法人設立届出書とは?書き方と提出先を詳しく解説【記入例あり】

2024/03/28更新

この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

会社を設立した際には、さまざまな書類を提出する必要があります。その中で、会社設立後に税務署に提出しなければならないのが「法人設立届出書」です。法人設立届出書の作成は、書き方を知っていればさほど難しくはありませんが、初めての場合は戸惑ってしまうことが多いかもしれません。
ここでは、法人設立届出書の書き方と提出先を、具体的な記入例を交えて詳しく解説します。

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法人設立届出書とは設立した法人の基本情報を税務署などに知らせる書類

法人設立届出書とは、設立した法人の基本情報を税務署や都道府県・市町村に知らせる書類です。会社を設立したら、税務署(国)に税金を納めるためです。

法人設立届出書の提出は、会社の設立にあたって、法務局で法人登記を終えた後の税務関係の手続きに該当します。

会社設立の流れ

  1. STEP1.
    会社の概要を決める
  2. STEP2.
    法人用の実印を作成する
  3. STEP3.
    定款を作成し、認証を受ける
  4. STEP4.
    出資金(資本金)を払い込む
  5. STEP5.
    登記申請書類を作成し、法務局で申請する

STEP1. 会社の概要を決める

基本事項として、社名(商号)、事業目的、所在地、資本金、会計年度(事業年度)などの主な項目を決めます。

STEP2. 法人用の実印を作成する

法務局に法人設立登記の申請をするときには、会社の実印が必要です。
社名が決まったら、まず会社の実印を作っておきましょう。そのとき、法人口座の開設に用いる銀行印と、請求書や納品書などに押印する角印(社判)も一緒に作成しておくと、後々の手間がかかりません。

STEP3. 定款を作成し、認証を受ける

定款(ていかん)とは、会社を運営するうえでのルールをまとめた、会社の憲法のようなものです。定款にはあらかじめ決めておいた会社の概要の項目をはじめとする、必要事項をまとめて記します。
株式会社の場合は、作成した定款を公証役場に提出し、認証の手続きを行います。合同会社、合資会社、合名会社の場合は、定款の認証は不要です。

STEP4. 出資金(資本金)を払い込む

資本金の振込先は、発起人の個人口座になります。会社法では資本金の下限がないので1円から申請可能ですが、資本金が極端に少ないと、事務所を借りる際の契約料や備品購入の資金が足りなくなるおそれがあります。最低限の資本金として、初期費用に運転資金3か月分を足した金額程度は、用意しておくのがおすすめです。

STEP5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する

ここまでの手順をすべて行った後に、法務局に法人登記の申請を行います。法人登記の申請を行った日が、会社の設立日となります。

会社設立後の税務関係の手続き

法人登記が完了したら、法人設立届出書などの必要書類を設立日から2か月以内に会社の所在地を管轄する税務署に提出します。その後、必要に応じて都道府県税事務所、市町村役場への届出も忘れずに行ってください。
また、会社設立後は税務関係の手続き以外に、社会保険関係の手続きや労働保険関係の手続きなども必要です。

会社説立の詳しい手順は、こちらの記事も併せてご覧ください

法人設立届出書の種類と提出について

会社が納める税金には、国税である法人税の他にも、法人住民税や法人事業税といった地方税があります。一般的に法人設立届出書といえば、税務署に届け出る書類のことを指しますが、その他に都道府県税事務所や市町村役場にも届出書を提出する必要があります。

法人設立届出書の種類

  • (1)
    税務署に届け出る届出書
  • (2)
    都道府県税事務所に届け出る届出書
  • (3)
    市町村役場に届け出る届出書

会社設立後に必ず提出しなければならないのが「(1)税務署に届け出る届出書」で、「(2)都道府県税事務所に届け出る届出書」についても一般的に提出は必須です。「(3)市町村役場に届け出る届出書」に関しては、納税地によって提出不要なケースもあります。
それぞれ、書類の呼び方や記載項目に若干の違いはありますが、記載すべき内容は基本的に同じです。
なお、特段補足がなければ、この記事では税務署への提出分の説明となります。

どんな形態の法人でも提出が必須

法人設立届出書の提出は、法律によって定められています。株式会社をはじめ、合同会社や一般社団法人など、どんな形態の法人でも必ず提出しなければなりません。ただし、一般財団法人または一般社団法人で、非営利型法人に該当する場合は、法人設立届出書の提出は不要です。

