預金出納帳とは?記載項目や作成方法などを詳しく解説
監修者: 税理士法人 MIRAI合同会計事務所
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事業で使う預金口座のお金の出入りを記録する帳簿を、預金出納帳(よきんすいとうちょう)といいます。預金の入出金のすべてを記録し、複数の口座がある場合は口座別に預金出納帳を作成する必要があります。預金出納帳には記載項目などのルールがあり、正しい書き方や意味を把握しておくことが大切です。
ここでは、預金出納帳を作成する目的や具体的な作成の流れ、基本的な記載項目などについて解説します。
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預金出納帳とは預金の入金と出金を記録する帳簿のこと
預金出納帳とは、金融機関の口座ごとに、預金の入金と出金を記録する帳簿です。会計帳簿のうち補助簿にあたる帳簿であり、当座預金の入出金なら当座預金出納帳、普通預金なら普通預金出納帳と区別して呼ぶこともあります。
企業の預金は、家賃や水道光熱費が引き落とされたり、売掛金が振り込まれたり、日々さまざまなお金の出入り(取引)があります。預金出納帳には、そのようなお金の流れを時系列ですべて記載します。そのため、預金出納帳と預金通帳は、常に残高が一致していなければなりません。
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預金出納帳を作成する目的
預金出納帳の目的は、事業用の預金口座から出し入れした金額とその残高の推移を確認し、預金の動きを正しく把握することです。「預金口座のお金の流れなら通帳を見ればわかる」と考える方もいるかもしれませんが、通帳では入出金があった日付や金額などはわかっても、その詳しい取引内容までは記載されません。預金出納帳を作成することで、それぞれのお金が「いつ、どこで、なぜ、入ってきた(入ってくる)」のかを可視化でき、お金の流れと残高を適正に管理することができます。
預金出納帳は、作成については法律で義務付けられてはいないものの、法人税法によって原則7年間の保存が義務付けられています。仮に、企業が預金口座を持たずにすべて現金取引を行っているなら、預金出納帳は必要ないのです。
しかし現実的には、ほとんどの企業が預金口座で日常的に取引を行っているため、企業にとって預金出納帳の作成はほぼ必須といえるでしょう。
預金出納帳を作成する流れ
預金出納帳への記載は、企業によって、週1度や月1度などのペースで行います。預金出納帳を作成する際の基本的な流れについて、それぞれ説明します。
1 通帳を用意する
預金出納帳への記帳を行う前に、通帳を用意します。預金出納帳を記帳するときは、通帳を見ながら行うのが一般的です。通帳の記帳をしていない場合は事前に記帳を済ませておき、インターネットバンキングの場合はWeb通帳などをプリントアウトしておくと良いでしょう。
2 通帳を見ながらお金の動きを記帳する
通帳を見ながら後述する記載項目をそれぞれ記入します。記入ミスのないよう、十分な注意が必要です。基本的に預金出納帳は、1つの取引を貸方と借方の左右に振り分けてそれぞれ該当する勘定科目にあてはめて帳簿に記載する方法である「複式簿記」を用いて記帳します。
ただし、預金出納帳は預金の出入りを記録する帳簿なので、貸方と借方のうち、どちらか片方の勘定科目は預金、または普通預金や当座預金となります。具体的には、入金があり預金金額が増えたときには借方を、お金を引き出すなど預金金額が減ったときには貸方の勘定科目を預金としましょう。そのため、実際に預金出納帳を記載するときには、預金の科目は省き、相手科目だけを記載するのが一般的です。
3 預金出納帳の残高と通帳の残高が一致することを確認する
記入が終わったら、預金出納帳の残高と通帳の残高が一致しているかどうかを必ず確認しましょう。一致しない場合は、どこかにミスや漏れがあるということになります。
4 月末に集計する
月末の区切りで入金額合計・出金額合計・差引残高の金額を計算して、それぞれ記入します。差引残高と通帳の残高は必ず一致していなければなりません。
預金出納帳に記載すべき項目
ここからは、預金出納帳の記載項目について見ていきましょう。預金出納帳には、一般的に以下の6つの項目を記載します。口座ごとに複数の預金出納帳を作成する場合も、記載項目は変わりません。なお、どの口座の帳簿かわかるように、預金出納帳には預金口座名も記載しておきましょう。
日付
預金出納帳は日付順に記載するため、日付の欄には預金出納帳に記入した日ではなく、通帳と同じ日付(取引のあった日付)を記載しましょう。なお、同じ日に複数の取引があった場合も、まとめたり収支を相殺したりしてはいけません。必ずそれぞれの取引について記入していきましょう。
