スタートアップ企業とは?ベンチャー企業との違いや企業例を解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

企業の中には、スタートアップやベンチャーなどと呼ばれる企業があります。スタートアップは、スタートという言葉から、創業して間もない新しい企業と思われることもありますが、革新的なビジネスモデルを持つ企業のことを指します。

ここでは、スタートアップの意味やベンチャーとの違いの他、スタートアップが注目される理由や企業例についても解説します。

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スタートアップとは革新的なビジネスで短期成長を目指す企業

スタートアップとは、IT企業が集まるアメリカ・シリコンバレーで使われ始めた言葉で、革新的な新しいビジネスモデルを考え、新たな市場を提供することで、短期的に事業価値を高めて成長する企業や組織のことを指します。

経済産業省の「平成30年度地方創生に向けたスタートアップエコシステム整備促進に関する調査事業報告書報告書新規タブで開く」(2019年)では、スタートアップの特徴として、次の3つを挙げています。

スタートアップの特徴
  • 成長スピードが速い
  • ビジネスに斬新性があり、イノベーション、社会貢献を意識している
  • 出口戦略(イグジット)を検討している

スタートアップは、革新的なイノベーションで社会の課題解決を行うことから、初期投資にリスクを抱える一方、短期間での急成長が期待されるため、ベンチャーキャピタル(VC)や投資家からの資金調達が重視される傾向があります。また、起業段階から、企業の売却や合併を意味するM&A、証券取引所を通して自社の株式を初めて株式市場に公開するIPOなどによって、短期間での利益回収といった出口戦略(イグジット)を意識して、事業の価値を飛躍的に高めていく企業も見られます。

一般的な起業では、リスクを抑え、中長期での事業安定を図るため、緩やかな右肩上がりの線を描くことを目指すのに対し、スタートアップは以下のようにリスクを負いながらも急成長させるJ曲線を描く傾向があります。

ベンチャーとの違いはビジネスモデル

スタートアップとベンチャーとの違いは、ビジネスモデルです。ベンチャーは、既存のビジネスモデルをベースに、新たなサービスやビジネスを展開し、中長期的に着実な成長を目指すことが特徴といえます。スタートアップのような革新的なビジネスモデルではないため、投資家から数百億円といった大規模な資金調達を行うというよりは、金融機関からの融資や助成金などを利用することが一般的です。

ベンチャーは和製英語で、起業したての会社、新しい事業を行う会社、事業規模が小さい会社など幅広い意味で使われています。また、ベンチャーの中に、革新的なイノベーションで急成長を描くスタートアップと、後述する中長期的に事業を目指すスモールビジネスがあるともいわれています。

スモールビジネスとの違いは事業目的

スタートアップとスモールビジネスとの違いは、ビジネスモデルの他、成長戦略や事業目的などです。スモールビジネスに明確な定義はありませんが、中小企業や1人会社といった小規模法人をはじめ、個人事業主や副業など少人数や小資本で行っている事業のことを指します。

スモールビジネスは、リスクを抑えるべく、少ない資金から事業を始め、時間をかけて堅実な成長を目指すことが特徴です。革新的なビジネスモデルを重視するのではなく、長く続けていくビジネスモデルを目指す傾向があります。

日本においてスタートアップが再び注目されている(2022年がスタートアップ創出元年)

GoogleやAmazon、Meta(旧Facebook)といったスタートアップ企業によって生み出されたイノベーションは、企業を急成長させるだけでなく、生活様式への変化を与えるほどの影響力があることから、さまざまな視点で注目度は高い傾向です。また、日本では政府によって、2022年がスタートアップ創出元年と掲げられ、再び注目を集めています。主に以下のような理由から注目が集まっているといえるでしょう。

注目される理由
  • 新しい技術やアイデアが社会課題を解決するから
  • 投資による利益を得るチャンスがあるから
  • キャリアが魅力的だから

新しい技術やアイデアが社会課題を解決するから

スタートアップが注目される理由に、新しい技術やアイデアが社会課題を解決することが挙げられます。経済産業省では、新たな市場を生み出すスタートアップの成長は、雇用を生み、経済を発展させる重要な機会と考えており、経済産業省のWebサイト上で「スタートアップの事業成長に貢献する知財人材のスキル・マインドセット新規タブで開く」(2023年4月)などの情報発信も行っています。

また、日本政府は、2022年を「スタートアップ創出元年新規タブで開く」と位置付け、同年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を策定しました。スタートアップに対する投資額を、5年で10倍以上に拡大することを目指しています。具体的には、税制上の特例措置、補助金・助成金、融資などの資金調達、知的財産保護の強化、海外展開のサポートなど、さまざまな支援策を取りまとめ、創業ブームの実現を掲げています。

スタートアップ育成の背景は、日本経済の競争力低下に対する危機感です。スタートアップに挑戦する人はいるものの、世界のスピードには到底追いつかず、ユニコーン企業(時価総額1,000億円超の非上場企業)の数では欧米に劣ります。このような状況を打開し、イノベーションを後押しするのは、新しい技術やアイデアを持つスタートアップの活躍だと考えられているからです。

投資による利益を得るチャンスがあるから

スタートアップが注目される理由には、投資による利益を得るチャンスも挙げられます。スタートアップは、新しいビジネスモデルをゼロから作り上げるため、創業当初は赤字になるものの、事業が軌道に乗れば飛躍的な成長を始め、短期間での株式公開も可能になるかもしれません。