法人設立届出書の記入用紙の入手方法

法人設立届出書は様式が決まっており、税務署窓口で入手するか、国税庁のWebサイト「[手続名]内国普通法人等の設立の届出 新規タブで開く」からダウンロードできます。
なお、都道府県税事務所や市町村役場に提出する法人設立届出書は、自治体によって様式が異なります。たいてい各自治体のWebサイトからダウンロードできますが、わからない場合はそれぞれの窓口に問い合わせてください。

なお、当社が運営する起業・開業ナビでは「弥生のかんたん会社設立」というクラウドサービスを無料で提供しております。弥生のかんたん会社設立を利用すれば、株式・合同会社設立に必要な書類(法人設立届出書を含む)を無料かつ簡単に作成することができます。登記後に税務署や年金事務所などに提出する書類も合わせて作成できるので、会社設立にかかる費用と手間を抑えたい方にはおすすめの方法です。

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法人設立届出書の提出期限

法人設立届出書は、会社を設立してから2か月以内に所轄の税務署に提出しなければならないと定められています。起業準備の忙しさのあまり、提出期限を過ぎてしまわないように気を付けましょう。
都道府県税事務所や市町村役場に提出する届出書は、自治体ごとに提出期限が異なります。例えば、東京23区の場合は会社設立日にかかわらず、事業開始日から15日以内、大阪府の場合は法人設立の日、または事務所設置の日から2か月以内など、自治体によっては提出期限が短いこともあるため注意が必要です。

法人設立届出書の書き方

ここからは、法人設立届出書の具体的な書き方を解説します。下記の記入例に沿って、定款や登記事項証明書を参照しながら記載しましょう。

法人設立届出書
  1. 日付
    法人設立届出書を税務署に提出する年月日を記入します。
  2. ◯◯税務署長殿
    本店所在地を所轄する税務署の名称を記入します。管轄の税務署がわからない場合は、国税庁のWebサイト「税務署の所在地などを知りたい方 新規タブで開く」で調べることが可能です。
  3. 整理番号
    記載不要です。
  4. 本店又は主たる事務所の所在地
    本店所在地の住所を書きます。登記したとおりに記入しましょう。電話番号は、固定電話がない場合は携帯電話番号でもかまいません。
  5. 納税地
    基本的には「④ 本店または主たる事務所の所在地」と同じものを記入します。
  6. 法人名
    法人名を書きます。略称などを用いず、登記してある正式名称で記入しましょう。フリガナも忘れずに記入します。
  7. 法人番号
    13桁の法人番号を記入します。法人番号がわからない場合は、国税庁の法人番号公表サイト 新規タブで開くから検索可能です。設立登記完了日の16時、または国税庁の翌営業日の11時に掲載されます。提出日に法人番号の指定をまだ受けていない場合は、記入不要です。
  8. 代表者氏名
    会社の代表者の氏名を書きます。フリガナも忘れずに記入しましょう。また、代表者氏名の欄には法人実印(会社代表者の印、株式会社なら「代表取締役印」と書かれている物)を押印します。
  9. 代表者住所
    会社の代表者の自宅住所と電話番号を記入します。固定電話がない場合は携帯電話番号でもかまいません。
  10. 設立年月日
    登記事項証明書に記載されている「会社成立の年月日」を記載します。
  11. 事業年度
    定款で定めた会計年度を書きます。
  12. 設立時の資本金または出資金の額
    登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている「資本金の額」を書きます。
  13. 消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日
    消費税の新設法人とは、資本金が1,000万円以上の新設法人のことです。設立時の資本金の額が1,000万円以上の場合は、「⑩ 設立年月日」と同じ日付を記入します。該当しなければ空欄でかまいません。
  14. 事業の目的(定款等に記載しているもの)
    定款に記載されている事業目的のうち、主なものを記入します。法人設立届出書の添付書類として定款のコピーを提出するので、定款に記載した事業目的をすべて書く必要はありません。
  15. 事業の目的(現に営んでいるまたは営む予定のもの)
    既に営んでいる、または近い将来営む予定のある事業の目的を記入します。「⑭ 事業の目的(定款等に記載しているもの)」と同じなら「同上」でかまいません。
  16. 支店・出張所・工場等
    本店以外に支店、出張所、工場などがある場合は、名称と住所を書きます。なければ空欄でかまいません。
  17. 設立の形態
    1~5のうち、該当するものを○で囲みます。新規に会社を設立した場合は「5.その他」に◯を付け、カッコ内に「新規開業」等と記入します。個人事業から法人を設立(法人成り)した場合は、「1.個人企業を法人組織とした法人である場合」になります。
  18. 設立の形態が2~4である場合の適格区分
    「⑰ 設立の形態」で1または5に◯を付けた場合は、空欄のままでかまいません。この記事では、新しく法人を設立するケースについて説明しているため、「⑰ 設立の形態」で2~4を選択した場合の説明は省略します。
  19. 事業開始(見込み)年月日
    基本的には「⑩ 設立年月日」と同じ日付を記入します。事業を始めていない場合は、事業を開始する予定日を書いてください。
  20. 「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無
    「給与支払事務所等の開設届出書」とは、会社が役員や従業員に給与(報酬)を支払う事業所を開設したことを届け出るための書類です。たとえ社長1人だけの会社でも、自分(代表取締役)に役員報酬を支払う場合は提出が必要になります。法人設立届出書と併せて、この「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する場合は、「有」に◯を付けます。当面、自分や従業員に給与を支払う予定がない場合は、「無」に◯をします。
  21. 関与税理士
    法人設立届出書を提出する時点で顧問税理士が決まっている場合は、その税理士の氏名と事務所所在地、電話番号を記載します。いない場合は空欄でかまいません。
  22. 添付書類等
    該当する番号に◯を付けます。「2.その他」は、添付書類の内容を記載します。なお、法人設立届出書に添付する資料は次のとおりです。
  23. 税務署に届け出る届出書:定款、寄附行為、規則または規約等の写し(以前は添付が必要だった「登記事項証明書(登記簿謄本)」は、2019年4月以降不要になりました)
  24. 都道府県税事務所・市町村役場に届出る届出書:定款、寄附行為、規則または規約等の写しと登記事項証明書(登記簿謄本)
  25. 税理士署名押印
    法人設立届出書を税理士に作成してもらった場合は、その税理士の署名と押印が必要です。そうでなければ空欄でかまいません。

