有限会社とは?株式会社との違いやメリットを解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

有限会社は、株式会社や合同会社などと同じく会社形態の1つです。2006年に施行された会社法により、新たに有限会社を設立することができなくなりました。つまり、現在社名に「有限会社」と付いていれば、会社法施行以前に設立された会社です。新会社法では、有限会社はそのまま有限会社でいることも、株式会社など他の会社形態にすることもできるようになっています。

ここでは、有限会社の特徴や、株式会社や合同会社との違い、有限会社のまま継続するメリット・デメリットなどについて解説します。

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有限会社とは会社法施行により新設できなくなった会社形態

有限会社とは、2006年施行の会社法によって新設できなくなった、株式会社や合同会社などと同様の法人格を持つ、会社形態の1つです。現在、日本で新しく設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。

有限会社が新設できなくなった理由

有限会社を設立できなくなった理由としては、会社法によって株式会社設立のハードルが下がったことがあります。会社法が施行されるまで、株式会社と有限会社には、最低資本金の額や役員の人数などにおいて、明確な区別がありました。例えば、会社法施行前の株式会社は資本金が1,000万円以上必要であったのに対し、有限会社の最低資本金は300万円でした。

また、役員の人数に関しても、株式会社は取締役3名以上、監査役1名以上を置いたうえで取締役会の設置が必要です。それに対し、有限会社は取締役1名以上で設立が可能となっており、取締役会を設置する必要もありませんでした。つまり、株式会社の設立は、有限会社に比べて、求められる必要な設立要件が多く難しかったのです。

しかし、会社法の施行によって株式会社の設立要件が変わり、最低資本金1円、取締役1名以上、さらに、取締役会を設置しなくても、株式会社を設立できるようになりました。その結果、株式会社と有限会社を区別する必要がなくなったため、有限会社の制度は廃止されることになったのです。

有限会社から移行できる会社形態

有限会社の新規設立はできなくなりましたが、それまで存在していた有限会社がなくなったわけではありません。会社法施行以前に設立された有限会社は、所定の手続きを経て株式会社か合同会社に変更、または従来の有限会社の制度の一部を引き継ぐ「特例有限会社」に移行しました。

特例有限会社は、法律上は新しい会社形態に分類されますが、有限会社からの移行にあたって特別な手続きは必要なく、社名には引き続き「有限会社」の文字を使用しなければならないとされています。一方、会社形態を変更すると、再び有限会社に戻すことはできません。変更する際には、会社形態を変えるメリット・デメリットを把握したうえで、よく検討することが大切です。

有限会社(特例有限会社)のままでいるメリット

有限会社は、会社形態を変更せずに特例有限会社として存続することができます。特例有限会社のままでいるメリットとしては、下記が挙げられます。

役員の任期制限がない

株式会社の役員には、必ず任期があります。株式の譲渡制限が設けられている非公開会社であれば、任期を最長10年まで延ばせますが、たとえ役員構成が変わらなくても、任期満了時には重任登記(任期満了した役員を引き続き就任させること)が必要です。一方、有限会社には役員の任期制限がないことがメリットです。そのため、役員が変わらない限りは、重任登記する必要はなく、登記の手間や費用を省くことができます。

会社形態の移行にかかる、手続きやコストがかからない

有限会社から特例有限会社に移行するにあたり特別な手続きは必要なく、社名も従来通り「有限会社」のままです。しかし、会社形態を変更すると、商号が変わるため登記などの手続きが必要になり、手間と費用がかかります。

さらに、商号を変更すると、名刺やはんこ、看板、Webサイトなども、全て変更しなければなりません。特例有限会社として存続すれば、このような会社形態の移行にかかる手続きやコストはかからない点がメリットです。

歴史が長い会社という印象を得られる

2006年に会社法が施行されてから、新しく有限会社を設立することはできなくなりました。つまり、今存在する有限会社は、会社法が施行される以前から続いている会社になります。そのため、わかる人にとっては社名を見ただけで、「歴史や実績がある会社」というイメージを持たれやすいというメリットがあります。