経営者にとっては、M&AやIPOによって、早期に利益を得る可能性もあるでしょう。また、投資家にとっても、新しい技術やアイデアに投資することで、将来的にリターンを見込める可能性があることも注目される理由の1つです。

キャリアが魅力的だから

スタートアップは、イノベーションを生み出して成功させ、社会に貢献するというキャリアを磨ける魅力的な環境です。例えば、株式会社ZOZO創業者の前澤友作氏のように、事業を成功させてから、新たなビジネスモデルに挑戦できる環境へ移るということもできるでしょう。

また、従業員にとっても、成長速度が速いスタートアップで働くことで、イノベーションが社会に浸透し、課題を解決していく経験を積めるかもしれません。

なお、スタートアップに限らず、創業時にはリスクがつきものですが、たとえ失敗したとしても、イノベーションに挑戦するマインドや失敗から学ぶことで、次につなげていく経験も得られるでしょう。

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スタートアップで起業するにはビジネスアイデアが重要

スタートアップで起業するには、とにかく革新的なビジネスアイデアを生み出せるかがポイントになります。ただし、いくらビジネスアイデアが革新的でも、それだけではスタートアップとはいえません。そのアイデアが、課題解決につながらなければ、社会に広く浸透することは難しくなります。

ビジネスアイデアによって、どのような社会課題を解決するのか、どのような価値を社会に提供できるのかも明確にしておきましょう。

また、ビジネスアイデアに賛同してくれる投資家を探す際には、売上予測やコストなど説得力のある事業計画書だけでなく、この事業なら資金を出して応援したいと思ってもらえるよう、経営者の事業への熱意も説得材料の1つになります。経営者の中には、起業した際に営業電話から始めた人も多くいます。

なお、どれほど計画を立てても、起業してから思うようにいかないことは珍しくありません。短期的な成長や出口戦略を考えつつも、長期的なプランも用意しておくようにしましょう。

  • 起業アイデアの出し方については以下の記事も併せてご覧ください

起業アイデアの出し方は?ビジネスにするためのオススメの考え方も解説

スタートアップ企業の例

続いては、出口戦力の実現した企業も含めてスタートアップといわれている企業例を紹介します。スタートアップは、革新的な技術やアイデアでこれまでにないビジネスモデルを生み出し、社会に新たな価値を提供する企業や組織です。スタートアップ企業のビジネスを知ることは、ビジネスアイデアを考えるきっかけにもなりますので、これから起業を考える方は、ぜひ参考にしてみてください。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、フリマアプリを開発して、2013年2月に創業。不要な物を売る人と買う人を電子商取引でつなぎ、地球資源の価値を循環させるイノベーションを生み出しました。創業からわずか約5年後、2018年6月にIPOしています。スマホ決済サービス、メルペイを生み出すなど、信用を可視化してなめらかな社会を作ることを掲げています。

BASE株式会社

BASE株式会社は、誰でもかんたんにネットショップが作成できるECプラットフォーム「BASE」を開発した企業です。2012年11月に創業し、2019年10月にIPOしています。インターネットとテクノロジーの力を通じて、個人事業主やスモールチームが活躍できるサービスを提供することで世界がもっと良くなるという信条を持ち、EC、決済、金融のサービスなどのビジネスに取り組んでいます。

株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、人事・労務の業務を効率化でき、働く全ての人の生産性向上を支えるクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供している企業です。2013年1月に創業、2021年には既存株主や新規投資家から約156億円の資金調達を行い、株式の推定評価額が約1,700億円となり、ユニコーン企業(企業評価額約1,000億円を超える未上場の企業)の仲間入りを果たしました。テクノロジーと創意工夫で、労働にまつわる課題の解決を目指しています。

Spiber株式会社

Spiber株式会社は、植物由来の原料をもとに、微生物発酵を経て作られるタンパク質素材の開発などを行い、サステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいる企業です。アパレル分野の企業やブランドとのコラボレーションも多数展開しています。2007年9月に創業、株式は未上場ですが、持続可能な開発目標であるSDGsへの取り組みから注目の高い企業といえるでしょう。

株式会社タイミー

株式会社タイミーは、働きたい時間と働いてほしい時間をマッチングするワークシェアリングサービスを提供する企業です。スキマバイトアプリ「タイミー」の他、地方で仕事や生活がしたい人と、人手やスキルがほしい地方の事業者をマッチングする「タイミートラベル」などを展開しています。2017年に創業し、株式は未上場ですが、2022年11月には183億円の資金調達を行い、勢いのある企業といえるでしょう。

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スタートアップで起業するなら革新的なビジネスを!

スタートアップとは、革新的なアイデアで短期的に急成長する企業や組織のことです。ゼロから新しいビジネスを生み出すのは、容易なことではありません。しかし、チャレンジの結果、事業を飛躍的に成長させることができれば、M&AやIPOによって大きな利益を得られる可能性もあります。

ただし、スタートアップは初期投資のリスクもあり、無謀なチャレンジでは成功させることは難しいでしょう。失敗のリスクも踏まえたうえで、ビジネスモデルや事業計画を固め、政府によるスタートアップ起業支援なども活用しながら起業準備を進めていきましょう。

また、起業する際の手続きの負担を減らすには「弥生のかんたん会社設立」や「弥生の設立お任せサービス」の活用をぜひご検討ください。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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