ガソリン代の勘定科目は?仕訳方法や注意点などを解説
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業務で自動車を利用する企業では、ガソリン代の仕訳方法に迷うケースが少なくありません。ガソリン代に関する勘定科目には「車両費」「旅費交通費」「燃料費」「消耗品費」などがあり、どのような場合にどの勘定科目を使うべきか整理しておきたいと考える方もいるでしょう。
本記事では、ガソリン代の勘定科目や仕訳方法について解説します。経費計上する際の注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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ガソリン代は、業務に必要な移動であれば経費として計上可能
ガソリン代は、業務に必要な移動にかかった費用であれば経費として計上できます。取引先との打ち合わせや現場訪問など、事業に直接関係する移動にかかったガソリン代は、必要経費として認められます。
ただし、家族との外出や個人的な用事など、事業活動と無関係な移動にかかったガソリン代は必要経費には該当しません。特に個人事業主は、自動車を業務と私用で兼用しているケースも多いでしょう。この場合は、業務使用の割合に応じてガソリン代を按分して計上する必要があります。業務での利用状況を明確にするため、移動の目的や行き先、日付などを記録・保存しておくことが大切です。
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ガソリン代の主な勘定科目と仕訳方法
ガソリン代を経費として計上する際には、使用状況や目的に応じて適切な勘定科目を選択する必要があります。主な勘定科目とそれぞれの仕訳例を見ていきましょう。
車両費
車両費は、車両の維持にかかるさまざまな費用をまとめて管理するための勘定科目です。
ガソリン代をはじめ、洗車費用、車検費、点検費用なども含まれます。車両費を用いるのが適しているのは、業務用車両を自社で所有し、その維持費をまとめて管理したい場合です。
仕訳例:ガソリン代として4,000円を現金で支払った場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 車両費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
仕訳例:ガソリン代4,000円をクレジットカードで支払った場合(支払ったとき)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 車両費 | 4,000円 | 未払金 | 4,000円 |
仕訳例:銀行口座からガソリン代4,000円が引き落とされた場合(引き落とされたとき)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払金 | 4,000円 | 普通預金 | 4,000円 |
旅費交通費
旅費交通費は、業務上の移動や出張にかかる費用を処理するための勘定科目です。
ガソリン代の他、電車賃やバス代、航空運賃、宿泊費、駐車場、高速道路料金、レンタカー代なども含まれます。旅費交通費を用いるのが適しているのは、ガソリン代と車両の保守・管理費用を分けて管理したい場合です。
仕訳例:ガソリン代として4,000円を現金で支払った場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
燃料費
燃料費は、燃料そのものの購入費用を経費として計上する際に用いる勘定科目です。
ガソリン以外にも、軽油や重油、オイル、灯油なども含まれます。燃料費を用いるのが適しているのは、主に運送業など車両を業務のメインとして利用する場合です。燃料費として使用した分と、保険料や修理費などの車両にかかる他の費用を分けて管理できるため、費用の内訳が明確になるという利点があります。
仕訳例:ガソリン代として4,000円を現金で支払った場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 燃料費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
消耗品費
消耗品費は、使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の物品を購入した際に用いる勘定科目です。
ガソリン代だけでなく、ボールペンやコピー用紙などの事務用品、ティッシュペーパー、洗剤などの日用品にも用いられます。消耗品費を勘定科目に用いるのが適しているのは、業務において自動車の使用機会が限定的で、年間のガソリン代の合計が少額となるようなケースです。そのため、通常は車両費や燃料費といった勘定科目を用いるのが適切ですが、まれに消耗品費として処理されるケースもあります。
仕訳例:ガソリン代として4,000円を現金で支払った場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
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ガソリン代の経費計上に関する注意点
