決め手となるでしょう。

私法人と公法人の違いは公権力の有無

私法人と公法人の違いは、公権力があるかどうかです。公法人は、公共の事業を行うことを目的に設立されるため、法律に基づき公権力の行使が認められています。主に、独立行政法人や地方公共団体(都道府県や市町村など)、特殊法人などが公法人に該当します。公法人は、設立団体が議会の決議を得なければならなかったり、総務大臣または都道府県知事の認可が必要になったりすることがあり、個人がかんたんに設立できるものではありません。

株式会社や合同会社など営利法人の設立方法

事業活動で利益を得ることを目的に起業する場合は、営利法人である「会社」を設立することになります。現在、日本で新しく設立できる会社形態は、株式会社合同会社会社合資合名会社の4つです。

現在設立できる4つの会社は、出資者の責任の範囲や経営スタイル、設立手続き、設立費用などが異なります。これから会社形態を選ぶ際には、以下のような株式会社や合同会社などの設立方法を参考にしてみてください。

株式会社

株式会社は、日本で最も多い会社形態です。多く選ばれる理由は、知名度が高く、取引や融資などにおいて社会的な信用を得やすいことが挙げられます。株主に株式を買ってもらうことで資金を集め、その資金をもとに経営を行います。株式によって資金調達をできることも株式会社の特徴の1つです。

原則として出資者である株主と経営者の役割は切り離されており、事業活動によって得た利益の一部は配当金という形で株主に分配されます。なお、出資者(株主)と経営者は同一人物でも良く、小規模事業者の場合は出資者が経営者となることが一般的です。

また、株式会社は資本金1円から設立できますが、会社設立時には、経営の目的や組織、ルールなどをまとめた定款の作成や認証、法務局での登記申請といった手続きが必要で、定款認証手数料や登録免許税などがかかります。後述する合同会社、合資会社、合名会社よりも設立費用がかかる傾向があるだけでなく、決算公告を行う必要もあります。

  • 株式会社の仕組みやメリットについては以下の記事を併せてご覧ください

株式会社とは?仕組みやメリット、合同会社との違い、設立方法を解説

合同会社

合同会社は、2006年に施行された会社法によって新しく生まれた会社形態で、株式会社に次いで多く選ばれています。その理由は、設立手続きにおいて、定款の認証が不要なだけでなく、法人登記の際の登録免許税をはじめとする設立費用が、株式会社より抑えられるからです。株式会社同様に資本金1円から設立できます。

また、出資者と経営者が同一で、スピーディーな意思決定が可能なことも選ばれる理由の1つです。合同会社では、出資者のことを「社員」と呼び、会社の負債に対して限られた範囲の責任を負う有限責任社員となります。社会的な信頼度や認知度は、株式会社よりも低い傾向はありますが、小規模事業で起業を目指す方に選ばれているといえるでしょう。

なお、以下に解説する合資会社と合名会社も所有と経営が一致しており、これら3つの会社形態を総称して持分会社といいます。

  • 合同会社の役職、メリットについては以下の記事を併せてご覧ください

合同会社とは?合同会社の特徴や役職、メリット・デメリットを解説

合資会社

合資会社は、会社の負債に対して全て責任を負う「無限責任社員」1人以上と、出資額の範囲においてのみ責任を負う「有限責任社員」1人以上の2人以上が必要です。合資会社以外の3つの会社形態は1人以上で設立できるため、1人で起業する場合は選べませんのでご注意ください。

株式会社や合同会社の出資は金品または現物という規定がありますが、合資会社は労働自体を出資する労務出資ができ、資本金が0円でも設立できることも特徴の1つです。出資者である社員が経営を行うことや設立方法は合同会社と同じです。

合名会社

合名会社も、合同会社や合資会社と同じく所有と経営が一致した持分会社であり、設立方法も合同会社と同じです。また、合資会社と同じく資本金の規定はなく、労働自体を出資する労務出資ができ、資本金は0円でも設立できます。

合名会社の特徴は、会社の負債に対して、全て責任を負う「無限責任社員」のみで構成されることです。会社が倒産した場合などは、債権者に対して負債総額を全て支払わなければなりません。株式会社や合同会社の場合、出資の範囲においてのみ責任を負う有限責任となるため、合名会社よりも選ばれることが多くなっています。

