2022/4/15更新 株式会社と合同会社の違いは?特徴とメリット・デメリットを解説

会社の形態は、株式会社以外にも合同会社などの形態があります。会社それぞれの形態によって特徴やメリット、デメリットが異なるため、会社を設立しようとする際には、どの会社形態を選べばいいか判断に迷うこともあるでしょう。
ここでは、株式会社と合同会社の特徴をわかりやすく比較し、それぞれのメリットとデメリットについても解説します。

株式会社と合同会社の違い

現在、日本で新しく設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。合資会社と合名会社は他の2つと比べると設立件数が少ないため、会社を設立する際には、株式会社か合同会社のいずれかを選んで設立するのが一般的です。

株式会社は、株式を発行して資金を集め、その資金をもとに経営する会社形態です。株式会社では、出資者である株主と法人の経営者の役割が切り離されています。ただし、出資者(株主)と経営者は同一人物でもかまいません。

一方、合同会社は、会社法が施行された2006年5月に新しく設けられた会社形態で、出資者が会社の経営者と同一であるという特徴があります。合同会社では、出資者のことを社員と呼び、社員は従業員という意味ではありません。出資者(社員)は原則として、経営も行う必要があります。

合同会社は、出資者が経営を行うため、所有と経営が一致しており、株主総会などを経ずに迅速な意思決定が可能です。

なお、合同会社では原則としてすべての社員に代表権と業務執行権がありますが、定款によって、業務執行権を持つ「業務執行社員」と執行権を持たない「社員」に分けることもできます。また、会社の代表者として、株式会社の「代表取締役」にあたる「代表社員」を定めることも可能です。

株式会社と合同会社の違い
株式会社 合同会社
意思決定 株主総会 社員総会
会社の所有者 株主 各社員
会社の経営者(業務執行者) 取締役 業務執行社員(選任しない場合は社員全員)
所有者と経営者の関係 所有と経営は分離 所有と経営は一致
役員の任期 通常2年、最長10年 任期なし
監査役の人数 1人以上 不要
会社の代表者 代表取締役 各社員(明示的な代表者として代表社員を定めることも可能)
決算公告 必要 不要
定款 認証が必要 作成は必要だが、認証は不要
利益配分 出資割合に応じる 出資割合に関係なく、定款で自由に規定できる
設立手続きの費用 約18万円~ 約6万円~
資金調達 株式など資金調達方法の幅が広い 株式発行ができない

株式会社のメリット

株式会社と合同会社には、それぞれメリットとデメリットがあります。まずは、合同会社と比較した際、株式会社のメリットはどのような点が挙げられるのかを見ていきましょう。

合同会社よりも知名度が高い

合同会社と比較すると、株式会社の方が知名度は高いといえます。いくつかの大手外資系企業では合同会社を選択している状況もありますが、合同会社がどのような会社かわからないという方がいるのは事実です。一方、株式会社であれば、そのようなネガティブイメージを持たれる心配がないという点で、大きなメリットといえるでしょう。

株を発行して資金調達ができる

株主を募り出資を得ることができるのは、株式会社ならではの大きなメリットです。また、株主は、出資額以上の責任を負うことがない間接有限責任となります。そのため、出資額以上のリスクを負うことがなく、投資しやすいといったメリットもあります。

株式会社のデメリット

一方で、合同会社と比較した際の株式会社のデメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。下記で説明していきます。

出資額に応じて利益配分が決まる

会社の利益を出資者に還元するとき、合同会社は配分の基準を自由に決められますが、株式会社では出資額に応じて利益を配分することになります。「出資額は少ないけれど、会社への貢献度の高い出資者に多く利益を配分したい」というようなことはできません。

合同会社に比べて、設立にかかる費用や手続きが多い

株式会社と合同会社では会社設立にかかる費用や手続きが異なります。例えば、法務局で登記申請するときに納める登録免許税は、合同会社が「資本金額×0.7%」で、6万円に満たない場合は6万円であるのに対して、株式会社は「資本金額×0.7%」となり、算出される金額が15万円に満たないときは15万円です。また、株式会社は定款を作成した後、公証役場で認証を受ける必要があり、この認証手数料が資本金額に応じて3万円から5万円かかります。合同会社は定款の認証を受けなくてもいいので、公証役場での手続きや手数料は不要です。

決算公告の義務があり、掲載料もかかる

決算公告とは、会社の成績や財務状況を出資者(株主)や債権者に明らかにし、取引の安全性を保つために行うものです。合同会社には決算公告の義務はありませんが、株式会社には毎年必ず決算公告を行う義務があります。一般的に、決算公告は官報に掲載しますが、7万円程度の費用がかかります。電子公告の場合であっても1万円程度の費用は必要です。

  • 株式会社の設立手順については、こちらの記事を併せてご覧ください。

合同会社のメリット

合同会社を設立した場合のメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか。下記で説明していきます。

株式会社よりも設立費用が抑えられる

合同会社の大きなメリットは、株式会社よりも設立費用が抑えられることです。会社を設立するには、法務局で登記する必要があります。このときに納める登録免許税は、株式会社が15万円程度かかるのに対して、合同会社は6万円程度です。
さらに、株式会社は公証役場で定款の認証を受ける必要があり、その費用が3万円から5万円程度かかります。合同会社は定款の認証が不要なので、この認証費用もかかりません。つまり、株式会社では最低でも18万円程度かかる設立時の費用が、合同会社の場合は6万円程度で済むということになります。
少しでも支出を抑えたい創業時において、この差は大きいといえるでしょう。