なお、法人設立届出書の書き方についてはこちらの動画でも解説しているため、法人設立届出書を作成予定の人は参考にしてみてください。

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会社設立後は法人設立届出書を忘れずに提出しよう

会社を設立すると、法人税をはじめ、さまざまな税金を納める必要があります。そのために必要な手続きが法人設立届出書の提出です。法人設立届出書には提出期限が決められているため、会社を設立後、忘れずに準備を進めましょう。
また、会社設立時には法人設立届出書の他にも多くの書類が必要です。申請書類を作成する手間を省きたい場合は、ぜひ「弥生のかんたん会社設立」をご活用ください。

よくある質問

Q. 法人設立届出書とは?

法人設立届出書は、会社を設立したことと会社の概要を知らせるために所轄の税務署に提出する書類です。法人登記が完了したら、法人設立届出書などの必要書類を設立日から2か月以内に会社の所在地を管轄する税務署に提出します。その後、必要に応じて都道府県税事務所、市町村役場への届出も忘れずに行ってください。

詳しくはこちらをご確認ください。

Q. 法人設立届出書の種類にはどんなものがある?

会社設立後に必ず提出しなければならないのが「税務署に届け出る届出書」です。また「都道府県税事務所に届け出る届出書」についても一般的に提出は必須です。「市町村役場に届け出る届出書」に関しては、納税地によって提出不要なケースもあります。
それぞれ、書類の呼び方や記載項目に若干の違いはありますが、記載すべき内容は基本的に同じです。

詳しくはこちらをご確認ください。

Q. 法人設立届出書の記入用紙の入手方法とは?

法人設立届出書は様式が決まっており、税務署窓口で入手するか、国税庁のWebサイト「[手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁新規タブで開く」からダウンロードできます。
なお、都道府県税事務所や市町村役場に提出する法人設立届出書は、自治体によって様式が異なります。たいてい各自治体のWebサイトからダウンロードできますが、わからない場合はそれぞれの窓口に問い合わせてください。

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この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で10年連続相談数日本一。
著書・監修書に「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』新規タブで開く」、「図解 知識ゼロからはじめる起業の本 新規タブで開く」がある。
URL:https://v-spirits.com/新規タブで開く

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