法人の登記簿謄本や履歴事項全部証明書をオンラインで取得する方法は?
監修者:森 健太郎(税理士)
2023/12/04更新
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は、オンライン申請システムを使用することで、オンラインで取得できます。また、情報提供サービスの利用によって、オンラインで閲覧も可能です。
ここでは、法人の登記簿謄本をオンラインで取得する方法や閲覧する方法について、手続きの流れや使用するシステムの操作方法も併せて解説します。
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法人の登記簿謄本はオンラインで取得できる
登記簿謄本は登記事項証明書とも呼ばれ、法務局で登記されている事項を記載した書類のことを指します。
会社を設立すると、許認可申請や法人口座の開設、融資の申し込みなどで登記簿謄本の提出が求められるようになります。
登記簿謄本を取得する方法として、法務局の窓口に直接出向くか登記事項証明書交付申請書を郵送するだけでなく、オンラインでの交付請求も選択肢のひとつになっています。
ただし、登記簿謄本をオンラインで申請しても、受け取りは、法務局の窓口か指定した住所への郵送のいずれかしか選択できません。登記簿謄本がデータで交付されるわけではないので、注意が必要です。
手数料は受け取り方法によって異なる
登記簿謄本の交付には手数料がかかり、その金額は受け取り方法によって異なります。オンラインで申請し、法務局の窓口で受け取る場合の手数料は1通480円、郵送で受け取るなら1通500円です。法務局の窓口や郵送で書面申請する場合の手数料は1通600円なので、オンライン申請の方が費用を抑えられます。
オンライン申請システムを利用可能な時間
オンライン申請システムの利用時間は、年末年始や土日祝日など法律に定められた休日を除く、平日の8時30分~21時です。オンラインでも、24時間利用できるわけではありません。
なお、法務局の業務取扱時間は、平日の8時30分~17時15分です。そのため、17時15分以降に請求情報を送信した場合は、翌業務日の受け付けとなります。
法人の登記簿謄本をオンライン請求する手続きの流れ
登記簿謄本をオンラインで交付請求するには、登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」を利用します。手続きの流れは、以下のとおりです。なお、詳細は法務局のWebサイト「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)」でも確認できます。
登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」トップページ
STEP1. 事前登録を行う
登記・供託オンライン申請システムを使用するためには、事前に申請者情報を登録し、申請者IDとパスワードを取得しておく必要があります。「登記ねっと 供託ねっと」トップページにある「申請者情報登録」ボタンから、必要事項を入力しましょう。
STEP2. ダウンロードした専用ソフトまたはWebブラウザから交付請求する
「登記ねっと 供託ねっと」を利用して登記簿謄本を請求するには、「申請用総合ソフト」をダウンロードして利用する方法と、専用ソフトをダウンロードせずにブラウザで「かんたん証明書請求」を利用する2つの方法があります。いずれの場合も、パソコンなどの利用環境をあらかじめ確認しておいてください。
「申請用総合ソフト」または「かんたん証明書請求」により交付申請書を作成したら、「登記ねっと 供託ねっと」に送信します。申請にあたって電子署名は不要です。
なお、登記簿謄本には、請求日現在の会社の登記情報を記載した「現在事項証明書」や、現在の情報に加えて過去約3年間に変更された情報も含めた「履歴事項証明書」などの種類があります。交付申請書を送信するときには、必要な登記簿謄本の種類を選びましょう。同時に、窓口または郵送のどちらの方法で受け取るかを選択します。
STEP3. 手数料を納付する
手数料は、インターネットバンキングや電子納付対応のATMを利用して納付します。
インターネットバンキングを利用する場合には、登記簿謄本の請求情報を送信した後に、提携銀行のインターネットバンキングから電子納付を行いましょう。ATMを利用する場合には、納付情報を控えておき、電子納付対応のATMから納付します。
STEP4. 登記簿謄本を受け取る
手数料を納付後、法務局の窓口または郵送で登記簿謄本の受け取りが可能です。
窓口での受け取りを選択した場合は、「納付」ボタンを押すと表示される所定の画面を印刷したうえで必要事項を記入し、請求先の登記所に提出して登記簿謄本を受け取ります。郵送の場合は、手数料の納付が確認された後、指定住所に登記簿謄本が届きます。