日付は仕訳の中でも特に重要な意味を持ちます。記載する日付を間違えてしまうと、後にまとめて各取引について確認した際に正確に整理できなくなってしまうため、十分な注意が必要です。
科目
科目の欄には、入金や出金の内容を表す勘定科目を記載します。例えば、売掛金が振り込まれた場合は「売掛金」、事業用の現金から口座に入金した場合は「現金」などです。
摘要
取引相手や取引内容など、入金または出金の内容を具体的に記入するのが、摘要です。後で取引内容を確認しやすいように、摘要欄はできるだけ詳しく記載しましょう。売掛金の入金なら取引先名や商品名、消耗品代の支払いなら購入した品物と数など、誰が見てもわかるように端的にまとめます。
入金額
入金額の欄には、入金があった場合に、その金額を記載します。金額の記載ミスがあると残高が合わなくなってしまうので気を付けましょう。
出金額
出金額の項目には、出金があった場合に、その金額を記載します。入金額と同様、記載ミスのないよう注意が必要です。
残高
預金出納帳の残高と通帳の残高は、必ず一致しなければなりません。そのため、両者の残高項目の金額が一致しない場合は、記入ミスや記入漏れ、計算間違いなどが起こっている可能性があります。
かつて損益計算書を意識した経営が主流だったころに比べると、現在は企業のキャッシュフロー(現預金の流れ)がより重視されるようになってきています。そのため、「企業に今いくら預金残高があるか」という情報は、預金出納帳を活用して定期的に確認しておくべきでしょう。
預金出納帳を作成することで得られるメリット
預金出納帳を作成するメリットは、企業のお金の流れをより正確に把握できることです。
預金出納帳がないと、「今どの口座にいくら残高があるか」というのはなかなか把握しにくいものです。特に、一定期間内の取引金額をすべて後払いで精算する掛取引を行っている場合、売上が確定してから実際に代金を受け取るまでや、仕入れをしてから代金を支払うまでの間にタイムラグが生じます。預金残高をしっかり管理していないと、帳簿上は売上があるのに残高が少なく、支払いが滞ってしまうような事態にもなりかねません。
また、企業の預金口座が複数あると、その分管理も煩雑になります。口座の数が多くて把握しきれず、「A銀行の口座に十分残高があるから安心していたら、B銀行の残高が少なくて引き落としができない」などということになっては、外部からの信用を失いかねません。そのような状況を避けるためにも、預金出納帳でお金の流れを把握しておくことが大切なのです。
預金出納帳の作成を効率化するには?
預金出納帳の作成を効率化するには、会計ソフトの導入が効果的です。会計ソフトを使った預金出納帳の作成方法には、主に次の2つがあります。これらの方法を取り入れることで、大幅な時間の削減につながり、結果として預金出納帳の作成を効率化することができます。
銀行の入出金データをCSV出力して会計ソフトに取り込む
銀行の入出金データをCSV出力して会計ソフトに取り込むことで、現金出納帳を効率良く作成することができます。CSVとは、データのファイル形式の1つです。
会計ソフトと預金口座のデータを連携させて自動仕訳を行う
預金データの自動取り込みと自動仕訳を行うことで、さらなる効率化を図ることができます。銀行の入出金明細やクレジットカードなどの取引データを自動で取り込み、自動で仕訳できる会計ソフトなら、そもそも入力の手間が発生しません。会計ソフトなら集計なども自動で行われるため、計算ミスなども起こらないでしょう。
導入する会計ソフトによって機能は異なりますが、効率化を考えると、これからの時代はこの自動取り込み・自動仕訳が主流になっていくといえます。
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仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。

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預金出納帳は会計ソフトを使って効率良く作成しよう
預金出納帳は企業のお金を管理するための重要な帳簿で、「預金の動きを把握する」「預金残高を確認する」といった目的があります。預金出納帳は手書きやエクセルでも作成が可能ですが、時間や手間がかかるうえ、記入漏れや計算ミスなどが起こりやすくなってしまいます。特に複数の銀行口座を持っている場合、口座ごとに手書きで預金出納帳を作成するのはとても大変です。
そのため、預金出納帳を手間なく正確に作成するには、会計ソフトの利用がおすすめです。銀行口座の取引データを連携して自動で取り込める会計ソフトなら、さらなる効率化につながるでしょう。会計ソフトを上手に活用して、企業のお金の流れをしっかり管理してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。