また定款認証が不要であるため、その分、株式会社に比べて設立にかかる時間が短いという点も、合同会社のメリットとなります。

所有と経営が一致しておりスピーディーな意思決定が可能

株式会社の場合、会社の方針や重要事項を決定する際には、株主総会を開催する必要があります。対して、合同会社は出資者(社員)が経営者となるため、スピーディーな意思決定が可能です。そのため、経営の自由度が高くなります。また、合同会社は不特定多数の第三者からの出資を想定していないため、会社経営に第三者が介入しづらいというメリットもあります。

決算公告の義務がない

株式会社には、毎年必ず決算公告を行う義務があります。決算公告は、会社の成績や財務状況を出資者(株主)や債権者に明らかにし、取引の安全性を保つために行うものです。一般的に、決算公告は官報に掲載しますが、7万円程度の費用がかかります。電子公告の場合であっても1万円程度の費用は必要です。合同会社には決算公告の義務がないので、このような決算公告の掲載費がかかりません。

役員の任期がない

株式会社で通常2年と定められている役員の任期が、合同会社では無制限です。役員の任期が終了するたびに発生する重任登記の登録免許税(1万円または3万円)も、合同会社では不要となります。

利益配分が自由に決められる

会社の利益は、配当という形で出資者(株主)に分配されます。このとき、株式会社では出資比率に応じて出資者への利益配分が決まります。つまり、出資金が多い方ほど多くの利益を受け取る仕組みになっています。
対して合同会社では、出資比率にかかわらず、定款によって利益配分を自由に決めることができます。技術力や業績など、出資額だけではない要素で利益配分を決められるのは、合同会社の特徴の1つです。

合同会社のデメリット

一方、合同会社にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。下記にてそれぞれ説明していきます。

株式会社よりも知名度が低い

合同会社の数が増えてきているとはいえ、日本では会社といえば、株式会社のイメージが強いのが実情です。株式会社以外の会社形態との具体的な違いを理解している方は、それほど多いとはいえないでしょう。合同会社の知名度の低さから、取引先に「資金があまりない会社なのでは」と誤った先入観を持たれたり、採用の際に人材が集まりにくかったりすることがあるかもしれません。

出資者(社員)同士が対立すると意思決定が困難になる

合同会社は、「出資者(社員)=経営者」であるため、すべての出資者が対等の決定権を持ちます。これは、「経営において迅速な意思決定ができる」というメリットがある一方、出資者(社員)同士が対立すると、経営や業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
出資者(社員)の意見がまとまっている場合や代表権を持った出資者(社員)が1人の場合は問題ありませんが、代表権を複数の出資者(社員)が持ち、意見の食い違いが起こると、収拾がつかず、営業活動に支障が出ることもあるでしょう。

資金調達の方法が株式会社よりも限られる

合同会社は株式会社とは異なり、株を売却することによる資金調達は困難です。合同会社の資金調達方法は、金融機関からの借り入れ(融資)の他、国や自治体の補助金や助成金が主な手段となり、株式会社よりも資金調達の方法が限定されます。

  • 合同会社の設立については、こちらの記事を併せてご覧ください。

会社形態を決めるときのポイント

会社を設立しようと考えたときに、株式会社か合同会社で迷うことがあるかもしれません。どちらの形態が適しているかは、事業の内容や規模などによっても異なります。下記のポイントに注目して検討を進めると良いでしょう。また、手続きを行うことで、合同会社から株式会社へ組織変更することが可能です。

株式会社か合同会社かを決めるときのポイント例
株式会社 合同会社
事業内容
  • “モノ”が資本の中心となる事
  • “ヒト”が資本の中心となる事
事業規模
  • 自社の規模に関係なく、大企業を相手に事業を行おうと考える場合
  • スタートアップ時期の小規模事業
資金調達
  • 株式による資金調達を行いたい場合
  • 株式上場を目指したい場合
  • 大きな資金調達を必要としない場合
その他
  • 代表取締役の肩書が必要な場合(合同会社でも名乗ることは可能だが、登記上は代表社員)
  • 対外的な信用力を少しでも高めたい場合
  • 少額で法人化したい、法人格が急ぎでほしい場合
  • 経営の自由度を重視する場合

上記の表は、あくまで法人形態を比較した場合の検討ポイント例を記載しています。実際に法人形態を決定する際は、専門家への相談などを行いながら総合的にご判断ください。

会社設立の手続きを手軽にする方法は?

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違いを把握して事業内容や目的に合った会社形態を選ぼう

株式会社と合同会社は、所有と経営の関係に大きな違いがあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、会社の規模や事業内容、将来の目的などによっても重視するポイントは変わってくるはずです。会社を設立しようとするときには、一般的には、株式会社と合同会社のどちらにするかを選ぶことが多いでしょう。両方の特徴を把握したうえで、事業内容や目的に合った形態を選択するようにしましょう。

著者:森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル 新規ウィンドウで開くを運営。
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