利用方法の詳細は、「登記ねっと 供託ねっと」のWebサイトでご確認ください。
法人の登記事項の内容もオンライン上の「登記情報提供サービス」で閲覧できる
登記簿謄本が必要になるのは、提出を求められたときだけであるとは限りません。「変更登記にあたって現在の登記内容を確認したい」「新規の取引先や競合他社の状況を確認したい」などの理由で、自社や他社の登記簿謄本を閲覧するケースもあります。このような「登記事項の内容だけを確認したい」という場合に、オンラインでの登記簿謄本の閲覧が便利です。
登記情報を閲覧可できる「登記情報提供サービス」
「登記情報提供サービス」は、オンラインで登記簿謄本を閲覧することができるサービスです。登記情報提供サービス」とは、パソコンの画面上で登記情報を確認できる有料サービスです。
商業・法人登記情報の他、不動産登記情報なども、PDFファイルで閲覧することができます。提供されるPDFファイルは登記事項証明書と同じ内容で、印刷も可能ですが、証明書としての効力はありません。あくまで内容の確認に利用するサービスであり、第三者への提出には適さないため注意しましょう。
「登記情報提供サービス」のトップページ
利用料金は、提供される情報の種類によっても異なりますが、商業・法人登記情報の場合は1件あたり332円です。その他に、法人の登録費用として740円がかかります。利用料金の支払方法は、法人の場合は原則として口座振替ですが、クレジットカードの即時決済による一時利用も可能です。
「登記情報提供サービス」の利用方法
「登記情報提供サービス」を利用するには、事前に申込手続を行って利用登録をする必要があります。登記情報提供サービスのWebサイトから「法人利用」の「利用申込」に進み、内容に同意すると、「法人利用申込書類のダウンロード」画面が表示されます。利用申込書類をダウンロードし、郵送で手続きを行いましょう。
提出書類は、必要事項を記入した利用申込書の他、預金口座振替依頼書、登記事項証明書、会社の実印の印鑑証明書です。登録が完了するまでには1か月程度かかるため、余裕を持って申込みをする必要があります。
利用登録方法の詳細や申込書類の送付先などは、一般財団法人民事法務協会の「登記情報提供サービス」をご確認ください。
申込手続きなしでの一時利用も可能
「登記情報提供サービス」は、申込手続を行わずにすぐに利用することができる「一時利用」にも対応しています。一時利用をするには、クレジットカードの即時決済が条件となります。
一時利用にあたっては、登記情報提供サービスのWebサイトから「一時利用者登録」が必要です。登録が完了するとIDとURLがメールで送られてくるので、30分以内にログインしてください。登記情報を請求できるのは、初回ログインを行った当日中のみです。
「登記情報提供サービス」の利用時間
登記・供託オンライン申請システムでの交付請求と同様に、登記情報提供サービスでの登記簿謄本の閲覧にも、利用時間が定められています。登記情報提供サービスの利用時間は、平日は8時30分~23時、土日祝日は8時30分~18時です。年末年始(12月29日~1月3日)は利用できません。
終了時間になると、利用途中でも送受信が切断されてしまう可能性があります。特に、情報量の多い法人の情報を閲覧する場合などには注意が必要です。
スムースに手続きができる相談先を手軽に見つける方法
法人経営をしていると、登記簿謄本の申請だけでなく、日常的にさまざまな手続きが発生します。経営だけでも忙しく、これらの手続きを全て自分で行うのはたいへんです。それらの手続きをスムースに行うため、司法書士や税理士、社会保険労務士といった専門家に依頼する会社も少なくありません。
そのような場合は、弥生株式会社の「税理士紹介ナビ」がおすすめです。
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法人の登記簿謄本はオンラインで効率良く請求・閲覧しよう
法人の登記簿謄本は、オンラインでの交付請求や閲覧が可能です。登記簿謄本をオンラインで請求すれば、書面請求に比べて手間がかからないうえ、手数料を抑えることもできます。さらに、郵送での受け取りを選択すれば、自宅やオフィスにいながら全ての手続きが完了します。また、「登記事項の内容だけを確認したい」という場合も、オンラインならとても便利です。
登記簿謄本の交付請求も閲覧も、オンラインで手続きをするには、登録などの事前準備を行わなければなりません。必要なときにスムースに手続きできるように、登記簿謄本のオンライン請求や閲覧を行うための手順を、あらかじめ把握しておきましょう。
また、その他のさまざまな手続きもスムースに行うには、「税理士紹介ナビ」などで専門家の力を借りることも検討してみましょう。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。