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主婦が起業するには?稼げる目安や必要な準備、成功例を紹介

監修者:森 健太郎(税理士)

2024/05/17更新

起業をして短い時間で働く「プチ起業」や「パートタイム起業」をする主婦(主夫)の方もいます。しかし、経営やお金の知識をはじめとする準備ができていなければ、起業はできても、その後に売上を確保できず、事業を続けていくことが難しくなるかもしれません。また、パートナーの扶養に入っている場合は、稼げる目安を知っておかないと、手取りが減る可能性もあります。

ここでは、起業前に知っておくべき、パートタイム起業で稼げる目安や起業に必要な準備、主婦から事業を起こした起業家の事例を紹介します。

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パートタイム起業家の9割は月50万円未満の売上

日本政策金融公庫総合研究所「2023年度起業と起業意識に関する調査新規タブで開く」(2024年1月)によると、1週間のうち事業にあてる時間が35時間未満の「パートタイム起業家」の月商(月の売上高)は、「50万円未満」が92.8%で最も高く、次いで100万~500万円が3.7%、50万~100万円が2.5%です。

業種で一番多いのは、飲食業や美容関連サービス、家事代行をはじめとする「個人向けサービス業」が21.9%でした。次いで、「事業所向けサービス業」が12.4%、「小売業」が9.0%となっています。

また、売上状況はパートタイム起業家の61.5%が「横ばい」、22.0%が「増加傾向」になっており、パートタイム起業家の多くは、短い時間で堅調な売上を維持していることがうかがえます。

主婦(主夫)が起業する際に注意すべき扶養と税金

扶養に入っている主婦(主夫)が、扶養の範囲を超えた給与収入を得ると、税法上や社会保険上の扶養対象から外れます。税金や社会保険料を自分で負担することになれば、収入を得たのに、逆に手取りが減ってしまう可能性があるため、扶養の範囲内で働くかどうかも考えておきましょう。

例えば、現在は配偶者特別控除により、150万円までは配偶者側の扶養控除(配偶者特別控除)が受けられます。また、年収130万円を超えれば、社会保険上の扶養から外れます。配偶者が加入している健康保険の種類によっては、収入にかかわらず、個人事業主や起業している配偶者は扶養には入れないと定めている場合もありますので、条件もご確認ください。

主婦(主夫)が起業する際に必要な準備は?

起業した主婦(主夫)の中には、自由に仕事ができた、空いている時間を有効活用できたという声があります。起業に成功した主婦(主婦)のように、隙間時間を活用して売上を安定させていくためにも、以下のような準備をしておきましょう。

主婦(主夫)の起業に必要な主な準備

  • 家族の同意をもらう
  • 起業の目的を明確にする
  • 経営や税務処理を勉強する
  • 起業のための手続きを確認する
  • 事業計画を立てて資金調達をする

家族の同意をもらう

主婦(主夫)が起業すると、ライフスタイルが変わる可能性があるため、あらかじめ配偶者や両親といった家族の同意を得るようにします。

子供や介護の必要な方がいる家庭であれば、育児や介護との両立を考えなければならず、場合によっては、配偶者や両親などの家族にサポートを頼むことがあるかもしれません。家族に相談して、協力体制を作ったり、時間の制限を考えたりするといいでしょう。

起業の目的を明確にする

起業すると、営業や仕入れ、集客、資金繰り、会計処理など事業に関わる全てを自分で判断するため、他人の意見や周りの状況に流れないよう、起業の目的を明確にしておくようにしましょう。

起業の目的が明確であれば、自分の中に判断基準を設けることにもつながります。漠然としたイメージや誰かのまねで起業しても、モチベーションが長続きしないだけでなく、事業を続けることも難しいかもしれません。起業の目的を明確にするには、「なぜ起業したいのか」「起業によって自分にどのようなメリットがあるのか」を自問自答して、会社の価値観やミッション、事業を行う目的をまとめたり、戦略マップを描いたりして、可視化していく方法があります。

経営や税務処理を勉強する

事業を軌道に乗せて、長く継続させるには、経営や税務処理などの知識も求められます。事業を行いながら学ぶこともできますが、起業後は事業運営に時間が取られるため、起業前に知識をつけておくとスムースです。

2023年10月1日からは、消費税に関わるインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始され、請求書の作成方法や消費税の納税にも関わりますので、こうした最新情報も随時確認しておきましょう。
なお、経営や税務処理の知識を勉強するなら、先輩起業家や税理士などの専門家に相談したり、セミナーに参加したりする方法があります。

起業のための手続きを確認する

起業にあたって必要な手続きは、個人事業主として事業を行うか、法人として行うかによって異なります。個人事業主なら税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出するだけで、費用もかかりません。

一方、会社を設立するには定款の作成や法人登記といった手続きだけでなく、設立費用も必要です。個人事業主と法人のどちらが適しているかは、事業の内容や規模などによっても異なります。自分に合った起業スタイルを決め、必要な手続きや費用を確認しましょう。
なお、個人事業主は確定申告、法人なら年末調整など税金の申告方法も異なるのでご注意ください。

  • 法人と個人事業主の違いについては以下の記事を併せてご覧ください

事業計画を立てて資金調達をする

安定した事業を行うためにも、起業の準備で欠かせないのが、事業運営や収益方法などをまとめた事業計画を立てることです。事業計画を立てた後は、事業計画書を作成し、資金調達や営業開始後の目標確認の際などに使用します。