有限会社(特例有限会社)のままでいるデメリット

有限会社(特例有限会社)のまま存続することで、多くのメリットがあります。一方、次のようなデメリットも理解しておきましょう。

従業員の自主性喪失や経営者の負担増大につながる

前述したように、有限会社(特例有限会社)には役員の任期がありません。これはメリットになる一方で、「経営者の権限が強くなりやすい」「ワンマン経営に陥りやすい」ということにもつながります。ワンマン経営は迅速な意思決定が可能になるものの、従業員の自主性が失われて新しい意見が出てこなくなる、経営者に負担や責任が集中しすぎる、といったデメリットもあるため注意が必要です。

社会的信用度が低く見られることもある

有限会社(特例有限会社)は、法律上は株式会社に分類されます。しかし、株式会社と比較して経営の透明性が低いことや、新会社法の施行前は株式会社よりも少ない資本金で設立できたことなどの違いがあります。そのため、これまでの有限会社の歴史・制度を知らない一般消費者や年齢層が若い人などには、社会的信用度を低く見られてしまうこともあるのです。

会社の吸収合併ができない

有限会社は、自社の権利や義務など全てを存続会社に引き継ぐ消滅会社としての吸収合併や新設合併は可能です。しかし、有限会社を存続会社とする吸収合併や、有限会社を承継会社とする吸収分割はできません。

また、有限会社は株式交換や株式移転もできません。そのため、有限会社は、吸収合併を「される側」しかなれないのです。吸収合併を「する側」になるには、先に株式会社など他の会社形態になっておく必要があります。

有限会社と株式会社、合同会社の特徴から見た違い

現在新しく設立可能な4種類の会社形態の中でも、一般的なのは株式会社と合同会社です。この2つは、有限会社からの移行が可能な会社形態でもあります。有限会社(特例有限会社)と株式会社、合同会社の主な違いを、以下の表にまとめました。なお、有限会社は現在新設できないため、会社法施行前の設立要件を記載しています。

有限会社(特例有限会社)と株式会社、合同会社の違い

最低資本金額:有限会社(特例有限会社)は300万円、株式会社は1円、合同会社は1円。資金調達:有限会社(特例有限会社)は株式の発行は可能だが、公開はできない、株式会社は株式の発行も公開も可能で、資金調達の幅が広い、合同会社は株式の発行はできない。役員の任期:有限会社(特例有限会社)は任期制限なし、株式会社は通常2年、最長10年、合同会社は任期制限なし。取締役の人数:有限会社(特例有限会社)は1名以上※、株式会社は1名以上(取締役会を設置する場合は3名以上)、合同会社は設置の必要なし。

設立時における最低資本金額

有限会社と株式会社、合同会社は、設立時の最低資本金額が異なります。会社法施行前の有限会社の最低資本金額は300万円以上で、株式会社は1,000万円以上でした。会社法施行後は、株式会社も合同会社も最低資本金額は1円以上となっています。

株式発行の可否

有限会社と株式会社、合同会社の違いとしては、株式発行ができるかどうかということも挙げられます。株式会社は株式を発行して幅広く資金を集めることができるのに対し、合同会社は株式を発行できないため資金調達の手段が限られます。

しかし、会社法施行前のかつての有限会社は株式を発行できませんでしたが、施行後は発行できるようになりました。また、株式会社は株式を公開できますが、特例有限会社は公開することができないという違いもあります。

  • 株式会社の特徴については以下の記事を併せてご覧ください。

取締役の人数

有限会社と株式会社、合同会社は、取締役の人数にも違いがあります。会社法施行前の有限会社は取締役を1名以上置くことが定められており、これは特例有限会社になっても変わっていません。また、株式会社も取締役を1名以上(取締役会を設置する場合は3名以上)置く必要があります。

一方、合同会社は取締役を置く必要がありません。出資者が経営を行うため所有と経営が一致しており、事業を行ううえで迅速な意思決定が可能です。

  • 合同会社の特徴については以下の記事を併せてご覧ください。

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有限会社の特徴を正しく理解して、自社に合う会社形態を選ぼう

有限会社は株式会社などと同様に会社形態の1つですが、2006年の会社法施行によって、現在は有限会社を新たに設立することはできません。現在の有限会社は、会社法施行以前に設立された特例有限会社ということになります。

また、有限会社は株式会社や合同会社に変更することもできますが、一度会社形態を変更すると、再び有限会社に戻すことはできません。現在特例有限会社である場合は、メリットとデメリットの両方を知ったうえでよく検討することが大切です。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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