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商標登録のやり方とは?出願方法や申請の流れを解説

監修者:森 健太郎(税理士)

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会社を設立したときや商品・サービスを開発したとき、ブランドを立ち上げたときなどに、知っておきたいのが「商標登録」のやり方です。自社が考えた名称やマークを他社に使用されたくない場合には、商標登録を検討した方が良いといえます。

ここでは、商標登録のやり方を流れに沿ってご説明するとともに、申請を行うタイミングや商標登録する際の注意点についても解説します。

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商標登録のやり方は、書類出願とインターネット出願の2通り

商標登録を受けるには、特許庁に出願して審査を受けなければなりませんが、出願方法には書類出願とインターネット出願の2通りがあります。出願方法のステップごとにポイントもあるので、商標登録を考える際に参考にしてください。

STEP1. 申請前の商標調査を行う

商標登録を申請する前に、似たような商標が既に出願・登録されていないかを調査します。他人が既に同一または類似の商標を登録していた場合、自分が登録できないだけでなく、無断で使用すると商標権の侵害になってしまう可能性があります。

商標調査は、特許庁の関連機関である独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat新規タブで開く」を使って、無料で行うことができます。

  • 出典:独立行政法人工業所有権情報・研修館「J-PlatPat新規タブで開く

STEP2. 申請書類を準備する

商標調査で問題なければ、商標登録の申請書類を作成します。商標登録は、書類で出願する方法と、インターネットを用いて出願する方法があります。
紙の書類で出願する場合は、「商標登録願」に必要事項を記載します。商標登録願は、独立行政法人工業所有権情報・研修館「知的財産相談・支援ポータルサイト新規タブで開く」よりダウンロード可能です。

また、インターネット出願の場合は、「電子出願ソフトサポートサイト新規タブで開く」から「インターネット出願ソフト」をダウンロードした後、手順に沿って出願書類を作成します。
なお、インターネット出願を行うには、電子証明書が必要です。電子証明書の購入方法についても「電子出願ソフトサポートサイト」に記載があるので、確認しておきましょう。

STEP3. 商標登録の申請を行う

必要書類が準備できたら、特許庁に出願します。紙の書類の場合は、特許庁の窓口に提出するか、郵送で出願します。インターネット出願の場合は、インターネット出願ソフトで特許庁へ電子出願が可能です。

出願時には、所定の出願料がかかります。出願料は、出願する商品・サービスの区分の数によって変わり、「3,400円+(8,600円×区分の数)」となります。なお、区分とは、商品・サービスを第1類~第45類まで分けたものです。
紙の書類で出願する場合、出願料相当分の特許印紙を、書類の指定の箇所に貼付します。収入印紙ではないので、間違えないように注意しましょう。

一方、電子出願はクレジットカードや口座振替、Pay-easy(ペイジー)による支払いが可能ですが、特許印紙は利用できません。
なお、紙の書類での出願は、出願料に加えて「2,400円+(枚数×800円)」の電子化手数料が必要です。

STEP4. 特許庁による商標審査を受ける

出願後は、特許庁の審査官によって、書類の形式を確認する方式審査と、同一または類似した商標がないかなど、さまざまな観点から登録の可否を判断する実体審査が行われます。この2つの審査を通過すると登録査定となり、登録手続きへと進みます。

一方、もし審査によって登録できないと判断されたときは、その理由が記載された拒絶理由通知が出願人に送られてくるでしょう。拒絶理由通知を受け取った場合、意見書での反論や、書類を修正・再提出することも可能です。
ただし、意見書等でも拒絶理由が解消しなかった場合は拒絶査定となり、その商標は登録されません。

STEP5. 登録料の納付

特許庁から登録査定を受け取って30日以内に所定の登録料を納めると、正式に商標が登録され、商標権が発生します。登録料は10年分を一括納付するか、5年分ずつ分割納付するかを選べます。
登録料の金額は、10年分の場合が区分の数×3万2,900円、5年の場合は前期・後期とも区分の数×1万7,200円です。

商標登録の申請を行うタイミングは審査時間や事業戦略も考慮して決める

商標登録は、商品やサービスの名称が決まったら、できるだけ早めに登録を検討してみてください。
商標権を取得するには、特許庁に出願して審査を受けなければなりません。審査には順番待ち期間も含めて時間を要するため、出願から商標登録を受けるまで1年程度かかることもあります。

展示会やWebサイトなどで新商品を発表する予定がある場合は、その前に登録申請をしておいてください。もし、他社が先に商標登録をしてしまうと、その商標を使うことができなくなる可能性があります。名称は決まっているものの、リリース時期が未定または当分先になりそうな場合には、事業戦略なども踏まえながら、出願するタイミングはいつが最適なのかを専門家に相談すると良いでしょう。

出願しても商標登録できないものがある

商標登録には審査があり、出願した商標が全て登録されるとは限りません。例えば、次のような商標は登録不可とされているため、注意してください。

商標登録できないもの

  • 自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
  • 公共の機関の標章とまぎらわしいなど公益性に反するもの
  • 他人の登録商標や周知・著名商標等とまぎらわしいもの