事業計画を立てる際は、商品の仕入れ、集客方法、見込み顧客数、コストなどを踏まえて、実現可能な数字に落としましょう。また、起業する際に最低限必要な資金は、事業計画書で計算した初期費用に加えて、運転資金の6か月分が目安です。資金が足りない場合は、融資や補助金・助成金などで資金調達をしておくようにします。

女性に特化した融資や補助金・助成金がある

資金調達方法のうち、融資や補助金・助成金の中には、主婦の起業を支援する女性向けの制度があります。例えば、以下2つの支援制度がありますが、他にも都道府県や市町村が行っている制度もあります。資金調達を考えている方は参考にしてみてください。

日本政策金融公庫「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」

日本政策金融公庫の新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)新規タブで開くは、女性または35歳未満か55歳以上の方で、新規開業しておおむね7年以内の方を対象にした融資制度です。日本政策金融公庫は国が100%出資している政府系金融機関で、国内の経済を発展、持続させることを目的にしているため、中小企業や小規模事業者を支援する融資制度が豊富です。

女性起業サポートセンター「DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」

女性起業サポートセンターでは、社会課題を解決し、今後の発展が期待できるビジネスを対象にDBJ女性新ビジネスプランコンペティション新規タブで開くを不定期で開催しています。受賞者には最大1,000万円の事業奨励金が支給されるだけでなく、必要に応じて、起業経験者や有識者の起業アドバイスをはじめとする事後支援が受けられます。

  • 起業・開業時の融資については以下の記事を併せてご覧ください

先輩起業家の事例

先輩起業家の事例を見ることで、起業のイメージを持つことができます。主婦から起業した先輩起業家の事例を紹介しますので、事例インタビューも併せて起業の際の参考にしてみてください。

あきらめない覚悟と切り替えが経営者には必要

株式会社クリートを立ち上げた小越干富美さんは、子育てが一段落したころ、パートで働き始めた大手人材会社で仕事ぶりを認められ、パートから契約社員、そして正社員になりました。小越さんは、大学向けアウトソーシング事業で営業と事務を兼任している中で、大学や未来ある学生のサポートをすることが自分の使命だと感じるようになり、51歳のときに大学専門のアウトソーシング会社を設立。

会社を退職後すぐに起業するのではなく、6か月の期間を設け、資金調達や経営の知識を身に付けてから起業したといいます。小越さんが創業時から変わらず心掛けているのは、周囲の信頼を得られるように真摯に働くこと。起業にトラブルはつきものなので、実現したいことに向けてあきらめずに挑戦する覚悟と、失敗の経験を活かして切り替えることが大切だと感じているそうです。

  • 先輩起業家からのヒント

株式会社クリート 小越干富美さん

子育て中にスキルと経験を活かして貯金100万円で起業

リリーアンドデイジー株式会社を創業した麻生満美子さんは、子育て中の社会復帰がうまくいかなかったことから、お金をかけずに自力で起業した方です。麻生さんは、前職で得意だったパソコンスキルと育児経験を活かして、海外子供服専門のネットショップを立ち上げました。貯金100万円以内でできることをしようと考え、資金計画を立てる際に資本金でどこまで事業運営が耐えられるかも計算してから、ネットショップを立ち上げたといいます。

地道にビジネスを続ける中で、お客様への真摯な対応などが口コミを呼んで徐々に売上が拡大し、約5年後に会社を設立。英語力ゼロでも海外ブランドと取引交渉を行ったり、製品やサービスへの思いを丁寧に伝えていったりしたことが成功のカギとなりました。

  • 先輩起業家からのヒント

リリーアンドデイジー株式会社 麻生満美子さん

起業の手続きを手軽にする方法

会社を設立するには、法人設立登記をはじめとするさまざまな手続きが必要です。全ての手続きを自分1人だけで行うのは手間や時間がかかるうえ、ミスや漏れのリスクもあります。そんなときにおすすめなのが、起業に強い専門家に会社設立手続きを依頼できる「弥生の設立お任せサービス」と、自分でかんたんに書類作成ができる「弥生のかんたん会社設立」です。

専門家が会社設立を代行する「弥生の設立お任せサービス」

「弥生の設立お任せサービス」は、弥生の提携先である起業に強い専門家に、会社設立手続きを丸ごと代行してもらえるサービスです。専門家を探す手間を省ける他、電子定款や設立登記書類の作成、公証役場への定款認証などの各種手続きを依頼でき、確実かつスピーディーな会社設立が可能。事業の展望などを踏まえ、融資や助成金、節税などのアドバイスも受けられるので安心です。

会社設立後、専門家とご相談のうえ会計事務所との税務顧問契約を結ぶと、割引が受けられ、サービス利用料金は実質0円になります。定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。

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「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できるクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。

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主婦(主夫)の起業を成功させるには事前準備が大切

現在は働き方の多様化が進み、隙間時間を使って、専業主婦(主夫)から起業する方もいます。起業すると仕入れや商品・サービスの制作、集客、資金繰りの管理など全て自分で決めて行わなければなりません。
判断基準を設け、事業を長く継続させていくためには、スキルや経験を活かすだけでなく、経営や税務処理などについても勉強しておくようにしましょう。

また、会社を設立するとなると、事業運営の準備の他に定款の作成や法人登記といった手続きにも手間や時間がかかります。スムースに起業手続きを行いたい場合は、「弥生の設立お任せサービス」や「弥生のかんたん会社設立」の活用をご検討ください。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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