ガソリン代を経費として計上する際には、いくつか注意しておきたい点があります。間違えやすいポイントでもあるので、以下の4点を念頭に置いて経費処理を進めましょう。
業務使用分と個人使用分を明確に区別する
ガソリン代の経費計上に関する注意点の1つは、業務使用分と個人使用分を明確に区別することです。
ガソリン代を経費として計上できるのは、あくまでも業務に使用した分に限られます。個人的な使用分との区別が曖昧にならないよう注意しましょう。
特に、自家用車や社用車を業務と私用で兼用している場合、業務と個人使用分の区別が曖昧になりやすくなります。そのため、自動車の使用目的や走行距離、移動経路などを記録し、業務での使用実績を客観的に示せるようにしておくことが大切です。
一度決めた勘定科目は継続して使用する
一度決めた勘定科目は継続して使用することも、ガソリン代の経費計上に関する注意点です。
ガソリン代の勘定科目には車両費、旅費交通費、燃料費、消耗品費などが用いられますが、どの勘定科目を用いる場合でも、一度決めたら会計期間中は変更しないことが望ましいでしょう。途中で勘定科目を変えてしまうと、同一内容の費用が異なる項目に分散され、期間比較などにおいて正確な財務分析が困難になり、業績操作の疑いを招く可能性があります。会計処理や表示方法を統一することは、期間を比較する利便性や財務情報の信頼性を保つ意味においても大切です。
ガソリン購入時の領収書を確認・保存する
ガソリン代の経費計上に関する注意点としては、ガソリン購入時の領収書を確認・保存することもあげられます。
ガソリン代を経費として計上するには、購入日・購入場所・金額が記載された領収書やレシートの保存が必要です。レシートであっても、決済内容が明確であれば領収書と同様に経費処理に使用できます。そのため、ガソリンスタンドで発行されたレシートは必ず保管し、経費申請時に添付しましょう。
なお、領収書やレシートの保存期間は、原則7年です。ただし、欠損金の繰越控除を利用する場合は、10年間保管する必要があります。欠損金の繰越控除とは、ある事業年度で赤字(欠損金)が発生した場合に、その赤字を翌年度以降の黒字(所得)と相殺して法人税の負担を軽減できる制度です。この制度を適用するには、赤字が発生した年度の帳簿や証憑類を長期間保存し、後年度に相殺する際の根拠資料として提出できるようにしておく必要があります。
個人事業主で青色申告をしている場合の保存期間は、法人と同様に7年、白色申告の場合は5年です。
未使用分のガソリンは「貯蔵品」として処理する場合がある
未使用分のガソリンは貯蔵品として処理する場合があることも、ガソリン代の経費計上に関する注意点に含まれます。
決算時点で未使用のガソリンが車両のタンクに残っている場合は、在庫として扱う場合があります。このようなケースで用いる勘定科目は「貯蔵品」です。
実際には、期末時点で車両のタンクにどの程度のガソリンが残っているのか正確に把握するのが困難な場合もあります。事業の性質上、ガソリン代が重要な費用項目であったり、在庫を厳密に把握する必要があったりする場合には、未使用分のガソリンを貯蔵品として処理するのも1つの方法です。
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ガソリン代と軽油代の違い
ガソリン代と軽油代では、主に課税される税金の種類が異なります。
事業内容や車両の用途によっては、軽油を燃料とする車両を所有している場合もあります。ここでのポイントは、ガソリン代や軽油代に含まれる税金です。
燃料を補充したときのレシートを見ると、ガソリンにはガソリン税、軽油には軽油引取税が課税されていることがわかります。いずれも、燃料に課税される点は共通していますが、会計上の扱いには違いがあるため注意しましょう。
ガソリン税については、特に分けて会計処理する必要はありません。ガソリン税を含む金額をまとめて勘定科目に計上します。その一方で、軽油にかかる軽油引取税は、消費税区分上「不課税仕入」となる点が大きな違いです(「非課税」ではない点に注意が必要です)。なお、軽油引取税は「租税公課」の勘定科目で処理しても差し支えありません。
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ガソリン代を正確かつ効率的に仕訳するには会計ソフトの活用がおすすめ
ガソリン代は、車両の使用状況や目的に応じて適切な勘定科目を選択して処理する必要があります。一度決めた勘定科目は会計期間中、一貫して用いるのが原則であり、経理処理のフローを統一することが大切です。
経理業務の流れや処理方法を標準化するには、会計ソフトの導入をおすすめします。ガソリン代をはじめ、各種経費の勘定科目を自動で判定し、リアルタイムの財務状況を反映した集計表を出力できる会計ソフトを活用すれば、会計業務を正確かつ効率的に進められます。日々の仕訳を効率化し、経理業務の透明性と確実性を高めるために、会計ソフトの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
photo:Thinkstock / Getty Images
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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。