自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの

商標登録できないものは、自己と他人の商品・役務(サービス)を区別することができないものです。
例えば、商品「パーソナルコンピュータ」に「パソコン」という文字や、商品「野菜」に「北海道」という文字など、単に普通名称、産地、販売地、品質のみの表示とみなされる商標は登録できません。
また、「清酒」に「菊正宗」といった単に慣用されている文字や、「佐藤」「田中商店」といったありふれた氏名のみを表示する文字も商標登録は不可です。

公共の機関の標章とまぎらわしいなど公益性に反するもの

商標登録できないものは、公共の機関の標章とまぎらわしいなど、公益性に反するものです。
例えば、国旗と同一または類似の商標や、公序良俗を害するおそれがある商標は、登録することができません。また、商品「ビール」に「◯◯ウイスキー」という商標をつけるなど、商品・役務(サービス)の内容を誤認させるおそれのある商標も登録不可です。

他人の登録商標や周知・著名商標等とまぎらわしいもの

商標登録できないものは、他人の登録商標や周知・著名商標等とまぎらわしいものです。
例えば、他人の登録商標や周知商標(広く認知されている商標)と似ているものやまぎらわしいものは商標登録できません。また、他人の氏名や名称、著名な芸名、略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ている場合を除き、登録は不可です。

その他、出願しても登録にならない商標は、特許庁の「出願しても登録にならない商標新規タブで開く」で確認しておきましょう。

商標登録する際の注意点

商標登録する場合には、適切な範囲で商標権を取得できるか、商標調査や書類作成、出願方法など、さまざまな点に注意を払わなければなりません。特に、次のような点には十分注意が必要です。

商標登録する際の注意点

  • 確実な登録を目指す場合には専門家に依頼した方が良い
  • 他人の登録商標の存在により商標登録を受けられなかった場合は、すみやかに対応する
  • 海外で商標登録する場合には、それぞれの国において申請し商標登録を受ける
  • 早期に商標登録を受けたい場合には、商標早期審査の制度の利用を検討する

確実に商標登録を行いたい場合は、専門家に依頼した方が良い

商標登録する際の注意点には、確実に商標登録を行いたい場合、専門家に依頼した方が良いことが挙げられます。手続きそのものは自分で行うことも可能ですが、スムースかつ確実な商標登録を目指すなら、専門家である弁理士への依頼が望ましいといえます。

商標登録にあたっては、出願する商標の内容や商品・役務の区分設定を慎重に検討しなければなりません。また、審査の結果、拒絶理由通知が発行された場合は、意見書での反論など、適切な対応が必要になります。専門知識が求められる場面が多いため、商標登録に関する手続きは弁理士に依頼することを検討してみましょう。

他人の登録商標の存在により商標登録を受けられなかった場合は、すみやかに対応しなければならない

商標登録する際の注意点には、他人の登録商標の存在により商標登録を受けられなかった場合は、すみやかに対応しなければならないこともあります。
商品やサービスにおいてその商標を使い続けていると、他者の商標権を侵害するおそれがあるためです。リスク回避のため、商品やサービスの名称変更や、マーケティング戦略の方向転換を検討するようにしてください。

海外で商標登録する場合は、それぞれの国において登録する必要がある

商標登録する際の注意点には、海外で登録する場合、それぞれの国において行う必要があることです。
海外での商標登録は、国ごとの特許庁等に直接出願する方法と、国際条約(マドリッド協定議定書)を利用した国際出願で複数国に一括出願する方法があります。自社の海外戦略に応じて、出願方法を使い分けると良いでしょう。

早期に商標登録を受けたい場合には、商標早期審査の制度の利用を検討する

商標登録する際の注意点には、早期に商標登録を受けたい場合、商標早期審査の制度の利用を検討することも挙げられます。早期審査を申請すると、審査順番待ち時間が約2.1か月と、通常の約6か月と比べて大幅に短縮されます。なお、早期審査の申し出には、商標登録の出願後に早期審査に関する事情説明書の提出が必要です。

会社設立の手続きを手軽に行う方法

会社を設立する際には、自分が使用したいと考えている社名やロゴが既に商標登録されていないか確認しなければなりません。それ以外にも、設立時にはさまざまな手続きが必要です。会社設立に必要な手続きを手軽に行いたい場合におすすめなのが、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」です。

「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できる無料のクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。

また、「弥生の設立お任せサービス」は、会社設立に関わる手続きを、起業に強い専門家に丸ごと代行してもらえるサービスです。電子定款や登記書類作成、公証役場への定款認証、法務局への登記書類提出などの各種手続きを依頼できるので、事業の準備で忙しくても確実かつスピーディな会社設立が可能です。

商標登録の必要性を知って自社の商品・サービスの権利を守ろう

商品やサービスの商標権を取得するためには、特許庁で商標登録を受けなければいけません。商標登録を行わないと、他人に同じ商標を勝手に使われてしまったり、反対に自分が他者の商標権を侵害してしまったりする可能性があります。

「自社の商品名やサービス名などを他社に使われたくない」「自社のブランドイメージを高めたい」という場合には、商標登録を検討すると良いでしょう。
また、会社設立の手続きをスムースに進めるには、「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」の利用もぜひご検討ください。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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