NPO法人や一般社団法人など非営利法人の設立方法

事業において利益を追求するのではなく、社会貢献などの目的を達成するために起業する場合は、非営利法人を設立することになります。公益性の高い事業を行う非営利法人は、税制優遇を受けられることがある他、設立人数などの規定が異なります。法人の種類を選ぶ際には、以下の点を参考にしてみてください。

NPO法人

NPO法人のNPOは「Non-Profit Organization」または「Not-for-Profit Organization」の略称で、特定非営利活動法人とも呼ばれています。収益を目的とする事業を行うことは可能ですが、事業で得た利益は社会貢献活動にあてなくてはなりません。

また、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「社会教育の推進を図る活動」などをはじめ、法律によって20種類の活動分野が規定されています。詳しい活動分野の規定については、内閣府のWebサイト特定非営利活動(NPO法人)制度の概要新規タブで開くでご確認ください。

NPO法人を設立するには、10人以上の社員(正会員)が必要です。さらに、法人登記前に所轄庁での認証手続きが必要で、申請してから審査に2か月ほど時間がかかります。なお、設立にあたって登録免許税などの費用はかかりません。

一般社団法人

一般社団法人は営利を目的としない活動を行う法人ですが、NPO法人のように活動分野は制限されていません。非営利法人というとボランティアなどの活動を思い浮かべやすいですが、活動に制限がないため、株式会社や合同会社のような事業を行うことも可能です。

非営利法人ができないのは余剰利益を分配することです。株式会社が株主に余剰利益を配当するようなことはできないため、一般社団法人の余剰利益は次年度に繰り越し、事業のために活用します。

一般社団法人を設立するには2人以上の社員が必要で、理事や社員総会を置くことなどの決まりがあります。資本金制度はありませんが、定款の認証や法人登記などの設立手続きも必要です。株式会社などに比べて設立数は少ないものの、近年増加傾向にあります。

一般財団法人

一般財団法人は、一定の目的で集められた財産を管理したり、運用したりするための非営利団体です。NPO法人や一般社団法人との違いは、「財産」に対して重きを置いていることです。

また、活動内容に制限はありませんが、一般財団法人を設立するには300万円以上の金銭もしくは財産の拠出が必要になります。さらに、設立時に必要な人数は、理事3人、評議員3人、幹事1人の計7人で、兼任することはできません。

なお、定款の認証や法人登記などの手続きも必要です。

法人の種類は起業後に変えられる?

定められた手続きを行うことで、合同会社から株式会社、株式会社から合同会社など、営利法人の中で法人の種類を変えることは可能です。また、所定の条件を満たせば、会社間で合併することもできます。

ただし、非営利法人の場合は、設立後に法人の種類を変えることはできません。法人の種類が違えば合併も不可となりますので、法人の種類を選ぶ際には注意しましょう。

なお、「融資を受けたい」「大手企業と取引を行いたい」「株式上場を目指したい」という場合は、社会的な信用が必要になるため、株式会社を選ぶ必要があります。「法人設立を急ぎたい」「費用を抑えたい」「大きな資金調達が不要」という場合は、合同会社の方が向いているかもしれません。

また、個人事業主から法人化(法人成り)を考えている場合、法人の種類を選ぶだけでなく、法人の税金の仕組みなども把握しておくと法人化のタイミングを見極めるのに役立ちます。法人の種類は後から変えられるものと変えられないものがあるため、法人の種類や法人化するタイミングに迷ったときは、税理士などの専門家に相談するのも1つの方法です。

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自分の事業に合った法人の種類で起業しよう

法人には株式会社や合同会社をはじめ、NPO法人、一般社団法人などさまざまな種類があります。また、一口に会社を設立するといっても、株式会社と合同会社では設立方法や事業での責任範囲、設立費用といった点でも違いがあります。

起業後に法人の種類を変更できるものもありますが、余計な手間や時間をかけないようにするには、設立時に自分の事業に合う法人の種類を選びましょう。判断に迷ったときは、弥生株式会社の「税理士紹介ナビ」などを活用して、専門家にご相談ください。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

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