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事業売却とは?特徴・注意点や事業譲渡と株式譲渡との違いを解説

2024/01/04更新

事業売却とは、事業の一部またはすべてを売却することです。事業を売却することで、不採算事業を整理したり、経営資源を集中させたりすることが可能です。
ここでは、事業譲渡か株式譲渡を選ぶポイントなどについて解説します。

中小企業による事業売却の概要

中小企業の事業売却は増加傾向にあります。後継者のいない中小企業で事業承継目的のM&Aが増加していることが要因です。中小企業庁が発表した「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会取りまとめ~中小M&A推進計画~ 新規タブで開く」(2021年4月)によると、中小企業のM&Aの実施件数は、2013年度に215件だったのが、2020年度では2,139件まで増えています。

M&Aには一般的に、会社の合併、分割、売却の手法があり、中でも売却には、大きく分けて事業譲渡と株式譲渡の2種類があります。
どのスキームでM&Aを行うべきかは、目的や会社の状況によっても変わりますが、事業譲渡は株式譲渡とともに、よく利用されるM&Aのスキームの1つです。ここからは、M&Aの方法である株式譲渡と事業譲渡の特徴や注意点について説明いたします。なお、事業譲渡や株式譲渡は、会社分割や合併などと組み合わせて利用されることもあります。

売却についての基礎知識はこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

株式譲渡の特徴と注意点

まずは株式譲渡の特徴と注意点について解説します。株式譲渡とは、売却を希望する会社の株主(オーナー)が譲受希望者に対象会社が発行する株式を譲渡することで、対象会社の経営権を移転するものです。

株式譲渡の特徴

株式譲渡の特徴としては、対象会社の経営権だけでなく、資産や負債などすべてを移転できるという点が挙げられます。また、一般的に経営権の移転は事業譲渡に比べて手続きが簡単だという特徴もあります。株主が異動するだけで、株式譲渡後も会社は変わらず存続し、その資産や負債、権利、義務にも変動はありません。事業や許認可の他、取引先との契約についても、特に手続きを行うことなくそのまま存続させることができます。

株式譲渡での注意点

株式譲渡を行う際にもいくつか注意点があります。例えば、株主が経営者だけでなく分散していると、株式の集約が難しいという点に注意が必要です。株式を集約できなくても経営権は移転できますが、譲受側からすると不安要素の1つにもなるため、希望者を見つけにくくなるということも考えられます。

また、株式譲渡に限らず、自社の負債が大きすぎると譲受希望者が見つかりにくくなるという点も挙げられます。株式譲渡は、経営権だけでなく資産、負債すべてを移転するため、負債が大きすぎると売却時に不利になります。また、不採算事業があると譲渡価格が希望よりも低くなってしまう可能性もあるかもしれません。

事業譲渡の特徴と注意点

一方、事業譲渡とは、事業の一部またはすべてを譲受希望者に売却することです。事業譲渡の特徴と注意点について解説します。

事業譲渡の特徴

事業譲渡の大きな特徴としては、自社にとって整理したい部分だけを売却できるということが挙げられます。事業譲渡の対象となるのは、会社が保有する事業資産です。例えば、事業資産には商品や工場などの設備、不動産など形があるものから、知的財産、ノウハウ、ブランド、営業権など形がないものまでが含まれます。ただし、中小企業の場合は、オーナーの資産と会社の資産が不明瞭な場合があるので注意が必要です。

事業譲渡の注意点

事業譲渡にも注意しておきたい点がいくつかあります。例えば、事業譲渡では、事業の主体が別の会社に移転するため、譲渡する債務の債権者や事業に付随する従業員の同意を得なければなりません。また、事業に付随する従業員は譲受希望者と新しく雇用契約を締結し直します。

他にも、事業譲渡後は、譲渡した会社は、同一市区町村および隣接する市区町村で譲渡した事業と同じ事業を20年間行えないとする競業避止義務を負うという点にも注意が必要です。ただし、譲渡側と譲受側の双方が了承すれば特約にて競業避止義務を排除することもできます。

事業譲渡か株式譲渡かを選ぶポイント

では、事業譲渡と株式譲渡を選ぶには、どのようなポイントを注目したらいいのでしょうか。自社の状況もふまえて、以下のポイントについて検討することが大切です。

譲渡したい範囲

譲渡したい範囲は、一部の事業なのか、すべての事業なのかを検討します。不採算事業やノンコア事業だけを切り離したいということであれば、一般的に事業譲渡が選択されますが、会社分割を行ってから分割した会社の株式を譲渡するという方法もあります。

税金

事業譲渡か株式譲渡かによって、課される税金が異なる点もポイントです。事業譲渡は事業資産の譲渡益に法人税が課税され、課税所得に消費税が課税されます。株式譲渡であれば、株式の譲渡益に所得税と住民税が課税されます。事業譲渡や株式譲渡に関する税金は複雑なため、税理士に相談することをおすすめします。

契約などの手続き

契約などの手続きも、事業譲渡か株式譲渡かを選ぶ際のポイントの1つとなります。事業譲渡の場合は、雇用移転の同意や取引先との新たな契約などの手続きが必要です。一方、株式譲渡では雇用移転の同意や新たな契約は基本的に必要ありません。ただし、経営権などが変わったときに契約を解除することなどを定めたチェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)が、取引先との契約に記載されている場合は注意が必要です。

事業譲渡か株式譲渡か迷ったら専門家に相談しよう

事業譲渡か株式譲渡のどちららがいいかは、譲渡する会社側の状況にもよるためさまざまな角度からの検討が必要です。また、手続きも複雑になるため、事業譲渡や株式譲渡を検討する場合は、専門家に相談することをおすすめします。

ただし、専門家に相談するといっても、自社に合った専門家でなければスムースに進めることは難しくなります。M&Aに詳しい専門家を探すなら、弥生の「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」がおすすめです。M&Aの専門家は、業界最大規模の全国12,000のパートナー会計事務所(2023年4月現在)から、会社所在地や業種、会社規模に合わせて最適な税理士・会計事務所を紹介します。

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