経営者になるには?必要な知識やスキル、成功する経営者の特徴を解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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経営者になるにはどうしたらいいのか、詳しく知っている方は少ないかもしれません。しかし、経営者を目指す上では、どのような方法があるのか、あらかじめ知って準備しておきたいものです。
ここでは、経営者の役割や仕事内容、成功する経営者の多くが持っている特徴のほか、経営者を目指すために必要な知識やスキル、経営者になるための方法についても解説していきます。
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経営者とは経営の最終的な責任を負う人
経営者は、企業における最高責任者のことを指します。株式会社なら代表取締役、合同会社なら代表社員が、会社の経営者です。会社によっては、社長やCEO(最高経営責任者)などと呼ばれることもあります。
経営者の役割
経営者の大きな役割は、企業の経営方針や経営計画を策定し、意思決定に最終的な責任を持つことです。会社の方向性や業績は、経営者の意思決定によって左右されるといっても過言ではありません。また、対外的に自社の価値を高めて成長を促すと同時に、従業員の雇用を守ることも、経営者の役割の1つです。
経営者になるには資格は必要?
経営者になるために必須の資格はありません。まったく資格がなくても経営者になることは可能です。
ただし、事業を計画し会社を安定的に経営していくには、マネジメントや会計、マーケティングなどの知識が必要になります。そのため、「MBA(経営学修士)」「中小企業診断士」「経営士」「ビジネスマネジャー検定」「日商簿記」などの資格を取得していると役立つでしょう。
経営者になるには学歴は必要?
経営者にとって学歴は必須条件ではなく、大学に行かなくても経営者になることは可能です。
東京商工リサーチの調査「『130万人の社長データ』調査」によれば、経営者の最終学歴は大卒(52.47%)が最も多く、次いで高卒(37.58%)、中卒(6.74%)となっています。全体的には大卒が多いとはいえ、高卒および中卒の経営者も4割以上を占めています。
大企業の経営者を目指す場合には、就職活動や社内の人脈作りなどにおいて、学歴が影響する可能性があるでしょう。また、大学によっては、在学生に向けた起業支援を行っているところもあります。このように大学に行くことで起業の助けになることがあるかもしれませんが、学歴が必要なわけではありません。
経営者になるには社会人経験は必要?
大学在籍時から起業して経営者となる事例は増えており、社会人経験がなくても経営者になることは可能です。しかし、会社を経営するには、ビジネス全般に関する幅広い知識が求められます。そのため、経営を安定させ事業を成長させていくためには、社会人経験を積んでから経営者を目指す道がおすすめです。
例えば、会社員として働くことで、会社とはどのようなものかを把握できるようになりますし、社会人としてのコミュニケーション能力も身に付きます。また、同じ業界で働いた経験があれば、業界独自の慣習なども理解しやすくなるでしょう。経理や営業、生産、販売など、どのような職種であっても、経営者になるうえで無駄になる経験はないはずです。
経営者の仕事内容
会社の経営はすべての業務に紐づいてくるため、経営者の仕事は多岐にわたります。経営者の仕事内容は会社の規模や事業の内容によっても変わります。主な仕事内容としては下記のとおりです。この他に、プレイングマネージャーとして、組個人での目標も持ちながら業務を行っている経営者もいます。
経営者の仕事内容
- 経営方針を決める
- 会社の資金繰りを行う
- 社員を雇用し育成する
- 事業を推進する
- 社内環境を整備する
経営方針を定める
会社の進むべき方向を示す経営方針の決定は、経営者の重要な仕事の1つです。経営方針とは、経営理念を実現するための具体的な指針であり、企業が事業展開するうえでの目標とされるものです。また、経営方針は、定めるだけではなく、社内に周知させていく必要もあります。
会社の資金繰りを行う
会社の資金繰りも、経営者が担う仕事です。会社の収入よりも支出が多くなる赤字状態が続くと、事業の継続が難しくなってしまうでしょう。そのため、経営者は計画的な資金繰りを行い、設備投資のタイミングをはかったり、必要に応じて融資などで資金を調達したりします。会社の利益を向上させる適切な収支管理を行うためにも、収入に対する支出の割合といった会社の財務状況を経営者自身が把握していなければなりません。
社員を雇用し育成する
社員の育成は会社の業績向上に直結するため、社員の雇用・育成も経営者の仕事として忘れてはいけません。社員の採用や教育に直接関わるのは人事担当者や部署のリーダーかもしれませんが、「会社がどのような人材を求めるか」という指針を示すのは、経営者の仕事です。同時に、社員が納得できる公平な人事評価制度を整備する必要があります。
事業を推進する
経営者は、経営方針を決めるだけではなく、方針に則って実際に事業を推進していきます。具体的には、市場の動向をつかんで新たな事業を立ち上げ、企業の営業活動に必要な決定を下します。現場の担当者任せにせず、経営者自らが市場や顧客のニーズを分析することも必要です。
社内環境を整備する
社員が安心して働ける社内環境を作ることも、経営者が担うべき仕事として挙げられます。成果に応じた報酬制度の導入や福利厚生の充実、オフィスの環境整備など、快適な労働環境作りに努めなければなりません。働きやすい環境作りは、社員の仕事への満足度やモチベーションの向上にもつながります。
※役員報酬については以下の記事を併せてご覧ください。
成功した経営者の多くが持っている特徴
成功した経営者の多くは、下記のような共通する特徴を持っているといわれます。自分と照らし合わせてみて、経営者に向いているか確認してみましょう。
成功した経営者の多くが持っている特徴
- 好奇心が旺盛
- フットワークが軽く、行動力がある
- コミュニケーション能力がある
- 周りに流されない
- メンタルが強い
好奇心が旺盛
