育休中に副業はできる?給付金への影響や在宅可の仕事などを解説
監修者: 齋藤一生(税理士)
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育休(育児休業)中であってもすきま時間を利用して副業を行うことで、収入を得たいと考える方もいるでしょう。ただ、あくまでも育児のための休暇であるため、本当に副業してよいのか、また給付金や社会保険料への影響を気にする方もいるかもしれません。
結論から言うと、育休中に副業をして収入を得ることは可能です。ただし、勤務先の企業が副業を認めているかを確認する必要があります。
そこで本記事では、そもそも育休中に副業ができるのかを踏まえて給付金や社会保険料への影響について解説します。併せて、育休中のすきま時間でできる副業も紹介しますので、参考にしてください。
育休は仕事と育児の両立を支援する制度
そもそも育休は、育児・介護休業法により定められている制度で、母親と父親の両方が対象です。厚生労働省によると、育児・介護休業法上の育児休業制度は、子供の育児を行うために休業期間中の働く義務を消滅させる制度だと説明しています。仕事と育児を両立できるよう支援することを目的としており、条件を満たすことで育児休業給付金を受給することもできます。
育休は、男性は配偶者の出産日から子供が1歳の誕生日を迎えるまで、女性は産後休業が終わった翌日から子供が1歳の誕生日を迎えるまで取得可能。また、男女問わず、分割して2回取得することもできます。保育園の入園を希望しているが入園できないケースなど、特別な理由がある場合に利用できる延長制度も設けられており、育休の取得期間は最長で子供が2歳の誕生日を迎えるまでです。
育休中に副業をしても育児休業給付金は受け取れる?
育休中に副業をしたとしても育児休業給付金は受け取れます。ただし、パートやアルバイトなど、別の会社に雇用されて働く場合、育休中の1か月間に10日を超えて働くと、育児休業給付金が支給されません。
なぜなら、育児休業給付金制度では、育休中の就業日数の算定にあたり、本業以外の会社で就業している日数も含まれてしまうためです。
そもそも、育児休業給付金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
育休前 |
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育休中 |
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つまり、育休中に別の会社でアルバイトやパートをしてしまうと、育休中の条件である「育休中の就業日数が1か月のうち、10日以下である」を満たせなくなる可能性があるのです。
さらに、「半育休」を選択した場合も、育児休業給付金が停止されるケースがあります。半育休とは、育休中に元の職場で一時的に働くことです。半育休によって前述した条件を満たすことができなくなると、給付金を受け取れなくなります。
育休中の副業で、社会保険料はどうなる?
育休中の社会保険料の支払いは、育休を与えている企業が届出を行うことで被保険者本人・事業主共に免除されます。この制度は、原則として企業が育休を認めていれば要件を満たすため、副業をしても継続して免除が受けられます。免除されるのは、育休開始日が含まれる月から終了日の翌日が含まれる月の前月までの保険料です。
なお、育休開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合も、その月の社会保険料は免除となります。また、賞与にかかる社会保険料は、賞与月の末日を含み1か月を超えて育休を取得した場合に免除されます。
育休中にできる副業例
ここからは、育休中でも可能な副業をピックアップして紹介していきます。いずれも在宅での対応が可能な副業です。
ポイ活
ポイ活とは、ポイントサイト経由で買い物をしたり、銀行や証券会社の口座開設を行ったりしてポイントをためる活動のことです。たまったポイントは電子マネーや現金に交換することができ、すきま時間で取り組むことができます。ポイ活を始めるためには、専用のポイントサイトで会員登録を行いましょう。
アンケートモニター
アンケートモニターとは、アンケートサイトに登録し、企業のアンケートに回答したり市場調査に協力したりすることで報酬を得る仕事です。種類としてはWebアンケートの他、商品モニターなどもあります。Webアンケートは基本的に、メールで届いたアンケートに答えるだけなので比較的簡単に取り組める副業といえるでしょう。その分、報酬は数十円から数百円程度と低い傾向があります。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、自分が管理するWebページやブログに商品紹介用のバナーなどを設置し、そこを経由して商品購入やサービスの申し込みがされた回数に応じて成果報酬が受け取れるものです。専門的なスキルが必ずしも必要というわけではありませんが、収入を増やすためには、Webページに掲載している記事の検索順位を上げたり、中身のコンテンツを拡充したりする必要があります。
また、基本的には成果報酬なので、収入が0円になる可能性もある点は理解しておきましょう。なお、アフィリエイトを始めるためには、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に登録する必要があります。
フリマアプリでの出品
不要になったものをフリマアプリで出品することも副業の1つです。ぬいぐるみやアクセサリーなどのハンドメイド作品を自ら作り、フリマサイトに出品するなどの方法もあるでしょう。
なお、原則として、不用品や着なくなった洋服などををフリマサイトで売ったとしても、不用品の処分の収入については確定申告の必要はありません。ただし、継続的に利益を求めるためにフリマサイトで販売を行っている場合は、業務にあたるので所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
クラウドソーシングサービスの利用
クラウドソーシングとは、仕事をしたい人と、仕事を依頼したい人をマッチングするサービスです。データ入力や文字起こしのほか、WebライティングやWebデザインなどの仕事を受注することができます。
初心者が取り組みやすいものとしてはデータ入力があげられます。データ入力はアンケートや名刺などのアナログデータを、テキストデータとしてWordやExcelなどに入力していく仕事です。また、取材や講演の音声データを受け取り、それをテキスト化する文字起こしの仕事も初心者向きと考えられます。
Web媒体の記事の執筆をするWebライティングや、Webページやアプリケーションのデザインを行うWebデザインの副業は、保有するスキルを活かしたい方におすすめです。
育休中に行った副業の確定申告は必要?