「いろいろなことに興味がある」「新しいものはまず試してみる」といった好奇心の旺盛さは、成功した経営者に共通する特徴といえるでしょう。事業を成功させるには、市場の変化や世間の興味、最新のトレンドなどをいち早く察知する力が求められます。社会のニーズをキャッチし、それをビジネスにつなげていくには、日頃から積極的かつ幅広くアンテナを張っておかなければなりません。
フットワークが軽く、行動力がある
フットワークが軽く行動力があるという点も、成功した経営者の特徴です。どんなに優れたアイデアでも、頭の中で考えているばかりで何も行動に移さないままでは、意味がありません。失敗を恐れて第一歩を踏み出せないと、成功するビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。
コミュニケーション能力がある
成功した経営者の多くが持つ特徴として、コミュニケーション能力も挙げられます。会社を経営するうえでは、従業員や取引先、顧客、仕入先などとの協力関係が欠かせません。実際に、成功している経営者には、人当たりが良く、他人からも信頼されるタイプが多く見られます。
周りに流されない
会社経営は意思決定の連続です。周りに流されないことも成功した経営者が持つ特徴の1つです。意思決定の際にいちいち周りの意見に流されていては、正しい判断ができなくなってしまいます。ただし、「周りに流されない」とは、独断で物事を決めるということではありません。自分の軸を持ち、周囲の状況も把握したうえで、冷静かつ客観的に判断を下せる力が求められます。
メンタルが強い
成功した経営者の多くは、失敗を前向きにとらえ、「どうすれば改善できるか」と次につなげるメンタルの強さも持っています。事業を運営していると、失敗したり、予想外のトラブルに見舞われたりすることが少なくありません。失敗したときにただ落ち込んでいるだけでは、そこから先に成長することはできないでしょう。
経営者になるために身に付けておくべき知識やスキル
会社を経営するには、さまざまな知識やスキルが必要になります。経営者を目指すなら、次のような準備をしておくといいでしょう。
経営に必要な知識を習得する
会社経営には、非常に幅広い知識が求められます。経理や財務、税務、法律、契約手続き、事業計画の策定、マーケティング、マネジメントといった経営や取引に必要な知識だけでなく、業界の動向や、その中での自社の強みなどについても知っておかなければなりません。
書籍や専門誌で調べる、他の経営者の話を聞く、税理士をはじめとした専門家に相談するなど、できるだけ知識や情報を吸収するように心掛けてください。
ただし、いくら勉強をしても、経験していないことを理解するには限度があります。準備段階で基本的な知識を身に付けておけば、実務的な知識は起業してからでも学べるでしょう。
人脈を作る
事業の成功を目指すうえで、人脈作りは大切なスキルです。人とのつながりからビジネスチャンスが生まれたり、壁に突き当たったときにアドバイスやサポートが受けられたりするかもしれません。
また、自分と同じように経営者を目指している人や、すでに会社を経営している人と交流すると、ビジネスに関する知見を広げることができます。イベントやセミナーに参加したり、SNSを活用したりして、積極的に人脈作りを進めておくといいでしょう。
経営者になるための方法
自分がどのような過程を経て経営者になりたいかをイメージしておくと、より具体的に進めていきやすくなるでしょう。主に、次のような方法が挙げられます。
経営者になるための方法
- 起業して経営者になる
- 出世して経営者になる
- 雇われて経営者になる
- 後を継いで経営者になる
- フランチャイズ開業で経営者になる
- 会社を買収して経営者になる
起業して経営者になる
経営者になる方法として、自分で会社を設立して経営者になる方法が挙げられます。事業計画書の作成や開業資金の用意といった設立手続きに伴う手間は発生しますが、自分がやりたい事業で会社の成長を目指せるというやりがいがあります。
出世して経営者になる
就職した会社で出世して、経営者までのぼり詰めるという方法もあります。大企業ではかなりハードルが高い方法ですが、中小企業であれば実現の可能性があるかもしれません。
雇われて経営者になる
会社のオーナーに雇われて経営者になる方法もあります。このようなケースは、一般的に「雇われ社長」と呼ばれます。すでに事業を展開している会社の経営を任されることになるため、突出したスキルや実績が求められるでしょう。
後を継いで経営者になる
親や親族が会社を経営している場合、後を継いで経営者になることも可能です。経営を引き継ぐ前に、入社して業務を一通り経験しておくと、事業承継がスムースになります。
フランチャイズ開業で経営者になる
フランチャイズチェーンに加盟して開業し、経営者になるのも1つの方法です。フランチャイズなら販売や経営のノウハウがパッケージ化されているため、他の方法に比べて少ないリスクで起業できます。一方で、フランチャイズ本部に対して、加盟料やロイヤリティの支払いが発生します。
会社を買収して経営者になる
近年増えているのが、M&Aなどによって、既存の経営者から会社の経営権や事業を引き継ぐことで経営者になる方法です。中には想定よりも低い金額で買収が成立するケースもありますが、リスクを避けるためには、買収前に会社の負債や業績も十分に確認しておく必要があります。
※起業や法人と個人事業主の違いについては以下の記事を併せてご覧ください。
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経営者を目指すなら起業を視野に入れて検討しよう
経営者になるにはさまざまな方法がありますが、その中の1つに自分で会社を設立することがあります。自分で立ち上げた会社であれば、事業内容や事業方針などを自分で決められて、必要な資格や学歴なども気にする必要はありません。「経営者になりたい」と考えるなら、起業を視野に入れたうえで、必要な準備を進めていくといいでしょう。
また、会社設立の際には、さまざまな書類の作成や手続きも必要になります。スムースに会社の設立を進めるには、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」の活用もご検討ください。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。