たとえ育休中であっても、本業以外で副業の所得が年間20万円を1円でも超える場合、所得税の確定申告が必要です。国税庁のWebページでも、会社員であっても確定申告が必要な人として「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」と書かれています(※)。
また、妊娠・出産に伴う費用は、医療費控除を受けられる可能性が高いです。医療費控除を受けるなど副業以外の理由で確定申告をする場合、すべての所得を申告しなければなりません。そのため、副業の年間所得が20万円以下であっても、副業の所得も併せて申告が必要です。
ほかにも、副業の報酬から源泉徴収をされている場合は、確定申告を行うことで還付を受けられる可能性があります。その場合、副業の年間所得が20万円以下であっても確定申告をする方がよいでしょう。
- ※国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
家計管理や確定申告に備えるためにも副業の収支を記録しておこう
確定申告は所得を基に行いますが、この所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。
副業の収入を得るためにかかった経費を漏れなく計上することで、所得を抑えることができるため、結果的に節税効果が期待できます。そのため、副業の収入と経費として算出できる支出は、きちんと記録しておくことが大切です。
副業にかかわる収入や経費を把握することは、家計管理にも役立ちます。
基本的に次の条件を満たす場合、経費として計上できます。
費用を経費として計上できる条件
- 収入を得るためにかかった費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用の額
具体的には、副業で経費として計上できる費用には、以下のようなものがあげられます。
副業で経費として計上できる費用例
- 業務で使用するパソコンやスマートフォン、タブレットの購入費
- コピー用紙や文房具などの事務用品費
- 水道代や電気代、家賃などの一部(自宅を仕事場として利用している場合)
なお、副業を自宅で行っている場合の家賃や光熱費など、プライベートでも使用するものについては、副業のためにかかった分のみ経費計上が可能です。
確定申告をしない場合は住民税の申告が必要
副業の年間所得が20万円以下で確定申告は不要だとしても、1円でも利益を得ている場合は住民登録をしている市区町村に対して住民税の申告をする必要があります。
基本的に所得税は「国の税金」であるのに対し、住民税は「都道府県または市町村の税金」です。所得税に関しては、前述したとおり副業の所得が20万円を超えない限り確定申告は不要という特別措置が設けられていますが、住民税にはこうした特別措置が設けられていません。
なお、副業の所得を確定申告した場合は、その内容が税務署から市区町村の役所に送られて、市区町村が住民税を計算してくれます。そのため、別途、住民税の申告は不要です。
消費税の申告が必要になる場合もある
副業の取引先によっては、適格請求書(インボイス)の発行が求められるため、適格請求書(インボイス)発行事業者になる必要があることも考えられます。
適格請求書発行事業者に登録すると、消費税を納める義務が発生します。所得税の確定申告が不要な所得金額や赤字でも、課税事業者の場合、課税売上があれば消費税を納めなければなりません。さらに、課税事業者として適格請求書を発行している場合、帳簿付けの必要も出てくるため、確定申告ソフトの導入なども検討しましょう。
育休中の副業は可能!体調や家族優先で無理をしないように
育休はあくまで子供の育児を行うための休業です。そのため、まずは体調や家族を優先し、無理をしないようにしましょう。
なお、育休中に副業をしたとしても、育児休業給付金も受け取れます。ただ、パートやアルバイトなど別の会社に雇用されて働く副業の場合、育休中の1か月間に10日を超えて働くと、育児休業給付金が支給されないため注意が必要です。
もし、副業を行う場合、たとえ育休中であっても所得が年間20万円を1円でも超える場合は、所得税の確定申告が必要となります。確定申告を行うためには帳簿付けなども必要になってくるため、確定申告ソフトの導入も検討したいところです。
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事業所得になる副業の確定申告は会計ソフトを使って楽に済ませよう
会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。
事業所得になる副業は、帳簿付けが必要です。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド確定申告ソフト『やよいの白色申告 オンライン』です。『やよいの白色申告 オンライン』はずっと無料で使えて、初心者や簿記知識がない方でも必要書類を効率良く作成することができます。e-Tax(電子申告)にも対応しているので、税務署に行かずに確定申告をスムースに行えます。
副業の所得区分を事業所得・雑所得どちらにするか迷っている場合、まずは帳簿付けをしておきましょう。事業所得で確定申告する場合は帳簿が必要です。雑所得の場合、帳簿付けの義務はありませんが、売上や仕入・経費などの集計に帳簿がある方が便利です。
なお、『やよいの白色申告 オンライン』では、雑所得の収支内訳書と所得税の確定申告書は作成できません。もし、『やよいの白色申告 オンライン』で作成した収支内訳書から確定申告書を作成すると自動で「事業所得」に集計されます。国税庁の確定申告コーナーで、自分で収支内訳書と確定申告書に転記して申告をしてください。
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